ぼやき日記


8月12日(火)

 演劇部の合宿で、浜寺公園にある「大阪国際ユースホステル」を利用する。思ったよりも新しく設備もいい。なるほど、人気があって希望日になかなか予約でけへんかったはずや。
 むろん、いろんな団体が利用する。ちょうど同じ期間中にYMCAの子どもキャンプといっしょになり、食事は必ずいっしょの時間になる。キャンプリーダーの女性が「いただきます」を楽しく言わせるために毎日工夫していたのが印象的。キャンプソングの定番「ごはんだごはんだ」に続いて賛美歌を歌うところが物珍しく、演劇部の生徒も食べる手を止めてその様子を見ている。
 友だち同士の団体、家族連れ、英語研修……。こういう機会ででもなかったらまず会うことのない人々をつぶさに観察できるのが楽しい。「青少年センター」を併設しているので音楽室やら研修室やら体育館やらを使用できるから、団体客も多いんやろうね。
 ユースホステルというのは今まで利用したことがなく、低予算旅行で宿泊するところというくらいのイメージしかなかった。固定観念はいかんね。
 事故もなく大阪市内に帰ってこられたんで、まずは一安心。さあ、明日から盆休みや。書かんならん原稿もあるので、有効に使いたいねえ。

8月13日(水)

 日曜日に合宿で不在やったんで、今日やっと「鉄腕アトム」の第18話「プルートウは死なず」を見ることができた。先週からの続きということで、どう決着をつけるか楽しみにしてたわけです。
 ストーリーとしては破綻はないし、戦うために生まれたロボットであるプルートウがアトムの影響を受けるというあたりもそれなりに説得力がある。ただ、気になったのは天馬博士が「ロボットは進化する」「これがアトムの潜在能力だ」と連発するところ。ロボットはあくまで機械やからね。かってに進化したり、製作者の予想もつかない潜在能力があったりするのはまずいんやないかいな。そんな物騒なもんやったら、反ロボット主義者が出てくるのは当たり前やね。なんか根本的なところで科学というものを理解してへんのと違うかと思う。今回のアトムを見ていていらいらするのはそのあたり。スタッフの中に「SF考証」をいれておいてくれたら、こんなにいらいらすることはなかったんやないやろうか。

8月14日(木)

 今日は墓参と里帰りで京都へ。まさかこんなにざんざんぶりの大雨になるとは思うてもみんかった。
 とにかくよう降った。うちの墓は東山にあるんやけれど、四条京阪の駅を降りてから墓に着くまでにズボンのすそはずぶぬれに。墓地でバケツとひしゃくを借りて水をついで石段をあがるんやけれど、側溝がないんで石段が川になったよう。墓に着いて線香に火をつけるにしても鞄を地面に下ろすわけにいかず、傘をさしながらようようのことで点火。数珠を出して手を合わせ、妻と交代。そのあとバケツの水を墓にかけるんやけれど、大雨で墓もびっしょりと濡れてるもんやから、清めの打ち水の効果があるんかと心配になる。例年やったらカンカン照りなもんやから、水をかけた端から乾いてすぐにバケツいっぱいの水がなくなる。今年は形ばかりとなってしもうた。
 ご先祖様には悪いけれど、すぐに退散。短時間やったけれど、大雨の中で墓参りの手順を一通りやったりしたもんやから、傘をさしてはいたけれどずぶ濡れになる。妻も着ていた上着の背中の部分が色が変わって見えるほど濡れている。昼食をコーヒーショップでとったんやけれど、冷房がきいていて服が少しずつ乾くにつれ体が冷えていく。
 日程的にしかたなかったんやけれど、こんな大雨の日に墓参りなんかするもんやありませんな。それにしても今年の気候はやっぱりおかしいわい。

8月15日(金)

 原稿を書こうと思っていたのに、結局昼寝をしてしまう。書くということにもっと執着せねばと思うんやけれども、最近いささか淡白になりつつあるかも。もしかしたらホームページの更新で「書く」という行為に充足してしもうてるのかな。まずい。あんまり日記などで発散せん方がええんかもしれん。

 日本テレビのナイター中継は、見る度に新鮮やね。今回は「東京ドームのスタンドに来ている有名人を当てる」というクイズをしていた。読売新聞の今朝の朝刊に、その有名人の子ども時代の写真を掲載し、名前をハガキに書いて応募するという趣向らしい。スタンドをロングで写して、ちらりと見えるように仕掛けている。このタイガース3連戦の間に日替わりでタレントがくるわけですな。
 それが野球の面白さとどう関係があるんや。野球中継でやる企画やないで、はっきりいうて。スポーツの楽しみというものを根本的なところで誤解しているとしか思われん。サンテレビは絶対そういうしょうもない企画はやらへんな。スポーツライターをゲストに招いて放送席に座らせるという、オーソドックスやけれども野球ファンを満足させる企画ならやる。
 とにもかくにも日本テレビの勘違い企画はとどまるところを知らんね。どういう思考回路をもっていたらこういう企画が出るのやら。とんちんかんなアイデアではあるけれど、そういうアイデアを出すエネルギーだけは認めなあかんやろう。できたら、もっと「野球を楽しむ」という方向に向けてほしいところやけれど。

8月16日(土)

 今年も大文字の五山送り火とは無縁のお盆を過ごすことになった。京都の産で、幼い頃は家から大きく大文字が見えていて、毎年あの美しい火を見て過ごしていただけに、寂しいものはある。18歳で実家が転居してから、大文字はわざわざ見にいかなならんものになってしもうた。結婚して大阪に転居したら、ますます縁遠くなった。10年くらい前に「たちよみの会」が送り火の日と重なったんで、例会終了後に出町柳まで出て見にいったことがあったけど、たぶんそれ以来送り火はじかに見てへんのと違うやろうか。
 そういえば、子どものころには当たり前のように毎年見にいっていた祭やなんかは、転居とともに全てが縁遠いものになってしもうた。祭そのものがなくなっているということはあらへんと思うけれど、今、おっさんになった視点で見たらどないやろうとふと思うたりする。
 卒業した小学校や中学校には20年このかた行ってへん。中身はすっくり入れ代わって、入れ物だけは昔と同じように残っているんやろう。何かの機会に行ってみたいと思うこともあるけれど、その時間をとることもかなわん。
 今年も送り火は新聞の写真で見るんやろうね。来年は……カレンダーを見たら月曜の夜や。「たちよみの会」はみごとにとばされてるなあ。閏年で2月が1日多いから、そうなる。なかなかうまいこといかんものです。

8月17日(日)

 本日は「たちよみの会」。夏のコミケットと日程が重なってしまったこともあったけれど、京フェスの岡田さんやアンサンブルの湯川さんが顔を出してくれはった。湯川さんにSF大会のプログラムブックを見せたら大受け。学習ノート風の装丁なので「ベルマークがほしいですねえ」。ベルマークとまではいかんでも、次のSF大会の参加料が割り引きになるクーポンをつけたらどうかというと、岡田さんが「100点まで集めたらただになるとかねえ」。

 さて、今週の「鉄腕アトム」であります。「ロボットボーイ」というオリジナル・ストーリー。宇宙飛行士を母に持つ少年は大のロボット好きで、自分もロボットに見えるコスチュームをするほど。そやけど母親はなぜかロボット嫌いで、息子がアトムと友だちになろうとすると「アトムもどうせ鉄の塊よ」と理解してくれへん。
 はい、もうこれで全ての展開が予想されましたね。息子にか本人に何かピンチがあり、それをアトムが救い、母親もロボットに対する見解を改める、というようなことやろう。そして、実際にその通りに話は終る。何の意外性もない。どこがおもろいねん。
 宇宙船で初めてワープ航法を試す、その試運転にくだんの宇宙飛行士は搭乗するんやけれど、発射直前にアトムが宇宙船のプログラムを解析して重大な欠陥を発見する。その欠陥というのは発射直後宇宙船がすぐに墜落するくらいのもの。その欠陥というのは、航法プログラムの一部が古いまま変えられずに残っていたという内容。おいおい、そんな重大な欠陥を見過ごすかい。小さなバグがあったというならともかく。しかも、発射場にロボットのかっこうをした宇宙飛行士の息子が潜り込んでいる。ロボットのかっこうをしているというだけで入れるほどセキュリティが甘いんかいな。
 あまりにもずさんな脚本にあきれ、誰が書いたんやとエンディングを見てたら、麗々しく「マーク・ハンドラー」と記されている。この人物はメインスタッフにも名をつらねている。アメリカにフィルムを売るためにはこういう人物が必要なんか知らんけれど、まず日本の視聴者の鑑賞に耐え得るものを作り、それからアメリカに売れよ。最初からアメリカ人をターゲットにしてるからこういうええかげんなストーリーでもOKになるんと違うかい。
 正直なところ、今回は私は怒ったね。漫画史上に残る深いテーマ性に支えられた名作を、実に単純でずさんなものにしてしもうてる。その元凶がこのマーク・ハンドラーなる人物であり、こういう人物に作品をまかせる手塚プロである。私は、この「鉄腕アトム」の早期打ち切りを主張したい。これ以上アトムに恥をかかせんといてくれ。頼む。

8月18日(月)

 なんとか原稿を1本しあげる。落語に関する本の紹介文という仕事。これをきっかけに落語方面からの仕事がきてくれたらええんやけれど、それは今回の仕事しだいかな。
 夜は北野勇作さんご夫妻と会食。私の稼業の関係で北野さんにお願いをしなければならんことがあり、それに関する打ち合わせをする。また奥さまの森川弘子さんがブックカバーのイラストデビューをしはったんで、そのお祝いもかねて、というわけ。私はその本を持っていって、森川さんにサインをしていただく。私はミーハーです。もっとも、書評をやっているということで作家の方にはあまりサインをねだるということはよくない。欲しくても自粛している。イラストやったらそこらあたり遠慮はいらんもんね。うちは夫婦そろって森川さんのファンなのです。
 なぜか某超ハードSFホラー作家の方の話題になると話が弾む。むろん、ほめてほめてほめまくっているのであります。
 というわけで、今日はけっこう楽しい1日やった。明日もこの調子で原稿が書けたらええのにな。

8月19日(火)

 半日童話の想を練る。結局書かれへんかったけど、あと一つ何かつけ加えられたら面白いものができそうなところまでいく。あとは書くだけ。

 妻が毎週見ているテレビドラマ「ウォーターボーイズ」をついいっしょに見てしまう。青春ドラマは実はあまり得意やないんやけれど、これはついつい見てしまう面白さがある。
 ただ、学校の教員の描写だけはやっぱりステロタイプなところがあるなあ。こればっかりはしかたないんやろうけれど。今週の話で、シンクロをしていて成績の落ちた生徒会長に、なぜか教頭が予備校の夏季合宿を勧めるシーンがある。これなんかまずあり得ない。いくら生徒会長とはいえ、一生徒に対して教頭が進学指導をするというところがひっかかる。まず担任、そして進路指導部の進学担当者、せいぜい進路指導部長止まりやろう。また、公立の学校の教頭が予備校のセールスマンみたいなことをするのも変や。リベートでももろうてるのと違うか。それも職員室で他の教師の前でそういうことをする。教育委員会に知られたら一発やろうね。
 公立とは限らんという反論もあるかもしれんが、この学校は教育委員会の指導でシンクロ同好会の文化祭参加を中止させられている。私立やったら自治体の教育委員会の管轄下にはないから、この学校は公立やないといかん。そうやないとストーリーが成立せん。
 では私に学校を舞台に小説を書けといわれると、それも困るけどね。現役の教師が学校のことを書くと生々しくなり過ぎてしまう。
 ここらあたりをごちゃごちゃ書くと、そんなんどうでもええやんかといわれそうな気がするし、自分でもたかがドラマやんと思う。見てる方が楽しかったらそれでええんやし、見てるのはほとんどが教師と違うんやからね。まあ、ドラマというのはその程度のもんやと割り切って見ていただきたいと、そういうことです。

8月20日(水)

 昨日想を練った童話を書き上げる。推敲をして、送稿。なんとか採用されたらええなあと祈るのみ。この調子でなんとか毎月最低1本は書けたらなあと思う。

 「秋田漫画文庫」新刊の新聞広告を見ていたら手塚治虫「ブラック・ジャック」17巻のところに「単行本未収録3話収録!」と書かれてるやないか。手塚さんは雑誌に連載したものでも必ずしもそのまま単行本化することはなく、加筆訂正したり大幅カットしたりしている。「ブラック・ジャック」みたいな読み切り連載ものやと、自分の気に入らなんだエピソードなんかは単行本には収録してへん。「手塚治虫漫画全集」にも入ってへんとあらば、つまりこれはもう買うしかあらへん。もちろん、既に持っているほとんどエピソードがだぶる。なんかもったいない気もするけど、仕方ない。
 まだ漫画文庫やったら紙質もええし、ぽつんと17巻だけ持っていてもええかなあと思うんやけれど、もっとひどいのは「三つ目がとおる」。これも単行本化の際にカットされたエピソードがいくつかあり、長編なんかはかなり大幅な加筆訂正がなされている。実は、コンビニ向けの読み捨て型のコミックスで「単行本未収録」の短編を毎号のようにいくつか入れている。こちらは紙質はよくないし、手に入れそこねたらそれでおしまい。コンビニは棚の回転が早いから、3週間前のものにそういう「単行本初収録!」というような本があったとしたら、それはもう手にはいらんというてええ。あこぎなことをするよ、講談社は。それやったら全集に改めて入れてくれよ。
 出版社もこうやって商売せんと本が売れへんということはあるんやろうけれど、やり方があんまりやと思いませんか?


てなもんや囲炉裏端 ゆっくりまったり掲示板ですお気軽にご利用下さい。

メールはこちらまで。どうぞよろしく。


過去の日記へ。

ホームページに戻る