ぼやき日記


5月11日(日)

 「劇団虚航船団パラメトリックオーケストラ」の公演『明るい主婦たち ホ別@3〜』を見に行った。ごぞんじ北野勇作さんが毎回出演している劇団であります。いつもは日程の関係で初日にばかり見にいっているんやけど、今回は楽日に見に行った。これも日程の関係。初日は職場の歓送迎会、2日目は祖母の一周忌の法事というわけで、今日を逃すと見に行かれへんところやった。
 ストーリーは、援助交際に興味を持つ主婦たちが授業参観のついでに「出会い系サイト」を学校のパソコンから見ようとして起こる騒ぎと、自分の妻が援助交際をしているのではないかという疑心暗鬼にとらわれた男の動揺の2本の流れがからみあうというもの。相変わらず秋山シュン太郎さんの脚本はストーリーがよくまとまっていて見せる。特に今回は「出会い系サイト」の掲示板の書き込みの文章なんかかなりリアリティがあった。おそらくそういったサイトをよく研究して執筆に臨んだのやないかな。こういうお芝居(小説でも同じやけど)では、ディティールにリアリティがないと、全体の雰囲気がしらけてしまう。そういう意味では、そこらあたりがしっかりしているから援助交際に興味のある女性たちの心理を「笑い」というオブラートに包んで描くことがでけるんやね。今後、顧問をしている演劇部の生徒が作った脚本にアドバイスするうえで、おおいに参考になった。帰りがけにはいつものように北野さんのサイン本発売コーナーに寄る。最新刊をまだ買うてへんかったんで(というか、最初からこの公演で買うつもりをしていた)、まとめて買う。全部北野さんのサイン入りです。わーい。わしゃミーハーか!

 さて、「鉄腕アトム」の第6話であります。宿敵アトラスの設定は、なかなかよく考えてある。アトムと同様、子どもを失った親、しかも財閥の主の依頼で天馬博士が作り上げたのがアトラス。子どもを自分の会社を継ぐ道具としてしか見ていない父親に対して「そんなに支配するのが楽しいか!」とアトラスが人間を襲うようになったという展開には説得力があった。もとも、アトムが「天馬博士? トビオって誰?」とお茶の水博士にたずねても、博士はごまかして答えようとせんのですが、その理由が現時点ではようわからん。遅かれ早かれ知れることなら、早いとこ教えたったらええのに。今回はかなり持ち直した感じかな。

5月12日(月)

 別にどうでもええ話やけれど、勝手に日本に迷いこんだ野性のアザラシの目の上に釣り針が刺さっていたくらいでなんで新聞やテレビが大騒ぎするのか、私には理解でけへん。なんでもこのアザラシには市民権まで与えられてるという。政治難民には入国を拒否しても「かわいい」アザラシやったら人間なみに扱うわけですか。常識というものをどこかに忘れた役人が多いのと違うか。ペットブームで飼うてる犬を、世話でけへんですてる人もいてるというのにねえ。「想う会」とやらは白装束の集団やったりするが、なに「見守る会」てなもんを結成している人らもさして変わるまい。世の中不況で職を求めて苦労している人が増えているご時世に、たかがアザラシ一匹に大騒ぎするとはよほど暇をもてあましているに違いない。
 私はかのアザラシを愛称では決して呼びたないな。日本に迷いこんでいる野生動物はもっといっぱいいてて、行政はたいていそれを処分しているのに、あのアザラシだけ特権が与えられているというのをおかしいと思わん神経が信じられんのですわ。

5月13日(火)

 今日はマンションの消防設備の点検日。私はもちろん出勤しているんで、当然ながら妻が応対する。点検の係員さんが非常ベルのスイッチを確認して言うたそうな。
「SFがお好きなんですねえ」。
 なんでわかった? 係員さんは書庫の部屋は見てへんはず。それとも私の部屋に入った時に本棚をチェックしたか?
「私も昔は『キャプテンハーロック』は好きでねえ」。
 ここで妻ははたと気づいたのであります。非常ベルのスイッチの横にガラスケースが置いてあって、そこには「松本零士の世界」のフィギィアが麗々しく飾ってある。玄関を開けたら、つくりつけの飾り棚には「手塚治虫キャラクター」のフィギィアが並んでいて、お出迎えをしてくれる。リビングのテーブルの上にはハロが鎮座ましましている。うちにはSFアニメ(しかも昔の)ファンですよと看板あげて住んでるようなもんやねんな。私たちは毎日目にしてるから、それらは当然のものとしてそこにあるわけやけど、初めて見た人の目をひくことは間違いないし、アニメ育ちの世代やったら、そういうものをええ年をして並べている家の住人の趣味なんかまるわかりですわな。
 というわけで、私たちがSFファンやということは、初対面で看破されたのでありました。いや、誰でもわかるデ。

5月14日(水)

 昨日の日記を読んだ妻から「書庫の部屋も点検しはったよ。本棚をじっくり見たりはしてないけど」と指摘がございました。そらそやな。すべての部屋に火災の感知器がついてるんやから、一部屋だけ点検しないわけがない。ここで訂正をしておきます。

 新聞に載っていた週刊誌「SPA!」の広告の見出しに「30歳 結婚ビビリー君」というのがあった。記事を確認してへんので詳細はわからんが、結婚をしてしまうと自由になる金や時間がなくなるのでビビッてしまう男性のことを指すようです。まあ実際、そういう人はいてるやろうと思うけれど、問題はこういうネーミングをしてしまうと、それが一人歩きしてまうことやろうね。そして、30歳の独身男性は十把一からげに「ビビリー君」にされてしまう。週刊誌の記事にまともにとりあうほど愚かしいことはあらへんとも思うけど、3年ほど前、1962年生まれの者はすべてが異常な人間であるかのように決めつけられたこともありましたからなあ。その前には17歳の若者は誰もが変質的な犯罪をおかすことにされてしもうてたこともある。あの時に我々を異常者扱いした大学教授たちは今でも1962年生まれは異常者やと主張し続けてるかというとそうやない。雑誌に求められて適当なコメントをしたことなんか忘れてしもうていることやろう。
 今は「SPA!」だけのことかもしれんけれど、こういうおもろいネーミングは他のメディアも飛びつきたがりそうな気がするな。「パラサイト・シングル」よりもわかりやすいもん。で、そうやって虚像が一人歩きしていくのです。そして、今回の場合は30歳独身男性やけれど、さんざん玩具にされ、謝罪の一つもなくそんなやつおったんというように忘れ去られていくのです。
 とはいえ「結婚ビビリー君」とはうまいネーミングやなあ。品もなく根拠もなくなんのひねりもない、そこがうまい。わかりやすく貼りやすいレッテルはすぐに覚えられるし使いやすいからねえ。たとえそういう実態がなくても。

5月15日(木)

 舌の先に口内炎ができて、痛い痛い痛い。
 私はだいたい口内炎ができやすい体質やった。胃をあらしたり風邪で微熱が続いたりすると、すぐに頬の裏側やら唇の上やら舌先やらに口内炎ができたもんです。そのかわり、皮膚は丈夫なんか、にきびやら吹出物はあんまりでけへんかった。ところが、ここ数年は口内炎はほとんどできなくなったかわりに、口のまわりに吹出物ができやすくなった。35を過ぎて、体質が変わったんかあと思うていたら、この4月に久しぶりに口内炎ができた。これが舌の付け根で、舌を動かすだけで痛いの何の。胃薬をしばらく呑み続けていたら、やっとこさ治った。ところが、数日前から今度は舌先や。今年は花粉症もでたし、本厄をむかえてまたまた体質が変わったんかいねえ。
 もっとも、この4月に入ってからは学校の仕事が非常に忙しく、気の休まる時がない。それがもろにでてるんかなあ。
 ほんまは患部を刺激したらあかんのやけれど、つい舌先で歯をわざと触ってみたりする。痛いのが気持ちいい、とはとうてい思われへんけれど、子どもがいたずらするみたいにやってしまうんですな。ああ痛い。

5月16日(金)

 仕事をしていて頭を使い、ああしんど、と思うた時に、最近頭の中にあのフレーズが浮かぶようになってきた。
ややこしや〜。ややこしや」。
 これがエンドレス状態で頭から離れへんのですな。なんというのか、根源的なリズム、テンポ、アクセント、イントネーションが身も心も揺さぶってくれる。子どもの間ではやるはずであります。
 おそるべし野村萬斎、おそるべしNHK教育テレビ。
 このリズムを刻み込まれた子どもたちが大きくなった時、どんな文化が新たに作り出されるか。それを考えただけでなんかわくわくする。
 それにしてもなあ、この4月からずっと仕事が忙しく心が休まる暇もない。その間、ずっと頭の中で野村萬斎の声が響くんやろうか。ううう。
ややこしや〜。ややこしや」。
 誰か止めくれい!

5月17日(土)

 今日は京都の医者に行ったついでに梅田で買い物。「旭屋書店」は1階を改装、リニューアルオープンということであぶらとり紙やら修正テープやらをもらう。
 改装して、中の配置が変わってしもうているから、目当ての本を探すのにも一苦労。店員さんに場所をきいてはみたけれど、いわれた通りに探しているのに見つからんので難儀した。
 確かに前の配置は店内がせせこましく本が見にくかったのは事実で、今回の改装で空間が広くなって快適にはなった。とはいえ、その分棚に入っていた在庫の本がなんか減ったような気もする。この改装を機に回転の悪い在庫を返本したのかもしれへんね。書店経営は大変であるとは思うけど、新刊以外の本が手に入りやすいのがこういった大型書店のメリットやねんから、そこはちょっとなんとかならんかとも思う。
 いうてもなあ、町の小規模な書店はもっと状況が悪いわけやから、この程度の改装ですんだのをよしとしとかなあかんのかもしれんなあ。

5月18日(日)

 今日は「たちよみの会」。「本の雑誌」6月号の「SF者すごろく」ネタやら、高校時代の体育の時間の柔道着や剣道の防具の話で盛り上がる。
 ところで、家から梅田の駅に向かう途中、天神橋筋六丁目の交差点のところで、募金箱を持った初老の男性たちを見かける。募金箱には「野宿者にカンパを」と書いてある。つまり、ホームレスのおっちゃんたちが自分たちの生活費を街頭に立って集めているというわけやね。
 そんなんしてる間があったら仕事探せよ、というのは簡単やけれど、現実にはそうもいかんのやろうね。募金箱に書かれた文字が、丁寧できれいなのがかえって悲しい。私の見たところでは、誰も募金箱にお金を入れている様子はなかった。
 そらそやろなあ。募金活動というのは、子どもや若者が人のためにやっているから、おお協力したろかという気になるんであって、ホームレスのおっちゃんの生活を守ってやろうという気にはなかなかなれんわなあ。むろん、このおっちゃんたちも好き好んでホームレスになったわけやなかろう。私かて、いつ何時そうなるかわかったもんやない。銀行が破綻して税金がつぎこまれているというようなご時世やから、ホームレスのおっちゃんたちかて仕事もなくて困ってるんやろう。
 ただなあ、やっぱり募金は無理があるように思うなあ。つまりそれ、乞食的行為でしょ。乞食的行為にも技術がいると思うんやね、やっぱり。いかに同情をひくか、思わず恵んであげたくなるような、そういう演出はいるでしょう。募金箱抱えてふてくされた表情のおっちゃんには、同情をひく要素がないもん。気持ちはわかるけど、おっちゃんもっと工夫せえよ、と感じた次第。なんか妙なプライドを感じてしもうた。

 今週の「鉄腕アトム」は第7話。いよいよアトムとアトラスの戦いとなる。最後はアトラスが優しい心を取り戻して宇宙の塵となるという、なんの意外性もない終り方。まあまあそれはもうわかりやすいお涙ちょうだいでもかまへんけどね。2点だけ、ぼやきたい。月の基地をアトラスが襲撃したのに対し、アトムがそれと闘う、という展開になったんやけれど、こういう場合のアトムは、アトラスと闘う前に逃げまどう人々を助け、それに対してアトラスがどういう反応を示すか、というのが手塚的な展開やろうと思う。それをしないアトムには違和感か残るねえ。それと、トビオの回想シーンのBGMに旧シリーズのアトムの主題歌がオルゴールの音色で入るんやけれど、これはつまり旧作のアトムはもう死んだというサインか? そういうところで使うのはやめてほしいなあ。それやったら新しい主題歌なんかやめて最初から「そーらーをこーえてー」とZONEに歌わせたらよかったのに。

5月19日(月)

 今朝録画したNHK教育テレビの「にほんごであそぼ」を見ていたら、小さな子が二人じゃんけんをしている。「さいしょはぐ、じゃんけんほい」「ぎおんしょうじゃのかねのおと」「さいしょはぐ、じゃんけんほい」「しょぎょうむじょうのひびきあり」とじゃんけんに勝った方が平家物語の出だしに合わせて小走りに駆け出す。意味なんかわからんとやっておるんやろうけど、マンションの中庭でここらの子どもが「しょぎょうむじょうのひびきあり」てなことを言うて遊んでたらきっとこわいぞー。
 これを見てた妻が「ほかにもあるのよって教えよ。『おとこもすなるにっきというもの……』」それやったら「『いずれのおんときにか、にょうごこういあまたさぶらいけるに……』はどうや」。
 悲しいのは、そういう冗談で有名な古典の出だしを口にしても、その先が続かんことやねえ。「ええと『はるはあけぼの、ようよう、ようよう、ようよう……』」。「スケバン刑事」やないねんからね。「ようよう」で途切れるのはちょっとみっともないか。

5月20日(火)

 テレビ朝日のスーパーモーニングとかいう朝の番組のキャスターは徳永という女性アナウンサーがつとめていたけど、この人が不倫したとかせんとかで降板し、その後任にABCのわれらが赤江珠緒アナウンサーが起用されることになった。やっと珠緒ちゃんの魅力に気がついたか。愚か者めが。
 まあ、大阪でアクの強い芸人さんたちに鍛えられてるから大丈夫やとは思うけど、「女子アナ」なるタレントまがいの女をちやほやしてモノにしようとする好色な東京のタレントたちの毒牙にだけはかからんでおってほしいもんやね。そうです、珠緒ちゃんは「女子アナ」なる低俗な人種とは別な世界で仕事をしてきたのですぞ。烈火のごとき猛暑の甲子園で実況中継をしてきた本物のアナウンサーやねんからね。中西球道ら元プロ野球選手の解説者に鋭いツッコミを入れられる実力派なんやぞ。間違えたらあかんぞ、好色タレントども。
 もう一点心配なんは、全国ネットの番組に出るからというてなんか無理にやせたりしてほしくない。あの健康的な二の腕を維持し続けてほしいのであります。そして、東京の番組に出たからというて愚かしくも読売ジャイアンツに媚びるような発言を押しつけられてほしくない。そういうのはきっぱりと拒否して、タイガースを応援し続けてほしい。
 しかしなあ、珠緒ちゃんは東京行きかあ。寂しいなあ。娘を嫁がせる父親の心境、というほどのものではないんやけれどね。


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