ぼやき日記


12月11日(水)

 どうも配偶者特別控除廃止の方向に向かっているみたいやね。この控除があるがためにパートの年収をなんとか枠内におさめようとしていた主婦たちもいたわけで、女性を家庭の枠内にとどめる手段みたいな感じの控除がなくなるのは悪いことやないのかもしれん。そやけど、いろいろと事情があってどうしても働かれへん主婦の場合はどないなるねん、という気もする。もっとも、足かせがなくなったからというてパート収入が一気に増やせるというご時世やないからね。控除がなくなった分だけやっぱり厳しくなるやろう。
 つまりこれ、消費税や所得税を上げたらはっきりと増税したとわかるんで、こういう形で増税したら反発も少なかろうという姑息な手段やったりするんやね。発泡酒税やらタバコ税の値上げも検討されているらしい。どうにもこうにもとりやすいところから税金をとってやろうという算段ばかりしておるな、自民党の税調は。
 バブルがはじけて税収ががくんと落ちたためになんとか財源を確保せねばならんというのはわかるけど、それやったら無駄な支出を減らして少ない税収でもまわるようにしたらええのに、削除するのはまず人件費やったりする。バブル時代に計画された公共事業の見直しはどうなってるんやろうね。景気浮揚対策としての公共事業にはもう何も期待でけへんという結果は既に出てるわな。
 こういう姑息な増税をしても根本的な解決にはならんやろうにねえ。遠からず日本は倒産するのと違うか。首相着任当時の勢いはなくなったというても、目指していた「構造改革」とは違う方向に行こうとしてるのも止められへんのかなあ、小泉首相。

12月12日(木)

 久しぶりに少し多き目の書店に寄り道。ついつい長居をしてしまう。面白そうな時代小説の文庫を見つけてついつい買うてしまう。ほんまは桂米朝師匠のインタビューの載ってる「オール讀物」だけを買うつもりやったのにね。
 その書店で私が解説を書いた文庫本が平積みになっていて、なんか嬉しくなる。菊地秀行さんの「ブルー・マスク完結編」(祥伝社文庫)であります。何年ぶりかなあ、文庫解説。私は自分が書いた文章を読み返すのが好きで、それが駄文やったりしても活字になってるというだけで何度も何度も読んでしまうんであります。書店で文庫本を立ち読みしながらにまにましてるおっさんというのはちょっと気持ち悪いかもしれん。これが自分の初めての著書、なんてことになると一日書店でその本を手ににったらにったらしてるかもな。一度でいいからそういう経験をしてみたいものです。
 「ブルー・マスク完結編」、ぜひお読み下さい。

12月13日(金)

 今日駅前のいつも行くところとは違う書店で本を物色していたら、幼稚園くらいの孫を連れた年輩の女性が入ってきた。「どの本を買うてほしいの?」としわがれた声できく。子どもは無言で幼年雑誌を手にとった。「あかんやんか、それこの前買うてあげたんと同じやつやろ。違うのにしなさいな」。最初はごく普通の口調。それでもその子は一度持った本は手放さへん。「同じもんを買うてどないするの。お家にあるやんか」。女性の口調がちょっといらついてきた。怒っていると察したんやろう、その子はどうやら違うのを手にとったらしい。レジに持っていく。「ちょっと待ち、その『幼稚園』も前に買うたがな。そやそや、この付録、おばあちゃんがいっしょに作ったったやないか。これあかん、違うのにしぃ」。ところが、この子どもはなかなか強情で、いったん手にしたその雑誌を離そうとせんのです。「それは家にあるて言うてるやないか。そやったらもうなんも買うてやらんわ!」。おばあちゃん、本気で怒りはじめた。子どもは「ううう!」とうなるように声を出して、その雑誌をしっかとつかんでいる。あんまりじろじろと見てるのもなんやから、私はそこで書店から出ていったけどね。
 それにしても、あの子はその雑誌がほんまに面白かったんやろうなあ。別に新しいのを買うてほしいとは思うてへんかったんと違うかな。それでも、おばあちゃんとしたら孫がかわいいからなんぼでも新しいのを買うてやりたいんやろうなあ。そんなに何冊も幼年雑誌を買うてやってるんやったら、絵本のコーナーに行って選ばせてやったらええのになあ。そういう発想はあらへんのかもなあ。こういう時に本の好きなおばあちゃんやったら絵本コーナーやわなあ、きっと。ただ、そういうおばあちゃんやったら自分の趣味を孫におしつけてしまうかもわからんなあ。
 果たしてあの子どもは本を買うてもらえたんやろうか。もう少し様子を見ててもよかったかな。そやけど私もおなかすいてて早いとこ家に帰りたかったもんなあ。私やったら、あの年頃やったら怪獣の絵本のところに直行してチャンスとばかりに手当りしだいにほしい絵本を手にとってたに違いないな、きっと。
 駅前書店ならではの風景かもしれへんね。

12月14日(土)

 来年はじめの締切りにあわせ、いよいよお仕事用の読書を始めねばならんようになってきた。既に購入していた本を「未読」の本棚から掘り出し、持っていないものは書店を駆けずり回って探す。たまたま今日は京都の医者へ行く日やったんで、河原町まで足をのばし、書店のハシゴ。必要な本だけ買うたらええのに、関係ない本もついつい買いこんでしまう。仲人さんへのお歳暮も百貨店で買う。ついでに100円ショップに寄って喪中葉書に使う白葉書やらビデオテープやらMDも買う。初代広沢虎造の「清水次郎長外伝」のCDも売っていたんで、それも買う。100円で虎造節を入手できるんやから、ありがたい。店を出たら、知人に出会ってビックリ。よう考えたら、その知人は京都近郊に住んでて、私が大阪に住んでるんやから、むこうは京都で会うとは思うてへんかったわけですな。こっちよりも向こうが驚くのがあたりまえやね。とにかく年末の買物客でどこに行っても人でいっぱい。人並みをかき分けるだけでしんどいわい。結局めあての本が1冊どうしても入手でけん。大阪に帰ってきて梅田の大型書店に行っても、置いてへん。こらネット書店に注文で年末ギリギリの入手かなと思うた。いやまてよ。ここまで探してないということは、もしかしたら文庫化されてるのと違うやろうか……。文庫のコーナーに行ったら……ありました。えー、つまりその結局私は半日何をうろうろ歩き回っていたのか。京都からの帰りの電車などずっと立ちっぱなしでめちゃめちゃしんどかったぞ。
 帰宅後、喪中葉書をプリントアウトしながら読書。妻が表書きをしてくれている。もっと早くせんといかんかったんやけど、目の前の事に追われててかんじんのことを後回しにしてるよなあ。さあ、しばらくはお仕事読みに徹するぞ。もっとも、どの本も面白そうなんで、仕事やら趣味やらわからんところがありがたくはありますが。

12月17日(火)

 日曜日は大阪城ホールまで行って「綾戸智絵デビュー5周年スペシャルライブ」を聴く。スタンダードジャズ、ゴスペルからSMAPまで、これ全て綾戸智絵の世界という感じで、3時間、喋り、歌う。あの小さな体が大きく見えてくる。私はこのページの初代「てなもんや掲示板」で「綾戸智絵はすばらしい」という書き込みをしてくれた人に感謝するね。あの時、すぐにCDショップで綾戸さんのCDを試聴しその歌声に魅了されてCDが発売される度に買い求め、「この人ほんまにニッポン人?」と思いながらその世界を楽しんできた。一度はライヴに行きたいと思い、とうとう日曜日にその願いが叶うたわけやけど、そらもう妻と二人で「元気をもろたなあ」と言い合いながら帰路についた。聴いていて、創作意欲がかきたてられた。そう、自分のソウルをキーボードに叩きつけたらええんや!
 月曜の授業では高揚した気分が残ったまま喋ったりしていたからね。なんか気持ちの入り方が変わったみたい。もっとも、昨日は忘年会があってしこたまビールを飲んだんで今朝はちょっとしんどかったから、元気の出る授業はでけへんうえに日記の更新もさぼってしもたけどね。
 やるよ、やりますよ。綾戸さんほどあれこれと実生活で経験してきたわけやないけど、自分の経験を血肉として、自分にしかでけへんものをつくりあげたい。4月からこのかたずっとずっとへろへろになっていたんやけれど、そんなもんなんやというねん。年齢? 関係おまっかいな。やるよやるよ、やりますよ!
 あ、思い出したらまた元気がでてきたぞ。今の私には一番の薬やなかったか。

12月18日(水)

 コンビニでとうとう見つけたぞ。たぶん東京方面ではとっくに発売してたんやと思うけど。手塚治虫作品のフィギィアであります。食玩やない。フィギィアだけで売ってるんですわ。製作はあの海洋堂。「手塚治虫ミニヴィネットアンソロジー」と銘打たれて、「リボンの騎士」「ジャングル大帝」「ブラック・ジャック」「三つ目がとおる」「ワンダースリー」の5タイトルが出ていた。むろん、箱の外からは中身はわからん。昨日は試しに5箱買う。手塚治虫となるともう見境いがつかんのであります。「リボンの騎士」「ジャングル大帝」が2つずつと、「ブラック・ジャック」が1つ。これは5種類全て揃えるまでかなりのダブリを覚悟せんならん。今日は2箱買う。なんと、「三つ目がとおる」と「ワンダースリー」が的中! ダブった2種類は妻にあげた。
 手塚の世界を忠実に再現したもの、やない。造形作家が手塚の世界を消化して独自のフィギィアとして再構築したものというてええやろう。ところが、これが他の食玩のような手本をなぞったものとは一線を画していて、実に見事なできばえやねんな。細部の細かさ、そして全体を見た時のバランスのよさ、これで1個250円とは安い! こうなると欲張りで、もう一揃ほしくなってくる。いやいや、ここまでみごとに的中させられたんやから、あとは身を慎むべきやろう。
 おそらく、「いい気分」で「開いててよかった」コンビニにはたいてい置いてあるものと推測する。あのコンビニチェーンには前からガシャポンタイプの容器に入ったフィギィアのシリーズが各店においてあったからね。かくいう私もそこで発見した。
 さあ、そこの手塚フリークのあなた、今すぐコンビニに走れ! 満足すること間違いなしや。少なくとも私は大満足。さっそく、やはり手塚フリークである冬樹蛉さんにメールしたけれど、まだ発見でけてへんもよう。ふふふ。勝った!

12月20日(金)

 自己評価システムなるものが教員にも導入されることになり、今年は試行ということで私もいろいろとない智恵を絞って書いたものの、今年度は目先のことを消化するので精一杯。いろいろと思い出してみてもなんか自己評価は厳しくならざるを得んなあ。そやけど、悪いことばっかり書いてしまうと、それはそれで自分が無能やとアピールしてしまうような気がしてしまうしねえ。教育なんていうものは、1年1年が勝負、というわけでもあるまいに。まあ、進学校ならば合格者数で評価が決まりそうなもんやけれども、これも教え方がうまいのか生徒が教師を無視して勉学にいそしんだ結果なんか、進学塾の講師が優秀なんか、家庭教師が優れているのか判然とせんかったりするからなあ。私は学校教育の結果は卒業後に出ると思うている。それが何年後になるのかはわからんけれどもね。
 いやはや、自己評価は難しい。特に今年のように養護学校から一般の高校に転任したという特別な状況にあっては、客観的に自分を見ることはでけまへん。教育委員会も酷なことをさせるもんですわ。


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