ぼやき日記


5月1日(月)

 私にわけのわからんダイレクトメールなんか送ってきたらこの日記でさらしものにされるということをまだわかってない人は多いらしい。たいていはゴミ箱直行やねんけど、今朝きたのはつっこみどころが多いんで、一部さらしものにすることにした。一攫千金なんか、私は望んでないって。望んでても、私は博打に弱いから、手を出さんようにしてるんやから。

「突然のメールを失礼します。
 月収1200万円の可能性もあるビッグな情報をお伝えします。(StarWeb21)
 今の時期なら十分可能です。
 多分悩むより先に登録した方がぜったいお得な情報です。うまくいかなくてもリスクもほとんどありません。NEWAYSのあの有名なダイアの方も参加されました。
 オンラインマトリックスですからダウンが上から降りてきます。インターネット関連のサービスビジネスです。
 情報の早い方はご存知のとうりあの スカイビス2000はすでに月収1000万円の方も出てきています(昨年9月からスタート。わずか半年で)月収100万クラスも多いようです。しかし基本的に アメリカの会社なのでわかりにくいところがあるようです。
 ところが、このたびある人(あるビジネスでトップランク)から、数倍すごい情報をいただきました。 その人は人脈は広く、実にさまざまな情報が入ってくる人です。その中で彼が本気になってよそのネットワークのトップ達にもこの情報を流したところ、皆飛びついてきているそうです。
 この会社は日本で立ちあがりました。しかも3月31日から仮登録受け付けですから今この情報を知っている方は奇跡のタイミングです。本当に凄い事になるかもしれません」

 読んでて、なんか頭がくらくらしてきた。もしかしたら牧野修さんのいたずらと違うかと思うた。そやかて、文章が電波系なんやもん。許しませんでしょう!
「NEWAYSのあの有名なダイアの方も参加されました」って誰ですか。ここの「あの」は何を指すのか、100字以内で答えよ。「オンラインマトリックスですからダウンが上から降りてきます」って、つまりガチョウの羽根が天から降ってくるということですか。「このたびある人(あるビジネスでトップランク)から」って、実名を出してくれへんと誰のことやらさっぱりわからん。「よそのネットワークのトップ達」って、そやから実名を出せよ。「しかも3月31日から仮登録受け付けですから今この情報を知っている方は奇跡のタイミングです」って、今日は5月1日やで。めちゃめちゃタイミングがずれてるのと違うか。3月31日に受け付けてるのに1ヶ月遅れで情報を手に入れてもしかたないやないか。「本当に凄い事になるかもしれません」って、これだけ凄いビジネスチャンスやったら1ヶ月遅れやと遅いはずやのにまだチャンスがあるというのは、それだけで本当に凄いかもしれへんな。
 なんかけったいな日本語ですなあ。ちゃんとした文章も書かれへん人からきたこんなメールを真に受ける人がいるんやろうか。いつも思うんやけど、こんなメールで人をだませると思うてるとは実におめでたいことであるなあ。

 あったら恐い。さわられた学園。マゾの転校生。まるぼしのペンフレンド。(眉村先生ごめんなんさい)

5月2日(火)

 実家から朝掘り筍を送ってきた。別に実家が竹林を持っている地主、というわけやない。掘りたてのを宅急便で届けてくれる店が実家の近くにあるんです。さっそく妻が茹でてくれて、毎日筍料理を食している。これがおいしいんだ。柔らかいけれど、歯触りがしっかりしてる。筍にうま味がある。旬のものをこうやっていただけるなんて、なんという贅沢。

 ニュースでクリントン米国大統領が出演しているというジョーク・ビデオを見る。内容は任期切れ間近になったクリントンが誰からも相手にされないというものやねんけれど、仕事もまわしてもらえないクリントンが庭の芝刈りやら植木の手入れやら車の洗濯を自分でしていたり、忙しいヒラリーさんが自動車で出かけるときに忘れ物のサンドイッチ弁当を持って追いかけたり、やることがないんで将軍と軍艦ゲームをして遊んでたり、ホワイトハウスの中を自転車で走ってたりというようなもの。
 内容も面白かったけど、ここに登場するクリントンもヒラリーも将軍も、全員本人が自分自身を演じているというのには驚いた。確かにそっくりさんやと面白さが半減するかもしれへん。しかし、いくらなんでもかなりきついジョークやのに、本人が出るというのはやってくれるやないか。「これだけ私は度量が広いんですよ」というアピールかもしれへんし、純粋に面白がって出演してるのかもしれへん。そんなんは本人やないからわからへん。
 こういう時にアメリカという国が羨ましくなる。日本の首相が同じことをしてみなはれ。地元の支持者が黙ってへんと思うよ。イメージダウンやとか人を馬鹿にしておるとか難癖をつけるに違いないね。「いやあ、先生はさすがにユーモアを解する」とはならん気がする。それがええことか悪いことかは別にして、こういうビデオに本人が出演できるというのは文化的に成熟したものを感じずにはいられんね。
 現職の首相が病気で倒れたのをだしに同情票で選挙に勝とうというような発想やからなあ。
 なんでこう違うのか。それは、米国の大統領はあくまで国民の代表者に過ぎないのに対して、日本の首相はお偉い先生やからと違うかな。大統領やからというて人間が偉いというわけやない。ただ単に執政能力に長けた人物を自分の代理として雇うてるという意識があるのやないやろうか。民主政治の代議制というのはつまりはそういうことやと思う。

 あったら恐い。患者の腹をフランス刺繍で縫合する外科医。

 明日は甲子園に行き、その帰りに飲み会に行ったりなんかする予定。明日は更新はお休みします。次回更新は木曜日の深夜の予定です。

5月4日(木)

 甲子園は快晴でとても気持ちよかった。いつ行っても「ええ球場やなあ」と思う。ただ、すぐそばにトランペットのお兄さんやら太鼓のお兄さんがいてやかましかったのには閉口した。
 夜はクラシックファン仲間の飲み会に行ったんやけれど、居酒屋のテレビではえんえんバスジャックのニュースをしている。こういう時のNHKというのはなんかもう生き生きとしているように思うね。全ての番組をすっ飛ばしてでもニュースをやるのが使命です。民放にはこんなことはでけへんでしょうわっはっは。実際はそうやないかもしれへんのやけど、そんな感じがする。確かにバスジャックは死者も出て大変な事件には違いないんやけれど、それをずっと中継しておかへんと何が起こるかわからんというような性質のものやなかったと思うから、番組の途中に適宜ニュースをはさむ程度でも報道としては支障はなかったのと違うかとも思うたけどね。
 しかし、17歳ですか、犯人は。前日の老女殺人事件の犯人も17歳やね。
 となると、週刊誌は今度は「1983年生まれの17歳はゲーム感覚犯罪世代である」というような特集を組むんやろうか。組むんやろうな。ものごころついたときには家庭用のテレビゲームがあったことやとか、ゆとり教育のために必要な常識が身についてないとか、家庭内での家族関係が希薄であるとかまたそれらしい理屈をつけるんやろう。あとは、週刊誌の読者層がそれくらいの年の子どもがいる中年サラリーマンやということで、「あなたの子どもは大丈夫?」とかいうて不安をあおり、ええかげんなチェックテストかなんかを載せて「50点〜40点 あなたの家庭は健全です。 39点〜30点 子どもと語らう時間を持ちましょう。 29点〜20点 子どもの普段の行動に十分注意しましょう。 19点〜10点 私立探偵に依頼して子どもの行動を監視しましょう。 9点〜0点 今すぐ子どもを警察に連れていき、一切合切を自白させましょう」というような診断を書き並べたりするんやろうなあ。アホなおっさんが真に受けて子どもに入らぬ詮索をして顰蹙をかうとかいうことになるかもしれへんなあ。
 さて、そういう記事をいの一番に出すのはどの週刊誌やろう。また週刊誌の広告を見るのが楽しみになってきたぞ。

 あったら恐い。地下街で灰皿を探して右往左往するエイトマン。

5月5日(金)

 今日は「こどもの日」。「こどもの日」というと私には忘れられへん思い出があったりするんやけれど、例年はこの日記では「SFセミナー」のレポートやら甲子園の話題ばっかりで、それについては書いてなかった。ちょうど一日ゆっくり休んだんで特筆すべきネタもないし、今日は昔話といきましょう。
 学生時代、私は京都のさる有名百貨店でアルバイトをしていた。特定の売場やない。シーズンごとにあの売場この売場と人事課の担当の方から紹介していただいてた。寝具、中元歳暮のギフトコーナー、中国物産展に漬け物、ちりめん山椒、学習机の配達から紳士服の発送まで、いろんなことをしたなあ。その頃はたいていワイシャツにネクタイ姿。教師になってからはめったにそんなかっこはせんようになったから、学生時代の方がサラリーマンみたいな服ばかり着てたという感じがする。
 で、「こどもの日」であります。ある年、人形の売場で鯉のぼりを売るアルバイトを紹介してもろうた。3月の半ばから「こどもの日」の前日までほぼ2ヶ月間。大将人形やら兜を売る歩合制販売員のおっちゃんたちは「これが終わったら、次はクーラーを売らんならん」と言うていた。おっちゃんたちの売り言葉を聞いていたら、私も五月人形の良し悪しに関する知識が増えたぞ。もし自分に子どもができたら、兜を買うときには販売員の口車には乗せられへんという程度の自信はあるね。あなた2ヶ月も同じ文句を聞かされてみなはれ、憶えまっせ。他の客にはボロカスに言うてた大将飾りをこの客には最高級品みたいにほめるんやからね。
 アメリカ人の客が鯉のぼりを買いに来たときはカタコト英語で「あの黒いの、お父ちゃんです。あの赤いの、子どもです」と説明したら、「もっと小さい、色の違うのはないか」ときかれた。あまり売れへんジュニアサイズの緑色の鯉のぼりを出して見せたら、「おお、これがいい」と大喜び。なんでも部屋の壁に掛けて飾っておくらしい。「風習が違いますよ」と言いかけたら、人形屋の若旦那(私の雇い主)に「いらんことは言わんでええよ。買うてくれたらお客さん。使い道はわしらの知ったことやない」と止められた。
 飛脚のマークで有名な運送会社の社長が来たときは驚いた。何人もおつきを連れて、目立つ目立つ。「一番大きいのを見せてくれ」という。若旦那が売場においてある最大のを見せると、「操車場の入口にどんと上げるんや。もっと大きいのはないんか」と言う。たしかメーカーに注文して最大サイズの鯉のぼりを売ったはずやったけれど、あの時の鯉のぼりをまだあの運送屋は使うておるのやろうか。
 たいていは団地サイズの可愛い鯉のぼりセットがよう売れた。今住んでる団地のベランダからそういう鯉のぼりが突き出てるのを見ると、あの時のことを思い出す。よう考えたら、あの時分に鯉のぼりを買うてもろうた子どもは、もうそろそろ成人してる頃やねんなあ。
 というわけで、「こどもの日」にはいろんなことを思い出すのであります。

 あったら恐い。一つ目小僧の結膜炎。

5月6日(土)

 さてここで質問です。「Hardtke」と書いて何と読むでしょう。ヒントは、人名です。
 それでは正解です。「ハートキー」と読みます。阪神タイガースに新入団した外国人選手の名前です。私はおそらくドイツ系の名前やと思うんやけれど、実のところどうなんやろう。ポイントは「dt」と綴って「t」と発音するところかな。
 昔、「ボウクレア」という外国人選手がいたけれど、綴りは「Boisclair」。この名前はフランス系やね。「ラインバック」は「Reinbach」でドイツっぽい。
 それがどうしたといわれても困りますが。

 テレビをつけたら、「ローマの休日」をやっていた。オードリ・ヘップバーンの声に違和感がある。「この声、池田昌子と違うで」「若い頃の声ってこんなもんと違うの」「いや違う。もっと落ち着いてるはずや」。新聞のテレビ欄で調べたら、鈴鹿千春という声優さんによる新しい吹き替えやった。妻と二人して「ヘップバーンの声は池田昌子やないといかん!」。
 それがどうしたといわれても困りますが。

 今年のSF大会「ゼロコン」のプログレスレポートが送られてきた。妻が「あなたの名前が出てるよ」というので読んでみたら、実行委員長の「堀晃インタビュー」で堀さんが私の名前を出してくれてはる。私のようなものの名前を覚えてくれてはるなんて、ありがたいことです。とはいえ、プログレスレポートを読まはった人のうち、どれだけの方が「喜多哲士」という名前を知ってはるのかとも思う。いやこれは、謙遜で言うてるんでも卑屈になってるんでもない。例えばSF大会に参加する人全てが「S−Fマガジン」の愛読者とは限らない。また、「S−Fマガジン」を購読している人が全て書評家の名前を意識しているとは限らない。と考えると、堀さんが「喜多哲士君と話していて……」と言うてはるのを読んで「誰やそれ?」と思う可能性はけっこう高いように思うんやけれど、どんなもんでしょうか。
 それがどうしたといわれても困りますが。

 まあ、なんとなくそんな風に思うたというようなことを挙げてみたまでです。

 あったら恐い。「どく入り危険あけたら死ぬで」というタイトルのEメール。

5月7日(日)

 ゴールデンウィークも今日でおしまい。職場でこの日記を読んで下さっている皆様、ごぶさたいたしておりました。

 パッパラッパラッパー。新聞によりますと、名古屋で老女を殺害した17歳の少年は「角川ホラー文庫」をコンプリートで読んでいて、「どんなものでもコンプリートでないと気がすまない」と言っているそーうです。あ、若い人には元ネタがわからんか。わかる方だけ抑揚をつけて読んで下さい。
 しかし、もしコンプリートで読んでいるということだけに価値をおいているだけやとしたら、それは寂しいことやね。もちろんホラー小説が好きやから「角川ホラー文庫」を完全読破しようとしたんやろうけれど。それやったら「異形コレクション」をはじめとするホラー関係の文庫はどうやったんやろう。新聞ではそこまでは追いかけてはくれへんか。
 ひっかかるのは、彼がホラー文庫を全巻読んで、どういう感想を持ったのかということが伝わってこないところやねえ。「『ホラー文庫』と事件の関連性はわかっていない」くらいしか報道されてないもんな。ちゃんと読んでたら「人間は実際に経験しなくてもこんなに邪悪なことを考えられるのだ」ということはわかるはずやと思うけど。特に「玩具修理者」とか「人獣細工」とか。
 ともかく「コンプリートでないと気がすまない」という感覚は、わからんでもない。そやけど私は根が無精やからようやらへん。ましてやコンプリートであるということだけを誇る気にはなられへん。彼の「角川ホラー文庫」を完全読破したということがどれだけの意味があったんやろうかと、ちょっと考えさせられるね。どうせやったら「岩波文庫」を完全読破してみたらよかったのに。かなり時間がかかって、読了したときには立派な大人になってるはずですぞ。

 あったら恐い。ねずみ取りにひっかかって免許停止になる仮面ライダー。

5月8日(月)

 例の「I Love You」メールに関するニュースを見ていて、なんか変やなあと思うことがある。アナウンサーが「『I Love You』と書かれたメールは開かないように、見つけたらすぐに削除するように」と言うてるんやけれど、だいたい到着したメールを削除しようと思うたら、一度は開かんとあかんのと違うかな。正確には「『I Love You』と書かれたメールに添付されているvbsという拡張子のついたファイルは開かずに削除するように」やないかな。
 新聞記事にも「メールは開くな」というような書き方がしてある。なんでやろ。
 それとも、最近のメールソフトはメールを開封せんでも削除できるようになってるんやろうか。私はもう何年も同じメーラーを使うてるから、そういう新しい機能についていけてへんというだけのことなんやろうか。ニュース原稿やら新聞記事を書いてはる人がコンピュータ用語を誤用してるように感じるのは私だけなんやろうか。
 あのここを読んではるみなさん、どない思わはります。
 メールを開封せずに削除しなさい、てな器用なこと、私はでけへん。添付ファイルをそのまま削除することはできるけどね。やっぱり最新ヴァージョンのメーラーをインストールすべきなんやろうか。そしたらメールを開封せんでも削除できるんやろうか。私にはわかりません。

 あったら恐い。人間椅子式床暖房。(わからない人は江戸川乱歩を読んで下さい)

 明日は所用のために更新はお休みします。次回更新は水曜深夜の予定です。

5月10日(水)

 家庭訪問週間に突入した。私の勤務する養護学校の場合、複数担任制をとっている上に学級の生徒数が少ないから、一日にそれほどたくさん訪問せんでもええ。その反面、生徒一人にかける時間数が長くなる。以前ある中学校で講師をしていた時、学級担任を持ったことがあるけど、これは1週間に40軒からまわらんとあかんかったから、けっこうきつかった。一人あたりの時間数を長くとると次にまわる家につく予定の時間がどんどん押してくる。原チャリでまわったんやけど、雨が降っていちいち合羽を着たり脱いだりしてしんどかったことが記憶に残ってる。もっとも、生徒のお家も片付けやなんかが大変やろうな。

 家の郵便受けに新興宗教の勧誘ビラが立て続けに2通はいっていた。たいてい同じような事が書かれてるんでいちいちご紹介するにはあたらんと思うんやけれど、信者の体験談で「ガンが治った」やの「倒産寸前の事業が立ち直った」とかいうのはもうやめてよ。
 福永法源なる「法の華」とかいう宗教の親玉が詐欺罪かなんかで逮捕されたけれど、「入信したら病気が治る」とかいう勧誘方法はこれからはみんな詐欺とみなされることになると思うぞ。
 宗教というのは、私は基本的には信仰する者の精神的な支えでしかないと思うてるから、現世利益を看板にしている宗教やら人類が滅亡した後も信者だけ生き残るという未来利益(そんな言葉はあらへんけど)を保証するような宗教には、なんかうさんくさいものを感じる。ましてやノルマを設定して金を集めるときた日にはそんなもんどこが宗教やねんと思うたりする。しかし、今回の逮捕で教義を改めんならんところがどんどん出てこないかと期待したりもするんやけれどね。
 基本的には、信仰というものは利己的であってはならんように思うんやけど、どうなんかなあ。
 私ですか。私の神様は手塚治虫です。

 あったら恐い。象が踏んでも壊れない豆腐。(あいかわらず元ネタが古いなあ)


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