ぼやき日記


6月1日(土)

 妻に誘われて、というのも変な言い方か、そやけど誘われたんやなあ。上海京劇の「白蛇伝」を見に行く。新しくでけたNHK大阪ホールであります。
 なにしろ京劇は初体験。「白蛇伝」自体は子どものころ見た東映動画製作の劇場アニメなんかで知ってたりするんで、そういう意味ではすっとその世界に入れた。様式美と曲技が一つとなった舞台はやっぱり生で見るものですねえ。主演の史敏という女優さんは京劇の世界では若きスターの一人として人気があるそうで、売店ではパンフの他に彼女のポストカード集やら生写真(素顔も美人!)なんかも打ってたりする。特に直筆サイン入りの写真額は5000円もしてたけど、3つあったうち2つが売れていた。固定ファンがいてるんやね。確かに、私もファンになりそうやった。
 生で見るというのは大事なことで、私が相撲や野球のファンになったんも子どものころに巡業や公式戦を生で見てからやもんなあ。やっぱり迫力が違うよね。踊りとアクションが一体となり、しかも歌って踊って曲技してと全てがでけへんとあかんわけやからね。こらなかなか大変ですわ。それを目の前で見てるわけやから、当然その迫力に呑まれる、また行ってみたいと思う、そしてやみつきになる……。
 私はもうこれ以上趣味を広げる余力はないけど、こうやって、これまで見たことのないジャンルのものを見に行くというだけでも新しい世界を垣間見られて楽しいと思うね。あれこれといろんなものに誘いかけてくれる妻に感謝している。
 というわけで、初めての京劇は実に楽しかった。できたら今度は孫悟空がでてくるのを見てみたいな。あ、行く気になっとるやんけ。そんな余裕があるんか。うううむ。

6月2日(日)

 今晩放送されたNHKスペシャル「桂米朝 最後の大舞台」というテレビ番組に芸の奥深さを感じた。
 話芸というものは、私の本業である教職にも通じるものがある。番組の中で米朝師匠がお客の空気を読みながら枕をふっていって機が熟したら本題に入っていくというようなことを語っていたけれど、これは落語に限らんと思う。
 私は授業ではあまり前ふりはせんのです。出欠を確認するといきなり本題にはいる。そうすることによって、休み時間にゆるんだ気持ちを一気に緊張に追いこむ。そこで生徒たちが私の授業にすっと入ってくれたらええんやけど、なかなかそうはいかん。とはいえ、こちらを向かせるためにうだうだとムダに時間を食う話をしてもしかたない。こちらの話を聞く体勢が一応できてたら世間話で入る。
 大声で「静かに!」と注意はなるべくせんようにしているつもり。無理矢理聞かせても効果はないと思うから。時にはしばらく沈黙しておしゃべりに興じてる一団が自分たちのしている行為を恥ずかしく思うように持っていくという方法をとることもある。
 どちらにしても、聞き手が話し手に自主的に向かうことが理想なわけで、それか簡単にできたらこんなに楽なことはない。でけへんからこそ工夫もする。ただ、講義という形で授業を続けるのはほんまに久しぶりなんで、この2ヶ月はまず勘を取り戻すことに専念していたけどね。
 米朝師匠の芸に対する厳しい姿勢を密着取材で見せてくれたおかげで、私も活をいれられた感じ。祖母の葬儀、そして中間テストと続いたんで、明日から本格的に授業再開となる。米朝師匠を手本に、私なりに「授業」という話芸を磨かんといかんと再確認した次第でありますね。もちろん、文章を人に読ませるという芸も同じであることは言うまでもあらへんが。

6月3日(月)

 一昨日の日記に京劇「白蛇伝」のことを書いたところ、女優の十勝花子さんからメールをいただいた。実は、ありがたいことに十勝さんはこの日記を読んで下さっていて、時々メールを下さるのです。
 実は、「白蛇伝」の主演女優の史敏さんと十勝さんは交遊があるとのこと。ご本人の許可をえて、メールを引用いたします。
「本当は、3時間20分のものを、2時間20分にして、しかも日本人好みに構成しなおしたそうです。2年前から【白蛇伝】公演のことは、知っておりましたが本来、二人が出演するところを、史敏は、すべて通しでやりました。彼女が、武旦としても、青衣としても実力があるからですね」
 実は以前妻がテレビで見た「白蛇伝」(川劇)では白蛇の精、白素貞の役を2人で演じ分けていたという。アクションシーンとラブシーンでは女優さんが違うたそうな。十勝さんのメールにある「武旦」「青衣」というのがそれぞれの役を担当する女優さんの役柄を示しているわけです。つまり史敏さんはどちらもできるスーパーヒロインというわけなんですね。
 他にも、白素貞が子どもをあやしているところを法海禅師という敵役がつかまえに来るシーンがカットされてたけど、それも理由があったんやね。
 なにしろ京劇は初めてなもんで、全く予備知識もなかった。それでもその面白さは伝わってきたわけやけど、こうして解説をしてもらうと、さらに面白さがわかってくる。十勝さん、ありがとうございました。

 「牧野修さんデビュー10周年お祝い企画」をケダちゃんが作らはりました。私もメッセージを寄せています。ぜひごらん下さい。

6月5日(水)

 ううむ、3日間もプロ野球の試合がないといらいらしてくるぞ。サッカーのワールドカップがあるから野球の方が日程を自粛しているのでありますね。なんか情けないなあ。サッカーの日本の試合がある日にはタイガースとジャイアンツの試合をぶつけるとか、ホークスとライオンズの試合をぶつけるとか、そういう気概はないんかといいたい。
 にわかサッカーファンも多くて私の職場でもよるとさわるとサッカーの話題が花を咲かせておる。作家の話題が花を咲かせておるのならええんやけど。あ、しょうもないですか、すまん。私は基本的にはだんまりであります。
 もちろん、もともと熱狂的なサッカーファンの人もいてるわけで、そういう人とは野球ファンとして話をする。基本的にサッカーの話題にはついていけんから、口ははさまん。知らんことを知ったようにいうと絶対ぼろが出る。そんな恥ずかしい真似だけはしたくない。
 こういう時だけ愛国者になる若者たちも気に入らんのであります。私は国家よりも関西地方を愛する偏狭的な愛国者やからね。全日本などという混成チームを応援してどこが面白いんやとさえ思うている。混成チームなら、個々の選手の個人技を楽しむだけで、それが勝とうが負けようがどっちでもええ。
 というわけで、世間でどれだけサッカーのワールドカップが人気になろうと、私はその熱狂が理解でけへんし、またしたいとも思わん。ほんまにその競技を愛する人たちだけが楽しんだらええのやと思うている。
 ああ、早く明日になってくれ! 私はタイガースの試合が見たいんや! 今年みたいに勝ってても、また去年みたいに負けてても、とにかくタイガースが好きやねんから。

6月6日(木)

 ああ、やっぱりタイガースの試合があるんはええなあ。「六甲颪」はええなあ。縦縞のユニフォームはかっこええなあ。サッカーファンの方には悪いけど、私は、やっぱり阪神タイガースファンでございます。

 子どもの頃から目は悪かった。小学3年生で眼鏡をかけた。以来30年以上眼鏡なしではいられん。一時視力の悪化は底をついたかと思われたが、パソコンをいじりだしてから心なしかまた視力は低下したような気がする。
 先日本屋で「3D写真で目がどんどん良くなる本」なるものを見つけた。立ち読みしてみる。1日5分間、二枚の写真を立体視すると目の訓練になって視力が良くなるんやて。さんざん迷った結果、買い求める。いろいろと能書きが書いてあるけど、要はクロス法とパラレル法の両方を交互にすることによって目を動かすということで焦点を切り替える訓練ができるということみたいやね。
 で、実際にやってみて驚いた。目がどんどん良くなって今では眼鏡いらず、という驚きではありません。私はクロス法での立体視がでけへんことが判明したんです。どないしても手前に来るはずのものが奥まって見える。パラレル法やと難なくできるのになあ。
 つまり、私は「寄り目」がでけへんのやね。目を中央にぎゅっと寄せるということがでけへんから、クロス法での立体視がでけへん。目が幾分外を向いてるんかもしれん。そやからパラレル法は簡単にできる。
 というわけで、目が良くなるかどうかはともかく、クロス法とパラレル法が交互にできるようにはなりたいと思うようになった。ただ、毎日5分もこれをすると、ほんまに目が疲れる。目の奥が痛いくらい。無理して筋肉を使うてるんかもしれへん。
 この本を読むと、普通はパラレル法の方が難しいようです。つまり、私の目の悪さはそれくらいきついということになるのかも。まあ、目が良くなることはないにせよ、目玉を支える筋肉をほぐすにはええかもしれへんので、今のところちょいちょいやってみている。それでもなかなかクロス法で立体視がでけへんよ。いやい、ものごとなんでもチャレンジしてみるもんですな。

6月7日(金)

 人間国宝の歌舞伎役者中村雁治郎さんが51歳下の舞妓はんとえろう仲良うしといやすところを隠し撮りして鬼の首でもとったみたいに騒いどいやすなあ、「フライデー」はん。役者さんがお茶屋遊びしてはるのんがそない珍しおすか。今朝のスポーツ新聞で「浮気騒動」いうて書いてあるのんを読んで、あほらしと思いましたがな。
 念のためにコンビニに寄って、その隠し撮りした写真いうのんを見ましたけど、舞妓はんはずっと着物を着といやすなあ。舞妓はんの着物を脱がせて着せるんは、かなり大変なことやさかいに、あれはずっと着といやしたんですやろなあ。いうたら、仕事着ですわなあ。舞妓はんは、お仕事でおつきあいしたはるのんと違いますやろか。
 東京の役者さんはお茶屋で遊びはらしませんのやろか。馴染みの芸妓はんの一人もいてはらしませんのやろか。おかたいことどすなあ。
 それにしても、恥ずかしいことやと思いますわ。「フライデー」には「茶屋遊びの度を過ぎている」とか書いてありましたけど、私はお茶屋遊びができるほどの甲斐性がないんで、どこまでがお茶屋遊びの限度なんか、よう知らんのです。きっと、「フライデー」の記者さんは祇園に毎晩お通いやしてお茶屋遊びを知りつくしてはるんどすやろなあ。そやなかったら、度が過ぎてるかどうかわからしませんもんなあ。そこまでわかったはるお方が盗み撮りやなんてみみっちいことようしますなあ。ああ恥ずかし。あほらしもない。
 歌舞伎と花柳界という伝統と文化を守ってる人たちに無粋なことしなさんな。そういう文化についてきっちりとした知識もない私かて、これが浮気やの不倫やのというような下衆なもんとは違うことくらい感じまっせ。よほどネタに困ってたんか知らんけど、天下の講談社が泣きまっせ。

6月8日(土)

 最近きたわけのわからんメールから。
 まずは欲望を誘発するメール。
「女優・アナを抱くルート
何としても抱いてみたいと真剣にお考えの女優、アナウンサーを5名以上7名人お聞かせください。(18歳以下タレント、東京以外のタレント、アナは除く)その中でご相談可能な名前があった場合のみお返事いたします。場所は本州の県庁所在地から選んでください。秘密を守るため即決で受け付けますので、問い合わせ後12時間後以降18時間以内に返信チェック願います。メールは下記アドレスあて女優名(5名以上)、希望都市、年令をお送りください。返信ボタンは使わないでください。記載、人数が欠けていた場合返信できない場合があります(メールアドレスは省略)」。
 どんな返事がくるんやろうと、人気女優の名前を5人列記して返信してみた。
「ご指定いただきましたタレントのうちにご紹介できる者がふくまれています。現段階では明示できませんので、うち誰であっても構わないという前提でお読みください。基本的には、1〜3ヶ月置きに会っていただき、対価と引き換えに体をお任せするという形です。ゴムを着用すること、体を拘束したり傷つけたりするSM、スカトロ、アナルへの挿入行為、一切の撮影を禁ずること、室外ではタレント側の指示にしたがって動いていただく事、以上を守っていただければ毎回2時間、奴隷としてふるまいます。対価はそれ相応の額となり、また候補者によって異なりますが、初回まず10万円をのみご用意ください。これは一律です。うち半額を手付として支払っていただいた段階で具体的な名前とそれぞれの対価をお知らせし、6月上旬に残5万円と引き換えに1回目のランデブーをセットいたします。ただし、この初回では本番をふくめ局部への挿入行為は一切禁止となり、フェラチオでのフィニッシュとなります。2回目以降は所定の対価(半額を前週振込み)と引き換えに上記のルールでお願いします。ホテルは毎回当方で負担・手配します。また、ホテル外でのデート等には一切応じられません。希望都市へのあなた自身の交通費等のみが追加負担となります。 お会いするスパンは1回目終了後にお決めください。1回目以降、継続は双方の自由意志とします。にお任せいたします。 また、個人情報等はお聞きしません」(原文ママ)。
 ううむ、これで5万円を振り込む人というのはいてるんやろうか。このうさんくささはたまらんなあ。騙されても人に言われんところがおもろいね。

 次のメールも欲望誘発型か。
「AV自作を副業にしませんか
 1人で撮影可能なコンテの提供、女優手配、機材等はこちらで代行します。ご自分の声や体を画面に出したくない方、本番行為を避けたい方はそれでも構いません。当方九州ですが、直接の打ち合わせや身元明示の必要はありません。資格は、国内で人口20万程度以上の都市または近郊に在住の成人男性で次のいずれかのパソコンを所有している方。秘密は絶対厳守します。Windows98,2000,XP,MacOS8以降、詳細問い合わせは、年令、市名、職業、休日(土日型、平日型、シフト型、自由ら選択)を記してメール願います」(原文ママ)。
 これには返事を出してへんけど、こんなん副業にしたくないなあ。教員がこんなことしたら、一発で懲戒免職かも。そやけど、AVで一山当てたいなんて思うてる人やったら、ついひっかかるかも。これもひっかかった者がアホやという感じですね。

 もっと罪のないのが、今日私の携帯にきたメール。
「新機能??!!知ってましたか?docomo・au・J-phoneにこんな機能が!
[タッチセンサー機能]
下の枠の中を指でさわってみて下さい。
■■■■■■
■    ■
■    ■
■    ■
■■■■■■

 

すると…

 

な・な・なんと!?

 

画面に指紋がついた!!これはメチャ便利!!

※今、少しでも画面に触れた人は、たいがいアホです。※
アホそうだなーと思う人に送って下さい」。
 ちなみに、このメールは妻から送られてきた。妻は私の妹から送られてきた。私は友人に送ってみた。友人から速攻で返事がきた。
「アホとちゃうもん!」
 これは新手のチェーンメールか? 私はついつい口の中で次のようにつぶやいてしもた。
「あんたかてアホやろ、うちかてアホや、ほなさいならー」。

6月9日(日)

 私は「ねえ、帰りに一杯、どう?」というのが苦手なたちである。飲みに行くときは一応予定を組んでおいてから、ということをする方なんである。酒は嫌いやないけれど、いつも飲みたいというほど好きでもない。酒を出されればそこそこ飲むけど、決して強くない。だいたい、飲むと饒舌になり、いらんことまで言うてしまい、酔いがさめてから自己嫌悪に陥るということを若い頃から繰り返している。そう、酒の席での行状はどんなにべろべろになってもかなり正確におぼえてるんやね。これがいかん。
 実は、昨日は演劇部の顧問の会議というのがあって、それが終わった後、流れとして居酒屋に行くということになってしもうた。私はもう会議が終わるとすぐに帰るもんやとばかり思うてたから、そういうなりゆきになってしまうとちょっとつらい。もちろんそんな様子を顔に出すような真似はしません。楽しく気持ちよく飲みました。それでも、予定外の行動をするというだけで気持ちがしんどくなってしまう。
 そういう意味では、私は自閉的なんかもしれへん。自分で立てた予定と違うパターンになると、パニックは起こさんまでも、精神的にプレッシャーを感じる。
 やっぱり酒というのは、自分が飲みたいと思う時に自発的に飲む方がうまいよねえ。仕事帰りに「どう、一杯?」というのはあたりまえになってる職場に勤務したことがないからよけいにそうなるのかもしれへん。そういう意味ではやっぱり人付き合いが下手で不器用なんかもしれへんな。ところが、そうやって誘われてつきあうと、その場の雰囲気に入ってそれなりにそのノリにあわせることもできてしまう。意外と器用なのかしらん。そやけど、それは上っ面のことで、やっぱり無理はしているように思う。
 そやから「いやあ、喜多さん、また行きましょう」と言われてにこにこしていても、「できたらちゃんと日程を組んだ上で誘ってほしいなあ」なんて内心では思うてたりするのでありますね。そしてまた自己嫌悪に陥る。これは一生このままなんやろうねえ。

6月10日(月)

 サッカーのワールドカップで日本代表が初勝利をあげた。私もたまたまゲームセットの瞬間はテレビを見ていて、選手やサポーターが大喜びをしているのを見て「おめでとう」と思うた。なんでもタイガースが前回優勝を決めた試合よりもテレビの視聴率はよかったんやて。
 それにしても道頓堀に130人も飛びこんだとなると、これは集団ヒステリーやないかとまで思うけどね。この手の人たちはタイガースが優勝しても道頓堀に飛びこむやろ。ようは何か熱狂できるものがあったらそれでええというような人やないかと私は思うのでありますね。
 私は17年前にタイガースが優勝した時は、テレビでその試合を見ていて、大騒ぎするよりも涙がこみあげてきて止まらんかった。ほんまに嬉しい時というのはそういうものやないかと思う。いまだにあの瞬間をビデオで見ると、胸がいっぱいになる。
 道頓堀に飛びこんだ人たちにはこの気持ちはわかるまいと確信してる。おそらく心あるサッカーファンの方たちも、昨日の一勝の瞬間には熱狂よりも胸が熱く涙が止まらん思いやったんやなかったかと思いたい。馬鹿騒ぎしたりするだけがファンやないんやと、そない思いたい。
 馬鹿騒ぎしている連中は、ワールドカップが終わったらまた違うものを探して騒ぐことやろう。願わくば、そういう連中には甲子園には近づかんでほしいもんやけど、そうもいかんのやろうなあ。


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