ぼやき日記


7月21日(日)

 今日は「たちよみの会」で午後は京都に。四条大橋に出ると、熱気がむわああっと体を包む。熱のかたまりが京都盆地にたまっていて、そこに突入していったという感じ。
 土曜の朝に見ていたテレビでは、タイの暑さと大阪の暑さは同じくらいやと気象予報士さんがいうてはった。その大阪が涼しく感じられるくらいやから、京都の暑さは別格ですな。テレビの映像で見ると、タイの人たちはかなりの薄着やね。ということは、大阪や京都でもタイなみにみんな薄着をしてもええということやねえ。少なくとも、スーツ姿なんていうのは自ら熱射病にかかりにいくようなかっこうやということか。
 冷房は最初は気持ちいいけど、しばらくあたってると、腹にくるね。あれはなんとかならんか。室外へ出るとあの暑さが体をぬくめるええ暖房に感じられるんやから。
 四条大橋からビルの上に設置された温度計の表示を見ると36度。体温やがな。京大SF研の岡田さんによると、体温計で気温がはかれるそうな。ほんまかも。そういえば、去年の今頃は引っ越し準備で冷房のない部屋にこもって本を箱詰めしてたっけ。気温は連日38度近くやった。今年もそれくらいはいきそうやね。一番暑い時間帯に、ほんまに体温計で気温をはかってみようかな。

7月22日(月)

 自宅のマンションのエレベーターの前で、中学生くらいの女の子が母親らしき女性に文句を言うている。通信教育のテキストがすぐに送られてくると言うてごねているんやね。母親は「自分がやりたいて言うたんやないの!」とたしなめる。娘はふくれる。
 時代が変わっても、こういう光景は変わらんのやなあ。私も問題集を買うてもろたのにやらへんかって「哲士が自分からやるて言うたんでしょ」と小言を食らうたもんです。あれ、買う時はやる気まんまんなんやね。手にとってみたら、自分にもできそうやし。頭の中で1日2ページやって……なんて計画をたてる。
 でけまへんのや、これが。さあ、やろうという段になると、その2ページがでけへん。自学自習というのは実に難しい。結局本棚の何度も読み返したシャーロック・ホームズの文庫本や刑事コロンボのノベライズに手がのびる。おかげで私はコロンボのいくつかのストーリーは完璧に憶えましたぞ。「二枚のドガの絵」やとか「二つの顔」やとか「溶ける糸(テレビでは『溶けた糸』)」やとか。で、こういうやたら本ばっかり読むおっさんができあがったという寸法。
 学校、進学、そういうものがある限り、この光景は繰り返されるものやねんやろうなあ。見ててその仏頂面の娘さんになんとなく微笑ましさを感じたのでありました。

7月23日(水)

 先日、「本のサイン会の紹介をしてほしい」というメールをNHK出版の方からいただき、扱いに困っている。その本は「歌舞伎修業 片岡愛之助の青春」というタイトルのルポで、松島まり乃という方が若手の歌舞伎役者の半生を描いたもの。
 メールには「このたびHPを拝見し、メールをさしあげました」とあったから、「日本芸能再発見の会」のレポートを読まはったんやろう。私も会員として、上方歌舞伎が盛んになることを望む気持ちはある。ただ、片岡愛之助丈についてはひいきにするどころか何も知らんし、歌舞伎についても特にくわしいわけやない。
 サイン会の宣伝をするならば宣伝料の一つも欲しい、というのは冗談としても、そこまでする義理はないしなあ。NHK出版で私の著書でも出してくれはるというのやったら喜んで転こんで大々的に宣伝するんやけど。これも軽口ではあるけど、少しだけ本気の部分もまじっている。
 それでも、こうやってメールが来たというのもなにかのご縁であるやろうし、紹介だけはしておこう。
『歌舞伎修業 片岡愛之助の青春』 刊行記念サイン会
(松島まり乃・著 NHK出版「生活人新書」 680円+税)
とき   2002年7月25日(木) 12:30 〜
ところ  ジュンク堂書店 難波店 3F喫茶コーナー
     大阪市中央区難波千日前12−7 
     tel.06−6635−5330

 実は、その本はこの前購入したばかり。歌舞伎入門にはええのと違うかと思うたんで買うてみた。ぱらぱらとページをくったけど、読みやすそうですね。
 というわけで、興味のある方はサイン会に足を運んであげて下さい。
 どうもこれだけやとなんか自分がお人よしすぎる感じがするなあ。できたらNHK出版からお仕事もいただけんやろか。あきませんか。そやろなあ。

7月24日(水)

 昨日も暑かった。今日も暑かった。
 昨日は仕事で上本町の教育会館まで行ったんやけど、地下道から上に出ただけで照り付けられて汗がだくだくと出てくる。しばらくしたら汗が体温で乾いてねちょねちょになる。ああ気持ち悪い。用件をすませて教育会館から出ると、目の前にコンビニが。ああもうただただ水が欲しい。体が水分を求めている。たまらずコンビニに飛びこみ、ミネラルウォーターを買う。糖分も何も含まれてへん、ただの水がうまい。
 ペットボトル片手に店を出る。教育会館の周辺はラブホテル街である。従業員が表で水まきをしてたりする。そんなところからカップルが出てきたりする。ええいええい、昼の日中にお前ら何をしておるんや。おっさんと学生風のカップルやったりする。ああこれがいわゆる「援助交際」というやつかね。あほたれあほたれあほたれ。売春防止法違反でつかまってしまえ。携帯電話を出してすぐさま110番にかける。すると2分とたたずにパトカーがやってきた。警官に「あれですあれです、あのカップルがあやしいです」というと、警官はさっそく職務質問を始めた。おっさんと学生風の携帯電話をとりあげてメールを確認している。「なんだなんだ、このメールは」「え、いやそのそれは」てな会話がかわされ、おっさんと学生風はたちまち逮捕。私はよく通報したと金一封をいただいた。
 というようなあほな事が起こるわけもなく、私はコンビニの前でペットボトルの水をぐびぐびとのどを鳴らして飲みながら地下道に向かって行ったのでありました。一気に3分の2も飲んでしもうたぞ。
 ああ暑い暑い。

7月25日(木)

 今晩は天神祭。我が家からも花火が見える。花火好きの妻はベランダに出て花火見物。私はテレビでナイターを見ながら、CMの時だけ花火を見る。妻曰く「あれ、お金が燃えてるみたいなもんよ。見んともったいないやん」。ううむ、そういう見方もあったんか。
 去年の天神祭を思い出す。
 転居を5日後にひかえ、一度泊まろう、花火を見ようと、現在の我が家に泊まったんやなあ。ささやかな引っ越し祝いという事で、ワインをあけていい気持ちになって。テレビなんかもちろんついてへん。だいたい照明をつけてへん。リビングに布団を敷いてラジオをつけると、昔の海原千里・万里の漫才をやっていた。二人して大笑いして、そのまま寝たなあ。荷物も何も入ってへんかったから、やけにがらんとしてたなあ。
 1年たって、程よく散らかった、いや、まだあけてない段ボール箱すらある我が家を見ながら、すっかり今の家になじんでいる自分に気がつく。今日みたいに台風が近づくと風が強く吹きこんできて、涼しい。そうそう、去年もこの風が気持ちよくて、エアコンはいらんと確信したんやった。今や、前の家によう住んでたなあと思うくらい。
 もし転勤が1年早かったらと思うと、ちょっとぞっとする。なにしろ今年の夏休みは休みを取らせてもらわれへん状態やからね。クラブ活動の付き添いで土日も職場に行っている。去年は夏休みに入るや休みをとってひたすら箱に本を詰めていた。今それをやれといわれても、ようせんなあ。
 あれから1年か。ほんまに環境が変わり、その変化の大きさにまだ戸惑っている。花火の音を聞きながら、そんな事を考えたりしたのであります。

7月27日(土)

 昨日の晩は某所で林譲治さんと会食。いつもながら口をついて出るアイデアの豊富さに感心する。これで刺激を受けへんかったら嘘やね。いやそれにしても「それ使わせて」と何度思ったことでしょう。帰宅後、さっそくパソコンに向かい新作を書き始めたりはしませんでした。録画しておいたタイガースの試合をビデオで見てわーわー喜んでおったりする。それでええんか、喜多哲士。

 先々週は「ゆ〜こん」で土日がつぶれ、先週はクラブの付き添いやら「たちよみの会」やらで土日は外出。夏休みに入ってもクラブの付き添いやら成績つけやらなんやらで自宅研修どころか年次休暇をとることすらままならぬ。
 今週はクラブの付き添いを他の顧問の先生に任すことができたんで、ちょっと休める。朝からだらだら。昼には梅田に出て電機店でブロードバンド化にともない必要となる電話回線用の「らんこうちくようはぶ」なるものを買いに行く。私の住んでいるマンションは各部屋に電話用のジャックがついていて、それは内線電話用に使えるだけやなく、パソコンの家庭用LAN構築も可能というのが売り。ところが入居してみると、すでにLAN構築できているのやなくて、専用のハブやらターミナル・アダプタを購入せんといかんらしい。しかも、渡された解説書にはどのようなものを購入してどのように接続したらLAN構築できるのか説明があらへん。ええい、K不動産の嘘つき! と思うたら、「LAN構築は可能」とはあるが、「そのままLANでつながってます」とは書いてへんのやった。そこに気づかんかったとはあさましや。そやけど、「可能」とあったらもう段取りちゃんとしてあると普通は思うよなあ。
 マンションの管理組合にブロードバンド委員会が結成され、VDSL方式をマンション全体に導入するということになったんで、加入申し込みをしたはええけど、やっぱりLAN構築をちゃんとしとかんとあかんのやそうで、「10M/100Mで5ポートのナントカカントカ対応のハブとLANケーブルを購入しておいて下さい」と書かれた文書がまわってきた。
 そこで今日はそのハブを買いにいったわけやけど、店員さんに質問しながら、なんとか見つけました。帰宅して買うてきたハブをじっと見ていたんやけど、さて、これを「ステーションX」とかいう室内用の電話回線の配電盤みたいなものになんか知らんけど接続せんとあかんらしい。もとよりどない接続してええんかは全然わかってない。己の無知を恥じるしかないんやけど、つまりこれはNTTの人がきて工事をしているときに渡してつけてもろたらええんやな。
 それにしてもいったいどういう理屈のものでなぜそれを購入せんとあかんのか全く理解してへんもんを買い求めることほど難しいことはないね。それに、この買物には楽しさがない。ものを買って手に入れたという喜びがない。これでちゃんと我が家もブロードバンド化して私のMacと妻のiMacを家庭内LANでつなぐことも可能になるんやろうね。妻がプリントアウトしたい文書をわざわざEメールに添付してプロバイダ経由で私に送ってくるてな不経済なことはなくなるんでしょうな。
 しかしこれだけわかってない人間に対し、NTTはどこまで親切に教えてくれるんやろうなあ。まあ、最後の手段としてこのページで「やり方を教えて下さい!」と読者のみなさんにお願いするという手もありではあるけどね。

7月28日(日)

 今日は一日ゆっくりできたんで、午後は2週間分たまっていたドラマやアニメの録画を見た。ドラマは『仮面ライダー龍騎』2本と『陰陽師安倍晴明』1本。アニメは『おジャ魔女どれみどっかーん』2本と『サイボーグ009』1本。あわせて3時間20分ほど。これを立て続けに見たらさすがに疲れた。短めの劇場映画2本分くらいか。『陰陽師安倍晴明』はまだこの前の火曜日の分が1本残っていて、妻に「見る?」ときくと「私は……」とやはり疲れた表情なんでやめにした。そのあと18時からナイターを見て、それが終わってから今日録画したばかりの『サイボーグ009』を見る。ええと、まだ『ウルトラマンコスモス』は見てへんなあ。午前中は本を読み、ビデオを見てからこの日記を書き……。しばらくぶりの休みを実に有効に使うたような気がする。ああ、それでもまだDVDを何本も見たいしなあ。去年でけへんかった片付けはどうなってるねん。
 休日を有効に使うというのは実に難しいもんですね。

7月29日(月)

 今日は職場の同じ社会科の方たちと飲み会。初めて酒席を同じくする人もいてるわけで、こういう場合は自分にとってはかなり難しかったりする。あまり酔い過ぎて自分の思うていることをべらべらべらと口に出すのは相手に失礼。かというてむすっとしていては座が盛り上がらん。人の話をにこににこと聞いていたらそれでよいわけやけど、誰か何か言うたらうまく返さんとあかんと思うてしまうたちなんでねえ、これも難しい。と言いつつもけっこう本音を吐いたりして、腹にたまっていることも出すことができたんで楽しく過ごせたわけですが。
 さて、さらに難しいのはカラオケであります。昨年までならA氏という若き理解者がいてくれはったんで、どマイナーなアニメソングをがなっても全く問題なかった。そやけど、初めていっしょに歌うメンツの前で誰にもわかってもらわれへん歌を歌うというのは失礼ではある。世代的に近いんで80年代ニューミュージックあたりを歌うておけば無難ではあるが、私はそんなの歌いたない。80年代アイドルならがんがんすっ飛ばせるんやけど。これもあんまり趣味的になるのもいかがなものかと。昭和初期や戦後すぐの流行歌なんてものもリストに入ってたら即歌いたくなるんですが、これも1曲のみに抑える。ああ、私はこういう場で歌いたいカラオケ用の歌がない! まあ、無難な線でまとめたつもりですけどね。それなりに盛り上がりもしたし。でも、やっぱり濃いと言われたりするかなあ。レパートリーが広いと感心されたりはしましたけどね。それやったら薄いのはどんな歌やねん。つくづくコミュニケーションをとるのが苦手であると思うなあ。たかがカラオケでここまで考えるというのもどうかとは思いますが。意識し過ぎですか。

7月30日(火)

 7月27日の日記で家庭用LANについて書いたところ、久枝アリアさんという方からアドバイスのメールをいただきました。ありがたいことです。昨年、住宅ローンがどうしたこうしたということを日記で書いたら、専門の方からアドバイスをいただいたし、ほんまにいろんな方が読んでくれてはるんやなあと実感。こういうことがあるから、どんなにしんどうてもなるべく毎日更新しようという気持ちになるんやね。嬉しいなあ。

 今日は、私が顧問をしている演劇部の生徒が老人ホームへ行って慰問の公演をした。私は全く指導らしきことはしてへんのやけど、生徒たちは自分たちで考えてよくやっている。
 私は障害児教育には9年間たずさわってきて介護めいたこともしてきたけど、老人ホームにいってその様子を見るというのは初めて。病室のような感じの部屋にお年寄りたちは暮らしていて、自力で歩ける人はほんのわずか。たいていは車椅子で移動し、ヘルパーの人たちに介助されている。
 高校生たちから見たら、老人は自分たちとは別の存在なのかもしれん。私も高校生の頃なら、自分の未来の姿ということは頭ではわかったつもりでいても、感情面ではたぶん受けつけてへんかったやろうなと思う。そやけど、自分の両親が年老いてゆき、自分自身もおっさんになってくると、自分の30年後というものを考えずにはいられんようになってくる。普段は考えようとは思わんのやけど、今日のように現実に老人ホームという場所にいると、なんか切なくなってしまう。
 お年寄りは、生徒の演技に涙ぐんだり拍手したりしていた。どのような思いで彼らの演技を見てくれていたんか、それは私にはわからんし、またかんたんに決めつけたりしたらいかんものやと思う。ただひとつ言えることは、演劇を通じて高校生とお年寄りがコミュニケーションをとったということ。
 ものかきのはしくれのくせにうまいこと書かれへんけど、いろいろと考えさせられた一日ではありました。薄っぺらい言葉で表現してもしょうがないしね。

7月31日(水)

 長年書評をしていると、なんというのかな、「仕事読み」と私は名づけてるけど、これとこれは読まんとあかんという感じで本を読む癖がついてしもうている。実は、現在も「仕事読み」でまだ20歳そこそこの頃に読んだ本やら10代の頃に読んだ本やらを再読したりなんかしているんやけど、まさか今になって再読するとは思うてへんかった本を読むと、実に新鮮な感じがするね。
 で、まあそういう本を読もうと思って書庫から掘り出し手元においてはいるんやけど、つい今回の仕事とは全く関係ない、ずいぶん前に買うてそのまま読まんとおいていた本に手をやってそれがまた面白くて一気に読んだりしてしまう。好き勝手に本を読むというのは楽しいね。というか、本来の読書の姿やと思うね。
 いただいたお仕事は拒まんことにしているから、これからも「仕事読み」は絶えることはないやろう。また、そのおかげで掘り出し物に当たったりもするわけやから、「仕事読み」のおかげで読書範囲が広がったともいえる。元来読書が好きでこういう仕事をしているわけやから、「お仕事読み」というてもいやいや読むということには決してならへんしね。
 もっとも、好き勝手に読んでるつもりでも、結局それが次にきた原稿依頼の時に生かされたりすることもあるわけで、最終的には全て「お仕事読み」につながるといわれんこともない。
 一番きつい読書は、本業の研修のために読む本かな。教材研究というやつです。いわば「勉強読み」。これも大事やということはわかってるけどねえ、いくつになっても「勉強」いうやつは好きになられんもんですなあ。というか「ねばならぬ」という縛りがあるからきついんやろうね。もちろん、自宅研修ではそういう本を読んでおります、いやほんま。


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