読書感想文


メッケもん! 掘り出し珍品図鑑
桂文我著
ポプラ社
2006年10月10日第1刷
定価1600円

 演芸関係のコレクターである著者が、自分が集めた珍品を披露する。初代桂文枝の図像や東京の演芸場で使われていた名だたる芸人のサインの入った将棋盤とい、初代桂春團治が製作した「ものいふせんべい」などの歴史的な価値のあるものから、とんま天狗のお面、柳家金語楼の福笑い、芸人のメンコ、寅さんのプラモデルにレオナルド熊の屋台なる珍玩具と、ページをくる度に「ようこんなもん集めたなあ」と溜息が出る。
 特筆すべきは、コレクションの写真に添えられた文章である。もともと著作の多い著者ではあるが、本書に添えられたエッセイは、その間のよさといいもっていきかたの巧みさといい、絶妙の味わいを見せている。
 落語家の本では著者の大師匠の米朝、辛辣な内容の松枝、障害者である実兄を語った団六など様々なタイプの書き手がいるが、こういう好きなことを楽しく書けるというタイプはあまりいないように思う。これからも「趣味」路線で楽しいエッセイをどんどん書いてほしいと思うのである。

(2006年11月5日読了)


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