出会い系サイト、ブログ、SNSなど、インターネット上で男女の出会う機会が増えている。そして、そこから恋愛に発達し、ついには結婚するカップルもいる。著者は自分自身もウェブサイトで知り合い恋をした経験を持つライターで、ウェブ恋愛の様々なケースを取材し、「ウェブ」と「恋愛」をキーワードにした新しいコミュニケーションについて読み解いていく。
むろん、様々なケースをとりあげているだけに、著者は「ウェブ恋愛とはこういうものだ」という決めつけはしない。まず結論ありきで、ウェブ恋愛に対して「善玉論」や「悪玉論」を展開するためにとってつけたような理屈をふりかざすようなものとは一線を画している。
ある人にとってはネット上の出会いは数ある出会いの選択肢の一つでしかない。ある人にとってはネットそのものが生活のすべてである。それをひとくくりにして論じるということはどだい無理なのである。
ただ、本書を読むと、これまでなら出会うことのなかった男女が「趣味」のサイトを媒介にして出会いそして恋愛するというケースがあることがわかる。また、自分を確認したいがために「恋愛」に依存し、その「恋愛」を探すためにメールやチャットが不可欠になっているというケースもある。「写メール」の普及のおかげで、メル友と実際に会う前にお互いの顔を確認するということも可能になった。
こういったケース・スタディを踏まえ、著者は「ウェブを通じた匿名の人間関係構築が、必ずしも人間関係そのものの希薄化を示しているというわけではない」ということを明らかにしようとしている。人間そのものの本質は、そうは変わらない。ウェブ上で恋愛をしていたとしても、実際に会ってみたらその恋愛感情が冷めてしまうケースも多く、またネット以外では人間関係を構築できない者だけがウェブ恋愛にはまっていくというわけでもないのだ。
ただ、現実の世界ではもろく傷つきやすく、理想を追い求めてしまう者にとって、ウェブ恋愛は依存の対象になりやすいのではないかという指摘をしているところには注目したい。ネットという道具を手にしたことにより、これまでは人の目に見えてこなかった「人間の弱さ」が明らかにされてきたということがいえるように思われるのである。
(2006年11月4日読了)