作家、谷恒生さんの訃報に接する。享年５７。死因は食道ガン。
私が谷さんの作品に興味を持ったのは学生時代。内藤陳さんたち冒険小説ファンがその面白さを喧伝するので、「マラッカ海峡」を買うてきてすぐに読んだ。ああ、あの頃は買うた本をすぐに読めたなあ。今はどれを先に読もうと順番を決め、結局読まんままに何年もたってしまうという本がやたら多くて困る。いやいや、話がそれた。
面白かった。すぐに「喜望峰」「ホーン岬」などを買うてきて読んだ。もと船員というキャリアを生かした船の上の描写に惹かれた。今でも書庫にはそれらがちゃんと並んでいる。
あれ？ と思うたのは「魍魎伝説」やった。伝奇バイオレンスのはしりというか。むやみに壮大で無秩序で収拾のつかない、そんな話やった。いったい何が起こったんやろう。そのあと、夢枕獏さんや菊地秀行さんによる超伝奇バイオレンスのブームがくると、谷さんの作品はその方面のものばかりになっていく。
伝奇バイオレンスのブームが終ると、架空戦記のブームがやってきた。谷さんはなぜかそのブームに乗るように架空戦記を書き続ける。架空戦記のブームが落ち着くと、安倍晴明ブームに乗るように書き始める。
もともと実力はある。そやから、流行ものに便乗したとしてもそれなりの水準は保っていたと思う。そやけど、初期の海洋冒険小説の面白さにはおよばん。
依頼を断わることがでけへんタイプの人やったのやろうか。力量があっただけに、注文はちゃんとこなす。その力量を流行ものですり減らしていったように感じた。
謹んで、哀悼の意を表します。
今日、タイガースとジャイアンツの試合を見ていて無性に腹がたった。
ジャイアンツの選手にやる気というものが感じられへんのや。たとえ負け続けていても、ベイスターズもカープもなんとか１勝でもしてやろうという姿勢は見られる。昨年のタイガースも６月以降はなかな勝たれへんかったけど、勝ちたいという意欲は見えていた。それが空回りしてる感じがした。ところが、今のジャイアンツは違う。楽をして打球をとりに行こうとして腰高になりボールを後逸する、早いカウントから無造作に打って出る。しかも、そのメンバーはドラフト上位やフリーエージェントなどで入団したベストメンバーや。
４月の末頃、東京の放送局のアナウンサーやら解説者は、「夏になったら怪我をした選手が復帰してベストメンバーが組める。勝負はそれから」と力説していたし、週刊誌でも広岡達朗らそうそうたるメンバーが「タイガースは途中で息切れするから、勝負は夏以降。タイガースは優勝できない」と断言していた。
それが、このていたらく。それにしても、ジャイアンツの選手はファンを馬鹿にしておるのと違うか。自分らの高給がファンの払うた入場料、ファンの買うた球団グッズ、ファンが見てくれることをあてこんでスポンサーがつくテレビの放映権料などで支払われておるという意識はないんか。球界の盟主が聞いて呆れる。
こんなチームにはあと２０年くらい優勝させたらあかん。
まいどおなじみ「鉄腕アトム」ぼやき日記の時間でございます。今週は第１４話。原作にもあるエピソードを、ほぼ忠実にたどっている。ミニミニ博士（原作ではフーラー博士）がアトムを手に入れようと、ウランの体内にマイクロロボットをしのびこませ、ミニチュアのアトムを作ってアトムに操作させ、アトムの意識がミニチュアに移っている間に本体を盗み出そうとする。原作ではミニチュアのアトムのからくりなどがあいまいになっていたけれど、今日の放送ではそこらあたりもちゃんと理屈をつけていて、脚本の小中千昭さんの細かなところへの配慮が感じられた。毎回このレベルを保ってくれたらいうことはあらへん。というか、やっぱり原作をもとにして作ったら面白いものができるということを証明したというところやろう。オリジナルストーリーで手塚治虫を超えるのは難しいんやから、ねえ。おもしろい原作がいっぱいあるんやから、それを映像化したらええんや。もっとも、「電光」の時みたいにアレンジしすぎて失敗したら目もあてられへんのやけどね。
相撲人気が低下しているところへもってきて、久しぶりに相撲がスポーツ新聞の一面を飾ったかと思うと、朝青龍と旭鷲山のけんかやて。最近は週刊誌が「八百長」について書き立てたりせんけれど、このけんかの裏にそういうものがあったとしたら……てなことまで考えてしまう。それくらい、この２人のけんかは程度が低すぎる。モンゴルでのひいき筋が、大統領と首相に分かれているから、という話もきくが、そんなものを土俵に持ちこまんといてほしい。せっかくモンゴル力士たちが次々と番付上位を目指してがんばっているのに、最上位にいる者がこんなことをしていては、しめしがつかんではないか。師匠のおかみさんを殴ったとして廃業に追いこまれた横綱がかつていたけれど。朝青龍が第２の双羽黒にならんとも限らん。このイメージダウンをなんとかしてくれる救世主はいてへんものか。相撲ファンとして、こんなに情けないことはないね。
赤影さんが亡くならはったかと思うと、イラクに大量破壊兵器がある証拠とされた文書は偽造やったとブッシュJr.が認めたり、日記のネタには事欠かぬ火曜日。
そやけど、私は今日をつい水曜日やと思うてしまう。なんでかというと、日曜日にクラブの付き添いで出勤してそこで仕事をし、そのまま月曜に突入してしもうたからやね。これが土曜日の出勤やったら、こういう感じにはならん。土曜に休んで日曜に出ると、体がその日を週のはじめと認識してまうんやろうね。リズムがずれる。かくして月曜は火曜、火曜は水曜となる。実際、火曜発売の週刊誌を買いに本屋に行って「なんで週刊朝日が出てへんのやろ？」と首をかしげてしもうたもんね、昨日は。ああ、今日は月曜やった、と気がつくまでしばらくかかった。
それにしても土曜も日曜もクラブに出ずっぱりの生徒たちは、やっぱり若いんやなあ。今日も７時半くらいまで活動してたもんなあ。一晩寝たら疲れが取れてるのかもなあ。私も２０数年前はそうやったんやろうなあ。
というわけで、赤影さんの話は明日ね。今日は疲れた。もう寝ます。
今週末は栃木で開かれるＳＦ大会に行く。カレンダーを見ていて気がついたんやけれど、ＳＦ大会と「たちよみの会」の例会の日が重なってるんやね。というわけで、私も妻も今月の「たちよみの会」例会には出られません。お休みにします。実は、「たちよみの会」を始めてからもう１０年になるけれど、お休みにするのはこれが初めて。ちょっと残念。
赤影さんの話をする。「仮面の忍者赤影」で赤影役をやってた坂口祐三郎さんが亡くならはった。悪役もまわってきたりしたけれど、赤影さんのイメージを壊さんように、ずっと断わってきはったという。確かになあ、「ウルトラマン」のハヤタ隊員や「ウルトラセブン」のダン隊員が中村主水に殺されるのを見た時はちょっとばかり胸が痛んだ。「ザ・ハングマン」という必殺シリーズの現代版では「ウルトラマン」のフジ隊員と「帰ってきたウルトラマン」の郷隊員が悪巧みをして最後に罪のなすりあいをしたかと思うと、「ウルトラセブン」のキリヤマ隊長と「ウルトラマン」のムラマツキャップ（「仮面ライダー」の立花藤兵衛でも可）が結託して私腹を肥やし不様な姿をさらしたりして、これはあまりにもひどいと思うた。
赤影さんの場合、私らは仮面の姿しか印象になかったから、素顔で悪役をしたとしても気がつかなんだかもしれんのに。
時代劇では視聴率が取れんというのが定説になってるらしいけど、なんでそうなったかというと、子ども向きの時代劇をやらんようになったからやないかと私は踏んでいる。私らの上の世代やったら「隠密剣士」「白馬童子」「風小僧」なんかがあったわけやし、私らには「赤影」の他にも「変身忍者 嵐」「快傑ライオン丸」があった。普通の時代劇とは違うけど、奇想天外な中にもチャンバラの面白さがふんだんに含まれていた。今の子どもはあの楽しさに接することがないんやね。東映もずっと「仮面ライダー」の新作を続けてやってきたんやから、来年は「赤影」を新シリーズで復活させたらどうかな。あかんかな。
「赤影」の楽しさはＤＶＤも出てるんで、それで確認してほしい。あんなに自由な時代劇はちょっとないよ。ああでもなあ、あの時代はまだ東映時代劇の残り火があったから、悪役俳優にも魅力的な人がたくさんいたけど、今やと天津敏や原健策みたいな主役以上に存在感のある悪役はあんまりいてへんかもしれんなあ。
テレビでの「赤影」の復活を願いつつ、坂口さんに謹んで哀悼の意を表します。
本日、授業終了。前後期制をとっているので、夏休み直前の本日まで授業をした。もっとも、私の場合は「なにわ研究」という授業で六代目笑福亭松鶴のビデオを見せたりするという実に趣味に走った授業なんで、それほど苦にはならなんだけれど。六代目の追悼番組を見せてたら、桂春蝶、古今亭志ん朝、笑福亭松葉（七代目松鶴）と故人が続々出演していてなんか複雑な心境になってしもうた。まあ、それはともかくなんとか夏休みにこぎつけた。緊張の糸がほどけたか、むやみに眠く、だるい。明日はＳＦ大会のために栃木に行くんやけど、行きの新幹線で爆睡しそうやな。
交通費だけでもかなりかかる上に、大会参加費もけっこうなお値段。これでおもろなかったら昨年に続いて怒るやろうけれど、企画の予定表を見るとそれはまあ大丈夫そう。もっとも、自分の関わる企画、「星雲賞受賞者パネル」については、おもろなるもならんも司会の私にかかってくるわけで、ちょっとプレッシャーかかるかも。
というわけで、ＳＦ大会参加のみなさん、私を見かけたら「マジック４５ですね」と声をかけて下さい。
そんなこんなで「たちよみの会」は今月はお休みです。また、次回更新は月曜深夜はちょっと無理みたいなんで、火曜深夜の予定です。
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