明治前期からから戦後の学制改革に至るまで、女性の高等教育を担ってきたのが女学校である。そこに通う女学生たちは、彼女たち独自の文化を作り上げていた。本書はそのような女学校の実際の姿や、女学生たちの生活の様子を文献や聞き取り調査などから明らかにしていく。そして、特に明治時代に多かった女学生批判の実例をあげ、それがいかなる理由で行われたのかを解き明かしていく。
学校では禁止されていた小説を読み、空想の世界に遊んだ文学少女。先輩や後輩と特別に親密な関係(「S」という)を結び、疑似恋愛の世界にひたる少女たち。西洋文化に親しみ、独自の自由な校風を受けて能力をのばしていったミッション系の女学生たち……。
著者の分析によれば、男性たちの女学生に対する批判は、欧米の文化を受容していく中で沈静化するという。異質なものに対する警戒が過剰な批判などにつながっていったのだ。
女学生たちも結婚して大人になるまでの最後の自由な時間を楽しむ。「女学生」とはいわば記号だったのかもしれない。独自の文化が発達する中で、彼女たちは「女学生」らしくあろうとするようになるのである。だから、高齢となった彼女たちが同窓会などに出るとたちまち「女学生」に戻ることができるのである。
もう少し深く切り込むこともできただろうが著者はまず「女学校」や「女学生」の実際の様子を明らかにしなければならないと考えたようである。そのため、「女学校」という異空間の性質が手にとるようにわかる。まさに意欲作といっていいだろう。
(2006年4月28日読了)