ぼやき日記


10月21日(月)

 新庄剛志という野球選手は実に不思議な存在やとしかいいようがないね。
 阪神タイガース時代は見出しになる活躍はするのだけれど、ゴールデングラブ賞の連続受賞が光るのみで、傑出した記録は残していない。それでも打席に入ったら何かやってくれるという期待感だけはどんな選手よりも傑出していた。
 FAでニューヨーク・メッツに入団すると、あの大リーグで日本にいた頃とさほど変わらん成績を残し、なんと4番打者まで務めた。トレードでサンフランシスコ・ジャイアンツに入団したら、ほとんど控えとはいえなんとワールド・シリーズの初戦でスタメン出場し、ヒットを打ってしまう。大リーグの名選手といわれる人でも、ワールド・シリーズに出場でけへんかったのが最大の心残りやと述懐したりしているのに、なんとメジャー2年目でその栄誉を達成したんやもんなあ。野茂も長谷川もイチローも佐々木も大家も、みんな大リーグでの実績は新庄よりも上やのに、そんな舞台には立たれへんでいる。
 かわいそうなんは長谷川で、昨シーズンまでアナハイム・エンジェルスに在籍していて、今季トレードでシアトル・マリナーズに移ったら、古巣のエンジェルスがリーグ優勝を飾り、1年違いで栄誉を逃してしもうた。
 つくづく思う。新庄こそは日本プロ野球史上に残るトリックスターやと。彼の行くところ、何かが起こる。周辺を活性化させる不思議な力を持っている。こういう選手を使いこなせるのは、おそらく長嶋茂雄くらいしかいてへんのやないやろうか。わけのわからなさと自分本意なところでは双璧やと思うぞ。ただ違うのは、長嶋がほんまに実績を残したのに対して、新庄はその存在感が全てやということ。どっちがすごいかって? そら新庄に決まってる。成績が悪かっても、その存在感だけで人気があるというのをすごいといわずして何をすごいというべきか。

10月22日(火)

 『アベノ橋魔法商店街』のDVD第4巻を買う。楽しみは田中哲弥さんの連載コラムである。第1巻から新聞風のブックレットがついてるんやけれど、それに連載(?)されてるのです。
 この巻では「大阪の女性はみなおばはん」ということを書いてはるんやけれど、その中に「おばはんは実は中身はおっさんなので、大阪の夫婦はおっさん同士」という分析がなされている。
 ううむ、田中さんはいつの間に我が家を調査していたんやろうか。うちの夫婦はまさしくおっさん同士が同居しているといえる。盗聴機を仕掛けたか、監視カメラを設置したか。おお、田中さんのページにはご本人を24時間監視した映像が時々刻々流されてるんやった。とすると後者かもしれん。
 うちの夫婦はおっさん同士というのは間違いがないけど、うちをのぞいただけでそれを大阪全体に普遍化してはいかんねえ。おっさんというのは実は気の弱い生き物やからね。おばはんの生命力には勝たれしません。
 私の勤務校に在籍する生徒の8割近くは女子でありまして(中略)したがって、みんなかわいいええ生徒です。いやほんま。

10月23日(水)

 コンビニで「黒潮コメッコ」という商品を見つける。おなじみ海洋堂の、海中の生き物のフィギィアがついた製品。さっそくひとつ買うてみた。トビウオが当たった。相変わらず見事な造形でありますね。
 「ブリキのおもちゃコレクション・マーブルチョコ」というのも見つける。これは海洋堂やないけど、面白そうなのでひとつ買う。確かに、昔のブリキのおもちゃのフィギィアや。ところが、これがあまりええと思わん。つまり、原型となったものがもともとちゃちであまりバリエーションのないもんやったから、それを再現したところでものすごく安もんのおまけという感じになってしまうんやね。
 同じノスタルジーを喚起するフィギィアやったら、「タイムスリップ・グリコ」のおまけの方がようできている。つまり、フィギィアというものはあくまで模型やということを知りつくしているということなんやろうな。
 もともとおもちゃとして作られたもののフィギィアというのは、矛盾に満ちた存在かもわからん。そこらあたりの読み違いが「ブリキのおもちゃコレクション」には感じられるんやね。

10月24日(木)

 明日から勤務校の文化祭。私は演劇部の顧問ということもあり、ずっと体育館にいて照明補助とステージ発表の審査役ということになっている。今日はそのリハーサルがあった。舞台発表というても、劇だけやなくDJ風のブリッジでつないで歌やダンスを披露するクラスがあるかと思うと、殺陣をとりいれたパフォーマンスを見せるグループもある。練習時間が制限される中、よく練習しているところとしていないところ、舞台慣れしているところとしていないところの差というのが歴然としている。
 舞台の上でしょっちゅうふきだしたり照れ笑いを浮かべたりというところは、舞台慣れしてないだけやなく、練習量も少ないとみてええやろう。しっかり練習してたら集中力もそれだけ違うてくる。自信があると演技が堂々としてくる。これは、昨年まで勤務していた養護学校の生徒も同じやった。練習を積み重ねることにより動きが自然になる。もっとも、養護学校の場合は放課後の練習というものが不可能なんで(スクールバスに時間通り乗せなければならないという制約がある)、授業時間に特別に練習をしたりするんやけど。1年生の時は舞台に立つことが怖くて泣き出した生徒も、3年になったらセリフをしっかりと言えるようになったという姿も見てきている。
 もっとも、もともと舞台度胸がある人というのはいてる。練習ではへろへろでも本番には強いとい人もいてる。今日の予行ではふきだしていた生徒も、明日の本番になるとみごとに決めるかもしれん。そこらあたりの面白さもある。それにしてもずっと舞台づきということは、模擬店や展示をまわることがほとんどでけへんということで、それが残念。
 久々に味わう高校の文化祭、おおいに楽しみたいところではありますね。

10月25日(金)

 民主党の石井紘基代議士が刺殺される事件が起きた。いわば「暗殺」ですわな。石井代議士というても、どんな人やったか正直いうてわからん。政官業の癒着を追及し続けていた人やそうやけど、なんで殺されたんやろう、背後に何かあってのことやろうかと、これもわかりにくい。
 戦前は暗殺されるというとたいていは首相か重要なポストを占める政治家やったわけで、また戦後では社会党委員長の浅沼稲次郎。未遂に終わったのは岸信介首相、金丸信自民党副総裁。社会的影響も大きく、暗殺という手段がより効果的である政治家ということになる。
 石井代議士には申し訳ないけれど、その死が政局を左右するというものになるだろうかというと、そうはならんやろう。
 もっとも、そういう意味では最近ジリ貧の小泉首相を含め、暗殺されることによって政界が大激動するという政治家はいてへんかもしれへん。田中康夫長野県知事あたりの方がよほど標的としては社会的影響が大きいかもしれへん。
 政治家が小粒になったのか、それとも政治自体に社会を動かす力がなくなってきているのか。そういうことを改めて感じさせる暗殺事件ではあるね。
 謹んで哀悼の意を表します。

10月26日(土)

 文化祭が終わった。私が顧問をしている演劇部の発表も無事終了。実は、劇のストーリーを妻に話すと興味をもち見に来てくれた。劇が終わった後、客席の妻のところにいって感想をきいたりなんかする。後片付けが終わった後、部員の一人に「前の学校でいっしょだった先生なんですか?」と尋ねられた。「いいや、実はあれは僕の妻で……」。それを知ったその生徒は「しまった! もっとよく見ておくんやった!」と残念がることしきり。ううむ、妻は教育実習に2週間いったことがあるだけで、教員の経験はないんやけどなあ。教師に見えるんかなあ。

 山本夏彦さんの訃報に接する。享年87。
 私は山本さんのコラムの特別熱心なファンやったとはいわんけど、何冊かその著作を読むにつけ、その説得力に感じ入ることが多かった。つまりは、正論やねんな。もっとも、その視点は決して目新しいもんやなかった。古臭い考えと切って捨てることも可能やったと思う。そやのに、それはかえって新鮮に写った。
 それは、昔の日本というものの美点を実際に身につけているからこそ、それが上滑りにならんなんだということなんやろう。「古き良き日本」と、実際には知らないものを知識だけでとらえたものとはわけがちがう。観念的な論は内実をともなわん。山本さんの指摘には実があった。私にしたら正反対の意見やというのに、ついうなずかされてしまう。
 また、その生き方が常に反骨の人やったというところに憧れを感じるのもしれへん。いうたら偏屈なじいさんなんやけど、頑固やない。そういう人に、私もなりたい。
 謹んで、哀悼の意を表します。

10月27日(土)

 文化祭が終わったとほっとする間もなく、演劇部のブロック顧問会に出る。
 近々開かれる地区大会にむけ、照明と装置の担当生徒がプランを提示し、実際に必要な器材の数などを確認し、各学校がどれだけ提供できるかをチェックして……という作業が行われる。昨日エネルギーを放出し切った生徒たちは、さすがにしんどそう。若い彼女たちがそうなんやから、おっさんである私は言わずもがな。午後、帰宅して昼寝。仮眠のつもりが熟睡してしまい、書くつもりやった原稿がかかれへん。
 明日はクラブ活動のつきそいで勤務校に行く予定なんで、そこで書くか。2本の原稿が、あっという間に締切りやからね。日程的に余裕があったつもりやったけど、ここのところほんまに頭が働かん。
 ところで、演劇部の顧問の先生たちのクラブに対する情熱にはたびたび驚かされる。部活の顧問が生きがいなんやないかと思う。好きなんやなあ、と思う。たぶん、先生たちは、牧野修さんがいうところの「汁」をたっぷり出してはるんやろうと思う。ただ、私はその「汁」をおいしそうともいい匂いとも感じないだけやねんな。そう。その「汁」がわからんというのは実はちょっときつい。濃密な「演劇部」の霧に迷いこみ、もがいてるような感じか。生徒の部活を支えるのには楽しさを感じるんやけれど、ねえ。
 SF大会に一度行ってみてその濃さに苦しんで二度と行くかと感じる人もいれば、SFはあまりわからんのにSF大会にすっととけこんで毎年行きたくなってしまう人もいるやろう。そういうものと同質のものを感じるわけですね。

10月28日(月)

 本来ならば今日は土曜日の文化祭の代休で休みやねんけど、午後から演劇部が練習をするので学校に行く。特段何かを指導するというわけやなく、職員室で待機しているだけなんやけどね。要は万一事故があった時に備えて顧問がついてんならんということ。あと、戸締まりなどは生徒はでけへんからね。
 午前中は書評を、学校に着いてからは文庫解説を書く。締切りになんとか間に合うた。推敲をしてからすぐに送信。ところが、夜になって送信したはずのメールが届いてへんと編集部より電話がある。おかしいなあ。こっちは朝に送って安心してたんに「まだ書けませんか?」なんて言われてびっくりした。
 実は、ブロードバンド化してから、メールの受信は別に問題なくいくんやけど、送信する時はしょっちゅう接続エラーが出て困ってはいる。メールソフトのせいなんか、VDSLたらいうもののサーバの具合が悪いんか。プロバイダを経由するメールは送りにくいんか。ようわからんのでありますね。1つのメールを送るのに何度もやり直して10分もかかったりして、ちょっと具合が悪い。
 というわけで、日記を中断して再送するけど、何回送信しても接続エラーばかり。そこでメールソフトをかえてみる。最近ほとんど使うてへんポストペットを使用。大丈夫、ペットのメールだけやなく普通のメールも送れるんです。ところが、こちらのメーラーでも接続エラーは出る。ということは、ソフトの問題やないんですね。
 あと考えられるのは、プロバイダ統合で経由先のドメインが変更になったということ。現段階ではまだ前のドメインを使えるんで、不精して接続設定は変更してへん。ここに問題があるんかな。
 ううむ、とっとと日記を書いて風呂に入りさっぱりしたところでホームページ更新といく予定やったのに。いつになったら風呂に入れるやらわからん。明日から仕事があるというのになあ。
 それにしても、朝送ったメールと原稿はいったいどこへいったやら。あ、夜に送った文庫解説もちゃんと着いてへんかもしれへんぞ。これも再送すべきか。ああああもう! どないなってんねん。

10月29日(火)

 どうもプロ野球の日本選手権シリーズがおもろない。今日の時点でジャイアンツの3連勝という結果なんやけど、どの試合も一方的に展開していて手に汗握る場面というものがない。これが同じ3連勝でも、どの試合もシーソーゲームというんやったらともかく、まるで格下のチーム相手に練習試合でもしてるみたいなもので、これが今年の日本一を決める試合やとすると、あまりにもお粗末。
 リーグ優勝決定から約1ヶ月後、そして公式戦の最終戦終了からも2週間近くあいている。ああ、そういえば日本シリーズが残ってたなあというような感じで、盛り上がりに欠ける上にこういう試合をしていたんでは、ますます若者たちはプロ野球に背を向けるようになるやろう。
 要はリーグ優勝が決まったら、ダブルヘッダーを連発してとにかくさっさと消化試合をすましてしまい、公式戦終了と同時に日本シリーズをしてしもたらええねん。こんなに間があいたら選手も調整が難しいやろうし、だいたいモチベーションを持続させることができるんかどうか。私の記憶では、昔は日本シリーズの間に公式戦の消化試合をしているチームもあったぞ。リーグ優勝が決まってすぐに日本シリーズという年もあった。
 日本プロ野球機構には日本シリーズを最高のものにしようという意志があるんかどうか。中止試合の予備日を余分にとっているといういいわけをしているけど、ドーム球場がこれだけ増えているのにそれほど中止試合があるわけがなかろう。
 実は、日本シリーズ直前に、二軍のコスモスリーグでライオンズはタイガース相手にやられていたりするんやね。シリーズの調整もかねて一軍のベストメンバーを並べたにもかかわらず。おいおいライオンズ、大丈夫かと思うたんやけど、それが的中した感じかな。
 とにかく、このまま4連敗するようやったら、パ・リーグはますます格下扱いされてしまうぞ。なんとかしたれよ、ライオンズ。

10月30日(水)

 冬樹蛉さんから「謎の円盤UFO」の食玩を見つけたと教えてもろうた。ううむ、これは私もほしい。どこのコンビニで見つけたかというと、「すぐ、そこ」のコンビニやそうで、これはもしかしたら入手しにくいんやないかと不吉な予感がした。「すぐ、そこ」のコンビニはけっこう商品が特化していてそのチェーンやないと手に入らんようなものがあったりする。
 私の自宅から最寄り駅までにあるのは「あなたとコンビニ」のチェーンと「開いてます、あなたの」コンビニしかあらへんのや。勤務先の近辺にはコンビニはない。で、帰宅途中に二つのコンビニに寄って探してみたけど、やっぱり売ってへんかった。ええい、「戦国武将」なんかいらんから「謎の円盤UFO」を並べてくれい。「開いてます、あなたの」コンビニには、そのチェーンと吉本興業が共同開発したという「ボケボケモンスター」なるビックリマンチョコの模造品みたいなもんが売られてたけど、若手芸人が描いたへたくそな似顔絵のシールなんかいらんわい。そんなもんより「謎の円盤UFO」を並べてくれい。
 この日記でも何度か書いたけど、食玩というのはやはり戦略的には中年がターゲットですな。40になったおっさん二人がメールでお菓子の情報を交換してるわけやからねえ。メーカーの思惑にしっかりはまってしもうてるやないかい。
 それにしても、ないとなるとほしくなるのが人情。そやからというて近所にはない「すぐ、そこ」のコンビニを探し回るほど現在の私には余力がない。近所のコンビニが間違えて入荷するのを待つとしよう。

10月31日(木)

 この前まで暑い暑いと汗をかいていたのに、突如寒い寒いと震えている。四季というものがなくなったんかいなと思う。先日、授業の付き添いで生徒たちと京都に行ったんやけど、大阪よりもさらに寒かった。ところが、東山の山並を見ると、まだ青々としてるんやね。こういう寒さやったら、山かて紅葉しててほしいと思うのに、紅葉する前に冬が来てしもうたという感じかな。これはほんまに危険な兆候やないかしらん。
 秋と呼べる時期は、1週間もなかったような気がする。おかげで教師も生徒も体調を崩し気味。欠席者もけっこう多い。寝坊したというて昼頃登校してくる生徒がいてたけど、なんとそれは生徒会長。「休んでもええんやで」と言われへんのがちょっと辛いなあ。
 私の場合、演劇部の地区大会や東京出張、そして京フェスと11月中旬までタイトなスケジュール。なんとか体調だけは整えておかんといかんなあ。夜更かしはいかんと思いつつ、つい寝るのが遅くなってしまう。書店に新刊を探しにいくのもきつく、web書店を利用する頻度が増えてきた。とにかくあと20日間ほど、気力で乗り切るしかないか。
 ああ、四季は四季でちゃんと来てくれよ。


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