ぼやき日記


3月1日(土)

 今日の朝日新聞夕刊(大阪版)に「総合学科高校『男子来て!』」という記事が掲載されていた。私の勤務する高校も総合学科。実際女子が非常に多い。どうしても大学に進学するには普通科に進学すべきだということになるんやろうねえ。今年の受験者も圧倒的に女子が多い。こうなると辛いのは男子で、のびのびしている女子の中でいくぶん委縮している感じがする。男子の多い工業高校などで女子が男子に負けずに学んでいるというようなのとはかなり違う。せめて3分の1くらいが男子やとええのになあ。自分で自分の生き方を早くから考える女子と、とりあえず大学にいってから考えようという男子の違いが出てるんかな。
 それにしても、朝日新聞はもっと早くこういう記事を載せてほしかったぞ。入試もとっくに終わっているのに今さらこんな記事が掲載されたからというて男子が増えるわけもなし。できたら出願よりも前の時期に掲載してほしかった。なんで今の時期にこういう記事を載せるかなあ。埋め草というような感じではあるのやろうけれど。まあ、新聞記事が1回載ったからというて男子の志願者が倍増するということはないかもしれへんけどね。

3月2日(日)

 中川家の礼二(弟の方)が酒を飲んで女性に暴行をはたらいたというニュースを聞いて驚いた。スポーツ新聞などをよく読むと、被害者の女性は礼二に対して「ギャグをしてみせて」と注文したりしていたそうで、これがほんまやったら、礼二は気の毒やなあと思う。
 相手はプロやねんからね。ギャグというのは売りもんでしょう。それを酒の席で只で注文するというのがどんなに失礼なことか、くだんの女性はわかってるのかね。もちろん、怪我をさせた礼二もようないけど、プロとしてのプライドがあれば、腹もたったやろう。
 それにしても、いまだに芸人さんというのはそういう風に見られるんやなあ。私の学生時代、バイトの帰りに先輩に連れていかれた京都のおでんやさんで吉本新喜劇の原哲男さんがお客として飲んでいたのに出っくわしたことがある。原さんは他のお客のリクエストに答えて「ソースはオリバー!」などと言うてはったけれど、そこまでサービスするのかとびっくりした覚えがある。もう20年以上も前の話やけどね。一般人の感覚はその時とほとんど変わってへんのやね。
 怪我をさせるまでにどういう経緯があったかは知らんけど、酒の席で芸人さんにギャグをリクエストしたのがその原因にあるというなら、私は芸人さんの肩を持ちたいね。

3月3日(月)

 いやはや、おもろいというか情けないというか。大阪の府議会で某府会議員が民間人校長が赴任している高校の卒業式を持ち上げるために、以前出席した府立高校の卒業式を例にあげ「(生徒は)チョゴリ、チマ、アオザイ、それからチャイナドレスで、どっかキャバレー来たんちゃうかな、そんな式もありました」てなことを言うたそうな(発言については共同通信による報道をそのまま引用)。
 例えば私がそういう民族衣裳を着ている生徒を卒業式で見ても、キャバレーは連想しない。なんでかというたら、そういうキャバレーに行ったことがないから。そういうキャバレーを連想するということは、この議員さんは少なくとも1回はそういう場所へ遊びにいっていることは間違いない。それどころか、厳粛なる卒業式に出席してそんな連想をしたということは、行ったのは1回だけやないと推察される。
 府会議員がそういうところに遊びに行くなとは言わん。自腹でならどこへ遊びに行こうと勝手です。そやけど、民族衣裳を着た高校生を見てそんな連想をするということは、この議員さんは高校生の女子を水商売の女性と同じ視点で見たということやね。水商売の女性をおとしめる気はない。男性の気をひくプロと高校生を同一視するというこのおっさんの品性の下劣さが情けないだけてす。これがまた選挙で選ばれた府民の代表やったりするところがさらに情けない。
 卒業式で民族衣裳を着るのには、自分の民族の誇りがこめられているわけで、決して男の気をひくために着用してるんやなかろう。この発言に対する指摘を受けた某議員の弁解がまた情けない。「チャイナドレスのスリットが大きくついているのでそう感じた」んやそうです。つまりはそういう助平な視点であることにはかわりはない。だいたい府議会でする発言かね。
 ちなみにこの助平議員は御年68歳。政治家というのはいくつになっても精力旺盛やないとつとまらんということか。

3月4日(火)

 今日は大阪では粉雪が舞った。その割にはそんなに厳しい寒さは感じなかったけどね。関西では、東大寺二月堂のお水取りの時期には寒さがぶり返すというけれど、今がちょうどその時期。去年はこのあと一気に暖かくなって、3月中旬には桜が咲いたりしてたけど、今年はどうかな。

 生島治郎さんの訃報に接する。私はハードボイルドには縁のない人間やから、生島さんの訃報に対してコメントできる立場にはないんやけれど、日本におけるハードボイルド小説の先駆者としてその功績の大きさは感じている。SFでは星新一さん、光瀬龍さん、半村良さんといった先駆者が既に亡くなっている。ハードボイルドでは大薮春彦さんが早世してしまっている。こうやって、一時代を築いた人の訃報に接するのは、やはり寂しい。どの世界にも世代交代はつきものなんやけれど、現実にそれをつきつけられると頭ではわかっていても気持ちは千々に乱れるのでありますね。
 慎んで哀悼の意を表します。

3月5日(水)

 妻が1本のビデオテープを自分の部屋から持ってきた。ラベルには「カムイ 2」と書いてある。もちろん妻の字や。おおお「カムイ外伝」を妻は録画しておったのか。これは嬉しい。で、さっそくデッキに入れて再生する。あらら、アメリカ人が2人会話をしているぞ。これはどこからどう見ても「英会話とっさのひとこと」やないか。妻はおかしいなあとつぶやきながら巻き戻しはじめた。適当なところで止めて見ると、今度はファッションカメラマンが出てきて何やらしゃべっている。これは「ファッション通信」みたいや。
 妻は「ラベルを貼り間違えたかなあ……」とさらに巻き戻しする。やっと出てきたぞ「カムイ外伝」。つまりはですな、「カムイ外伝」を録画したけれどテープが余ったので、あれこれと見たい番組を録画していたんですな。こういうのはようあることやけどね。
 というわけで、一瞬あせったけど、無事もう一度見てみたい昔のアニメを見ることができると判明して、まずはめでたい。
 もっとも、妻はちゃんとラベルに録った番組を書いて貼っていたからまだよかった。私などずぼらをしてラベルに何も書かずに置いてあるビデオテープが大量にある。もしかしたら宝の山かもしれんし、ゴミ捨て場みたいなもんかもしれん。これらのテープをいちいちチェックしていたらむちゃむちゃ時間がかかるから、手もつけられんかったりする。
 教訓。ビデオのラベルにはメモ書きでいいから録画した番組を書いておきましょう。なになにそんなもんあたりまえのことですか。そういわれたらどないも反論でけへんのやけどねえ。

3月6日(木)

 今日は卒業式。昨年度までの養護学校では何度も何度も練習をして当日を迎えるというのが当たり前になっていたので、前日の予行だけでざっと動きをさらって、翌日が本番という高校のやり方は新鮮でもあるし、戸惑いもある。私は照明係の補助みたいな形で、調光卓を操作する演劇部の生徒の横につく。演劇部の顧問を続けている間は、毎年こういう形の役割分担になるんやろうねえ。とにかく体育館は寒く、後片付けで体を動かしてやっとぬくもった。
 午後からは留年した生徒だけの卒業式が校長室であった。本来は私は別に参列する必要はないんやけれど、一番しんどかった時期にその生徒にかけてもらった一言が嬉しかったこともあって、はしっこに座らせてもらう。彼らの同期生もお祝にかけつけてくれたりしていて、大人数が集う卒業式とはまた違った感銘がある。
 いやしかし、環境が変わってあわただしい1年やったけど、こうやって卒業式を迎えると、あらためて1年間たったんやなあという実感がわいてくる。今年度は余裕がなくて自分のことしか見えてへんような感じやったけど、来年度の今ごろはどんな気持ちで卒業式を迎えるのやろうか。
 そんな先のことまで考えてんと、まず今やらんならんことを先に片付けなあきませんな。

 明日は東下り。SF大賞の贈賞式に参列し、牧野修さんの晴れ姿を見に行く予定です。したがって更新はお休み。次回更新は土曜深夜の予定です。日曜にのびる可能性もあり、やけど。

3月8日(土)

笑顔の牧野修さん
 昨日は東京會館で第5回大薮春彦賞、第23回日本SF大賞、第4回日本SF新人賞の贈賞式が行われた。大薮賞は『ハルビン・カフェ』の打海文三さん。SF大賞は『傀儡后』の牧野修さん、『アラビアの夜の種族』の古川日出男さんのダブル受賞。SF新人賞は『ルナ Orphan's Trouble』の三島浩司さんが受賞。
 私は朝から新幹線で東京へ。東京駅で林譲治さんと待ち合わせ、銀座のビヤホールで霜島ケイさん、加門七海さん、森岡浩之さん、神代創さん、青木和さん、杉本蓮さんたちと会食した。ホテルにチェックインして荷物を置いたり着替えたりしてから、東京會館へ。受付で記帳していたら、SFファングループ連合会議長であり、徳間書店で編集のアルバイトをしている牧紀子さんがいきなり私の鞄をクロークへ持って行こうとする。私はここ数年毎年この式に参列してるんやから、クロークの場所もようわかってるし、いくら古くからの知り合いやからというても出版社の案内係が荷物持ちのようなことをしなくてもええやろうと思うが、彼女の親切心はこういう形をとることが多い。だいたい貴重品が入ったままの鞄をクロークに持って行かれても困る。そのように伝えたら、なんとか鞄は放してくれたけど。なんで記帳をしている最中に鞄をもぎ取られるのに抵抗するようなことをせんならんのか。困ったもんでありますね。
北野さんからトロフィー贈呈
 贈賞式ではまず、大薮賞の打海さんが賞状とトロフィー、副賞を贈呈され、受賞のスピーチ。続いてSF大賞の古川さんと牧野さん、新人賞の三島さんがやはり賞状とトロフィー、副賞を贈呈される。SF大賞のトロフィー贈呈役は前年受賞の北野勇作さん。古川さんに渡す時に、古川さんがおじぎをするのと同時に北野さんがトロフィーを渡そうとしてトロフィーがカウンターのように古川さんの額を直撃。みんな緊張してはるんやねえ。牧野さんに渡す時はスムーズにいったけれど、もともと知り合い同士やから、なんか照れくさそうやった。その様子は右の写真から察していただきたい。
 続いて受賞のスピーチ。
古川日出男さん
 古川日出男さんは淡々とした感じの話し方(写真左)。牧野さんは、常にうつむき加減で目を伏せ、なんか悪いことでもして謝ってるような感じ。牧野さんのシャイなお人柄が出ていたような気がした。花束を贈呈されたあと、壇からおりたところで写真をとらせてもらう。この日記の冒頭の写真がそれ。ものすごくいい笑顔やねえ。このあと、お子さんがやってきて牧野さんに甘えたりしてたんやけれど、その時の牧野さんは父親の顔になってはった。
三島浩司さん
 SF新人賞の三島さん(写真右)は、大阪在住とのこと。スピーチでは関西弁やなかったけれど、直接話したらまた違う感じやったかもしれん。今年は牧野さんにお祝の言葉を伝えにいってたりしたんで三島さんに話しかけるというようなことはでけへんかった。ちょっと残念。それにしても大賞も新人賞も、またまた関西勢。西高東低の状況はまだしばらく続きそうな気がする。
 パーティー終了後は、徳間書店主催の二次会へ。神林長平さんと同じテーブルに座ってしまい、緊張。石堂藍さんと初めてお話をする。三次会はショットバーみたいなところで牧野さんを囲んでお喋り。私は菅浩江さんとばっかり喋ってたような気がするけど。
 四次会は神田のカラオケボックスに集まっていた人たちと合流し、朝6時まで結局徹夜カラオケ。例年と同じく山岸真さんもいっしょ。もっとも、今年は牧野さんをはじめとしたそうそうたるメンバーがずらりとそろい、いくぶん趣はちごうたけれど。
 カラオケボックスからホテルまでは歩いていける場所にあったんで、酔眼朦朧としたままホテルに直行、2時間ほど仮眠してから10時にチェックアウト。浅草あたりの演芸場に行こうかとも思うていたけれど、やっぱり徹夜はもうきついねえ。朝食をとったらどっと疲れがでて、帰阪することにした。新幹線ではもう熟睡。こうして、1泊2日東京行きは、結局例年と同じような感じで過ごしたのでありました。
 ああ、まだ眠い。

3月9日(日)

 昨日は大阪に帰ってから、家に遊びにきていた両親と食事に行ったりしたこともあって、完全に疲れは取り切れず、今日も眠い。それでもタイガースのオープン戦の中継と相撲の中継と「仮面ライダー555」はしっかりと見たぞ。
 疲れていると頭がうまく働かん。妻とおしゃべりしていても、頭が働かんから、話の内容がなんか回りくどくなってしまう。で、だらだらと長話になってしまう。話し疲れてしまう。今日は早く寝て疲れを取ってしまいたいところなんですけどねえ。明日から学校の仕事は連日会議となる。終業式が終わったら、来年度の準備くらいで少しは余裕がでるんやけどね。
 ああ、まだ眠い。

3月10日(月)

 金曜のSF大賞贈賞式の時に、黒岩重吾さんの訃報に接した。享年79。
 黒岩さんの小説を一時まとめて読んだことがある。古代史に関心があり、自分もきちっとした古代史小説を書いてみたいと思うていた頃で、日本書紀などの記述にのみ頼ることなく、史料を駆使して人間関係を類推し、独自の視点で大和朝廷の暗部に迫っていて読みごたえがあった。古代史をロマンとしてとらえるのやなく、現代の政治にも通じる人間の権力に対する欲望を軸にしたものとして扱うてるのが面白かった。
 反面、古代の呪術的な側面にはあまり深く立ち入らないのが、私としてはちょっと不満でもあった。ただ、これはもともと社会派の小説家やった黒岩さんにしたら当たり前のことで、呪術や儀式などは黒岩さんにしたらあくまで政治の道具としてしか見られへんかったんやないかと思う。そこらへんの肌合いがちょっと私にはあわへんなあと思うようになってから、読み辛くなった部分はあるけれど。
 とはいえ、古代史のロマンなどという甘いものを廃し、リアリティのある歴史小説としてひとつのジャンルを築き上げた黒岩さんの功績は大きいと思う。一時は熱心な読者やっただけに、その訃報にはショックを受けた。
 慎んで哀悼の意を表します。


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