ぼやき日記


3月11日(月)

 ああもう、確定申告の用紙など見たくもないわい。住宅取得と原稿収入に関わってどうしても申告せんとあかんのやけれど、住宅ローン関係の計算が遅々として進まず、何度も書き直しをする。ああもうほんまに私はこの手の計算があかんのや。でけへんことはないけど、理解するまで時間がかかるというか。
 なるほどねえ、世の中の多くが税理士なる職業を必要としているわけや。ちょっとした計算でこれだけかかるんやもん、法人関係の税金の計算なんかどんなにややこしいんやろう。
 いやもう、確定申告せんならんほど原稿収入がなかったからこれまでほったらかしてたけどなあ。原稿収入が増えたら、毎年書かんならんのやね。ううむ。とてもそれで生活できるような収入やないのに、申告はせんならんというのはきついなあ。
 そやけど申告せんかったら、住宅ローン特別減税の恩恵をこうむることはでけへんしなあ。そのために去年購入したんやからなあ。源泉徴収と年末調整に頼っている勤め人としては、たまにする確定申告は実に大変なもんなんでありますよ。

3月12日(火)

 確定申告が終わってほっとしております。住宅ローン関係についてはまあよいとして、原稿収入で必要経費をさっぴいたらほとんど利益が残らんという事実をつきつけられると「わあーい、税金が還ってくる」などと喜んではおられません。副業としてこんなに割の悪い仕事はないぞ。好きやないとやってられへん。

 この前、クラシックが好きな同僚たちと話をしてたんやけど、なんでベートーヴェンのピアノソナタのうち、「熱情」、「月光」、「悲愴」を〈三大ソナタ〉としてるんやろうなあという話題になった。
 ベートーヴェンは生涯に32曲のピアノソナタを作曲してる。〈三大ソナタ〉に負けへんええ曲もいっぱいある。そやのにこの3曲ばかりがもてはやされる理由がわからん。しかも、この3曲はいずれも悲劇的な曲調で、感じがよう似ている。サブタイトルがついてるんがこの3曲だけやというんやったらともかく、サブタイトルがついてて曲調も違うものを組み合わせたらええのにと思う。たとえば「ワルトシュタイン」やとか「田園」やとか。
 クラシックの各レーベルが「クラシック・ベスト100」というような廉価版のCDを出しているけど、〈三大ソナタ〉がまとめられたCDは必ず入ってるけど、名曲と呼ばれる30〜32番の最後のソナタを組み合わせたものやとか、「テンペスト」や「ワルトシュタイン」を組み合わせたものなんかはなんでかしらんがたいてい入ってへん。確かに〈三大ソナタ〉はクラシックをあまり聴かへん人にもわかりやすいし、実際、名曲やと私も思う。それにしても他の曲と比べて扱いが違いすぎる。
 これは外国でもそういう扱いなんかなあ。それとも日本だけなんかなあ。いつごろからこの3曲が「ベートーヴェンの〈三大ソナタ〉」に決まったんかなあ。どなたかごぞんじの方があればご教示下さい。
 原稿を書きながらグルダの弾いた「ベートーヴェン・ピアノソナタ全集」を聴いてたら、こんな日記になってしまいました。クラシックをあまり聴かへん人にはわかりにくいネタですね。申し訳ない。

3月13日(水) 

 テレビのコマーシャルでボーリングをしていてボールが手から離れずピンにつっこむというしょうもないのをやっている。あれを見ていて、ああキリンラガーも発泡酒を出したんかと思うたら、あれはサッポロビールの発泡酒やったんですな。あれは間違うよ。
 キリンビールがサッポロビールを訴えたらしいけど、それはわかる。事前に知識がなかったら、キリンラガービールの新製品やと思うよ。サッポロビールは紛らわしくはないと強弁しておるけど、どう見ても負けですな。それにしてもサッポロビールほどの会社がどうしてこういうせこいまねをするのかね。
 以前、サントリーが「モルツ」を出した時に「黒ラベルと紛らわしい」と訴えて「モルツ」の黒い円を外させた会社が、同じことをしてどうするねん。「モルツ」は別に「黒ラベル」と間違えるほどひどくはなかったぞ。今度の「ラガー発泡酒」は明らかに類似品やないか。話題を作っておいてさっとラベルを変えるという作戦かな。そこまでせんなんほどせっぱつまってるのかサッポロビール。
 それはそれとして、あのコマーシャルのしょうもなさは勘弁してほしい。どうせならピンにつっこむのはほんまもんの人間にしてほしいね。レーンをすべってる段階で明らかに人形とわかるやないか。わざとわかるようにしてるのかもしれんけど、それやったらなおのことおもろない。ビールのコマーシャルやったら、さえない中年のおっさんが人が困ってるのをさっそうと助けるというシリーズができがいい。ビールは値段が高いからコマーシャルも面白く、発泡酒は安いからコマーシャルも安っぽいということかな。そんなわけないと思うんやけどね。

3月14日(木)

 ラジオで「さかな、さかな、さかな」と連呼したあと魚の名前で次々と駄洒落を続ける調子のええ歌がかかっていた。『サカナ天国』とかいうタイトルらしい。『自動車ショー歌』の魚版ですな。あ、『自動車ショー歌』をご存知ないですか。小林旭の歌った名曲でありますぞ。こちらはたわいないというよりあほくさい。そのあほくささがコミックソングファンの琴線をくすぐるんであります。『サカナ天国』はその域まで達してへんように思うた。
 なんとこれがはやってると妻からきいて驚いた。コミックソングとしてはひねりがなくたわいなさ過ぎる。確かに調子のええ歌やから、一度耳についたら離れんという気はするけどね。実際、曲が終わったあと、知らず知らずのうちに「さかなさかなさかな」と口ずさんでたりしたもんね。
 妻の話ではスーパーの鮮魚売り場でエンドレスで鳴らされてたりするらしい。確かに魚屋のテーマソングみたいな歌ではあるな。そんな歌がはやったりするというのはどういう現象なんかようわからん。まあ『だんご3兄弟』みたいな爆発的なヒットにはならんのやろうけど。どんなものがはやるか読まれへん時代ではありますね。それとも誰か仕掛人がいるんやろうか。牛肉が低調な今のうちに魚の売り上げをのばそうとする計画の一端かもしれん。農林水産省の族議員の誰かが秘書に金を配らせたり恫喝をかけたりして『サカナ天国』をヒットさせ……というのはやっぱり無理があるな。ううむ、連日の「ムネオ」報道に毒されておるのかな、やっぱり。

 明日と明後日は所用のため更新できません。次回更新は日曜深夜の予定です。また、次の日曜日はたちよみの会の例会です。多数のご参加をお待ちしております。

3月17日(日) 

 今日、「たちよみの会」から帰ってきて録画しておいた相撲中継を見ていたら、特別ゲストの桂米朝師匠の声にいくぶん張りがないので気になった。どこかお悪いのやろか。まあお年を召してはいはるけど、ぐっと老けこんだ感じなのが気になる。

 金曜から土曜まで所用で東京の芝公園まで行く。この1ヶ月の間に大阪東京間を3往復したことになる。これまではせいぜい年に2回くらいの頻度でしか東京には行ってへんからね。しょっちゅう地方出張に行くという仕事でもないし。けっこう体にはこたえているかも。
 せっかく芝に行ったんやから、東京タワーにでも登ってみるかとあいた時間を利用して上の展望台まで上がる。実は東京タワーに行くのは生まれてはじめて。中学時代の修学旅行は伊豆箱根方面やったし、高校は修学旅行がなかったし、私が勤務する学校では東京を飛び越して北海道に修学旅行にいったわけやし、いわゆる東京観光というのはほんの小さいころにできたばかりの貿易センタービルに登ったくらいしかあらへんのです。なるほどなあ。東京というのはこういうふうに見えるんか。なんか四角い建物ばっかりでおもろないなあ。だいたい東京の地理というものを全くわかってへんから、上から見てもただただものが小さく見えるという感覚しかない。そばにいた人が「あれが新宿の都庁だよ」てなことを言うてるのを横で聞き耳を立ててほほうそうか、でもぴんとこないなあ、などと思うばかり。
 たとえばこれが通天閣の上から大阪の町を見たんやったら「おお、あそこに大阪城が見える。あれは天王寺の石の鳥居やな」てな具合に楽しめると思うんやけど。あるいは京都やったら、お寺やら古い町並みやらの風情を楽しめるやろうし。
 リニューアル工事中でご迷惑をかけますからと「ノッポン」なるマスコットキャラクターのボールペンをもろうた。みやげというたら東京タワーの置き物ばっかりやし、まあただでみやげをもろたんやから買わんでもええわ。このノッポンのボールペンが持ちにくいことこのうえない。まあ実用的な品物でもないからしかたなかろう。みやげというのはそういうもんかもしれんしね。
 しかし東京は気温20度をこす暖かさ。御成門の駅から歩いたけど、坂も多いしすぐに汗びっしょりになった。ただ、そのおかげで増上寺のしだれ桜がきれいに咲いてるのを見ることができてよかったけどね。しだれ桜はええなあ。京都の円山公園にもりっぱなんがあって、ことに夜桜でライトアップされてるのはほんまに美しいけど、お寺の境内で咲いてるのはまた実にええたたずまいやね。
 用事がすんで夜に芝公園の近くにあるビジネスホテルに入りベッドに横になってテレビを見ていたら鈴木宗男代議士が泣いておった。最近の国会議員はなにかというと泣くのう。もっとも、外務省の官僚の変わり身の早さが原因やから、田中真紀子前外務大臣ともども役人に泣かされたみたいなもんか。鈴木氏の議員辞職よりも外務官僚の更迭を優先せんならんのと違うかい。
 まあこれでしばらく東京に行くこともなかろう。ちょくちょく東京駅を歩き回ったおかげで構内の売店の配置をしっかりとおぼえましたぞ。次に行ったらころっと変わってるかもしれへんけどね。

3月18日(月)

 今朝、朝日新聞を読んでいたら4月からの誌面刷新の記事に目がいった。夕刊の四コマ漫画がしりあがり寿さんになるんやね。いやあ、これやから朝日は油断がならん。朝刊がいしいひさいちさんで夕刊がしりあがり寿さんですよ。新聞4コマとしてはかなり革新的な布陣やないか。
 ふつう新聞4コマというと古くは「フクちゃん」や「サザエさん」、「フジ三太郎」、最近のものやと「ペエスケ」やら「コボちゃん」といったところで、長期連載の「アサッテ君」を含めるとご家庭向けもしくはサラリーマン向けの安心して読めるものという感じがするんやけど、朝日の担当者は若返っているのかそういったものを廃そうとしているみたいやね。
 実際、いしいひさいちさんの「ののちゃん」は一見ご家庭向けに見えて実はかなり強烈なネタが多いし、しりあがり寿さんとなると、さらに強烈なものになるやろう。たとえ書き手が「朝日新聞」という媒体を意識していたとしても、長期連載の場合、本性は隠し切れへん。「ののちゃん」には時々いしいファンにはおなじみの「地底人」ネタがまじったりしているからねえ。「ののちゃん」でしかいしい4コマを知らん人には理解でけへんかも。しりあがりさんの4コマのタイトルは「地球防衛家のヒトビト」やそうな。絶対ほのぼの漫画にはなりそうにないなあ。
 しかし、朝日新聞というのは思い切り保守的で偉そうにしてるかと思うと、突如こういう驚くようなことをするね。ほんまにラディカルなんか、私たちはこんなに懐が深いんですよというところを見せるためのポーズなんかどっちなんやろう。この調子でいくといずれ西原理恵子さんあたりが紙面に登場するかもしれへん。あ、ちょっと期待してみたい気がするなあ。

3月19日(火)

 私の住まいの最寄りの地下鉄の駅は、本来なら終点やないんやけど、その駅止まりの電車が何本かある。運がいいとその電車に乗れる。終点までいかへんから、乗客が少なめになって座りやすいんです。
 まちがえて乗る人もいてるんやろうね。駅に入って乗客ほとんどがぞろぞろと下車しててもまだ座ってたりするね。車掌さんのアナウンスは、いつでもなんかどなってる感じ。「この電車はこの駅が終点です!! おりてください!!!」。常に気合いが入ってる。なにもそこまでと思うけど、それくらいでないとなかなか気がつかん人がいてるんやろうね。もしかしたら新人の車掌さんに先輩が「ここの駅では気合い入れなあかんで」とかレクチャーしてたりするかもしれんな。
 しかしなあ、大阪の地下鉄はけっこうこの手の途中終点電車は多いぞ。もちろん乗客数の調査なんかで割り出した結果、本数を調整したりしてるんやろうけど。それはわかるけど、出勤の時にあと一歩で終点までいく電車に乗られへんで、次にくる電車が途中終点電車やったりするといらいらするね。そのために遅刻しかけたりというようなこともあるわけで。朝くらい途中終点電車の本数を減らしたらどないやと思うたりもするんやけどなあ。あの待ち時間ほどむだに時間を過ごしていると思うことはないぞ。

3月20日(水)

 台湾のスーパー人形劇映画「聖石伝説」の前売り券を買いに、仕事の帰りに梅田による。テアトル梅田という小さめの映画館で4月に上映予定というので、早めに券を買うておこうというわけ。
 で、券を買いますと、窓口の女性が「チラシには4月上映と書いてありますけど、まだ日はちゃんと決まってなくて、5月か6月になるかもしれませんのでご了承下さい」と言う。今上映してる映画は毎回満席になるほど人気があるようなんで、上映期間延長の可能性があるのかもね。まあ、ちゃんと上映さえしてくれたらいつでもかまへん。ただ、いつから上映か、新聞の広告を常にチェックしておかんとあかんのが厳しいところやね。
 思い出したのが、学生時代に「ブレードランナー」の前売り券を買いに京都の松竹座にいった時のことです。窓口のおばちゃんが「お兄ちゃん、この券買うの?」と物珍しそうに私を見る。「これ、いつやるかわからへんで。やっても1週間くらいで次のに変わると思うで」とは、まるで前売りを買うなと言わんばかり。今でこそ傑作の誉れ高い「ブレードランナー」やけど、封切り当時はそんな扱いやったんです。で、上映中の映画の看板を見ると筋肉もりもりのスタローンが描かれていて「ランボー3」と大書してある。「大好評! 上映延長!」と看板に貼紙までしてあった。「ブレードランナー」はなんとか見逃さずにすんだけど、あれにはまいったなあ。
まあ、「聖石伝説」はそこまでひどい扱いは受けへんと思うけど、夫婦ともどもぼんやりしていて気がついたら上映終了、てなことのないように気をつけよう。最近物忘れがはげしいから心配ではあるなあ。


てなもんや囲炉裏端 ゆっくりまったり掲示板ですお気軽にご利用下さい。

メールはこちらまで。どうぞよろしく。


過去の日記へ。
ホームページに戻る