ぼやき日記


12月11日(木)

 今日の仕事帰り、某「あいてますあなたの」コンビニに寄ったら、ちょうどおでんのつゆを足してるところに出くわした。プラスチックのポットからどぼどぼと容器に注ぎ込んでいる。なるほどねえ、自然に蒸発したりおでん種にしみこんだ分をああやって補給しているわけやね。初めて見た。
 次はおでん種を足しているところをぜひ見てみたいものです。おそらく既に煮たものが送られてきて、それを補充しているんやろうという予想はしている。一から炊いているとしたら、どのコンビニにも保健所の許可証がはっつけてあるはず。それがないということは、コンビニで調理はしてへんということや。
 それにしても、コンビニのおでんはあんまり買う気にはならんね。店内のほこりなどに注意している様子もないし、どうやって調理しているのかもわからん。弁当のたぐいもどうやって調理しているのかはわからんけれど、少なくとも調理した工場の名前は明記してあるから、作っている場所はわかる。責任の所在もそこにあるのやろう。むろん、おでんを食べてどうにかなったらコンビニの本社が責任者となるとは思うけれど。それにしても販売の段階でああもむき出しになっているのは、やっぱり気になる。
 とはいいながらも、おなかがすいている時にコンビニに入って、あのおでんを見るとついふらふらと買いそうになってしまうのも事実やったりする。視覚的に訴えてくるのと、匂いがするのがいかんね。あれはあれで上手な陳列方法やなあと思う。最初に考え出したのは誰か知らんけれど、うまいこと考えたもんやねえ。
 で、家に帰ると妻がおでんを仕込んで待ってましたとさ。

12月12日(金)

 久々にプロ野球について書く。
 ジャイアンツという球団の愚かなることは再三見聞してきたことであるけれど、今朝の新聞に報じられたニュースは、愚かを通り越して危険ですらあると思う。
 プロ野球のコミッショナーと選手会労組は、選手が所属する球団と契約を更改する際にたてる代理人について、ちゃんと取り決めている。これは、弁護士の資格を持つ者を代理人として認めるという内容で、つまり、法的な手続きに精通した人物に契約の更改を任せるということだ。しかし、ジャイアンツのオーナーは法的に後ろめたいことでもしているのか「代理人などという者をたてる馬鹿はジャイアンツにはいない」「そんな奴はトレードに出す」と広言していた。
 エースである上原投手が代理人を同席させて契約に臨んだ。契約が結ばれたあと、ジャイアンツの球団社長は「手続き上、彼は代理人とは認められない。単なるオブザーバーである」と発言した。事実は違った。しかし、これを代理人と認めると、上原をトレードに出さなければならなくなるからだ。
 今朝、入来投手のファイターズ移籍が発表された。新聞記事によると、入木投手の主張はおおよそこうなっている。「代理人をたてることを通告してから、契約更改の期日を引き延ばしにされた。そして、突如トレードを言い渡された」。「代理人をたてた馬鹿者をトレードに出す」というオーナーの広言は、現実のものとなったのである。球団側はトレードの話は代理人の通告の前から進んでいたと主張している。しかし、上原投手の時の対応から推察するに、これはおそらく入来投手の主張が正しいのではないか。
 もし、入木投手の主張が正しかったとすれば、これは人権侵害である。公式に認められた権利を行使する者を排除し、あるいは行使しなかったものとみなす。そして、排除することにより、他の選手が権利を行使するのを防止する。これは限り無く脅迫に近い行為ではないか。
 驚くべきことに、このチームの親会社は新聞社である。言論の自由という人権を守るべき新聞社が、選手の人権は認めないというのだから、尋常ではない。
 このことが「愚かを通り越して危険である」理由をご理解いただけただろうか。

12月14日(日)

 昨夜は前任校の同僚との飲み会。気のあった人たちといっしょで、とても気持ちのいい会になった。さあ、残る忘年会はあと2つ。

 既にネット上では話題になっているけれど、昨日の新聞で、ミステリ作家、都筑道夫さんの訃報に接する。実際になくなられていたのは11月27日のことやったそうやけれど、葬儀等が終ってから発表しはったということか。享年74。
 私は都筑さんの熱心な読者とはいわれへんけれど、学生時代、山藤章二さんのカバーにひかれて読みはじめ、ハヤカワ文庫を次々と買い求めた時に「宇宙大密室」というSF短編集も読み、ミステリの大家であるけれどもSFも書く人ということを知った。実際、日本SFの草創期に重要な働きをしはったということもその頃に知った。
 早川書房が「ハヤカワSFシリーズ」を出し始めた頃、もちろんその発刊の中心は福島正実さんやったわけやけど、実務の部分で都筑さん、そして生島治郎さんが支えていたのは有名な話。とにかくレンジの広い作家で、ミステリの可能性を広げるためにSF、捕物帳、ショートショートとあらゆる方向に筆を進めた。戦前からある探偵小説の流れとは違う、戦後の「ミステリ」を確立した功労者やないかと思う。
 手元にある未読の文庫を読むことにしよう。そし、その名人芸に久々にひたることにしよう。
 謹んで哀悼の意を表します。

12月15日(月)

 今日こそ「鉄腕アトム」についてぼやこうかと思うていたら、昨晩の「サダム・フセイン元イラク大統領、拘束」のニュースでなんかぶっとんでしもうた感じ。よりによって新聞休刊日の前夜に拘束されるとはねえ。一般紙の関係者は歯がみしてるんと違うかな。駅売りの新聞なんか、どんどん出るやろうに。
 スポーツ新聞の即売版を買う。写真と見出しはでかいが、解説は前夜のニュースとほとんど変わらん。「政治経済」担当の先生が、「記事をコピーして教材に使おうと思うたけど、使うところがないわ」とぼやいていた。
 それにしても「日刊スポーツ」の見出しが凄い。『フセイン生け捕り』やもんなあ。確かに狩り出して生け捕ったという感じではあるから、間違いとは言い切れんけれど、こう堂々と書かれたら、ねえ。もちろんこの遠慮のなさがスポーツ新聞の見出しの面白さであることは事実なんやけどね。
 テレビでフセインの口の中を調べている映像が流れた時、私は歯科検診をしてるんかと思うたよ。「1から7よし。8、C1」とか言うてる声が聞こえてきそうな感じやった。横で歯科衛生士の女性が健康カードにしるしをつけてたりしてね。いや、実際、フセインの歯列をチェックして本人と同定してるんかなあと思うていた。実は口腔から細胞をとってDNA鑑定の材料にするんやってね。それにしても、あの歯科検診映像を流したのはやり過ぎやと思うたぞ。イラク国民に「わしらは元大統領を屈服させたんやぞ」と見せつけてるんやろうね、あれは。逆効果と違うかと思うけどね。
 この拘束で、テロが沈静化するのか、それとも逆にさらに過激になるのか。ウダイとクサイが殺されたあと、テロが過激になったことを考えると、「捕まえました、平和がきます」と単純に喜ぶわけにはいかんやろうと思うね。この暮れから正月にかけて海外に出かけはる方は、フランスかドイツあたりの航空会社を利用した方が無難ですぞ。
 というわけで、「鉄腕アトム」については明日書きます。

12月16日(火)

 2日遅れの「鉄腕アトム」ぼやき。今週は第36話「恋するロボット」。
 要するに、アトムが人間の女の子に恋をする話。もっとも、恋敵はいて、これは手塚キャラの「サボテンくん」が演じている。宇宙開発のロケット操縦士を目指す少女と、少し気弱なアイデアマンのエンジニア少年の恋の橋渡しをするのがアトムなのだが、アトムの私情も入ってしまい、少女はアトムの思いをエンジニア少年の思いと信じ込む。ここらあたり「シラノ・ド・ベルジュラック」が下敷きになっているけれど、ひねりをくわえて面白いものにしている。エンジニア少年が少女の誕生日を祝うのにロケットの操縦席を勝手にいじったりできるというセキュリティの甘さなど、展開にスキはあるが、それ以上に気になるのは、アトム自身の感情なのだ。ロボットは恋をするのか。するとしたら、どのようなものなのか。今回は、アトムの無邪気さで自分が恋をしていることに気がつかないという設定で切り抜けようとしているが、自分がしているのが恋だと気がつかない状態の方が、かえって嫉妬心を無自覚にさらけ出してしまったりして危険なのではないかと思われる。そのあたりの処理の仕方に、何かもう一歩踏み込めないこのシリーズ全体の欠点がはっきりと現れているように思うのである。

12月17日(水)

 今日発売の「週刊ベースボール」を読んでいたら、今季限りで引退のタイガース広澤克実選手のインタビューが掲載されていた。インタビューの最後のところで、19年間プレーしてきて誇りに思えることとして、いろいろな監督との出会いをあげていた。
 すごいんですよねえ。野村克也、長嶋茂雄、星野仙一という3人の対照的な監督のもとでプレーしてるんですね、広澤選手は。これは財産やねえ。知人からは「このネタだけでずっと講演会ができるぞ」と言われてるらしい。確かに、こういう経験をした選手はほかにいないかも。
 人との出会いは財産というけれど、私も学生時代からSFのファン活動を続け、そしてもの書きのはしくれにもなった。その中で出会った人たちとのおつきあいは、やっぱり財産やよなあ。毎年年賀状の表書きを書くたびにそう思う。
 それにしても、野村、長嶋、星野の3監督のもとでプレーしたというのは、偶然のいたずらにしても、やっぱりすごい。普通ではでけへん体験ですな。それに近い体験をしているのは落合博満ドラゴンズ新監督か。稲尾、星野、長嶋、上田と、こちらも球史に残る監督のもとでプレーしているわけやから。

12月18日(木)

 妻と夕刊を読んでいたら、イベント紹介のページで、信州野沢温泉スキー場での催しに目がいった。その名も「ニコニコまつり」。いったいどんな祭なんやろう。温泉街やスキー場に隠された「お宝袋」を探すイベントもあるという。21世紀とはとても思われん。野沢温泉という所にはいったことがないけれど、なんか戦前のおおらかな時代がそこには残っているという気がしませんか。
 本で見たことのある戦前の子ども向きの雑誌の広告を、ふと連想した。「お坊ちやんもお嬢ちやんもみんなニコニコ、愉快な漫畫がいつぱい」というようなキャッチコピーが書かれている、そういう広告です。「愉快」には「ゆくい」、「漫畫」には「まんぐ」というルビがふられてないといかん。
 そうやねえ「ニコニコ」という語感がレトロなんですな。死語というわけやないけれど、今はこういう使い方はせんよなあ、普通。ある意味意表をついているかもしれへん。そこまで狙ってつけたんならすごいけど。たぶん違うやろうと思う。おそるべし信州野沢温泉。

12月19日(金)

 なんとまあ、今年も後10日ちょっとしかないではないですか。高校も昔はこの時期は2学期の期末試験が終って試験休みというようなことやったけれど、私の勤務校では前後期制をとっているんで、まだまだ授業は続いている。昨年など24日まで授業をしていたぞ。さすがに今年はそんなに飛び石で授業をしたら生徒も休むやろうと考えたか、明日は土曜日やけれど午前中に授業をし、午後からは中学校向けの学校説明会をする。その代休として24日を休みにした。週5日制に体がなれてしもうているから、金曜が終ると週末気分になるけれども、今日はそうもいかん。
 それにしても寒波が一気に襲ってきて、日中も寒いのなんの。この冬初めてカイロをシャツの背筋に貼りつけた。この日記でも前に書いたけれど、貼るカイロは背筋、特に首の付け根あたりに貼るのが一番効くのです。以前勤務していた中学校の養護教諭の先生に教えてもろうた。一度お試しあれ。ほんまに効きますぞ。
 学校というと、関西では京都の宇治と兵庫の伊丹の小学校で、続けて不審人物が学校に乱入し、児童に斬りつけたりどついたりしている。事件が起こると、警備の不備を指摘されるけれど、人が入るたびにうるさく警報がなるので警報機のスイッチを切っておいたというのは、「うちは警報機をつけています」とアリバイを作っただけみたいでいけませんなあ。前任校には警備員の方が正門に常駐していた。ただそこに立ってはるだけでかなり違うはず。中途半端な機械で経費を節減するよりも、コストはかかっても人を雇う方がかえって対費用効果があるというのを実証したということですな。それにしても、宇治の小学校では刃物をふりまわす男の腕を24歳の女性教員がつかんで止めたということやそうやけど、無我夢中でやったことやねんやろうなあ。全てが落ち着いた後で、その先生はきっと自分のやったことをふりかえって逆に恐怖を感じてるのと違うかな。怪我がなくてよかった。同業だけに、こういう事件があると、私はやっぱり教員の対応のことに気がいくね。
 なんにせよ、抵抗でけへん小学生を標的にするというあたりに、犯人の「正気さ」を感じる。ただ単に錯乱しているだけやったら、相手は選ばんやろう。精神鑑定で異常が認められたとしても、そういう判断については決して異常やないのと違うやろうか。そやからというて大人相手やったら刃物をふりまわしてもええというわけやないですけどね。

12月20日(土)

 大阪市の新しい助役に「だから、あなたも生きぬいて」などの著書で知られる大平光代さんが内定したらしい。大平さんというと、ヤンキーから暴力団組員の妻となり、離婚後に司法試験を突破したという生い立ちで知られている。その著作を読んだことのない私にはなんともいわれんのだけれど、努力家で頭もよい人なんやろう。
 なんでも新市長は公約で「助役に女性を起用する」というてたらしい。とはいえ、思い切った抜擢ではある。新市長は確か「行政経験が豊富」というのが売りやったはずで、そこに行政の素人をいきなりサブに持ってくるというのはなんか矛盾しているみたいやけれど。
 大平さんには申し訳ないけれど、私には何か人気取りのためにかつぎ出されたというような印象がぬぐえない。これが、大平さんを市長候補として擁立し、市民の支持を得たというならまだ納得でけんでもない。そやけど、市長の指名で決められる助役というあたりにそう思わせる要素があるのかもしれん。果たしてそういうポジションで、市の幹部が言うような「改革を実行してくれる」ことができるんやろうか。下手をしたら、飾り物に終ってしまうんやなかろうか。
 一般市民の視点で行政を行ってもらうんなら、こういう人材はトップに立ってもらった方がええんやないやろうか。そして、その政策を実行する補佐として行政経験の豊富な人物をすえるべきやないやろうか。大阪市民の一人として、そう思う。
 大平さんには私の感じる危惧なぞはねのけていただきたい。もっとも、たまたま雑誌で読んだ人生相談に対する大平さんの回答は、よくいえば常識的、悪くいうたら平凡なもんやったという印象がある。それがたまたまその回だけそうやったんかどうか、そこらあたりがわからんので断定はでけんけれど、その印象を信じるならば、果たして期待されるような役割を担えるのか不安は残るんやけれど。

 明日の日曜日は、「たちよみの会」です。年末の忙しい時期ですが、ご参加をお待ちしています。


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