ぼやき日記


11月11日(月)

 昨日録画した「おジャ魔女どれみ どっか〜ん!」を見た。驚いた。芸術祭参加作品だといわれても驚かんようなストーリーやった。「どれみと魔女をやめた魔女」というエピソードなんやけど、30分の中に凝縮されたドラマの質の高さ、そして美術の美しさ。劇場用に用意していたエピソードを使用したのやないかと思うたくらいや。
 主人公の魔女見習い、どれみが仲間の魔女見習いたちが忙しいため一人でいつも通らない道を通って帰ることにする。ガラス工芸の工房をのぞき見したら、そこにいたのは魔法を使うことをやめた魔女。彼女は100年以上、世界各地を転々とし続けている。決して年をとることのない魔女だから、定住できないのだ。佐倉未来と名乗るその魔女は、幼いどれみにガラス工芸をさせながら、魔女としての生き方の厳しさを教えるが、どれみには理解できない。未来は50年以上前に自分がガラス工芸を教えたイタリアの若者のもとへ旅立つ。彼女は魔女として生きなければならないどれみに、ともに行くよう誘いかける。翌日、逡巡したどれみは意を決して未来の工房へ行くが、一足違いで未来は去ってしまっていた。
 未来は、定住したことで人間から白眼視された先々代の女王と好対照のキャラクターとして描かれる。永遠の命を持つものが、流転する世界で生きるということの意味を問い掛ける。このテーマはSFのものやないか。それを、実に自然に「おジャ魔女どれみ」という女の子向けのアニメで描き出している。それを引き立てるのが、ていねいに描きこまれた作画であり、巧みなカット割りを見せる演出である。これほど上質な作品はめったにあらへんと思う。
 未来役はあの原田知世が演じている。大人の女性を淡々と表現しているんやなあ、これが。エンディングのクレジットで彼女が声をあてていることを知ってびっくりしたぞ。
 このエピソードが入ったDVDだけでも買いたい。そう思わせるだけの作品やった。なんでいきなりこういうエピソードがきたんやろうか。劇場用にとっておいたプロットを使いたかったのかもしれん。いや、私も妻も2回繰り返して見てしまいましたよ。

11月12日(火)

 今日の午後、携帯電話が突如フリーズした。電源スイッチを長押ししても、メール機能のスイッチを押しても、テンキーを押しても、全く変化せん。電池を一度外してつけ直したら、液晶画面に何本か筋が入るのみ。しばらくそのままポケットにつっこんでおいたら、液晶画面は真っ白に輝いていた。しかたないので帰宅途中にドコモショップに寄る。修理に出すと2週間はかかる、といわれた。むろん、その間は代替の携帯を貸してはくれるんやけど。
「つまりその、今の携帯に入ってるデータはどないなるんですかいね?」
「読み出してみますが……」
 なんと、先日のMOディスクに続いて携帯までやられたか! 電子データのもろさを思い知ったはずやったんに、ちっとも身にしみてへん。愚か者と呼んで。
 店の人の手元をじっと眺めていたら、あら不思議。ウェイクアップ画面が表示されてるやないか!
「直ったんですか!」
「いいえ、充電用のコードをつないだ場合だけ、こうやって今は作動するんですよ」
「あ、新しい電池ではあきませんか?」
「うちの店の電池をつけたんですが、だめですね」
 なんと、コードを電源にさしこまなんだら起動しない携帯電話! それにどれだけの意味があるんや!
 修理の見積もりと、機種変更の見積もりをとってもらう。どうやら機種変更の方が安くつくらしい。結局、機種変更をしてもらうことにした。現在使うてるD503iの後継機種、D504iにする。前回の機種変更は1年3ヶ月前。あの時はその前の携帯を水につけてしもうてわやにし、心ならずも機種変更となったんやった。データの修復もでけへんかったし。それに比べたら、今回はデータはちゃんと新しい携帯に移すことがでけたから、一安心。
 一番最初に買うた携帯は5、6年くらい使うたんやで。その後はかなり早いサイクルで機種変更をしている勘定になる。これではまるで私が新しもの好きみたいやなあ。今の携帯は少なくとも3年は使うつもりやったんに。うううむ。
 ところで、フリーズの原因はと聞くと、電池をはめこんであるところに埃がたまってたんで、それが携帯内部の基盤に入っていったんやないかということやった。もちろん、開けてみんとわからんことなんやけど。
 マニュアルには電池のふたを定期的にとって埃を除去せよ、とは書いてへんかったと思うぞ。まあなんにせよ、結局よけいな出費をせんならんようになった。なんか今月はいろいろなことが起こる波乱の月やなあ。出張先や京フェスで嫌なことが起きんかったらええんやけどね。

11月13日(水)

 私の勤務する学校では、明日は「芸術鑑賞」と称してザ・シンフォニーホールでクラシックの鑑賞会やねんな。おお、そういえば生の演奏は久しく聴いておらんぞ。たとえ大阪シンフォニカーであろうと生で聴くのがいいに決まっておる。それやというのに、私は明日から研究会参加のために東京へ出張じゃ。うぬぬぬ。
 授業のはじめに、生徒に「ええなあ」というたら、ある生徒が「先生、明日のコンサート、普通に行ったら2万円くらいかかるんやて?」と面妖なことをいう。私は思わず「そんなことあらへんがな。国内のオケやったら高うても7、8千円くらいまでやで」というた。「えーっ! 音楽の先生ウソついたん? 2万か3万かかるっていうてたでえ」。
 それを聞いた別の生徒がぼそっというた。
「立派なオーケストラやったら、やろ」。
 話はちゃんと聞かなあかんで。音楽の先生がいわはったんはベルリン・フィルやらウィーン・フィルのことなんやろう。金額だけ聞いて驚き、かんじんの部分は聞き逃していたに違いない。国内のオケでそんなに入場料をとったら会場は無人になりかねんぞ。だいたいそんなに金のかかるオーケストラが公立高校の音楽鑑賞会なんか開いてくれるはずがない。
 それでも、生で聴くオーケストラはよろしいぞ。演目はビゼー「カルメン組曲」、スメタナ「モルダウ」など。個人的にはモーツァルトの交響曲40番あたりをきっちりと聴かせたいところやけどね。ドヴォルザークの交響曲第8番(第9番「新世界より」でもええんやけど)も面白かろう。間違ってもベートーヴェンやブラームスは聴かせたらあかん。深刻すぎて楽しくない。まあ「名曲アルバム」的な選曲になるのは仕方ないところか。別にクラシックファンを養成するための鑑賞会やないからな。
 ああ、なんちゅう日に研究会をやるんですか。どんなオケでもええから、生で聴ける機会を逃すのはもったいないよお。

11月15日(金)

 ぶじ東京の研究会から帰ってきました。木曜日は朝の5時過ぎに家を出て、6時台の新幹線に乗り、東京についてからはまず羽田の近くにある高校に学校見学に行き、昼食の時間に間に合うように晴海にある指定のホテルへ。移動だけでへろへろ。晴海にある高校で、昨日は総会、今日は分科会。いろいろと参考になる話も聞けたし、わざわざ東京に行ったかいはあったんと違うかな。
 今日の午後は時間があいたので、浅草まで足をのばす。大阪にとんぼ返りというのも考えへんことはなかったんやけどね。なにしろ明日は「京都SFフェスティバル」。午前の部の「SF新人賞作家パネル」の司会と合宿企画の「名盤アワー」の二つの企画がある。それでもせっかく東京にきたんやし、東京でしか見られへん演芸を見たいと思うたわけです。
 浅草六区にある「東洋館」にはいる。ここはいわゆる「いろもの」芸人さんばかりの常打ち演芸場。一人一芸という芸人さんが十年一日のごとく同じ芸を見せてくれる。東京の演芸ファンやったらわざわざ足を運ぼうとも思わんのやろうけれど、大阪にいてたらこういう芸人さんはめったに見られへん。
 私が入った時は森野ひろしという人が歌真似をしていた。次は、はやのみこみさん。この人はあの早野凡平の弟子で風呂敷を使うていろんな扮装をしてみせるという師匠譲りの芸。つなぎには花の名前や魚の名前を織りこんだタテ弁で笑いをとる。タップ芸人のベテラン、ブラック福田さんはハーモニカを吹きながらタップダンスをするという珍芸。中入り前に牧伸二さんのサイン色紙と東京演芸協会所属の芸人さんの名前が染め抜かれた手ぬぐいをセットで売りにきたんでお土産に買う。「あーやんなっちゃった、あーおどろいた」という直筆サイン色紙を玄関に飾るというのはなかなか魅力的ではある。続いては曲独楽の大御所三世三増紋也師匠。糸渡り、真剣渡り、末広回しなどの妙技を見せてくれる。これだけでも見に行ったかいはあった。おまけに、観客サービスで自分の千社札をはった独楽を会場に投げてくれて、私はしっかりキャッチした。これも宝物になるやろう。農村漫談のたんごしんという人は初めて見たけど、受けないギャグを言うた後のフォローがうまい。バナナの叩き売り口上の斉藤れをさんの口上は聞きごたえがあった。キセルで動物の声を鳴らすという珍芸中の珍芸ひびきわたるさんが健在なのは嬉しい。この人は昔「お笑いスター誕生」にもでていた。あほくさいことを照れ隠しに笑いながら、それでも真剣にやってのける間がいいね。トリはサムライ日本。10数年以上前にテレビで見たネタをそのままやっていた。でも笑わせる。これこそ珍芸の楽しさなんやと思う。
 大爆笑したわけやない。そやけど、お年寄り中心の会場と、芸人さんがいい感じで掛け合いながら舞台を進めていく、その雰囲気がものすごく楽しかった。また東京に行ったらのぞいてみたいな。大阪から行ってる好田タクトさんやなんでも楽器にしてしまうはたのぼるさん、大御所牧伸二さんあたりを生で見たいところやね。
 というわけで、明日は「京都SFフェスティバル」。年に1回ここで会うという方ともお喋りを楽しみたいね。明後日の日曜日は「たちよみの会」。なかなかゆっくり休まれへんけど、演芸やらSFやら、楽しいことやったらそう疲れもせんからね。ストレス解消には好きなことをするのが一番でありますね。

11月18日(月)

 まだ眠いのです。40にもなると、さすがに徹夜はこたえる。もっとも、前日まで東京出張で、その前の土日は演劇部の大会で休みなし。疲れがたまっているというのももちろんあるんやけど。
 というわけで、やっぱり日曜には更新でけませんでしたな。遅くなりましたが、例によって今年も「京フェス私的レポート」を書くのでありますね。
 今年は自分が司会をする企画が1番目にあり、合宿でも自主企画をするから少々気合いは入っていて、土曜の朝はちゃんと早起きをした。疲れのせいか、思っていた時間よりやや遅く家を出たものの、途中で理髪店に寄ってもまだ十分間に合うはずやった。ところが、若い理容師に当たったのが運の尽き。ベテランの理容師やったらざくざくと切りながらも仕上がりはきれいなもの。ところがこの日の理容師はやたらゆっくりと切る。ヒゲをそるのもむやみに時間がかかる。40分もあればできるとろを1時間もかかった。急いでいるから早くしてくれというのに電動按摩を持ち出して肩にあてたのには参った。「急いでますから」と断わり、やっと整髪完了。料金を払ったら、「スタンプを押しますからカードをお作りします」。あああああああああ! 急いでるというてるのがわからんか。客のニーズにこたえられん店になどもう二度と行くもんか。
 タクシーで京阪京橋までとばす。特急がなかなか来ない。いらいらいら。携帯電話で実行委員長に少し遅れると連絡を入れる。やっと特急が来た。あとは焦っても仕方ない。車内で再度電話する。マナーもへったくれもない。特急は、会場の最寄りの丸太町駅には停まらへんから、三条駅で乗り換え。ここでも若干時間のロス。丸太町駅にようようの事で到着したら、駅の出口に一昨年の加藤実行委員長が待っていた。「鞄をお持ちします!」。ありがとうと手渡し、さあ走った走った。あんなに必死で走ったんは何年ぶりやろう。会場の教育文化センターに着いた時は肩で息をしてましたよ。名札をつける間もなく企画室にはいる。
 満場の拍手。あれはこたえたね。恥ずかしいやら情けないやら。何よりも井上剛さん、谷口裕貴さん、吉川良太郎さん、そして大澤実行委員長に迷惑をかけたことがなにより悔しい。
 ぜいぜいぜいと言葉にならん。ありがたくも申し訳なくも出演者のみなさんが私が息を整えている間に自己紹介をしてくれてはる。座ったら汗がだくだく出てきた。冷や汗もまじってたに違いない。今年で20回を数える京フェスでは、過去には東京からのゲストが遅刻した例が2回あるけど、大阪の司会者が遅刻したのは初めて。長い歴史に汚点を残してしもうた。あとでしおしおには怒られるし(これが一番こたえた。ううううっ)、東京創元社の小浜徹也君には冷やかされるし……。
 というわけで、遅刻の顛末を書いただけですが今日はここまで。続きはまた明日ね。

11月19日(火)

 さて、京フェスの「SF新人賞作家座談会」は、前もってメールで知らせておいた質問事項をもとに、スムーズに進んだ。私がききたかったのは「なぜ『SF新人賞』に投稿したのか?」ということ。むろんSFの新人賞が数少ないということもあったとは思うのだが、できたばかりの受賞傾向などもよくわからない賞だけにそれなりの理由があったはずやと思うたのだ。吉川さんはちょうど投稿できる長さの作品が仕上がった時にこの賞の存在を知ったという。谷口さんは登校締切りが一番近かったからという。井上さんは特にSF志向があったわけやないけど書き上げた作品がSFに近いものだと思うて投稿したとのこと。これは私には意外ではあった。
 三人がそれそれ書きたい傾向が違うということや、文学青年とフリーターに会社員という取り合わせの多彩さもあって、出演者の発言にはっきりと違いが出たので、面白い座談会になった。井上さんと吉川さんが「王道は谷口さんに、我々は外縁部で」というと、谷口さんは「そんなこと言われても」と困ってしまう。そのやりとりが絶妙のタイミングで決まる。みなさん、こういう企画でしゃべるのが初めてとは思われんほど、いい。頭の回転が早いんやろうなあと思う。うん、これくらいやないと作家にはなられへんて。
 会場にいてはった徳間書店の大野修一さんにも話をふってみたり、いろいと話を引き出そうと苦心した。一番困ったのは大迫公成さんから「あなたにとってSFとは」という質問をされたこと。なんとゲストの3人だけやなしに、私にまできかれたんですな。今回は自分は司会やから質問に答えることなんか想定してへんかったんで、あわててしもうた。「SFというのは縛りです」てな風に答えたけど、はたして会場のみなさんは納得しはったか。
 私の遅刻という失敗もあったけど、それ以外は予想していたよりもいいムードで話も弾み、楽しんでもらえる企画に仕上がったと思う。あらためて、ゲストのみなさんにお礼を言いたい。
 企画終了後、昼食。私は妻やbk1のFさんといっしょのテーブル。Fさんとは実際にお会いするのはこれが初めて。bk1の状況などを聞いたりする。
 さて、午後の企画に入ろうと思うたら、受付にある人が立っていた。その人は……。
 というところで、続きは明日。衝撃の事実は再起動の後で!

11月20日(水)

 ここ半月ほどの疲れが出ていて、体は重いし頭は働かんし。本を読む気になるかどうかというのが、私の場合は疲れの目安になるんやけれど、これがみごとに読まれへん。早く読んで書評を書かんならんのやけどなあ。

 さて、昨日の続き。受付に立っていた人とは! 3年前の京フェス岡田実行委員長と2年前の加藤京フェス実行委員長やないか。何も驚くことはない。いててあたりまえですね。「たちよみの会」にもよく参加してくれている2人なんで、自分の企画が終わったということもあり、ソファーに座って世間話をする。
 期待しましたか? 民放のバラエティ番組の真似をしてみたかったのだ。
 2番目の企画の「コアマガジン社インタビュー」は、そういうわけで終りの方にちょろりと部屋に入って聞いただけ。どんな話かも知らずに小説を出版してしまうという大胆な編集者の方がしゃべってはった。だいたいそういう企画が通るというところがゲリラ的な出版社でよろしい。
 3番目の企画は漫画家の明智抄さんへのインタビュー。インタビュアーは風野満美さん。私は明智さんの漫画は読んだことがない。一応その内容について紹介もしてはいるんやけれど、どうも明智さんのファンの集会で代表者がおしゃべりしてるというような感じで読んだことのない身にはあまりその面白さが伝わってこない。結局この企画は中座。
 企画室から出ると、受付にある人が立っていた。その人は……。
 今日はここまで。なに、昨日と同じ引きやと。まあ堪忍してよ。頭が働かんもんで。


てなもんや囲炉裏端 ゆっくりまったり掲示板ですお気軽にご利用下さい。

メールはこちらまで。どうぞよろしく。


過去の日記へ。
ホームページに戻る