ぼやき日記


12月1日(日)

 なにかこの1ヶ月の疲れが今日一日にどっと出てしもうたようでありまして、午後までは本を読んだりだらだら過ごし、夕方4時半頃にちょっと小一時間昼寝でもしようと布団にもぐったら、夜の10時まで寝てしもうた。あすから定期考査でテスト作成以外は比較的スケジュールには余裕がでけたからええようなもんやけどね。確かに11月はきつかったなあ。例年「学習発表会」でかなりきつい月ではあるんやけど、今年はまた別な忙しさがあったね。
 というわけで、今日は何も起こらんかった。世間では何か大事件があったかもしれんけど、テレビも見てへんラジオも聞いてへん、おまけに朝「仮面ライダー龍騎」と「おジャ魔女どれみドッカ〜ン!」は録画しそこなう(予約はしていてもビデオテープを入れてへんかったら録画でけへんということがわかった。ひとつ勉強になった)。
 果たして世間ではなにが起こっているんやろう? 知りたかったら今からテレビをつけてニュースを見てもええんやけど、こうなったら何も知らずに寝てしまえ。
 おやすみなさい。

12月2日(月)

 電車に乗って中吊り広告を見て思うんやけれど、京阪電車ではクリスマスを楽しめるような場所にはいかれへんのやろうかと思う。12月に入り、世間ではやれルミナリエやのディナーショーやのとクリスマス気分を盛り上げておるというのに、おけいはんは早くも初詣に行っておみくじを引いたりなんぞしてるやないか。しかも年末年始のフリー切符を買うとついてくるおみくじで大吉がでたら割り引きてなサービスをやっている。どう見ても京阪沿線にはクリスマスはないものと決まっているらしい。これは今年に始まった話やなく、私たち夫婦が結婚して京阪沿線に住んだ時にすぐに気がついたことなんでありますね。仙道敦子も山口智子も渡辺満里奈も伊武雅刀も、みんな12月になるとクリスマスを無視して平安神宮や伏見稲荷や岩清水八幡宮や大阪天満宮に行く準備をするんであります。ひらかたパークではクリスマス向けのイベントはやらんのか? 菊人形以外ではキャラクターショーばっかりやっとるやないか。
 ということは、京阪沿線に住むあのレビュアーの方もあの作家の方もクリスマスとは無縁の12月を過ごすんであろうか。私はもう京阪沿線に住んでへんのでクリスマスを楽しむ資格を得たらしいんやけれど。もっとも、大阪市営地下鉄はクリスマスも初詣も今一つ盛り上げる気はないらしい。駅の校内には「ラーメン市」のポスターがベタベタとはってあったりする。それはそれでなんか変やねえ。

12月3日(火)

 妻が嬉しそうにメモを取り出した。昼間のラジオで面白い曲がかかっていたんやという。「誰が歌うてるんか知らへんのやけど『宇宙旅行の渡り鳥』っていうの。来年の名盤アワーでかけたら」というのを聞いて、まあタイトルから小林旭の歌やろうなあと見当はついた。
 ちょっと待てよ。私はふと思いついて、CDの棚を探してみた。「アキラ!」というタイトルで4枚もののシリーズで出たCDを買うていたから、もしかしたらその中に収録されてたかもしれん。ありましたね。さっそく出してきて聴いてみる。
「これ! これ!」と妻ははしゃいでから、溜め息でもつくように私に言うた。「ほんまになんでも持ってるねえ」。
 なんでも持ってるわけやない。少なくとも美空ひばりや石原裕次郎は1曲もないと断言できる。早い話がどメジャーなものには興味が向かんというだけの話。ただし、誰もその存在を知らんというようなものを掘り出してきてカルト的に喜ぶという趣味はない。楽曲の面白さよりも「誰も知らない曲を自分は知っている!」という優越感にひたるような気分にはなれへん。あくまで自分で聴いて面白いと思うたら、メジャーもマイナーも関係ない。クレイジーキャッツも揃えれば、小林旭も揃える。「おかあさんといっしょ」のCDも買う。
 それにしても、小林旭のナンセンス・ソングを改めて聴き直したけど、大瀧詠一さんがベスト盤を企画するだけの事はある。このぶっとび方はただものやない。
 というわけで、ここで書いてしもうたからには来年の京フェスでは「宇宙旅行の渡り鳥」をみなさんにお聴かせせんといかんやろう。今の歌手が持ち得ないふところの深さを感じとっていただきたい。いやほんま、小林旭はすごいぞ。

12月4日(水)

 毎年「現代用語の基礎知識」の編集部が「流行語大賞」なるものを発表していて、今年の大賞は「タマちゃん」と「W杯」なんやそうな。毎年私はこの「流行語大賞」なるものの選定基準に疑問を抱いてるんやけどね。流行語というのは、新語でつい口をついて出るような言葉の事をいうんやないのかな。「かっこいい」やとか「いかす」てな言葉はもともとそういう流行語の一つが定着したもんやねんな。確かに「タマちゃん」は毎日のようにワイドショーが追いかけて話題にはなった。「W杯」のあった6月は他にニュースがないかのように報道された。そやからというて、これを「流行語」としてよいものか。
 それやったらまだ「拉致」という言葉の方が流行語といえるんやないやろうか。日常会話の中で不謹慎であってもつい「拉致」という言葉を、北朝鮮とは何も関係ないところで使うてしもたという人はけっこういてると思う。流行語というのはつまりそういうものなんやね。
 私が今年「流行語」と感じた言葉は「あり得へん」というもの。私の勤務校で生徒たちがなにかというと口にしてた。一時の「うっそー」というのと似たニュアンスで「あり得へん!」と言うんですわ、彼女たちは。
 もうあの「流行語大賞」というのは名前を変えたらええんと違う? 「現代用語大賞」でええやん。あるいは「語」という言葉は外して「話題・流行大賞」としてもいい。編集部にしたらこれはまあシャレのつもりなんやろうからそんな名称なんかどうでもええと思うてるんやないかという気もするけど、出版を稼業とし用語集を編集している人たちがここまで言葉の響きに鈍感なんが、私には気にさわるんよ。
 ついでにいうと、東京だけやなしに各地方だけで話題になったものも部門賞としてとりあげたらどないだ。関西ではADSLのテレビCMで奇声を発している芸人のテントさんの方が「タマちゃん」よりも注目を浴びていたに違いない。私はタマちゃんがどこに行こうがどうでもええけど、テントさんがあいも変わらぬ姿を見せてくれたのはめちゃめちゃ嬉しかったし、その存在の貴重さでいえばテントさんのような不思議な芸人の方が迷いこんできた海獣よりも上やと思うぞ。その程度のものを「大賞」に選ぶ感性の鈍い人たちにはわからんやろうけども。

12月5日(木)

 明日行うテスト問題がなかなかでけへんで困っていた。予定では昨日のうちに印刷完了のはずやったんやけれど、頭が働かん。昨日は少し強めの風邪薬を呑んでいったんで、効き過ぎたんかいなと思い、今日はあえて呑まずに家をでた。ところが、やっぱりなかなか思うように進まず、やたら眠い。おかしいなあ。
 私はだいたいいつも教材研究などを社会科の職員室でやっている。部屋の広さは普通教室の3分の2くらい。なんでこんなに眠いんやろう、これは風水的にこの部屋の位置と私のデスクの位置関係に問題があるのか、以前ここの場所で仕事をしていた先生が何か呪をかけていったんか。そんなアホなことを眠気と戦いながら考えていて、ふと気がついた。ガスストーブにかかってるヤカンの湯の沸く音がうるさい。つまり、それだけ暖まっているということや。今日は別にストーブなんかいらんくらい暖かい。
 そう、私の体はぬくもり過ぎていたんや。その上におそらく燃焼でできた二酸化炭素かなんかがだんだんたまってきたに違いない。私のデスクは部屋の隅の方にあって、空気がにごりやすそうや。つまり、酸欠になりつつあったんやないか。
 ストーブの近くにいる同僚は、かえって熱気があたらん位置にいるのか平気な様子。私はたまらず同僚にことわりを入れてストーブを消し、一時的に窓をあけて空気の入れ替えをした。そのあと廊下で深呼吸をしたりしてると、少しずつ頭がはっきりしてくる。そのあとはずっとストーブは消したままにしておいてもらう。同僚はそれでも別段平気らしい。何のためにあんなにがんがんストーブをたいていたのか、ようわからんけど、空気が入れ代わった夕方になると、嘘のように問題ができていく。他の人たちが帰ったあとも仕事を続け、ようやく印刷完了。それにしても、ストーブは怖いなあ。ほんまに眠くて眠くて朦朧となってたもんなあ。
 締切りまぎわに原稿をあげたような気分になって職場をあとにした。外の空気がひやっとし気持ちよかった。

12月7日(土)

 昨日は職場の忘年会。かなりはしゃいだんで、ちと恥ずかしい。
 呑み過ぎてしんどくなる。ストレスたまってたということはあるかもな。
 荷物をコインロッカーに入れておいたら、帰ろうと思うたら駅が閉まっていて入られへん。ちょっと遠距離やったけど、今日取りにいった。しかも原チャリで。小雨がぱらついててさらに体が冷える。
 因果応報。腹をこわした。そこまでして取りにいった荷物やのに、帰ってからへたってしもうて置いたままにしてある。
 私、何してるんやろ。

12月8日(日)

 私立大学の入学時の納付金が入学せんかった場合、今年から戻ってくることになったという新聞報道に、ちょっとした怒りを感じたりしている。できるんやないか。なんで今までやらへんかったんや。私の場合、浪人していたということもあって、複数の私立大を受験した。なにがなんでも大学には行きたかったからね。最初に合格発表のあった大学にひとまず入学金を納付した。そこは第1志望やなかったけど、入学を希望している大学の合格発表よりも早く入学金を納めへんかったらそこの合格は取り消しになる。あとから発表のある大学に落ちてしもうたら、行くところがなくなってしまう。で、結局私はあとから発表のあった大学に入ることに決めた。そこは第2志望くらいの学校やったけど、先に発表のあった大学よりも学費も安く通いやすかった。ということはですね、先に発表のあった大学には入学金は払うたけど実際には入学せんかったわけです。でも、払うたお金は戻らん。親にはほんまに感謝している。いろいろと家計の苦しい中から出してもろたお金やからね。
 つまり、もう20年たっていうのもなんやけど、なんで今できることがあの時にでけへんかったんですか。そう思うてる人は、いっぱいいっぱいいてるはずやね。不景気のために高い入学金が足かせになって進学をあきらめる生徒も多い。それだけに今回の決定には賛意を示したいとは思う。そやけど、そういう生徒は昔かていてたはずでしょう。入学金の金額設定なんて、その根拠は実に弱いものやと思う。それだけに入学もせんのに入学金だけ払うというのはよけいに不可解やった。それでも帰ってこないものは仕方ない。そう思うてあきらめていた。それやのに、なんで今ごろそんな風に変えるんですか。20年たっても、金の怨みは消えへんよ。

12月9日(月)

 元近鉄バファロー監督の千葉茂さんの訃報に接する。享年83。プロ野球草創期に東京巨人軍に入団し、名二塁手、流し打ちとバントの達人として人気を拍した。人望は後にジャイアンツの監督となった川上哲治一塁手よりも高かったという。立教大学のスラッガー長嶋茂雄内野手が入団した時には、自分の代名詞であった背番号3を快く譲り、ジャイアンツのユニフォームにはこだわらず、弱小球団であった近鉄パールスの監督を引き受ける。この時、チームの愛称が、千葉さんの愛称でもあった「猛牛」にちなんで「バファロー」に変更された。監督の愛称がチーム名になったというのはこの時の近鉄以外にない。千葉さんの退任後も「バファローズ」と複数型になってチーム名は残った。交遊範囲が広く、チーム名が「バファロー」と変わった時、新たなペットマークを親友の岡本太郎さんに依頼した。そのマークは今でもバファローズのシンボルとして残っている。巨人軍をこよなく愛し、球界から引退したあとも常に心からの苦言を呈した。自ら健筆をふるった評論は、実に品格の高い名文やった。
 私はもちろん千葉さんの現役時代は知らん。それどころか、監督時代も知らん。知っているのは「別冊ホームラン」などに掲載された文章や座談会だけ。常におごらず、正論を吐く。地位や名誉に対しては恬淡としている。ジャイアンツで9連覇を達成した川上さんが「球界のドン」として隠然たる権力をふるったのと好対照やね。なんでプロ野球界はこういう人をコミッショナーにせんのやろうと真剣に思うた。この人なら、ジャイアンツを愛していても、公正無私な姿勢で球界全体に筋を一本通してくれたに違いない。オーナーたちの利益代表のようなコミッショナーやない。ナベツネ氏が横車を押すのに対し、きちっと歯止めをかけられたに違いない。
 伝説の名投手、沢村の晩年にともにプレーした経験を持つ。歴史の生き証人がまた一人消えた。
 謹んで、哀悼の意を表します。

12月10日(火)

 今朝、職場についたとたんに妻から携帯に「今朝の新聞見た?」と題されたメールが届いた。
「日本SF大賞決定/牧野修『傀儡后』と古川日出男『アラビアの夜の種族』」。
 おお、見逃してしもうていた。そうかそうかあ。牧野さん、おめでとうございます。帰宅してさっそくお祝いの言葉をケダちゃんの作っている牧野さんのファンサイトの掲示板に書きこむ。昨年の北野勇作さんに続いてまたまた関西勢からの大賞受賞。ここしばらくは関西勢が毎年のように受賞するのと違うやろうか。それくらいメンバーは充実してると思う。毎年誰が受賞してもおかしくない勢いがある。実に嬉しい。
 連日あれこれと忙しく、昨日は喪中葉書をプリントアウトしていてかなり夜更かしし、寝不足でしんどかったけど、この吉報で気分がよくなった。結婚するんやったら、同じ趣味の人やないとあきまへんで。


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