東京生まれで東京育ちの著者は、30歳を過ぎてから京都の魅力にとりつかれてしまった。本書は、そんな著者による東京と京都の比較論的エッセイである。
「いけずと意地悪」「始末とケチ」「おためとお返し」「京都大学と東京大学」「綿矢りさと金原ひとみ」「おいでやすといらっしゃいませ」「『はる』と『らっしゃる』」「冷泉家とヒルズ族」「京女と東女」といった具合に、よく似ているのだがニュアンスの異なるものを中心とした対比で、伝統のある都市と新興の都市の違いを鮮やかに提示する。
著者の優れたところは、対象を愛しつつ距離を置く、その距離の置き方が絶妙であるところだ。例えば、どれだけ京都という町を愛したとしても、著者は京都には住まない。東京人である著者を暖かく迎えてくれるのは、それは旅人であるからだと理解した上でのことである。そして、京都の美点から東京を批判したとしても、自分を育てた風土を全否定はしない。
だからこそ、都市というもののありようが明確になり、そして、人と人のつきあい方や文化というものが形作られていくありさまがわかりやすく示されるのである。
京都生まれで京都育ちながら、市街地から少し離れたところの出である私などは、いろいろな部分で共感できた。そして、私の中にある京都人的気質というものを見直す契機にもなったのであった。
(2006年12月24日読了)