大阪では久々にできた落語の定席「天満天神繁盛亭」。その開館を記念して、開館時点での上方の落語家を網羅した名鑑が刊行された。198名の落語家、14名の三味線方、23名の物故者が掲載され、本名、生年月日、出身地、出囃子、所属事務所などのデータとともに、落語ライターのやまだりよこさんの取材による人物紹介が顔写真を添えて掲載されている(三味線方数名は写真なし)。また、代表的な落語のあらすじと聞きどころが180本紹介されている。落語に興味を持ち始めた人にも、落語が好きな人にも楽しめて役にたつ一冊である。
特に、落語家名鑑の部分に関しては、よくこれだけの人数の落語家を取材し、プロフィールをまとめたものだと思う。まさに労作である。現在協会に所属していない枝雀一門の落語家もちゃんと掲載されているところに、偏りのない編集の姿勢を感じさせる。
これから繁盛亭で落語を聞く際には、特に若手落語家が出演している時に、本書を携行していれば、落語家にも親しみがわき落語も楽しめること受け合いだ。
ただ、桂文我、笑福亭松之助、明石家さんまら何らかの事情で掲載されていない人もいる。特に文我はその弟子のまん我が掲載されているだけに、不掲載の理由が何なのか気になる。なぜ掲載されていない落語家がいるのかもちゃんと書いておいてほしかった。これだけの労作だけに、画竜点睛を欠くといわざるを得ない。残念なことだ。
(2006年9月16日読了)