ぼやき日記


11月21日(金)

 河内長野の親殺し事件の犯人である大学生は、最初殺人罪だけで逮捕されたわけやけれど、今朝のニュースによると、強盗殺人に容疑が変わったそうな。なんでやというと、親を殺したあとで家に戻って親の財布を持ち去ったからやて。そんなん強盗殺人と違うやん。強盗を目的とした殺人が強盗殺人やとばかり思うていた。こじつけもええとこやね。
 なんで警察がこういうこじつけをしたかというと、容疑者の恋人である高校生の女性を共犯として逮捕するのには、男性の犯した殺人という罪状だけでは不可能やからやそうだ。ここに強盗という罪状を付け加えると、女性を共犯とすることができるんやて。
 むちゃくちゃな理屈やけれど、これがまかり通るところが恐ろしい。何が何でも女性も逮捕して拘引したかったんやろうけれど、そのためにこういうこじつけで罪状をでっち上げてええんか。男性の犯した殺人という罪は重いし、邪魔やから殺すという飛躍した思考にもついていかれへん。そやからというてこういう形で罪状を付け加えるようなことはしたらあかんと思う。公正さに欠ける。オウム真理教の信者が逮捕された時は微罪で別件逮捕してからサリン事件やら弁護士殺害事件に関する取り調べをして再逮捕ということをやっていたので「そこまでやるか」と驚いたもんです。
 とにかく警察がその気になれば、逮捕するための罪状なんかなんぼでも作れるということが今回もまたはっきりとしたというてええやろうね。もし無実であっても、警察がその気になれば……、ということにもなる。
 もっと恐ろしいのは、こういうことは自分にはふりかかってこんと思い、平然と見逃してしまうようなことやないか。いくら残忍な犯人であっても、やったこと以上に罪を着せてはならん。それを許さんということは、すなわち自分を守るということにつながってくると思うね。

11月22日(土)

 今日は特に冷え込んだ。所用で京都まで出かけたんやけれど、いつもやったら歩くと汗ばむ私が、汗をかかん。寒いとまではいかんでも、冷えたなあという感じ。
 梅田に行く途中、天六の交差点で大阪市長候補の某「無印良人」氏を見かける。投票所に行ったら5000円をくれるという公約をしている人物です。横断歩道の真ん中の、安全地帯になっているところに立って道行く人に手を振っている。赤信号で止まっている車には窓からゴミを捨てるモラルのない若者が乗ってたんやけれど、この男が某候補を見つけて窓から身を乗り出し、候補に手を振る。候補は嬉しそうに手を振り返す。男は使い捨てカメラを取り出し、候補に向けた。候補は嬉しそうにVサインを作ってポーズをとる。市長になろうという人が市民のおもちゃになっておってええんか。この軽薄さに泡沫候補の哀しさを見て、実に辛かった。
 京都から大阪に帰ってきたら、「出たがり屋でもなく選挙マニアでもない」選挙有名人の選挙カーに遭遇する。ううむ。有力候補の選挙運動には出会わへんのに、泡沫候補には出会うというのは、運がええのか悪いのか。
 明日は市長選挙。よく考えて投票しよう。市民のおもちゃになるような候補にはやっぱり入れる気にはなられへんけどね。

11月23日(日)

 あらら、選挙は来週やった。午前中、「アバレンジャー」から「デ・ジ・キャラットにょ」までを見たあと、着替えて選挙に行こうとして、妻に「投票は30日やんか」と指摘されるまで気がつかなんだ。「よっぽどこの前の選挙に行かれへんかったんが気になってるんやねえ」と言われた。こういうのを「羹にこりて膾を吹く」という。

 さて「鉄腕アトム」第33話です。仕事ばかりの父親は幼い娘に物を買い与えるだけ。お話ロボットのフライデイがした妖精の話から「私は妖精が欲しい」と言うたんで、フライデイは虫取り網をもって妖精探し。けったいなロボットや。声の出演はなんと手塚眞。こんなシリーズの出演は拒否してほしいところやけれど、そうもいかんわなあ。父親の依頼で人の思考を読んでそれをホログラムで出す機械を作ったミニミニ博士は、その機械を悪用して人々を惑わせ、そのスキに犯罪を実行。これをアトムがやっつける。父親の頭の中には娘のことばかりということがその機械のおかげでわかり、娘と父親は和解してめでたしめでたし。
 よくまとまっているし、ストーリーはおきまりの展開で目新しくもないけれど、矛盾だらけのものと比べるとまあ許せる範囲。しかし、この程度のものをずっと続ける意味ってあるんかな。

11月24日(月)

 今日は勤労感謝の日の振り替え休日なんで、普段の勤労に感謝しつつ、ひたすら読書をし、書評を書く。つまり、仕事をしていたわけで、読書という名の勤労をしていたわけです。いえいえ、仕事と称して本が読めるのですから、感謝しなくてはなりません、という日ですね。本当の勤労感謝の日は昨日やないかと指摘されるかもしれませんが、昨日は昨日で「SFが読みたい!」ベスト投票のために読み残していた本を読んで、年間ベスト5を選出したりしていたわけで、やはり勤労していたのであります。いえいえ、この投票で700円くらいの「SFが読みたい!」をいただけるのですから、感謝しております。
 というわけで、私にとっての勤労感謝の日は、自分の勤労に感謝するのではなく、お仕事をいただいていることに感謝する日やったのでありました。

11月25日(火)

 今朝、コンビニに寄ると「サイボーグ009」の食玩が発売されていたのでさっそく購入。私が買うのでありますから、もちろん海洋堂のものであります。ほかの会社が作るフィギアは単にキャラクターを立体化しただけのものでしかなく、動きが感じられへん。ディティールの正確さだけやなく、ひとつの空間を作り出している。
 授業が終り、ちょうど私が顧問をしている漫研の活動日なんで箱ごと持ち込み、生徒といっしょに組み立てる。この楽しみを共有できる生徒がいてるのが嬉しいのだよ、うんうん。ところがですな、このフィギィア、実に精密にできているのはよろしいのやけれど、その分組み立てるのが複雑になっている。正確にはめ込むと、みごとに安定するんやけれど、そこまでの過程がなかなか難しい。
「先生、そっちにはめたら」。
「えっ、こうと違うんか」。
 わあわあ言いながら作り上げると、004が爆煙をあげながらミサイルを発射しているフィギアが姿を現した。大の009ファンの生徒が風邪で欠席していたのが残念。次の活動日には別なのを買うて持っていこう。
 ええ年をしたオタクのおっさんと高校生の女の子がわいわい言いながらフィギアを作っているという図はあまり人に見せられるものではありませんが、父親が立派にオタクに育った娘とコミュニケーションをとってるみたいなもんやから、まあ許してよ。

11月26日(水)

 鯉ヘルペスが流行しているというニュースを聞いて、鯉が病気にかかったくらいで何を騒いでるねんとたいして関心ももたなんだんやけど、妻がニュースを見ていて「関東では鯉をよく食べるから騒ぎになってるんやって」と教えてくれて、得心がいった。
 そうやなあ、私の食生活の中では鯉を食材とは認識してなんだなあ。鯉とは池で飼うもの、くらいにしか感じてへんから「さすがは鴨の親子が道を横断するくらいで大騒ぎし、アザラシが川に現れたというて市民権まで与える地方は違うわい」というように思うていたんやね。そういえば、「鯉濃(こいこく)」という料理があったっけ。そんなもん食べるような豊かな食生活を送ってへんもんね。
 これがもし聖護院かぶらだけかかる病気やとか、すぐき菜だけいたむ黴やとか、そういう話題やったら深刻に感じたやろうね。で、関東の人は冬に千枚漬けやすぐきを食べるという習慣はないから、何のことやらわからんに違いない。そんな特殊な食材を持ち出さんでもよろしいか。それやったら昆布でもよろしいな。関西、特に大阪や京都では昆布なしでは食生活が成り立たんからね。塩昆布の上等なのがあったら、朝ご飯のおかずはほかにいらんくらいです。
 それにしても、所変われば品変わるというけれど、鯉の病気でそれを感じさせるというのは、東西文化の違いというものの隔たりに今さらながらに気がつかされるね。

11月27日(木)

 昨日の日記では私の貧しい食生活が露呈されてしもうた。私が鯉料理を口にすることがなったんは、関西全般のこととは全く関係がなかったんですねえ。ううう。
 食生活の貧しさを喧伝するわけやないけれど、ここのところずっと、私の昼食はカップラーメン中心である。実は美術の先生が「商業デザイン」の授業のためにカップラーメンのフタを集めていると聞いたんで、ちょいと協力しようと思うたんがことの始まり。なんでもカップラーメンは年間に700も新製品ができては消えるということで、集め始めはったそうだ。むろん、その先生もカップラーメンをあちこちのスーパーで買い求めてはる。私はもっぱらコンビニやねんけれど、実はコンビニの購買層を目当てにしているのか、実に商品の回転が早い。新製品が出てなんだらサンドイッチかなんかにしようと思うたりもしているんやけれど、毎朝行く度に新製品が並んでるんやからこらもう切りがない。
 特に、ラーメン専門店の味を再現したというタイプのものがひっきりなしにあっちの店こっちの店と新製品を繰り出してくる。おかげでカップラーメンの味に関しては妙にうるさくなりましたよ。
 難点は、このラーメンはうまいなあ、一通り新製品を食べたらもう一度買おうと思うても、次に探した時にはもう店から消えているということ。定番の製品は意地を張るように残り、新製品は時期限定という感じでどんどん変えていく、そういうメーカーの戦略が非常によくわかる。テレビで宣伝してるようなのは定番として残したいものに限ってるのやないかと推察される。カップラーメンの世界もなかなか奥が深いのでありますね。一見貧しい食生活に見えるけれど、これはこれでバラエティ豊かな食文化かもしれんな。

11月29日(土)

 昨日は職場の忘年会。賞品を賭けたじゃんけんゲームでイタリアワインを入手。酒好きの同僚がその場で開けようと何度も促すけれど、徹底的に拒否し、家に持ち帰る。これはクリスマスに妻と飲むのです。私は勝負に弱い。珍しくこういうものを勝ち取ったんやから、人になんぞやるもんかね。こういうところで気前よく振る舞える人の方が人間関係作りにおいては得なんやろうけれど。
 正直なところ、今年はいろいろな意味でストレスがたまっているから、こういう席で酒を飲むと一気にそれを解消するようにアホなことを口走ってしまうのが怖かったりもする。こういう場合はいらんことをしゃべらんようにとカラオケで歌ばかり歌うのが得策と、カラオケボックスを探したら、たまたま知っていたボックスが閉店してしもうていて、二次会はショットバー。ううむ。ボロが出てなんだらよいのですが。
 忘年会にはちょっと早いような気もするのですが、おもわぬお宝を手に入れたかと思うと次には自分の企画通りにはいかんという、今年を象徴したような忘年会ではあった。来週は2つ忘年会があるけれど、こちらは少しおとなしくしていることにしよう。

11月30日(日)

 今週の「鉄腕アトム」は第34話「変型生命ムーピー」。サブタイトルで手塚ファンならば、「火の鳥」を思い出さはることやろうけれど、はいそのとおり、今週と来週は「火の鳥・アトム編」をやろうとしております。猿田博士が月面で発見した古代遺蹟には、超人類に進化する鍵を握る生命エネルギー、火の鳥がいた。火の鳥に仕えるのは変型生命体のムーピー。しかし、恐怖に襲われたスタッフがムーピーを撃ったため火の鳥は怒り、遺蹟は破壊されてしまう。残されたのはムーピーの細胞とルナライトと名づけられた鉱物だけ。ルナライトは地球に持ち帰られる。そのルナライトを強奪する謎の獣がおり、実はそれはムーピーが悪の天才ロックの命令によって意に反して行ったことであった。ロックにだまされていた猿田博士は、アトムを火の鳥との交信に使おうとする。ロックはムーピーを使って火の鳥のいる次元に移動しようとするが……。
 今週の絵柄は1980年手塚プロ版のアニメに似た絵柄。キャラクターの描線はまるっこくて手塚の絵柄にかなり近付けようとしている。そして、ムーピーは「火の鳥・未来編」に登場したタマミがそのまま出演しているし、火の鳥の声は劇場用長編「火の鳥2772・愛のコスモゾーン」で同じく火の鳥の声をあてた竹下景子を起用している。
 猿田博士とともにお茶の水博士が月面に行っていたというあたりは「火の鳥・太陽編」での二人の関係を思うと妙な気分もするけれど、無理に「鉄腕アトム」と「火の鳥」に整合性を持たせる必要はないかもしれへんから、まあ許容範囲。ロックの位置付けは「バンパイヤ」にかなり近いものとなっている。
 つまり、今回とその続編にあたる次回のエピソードは、アメリカ売りなんぞくそくらえとばかりに手塚テイストを色濃く出したものやねんな。強引な点もままあるけれど、志をかいたい。というか、最初からこういうテイストでずっときてほしかったというのが私の偽らざる心境。逆にいうと、今さらやるなよ、という気分か。徹底して手塚治虫らしさを排除し、アメリカの子どもにのみ受けるようなものばかり作っておけよ。それやったら私も割り切ってぼやくことができるのに。ああこの複雑な心境、わかってもらえるかなあ。


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