ぼやき日記


7月1日(木)

 ライブドア社による大阪近鉄バファローズ買収宣言に対する関係諸氏のコメントが面白い。
 まずはナベツネ氏。
「(30億円の加盟金を支払えるという発言に対し)金があればいいってもんじゃないだろう」。おお、その口でそれを言うか。豊富な資金で他のチームの4番打者を次々と獲得したり他のチームへの入団が決まりかけている有望新人が突如ジャイアンツを逆指名したりしているのは「経営努力」で、協定にのっとって決められた金額を支払うのはいかんのでしょうか。
「俺はそんな会社は知らん」。あんたは知らんかもしれんが、ヤクルト多菊球団社長は次のようにコメントしているぞ。
「あそこ(ライブドア)は大きな会社だからな」。
 阪神野崎球団社長は「個人的な考えだが、吸収合併よりはいい」。中日西川球団社長は「これまで話があった1リーグ制という余地がなくなると思う」。球団社長レベルでは歓迎のムードがあるみたいやね。
 と思うとニッポンハム大社球団会長は「断わられたのに発表したことがわからない」とおっしゃる。断わられたから発表したんでしょ。球団の買い手がいてへんから合併に踏み切ったという事情があるのにもかかわらず水面下ではまず合併ありきで動いているという実情を告発したとも考えられるしね。
 オリックス宮内オーナーは選手会の顧問弁護士が関与していると指摘した上で「古田選手会長は何を考えているのかな」と批判した。何を考えているかって、わかるやん。チームが減ったら選手の大量解雇につながるから、そうならんように買収してくれる企業を選手会も探したということやろう。「終戦直後の労働組合のような感じがします」という発言には驚いた。選手会も労働組合なんやから、自分たちの権利を守ろうとするのは当たり前でしょう。
 一番やっかいなのは豊蔵セ・リーグ会長。今の段階ではわからないとした上で「激震、また激震ですな」。他人事のようなコメントを出している場合やないのと違いますか。
 とにかく一石は投じられた。この一石がどのような波紋を作り出すのか、その上から大岩を投げ込んで波紋を消してしまおうとするやろうなあ、ナベツネ氏。

7月2日(金)

 今日はタイガースのナイターがなかったので、たまっているアニメビデオを少し見る。「鉄人28号」を見ていたら、動物園の飼育係役の声優さんの声が気になった。戦争末期に動物を殺したことが罪悪感となって残っている人物で、独白も多く難しい役どころ。声は渋いし、演技力はあるし、発音がしっかりしている。耳になじんだ声なんですわ。最近の声優さんの声はよほどのことがないと聞き分けがでけへん。「アイドルの顔の区別がつかん」と言うおっさんの心境です。
 エンディングで配役を見ているとなんと矢島正明さん。大ベテランやないか。そら聞き覚えがあるはずや。「クイズタイムショック」の出題を始め、いろんな番組でその声を聞いて育ったんですからな。
 警官の役などで聞いたことのない声優さんが声をあててるんやけれど、気になる発音がある。「〜です」という時に「〜ですぇ」と訛って聞こえるんですな。特に最近いろんなアニメで耳につく。女性の声優さんがどんなにきれいな声をしていても「はい、そうですぇ」なんていう語尾の発音をしているとげんなりしてしまう。高貴な一族という役どころであっても地方出身のお手伝いさんに一気に変身してしまうような気がする。こういうのは練習で直らんもんなんやろうか。
 その点、矢島さんの発音はすべらかで実に耳に心地よかった。プロですからね、こうやないといかん。

7月3日(土)

 この1週間は保護者懇談などもあって、今日は一気にその疲れがでた感じ。それでも3ヶ月ぶりくらいに整髪にいく。えらくヘアトニックをぶっかけられ、匂いがきついと妻が嫌がる。店によって違うんやろうけれど、なんであんなにトニックをかけたがるのか。はなに水やりをしてるんやないで。おまけに今日いった理容店はドライヤーの前に肩こり用のでっかいバイブレーターを出してきて凝ってないところにまでごりごり押しつけてくる。あそこにはもう行かんよ、私は。
 明日は父方の祖母の二十七回忌の法事。寝る前に頭を洗い直して、少しでもこの匂いを取ってしまわねば。なんせ自分でもぷんぷん匂ってきて嫌やねんからね。

7月4日(日)

 今日は父方の祖母の二十七回忌。祖母が亡くなったのが私の高校1年の時で、週に1回の供養(京都では〈おたいや〉という)の折はちょうど夏休みに父の工場の手伝いに毎日行っていた頃やったから、毎週1回必ず御詠歌を歌うてたという記憶がある。あの時に読経をしてくれてはった檀那寺の御住職も先般お亡くなりになった。今回の法事は、その御住職の娘さんのご主人(別の寺の御住職ですが)にお願いした。先代の御住職には後継者がないみたいなんで、今後は新しいお寺に移ることになるんかな。寺檀制度なんちゅうもんは今はないわけですが、それでも面倒臭いからご近所のお寺に変えました、というわけにもいかんしね。
 新しくお願いする御住職は、SMAPの「世界にひとつの花」をネタにして浄土と娑婆の違いを説明するという、わかったようなわからんようなお説教をしてくれはった。どうも御住職、「世界に−」はお好きでないらしい。おお、気が合うやないか。
 それにしても今日は暑かった。法事のあと、仕上げの御膳を料亭でいただき、しこたま呑んだんやけれど、ビールもお酒も水分摂取にはならんのですね。排尿を促す作用があるもんやから、体内に水分がたまらない。散会後は駅まで歩き、大阪につくまで一滴も水分を取らず。のどがからからになる。大阪は梅田駅についてお茶のペットボトルを買うと、一気に飲んでしもうた。帰宅後は途中で買うた氷小豆をむさぼるように食べ、やかんに沸かしたお茶を妻と競争で飲む。体内に水分を奪う寄生獣がいて水を要求しているようやね。
 帰宅してからはベッドに横になり動けへん。ここまで疲れたのは久しぶりかも。明日から仕事なんやなあ。大丈夫やろうか。

7月5日(月)

 朝から体はだるかったけれど、授業となると不思議に力が出る。舞台に立つ芸人さんみたいなものかもしれん。見られる仕事というのは、お客さん(私の場合は生徒やけれど)の前に立つと、それまできつくても力が出るもんらしい。もっとも、放課後になったら力が抜けるような感じはしたけどね。そのあと会議があって、会議のあとには保護者懇談が1件入っていて、いやなんというかもう。帰ってからビデオに録画したお相撲を見ながらご飯を食べてると、やっと元気が出てきた。行司さんの「はっきょーい、のこったのこったのこっのこっのこったった」という掛け声が耳に心地よい。独特の発声があるからね。あれは。相撲のええとこはお相撲さんのまげやまわし、呼び出しさんのたっつけ袴、行司さんの装束などなど目を楽しませる要素がたくさんあるからやね。学生相撲はカッターシャツに蝶ネクタイの審判に、白いまわしに坊主頭の選手というスポーツ化したものなんで、どうも味わいに欠ける。
 テレビから鬢付け油の匂いがただよってこないのが残念。あれがまたええ匂いなんですわ。ああ、またお相撲見に行きたいなあ。心が和むよ、相撲は。もっとも、生でお相撲さんを見たことがないとその魅力の半分もわからんかもなあ。子どもの頃に巡業に連れてってもろうたのが、私の相撲ファン歴の始まりやねんけれど、生で見る経験にはなにものにも代え難いものがあるね。
 もっとも、アイドルのキャンペーンを見にいって、実物に失望したりしたこともあるから、生も良し悪しではあるけれどね。

7月6日(火)

 プロ野球選手会の古田会長が、プロ野球代表者会議に合併の見直しと冷却期間の設置を要求したけれど、代表者会議は議題にその意見を反映させることがなく終った。労働組合が団体交渉をしているんやで。これは憲法で保障された権利なんやで。それに対してまともに取り合うこともせんというのは、憲法違反やないか。日刊スポーツには「選手会、ストも辞さず」と書かれていたけれど、憲法でも団体行動権は保障されているから、ストをしたらええんや。合併によって、選手だけやなく球団職員も大量に不当な解雇を通告されることになる。それを労組である選手会が守るのは当然のことや。
 近鉄なんか、電鉄会社のなかでは昔から労使協調が進んでいて、かつて春闘でのストライキも改札ストという最小限のものしかやってなんだ。そういう知恵やノウハウは蓄積されてるんやから、ちゃんと交渉の席につくべきやろう。それがでけへん理由があるんやな、つまり。ということは、労働者としてのプロ野球選手もバカにされたもんや。全球団の選手が足並み揃えてストでもせんと、ナベツネ氏をはじめとする経営者になめられたままでおわるぞ。
 自分勝手なことを主張してストをするんやない。ファンの期待に応えるためにするストやったら、私は応援したい。

7月7日(水)

 毎日球団合併ネタですまん。
 12球団オーナー会議の速報で、西武ライオンズの堤オーナーが「他球団との合併の用意がある」旨を表明したそうな。うーむ。出来レースですか。誰かが書いたシナリオがあって、それに向かって突き進んでいる感じがするなあ。ライブドア社はそのシナリオにはない存在やから、無視。選手会のストもシナリオにないから無視。ファンの感情もシナリオにないから無視。
 バファローズの磯部選手会長が合併反対の署名運動をすると聞いた球団幹部はこう言うたそうな。「選手のためを思って合併するのに、反対運動をするとは信じられない」。信じられないのはこの発言ですわ。選手のためと違うでしょ。ナベツネ氏のため? オリックス宮内オーナーのため? 選手は大量解雇につながる合併なんか望んでないから反対するんと違うんか。
 シナリオにないことを誰かが言うたりしたりするたびに、経営者たちはヒステリックに反応するか黙殺しようとするか、ですな。経営が悪化したらジャイアンツにすがればよろしいという発想しかないんか。そのジャイアンツはよその4番打者をかっさらうたびにテレビ中継の視聴率が落ち、東京ドームの入場者数も減りしてるというのにね。
 たぶんこんな日記はオーナー諸氏は読んでへんやろうから目にふれることもないやろうけれど、私はオーナー諸氏にこう言いたい。
 一将功なりて、万骨枯る、と。

7月8日(木)

 朝から暑い。寝汗をたっぷりかいて起き、ベランダで一服してたら陽光でまた汗が吹き出てくる。幸い食欲は落ちてへんのでしっかり朝食を取り、出勤。職場についたらついこんな風に思う。
「ああしんど、やっと着いたか。ほな帰ろ」。
 あかんがな。これから仕事やがな。思うに、これはもう夏バテですな。まだ梅雨明け宣言も出てへんうちから夏バテしててどうするん。
 妻もはや夏バテ状態らしい。今の家はそれでも風が入って涼しいからええけど。前の家やったら家の中で熱射病になって倒れてるんと違うか。
 そう思うと、やっぱり10代の若者たちは元気やと思うぞ。放射してるエネルギーが違う。そのエネルギーを吸い取るという余力も残ってないんかもねえ。

7月9日(金)

 妻があれこれと録画してくれたビデオが相当たまっている。これはまあ、野球を見たあとで相撲を見たりしているからなかなかアニメまで手がまわらんという状況がございまして。ビデオがたまってくると、どのテープにどの番組を録画したか混乱したりしてくる。それをましにするためにもHDDレコーダーを購入したいところやねんけれど、なにぶん演劇部の公演が日曜日にあってそちらの付き添いをしたりせんならんという事情で、プライベートな時間が削られ、カタログは取り寄せてちらちら見たりもしているんやけれども実際に買いに行く時間がない。そうこうしているうちにビデオはどんどんたまっていくと、こういうわけです。
 明日からプロ野球のオールスターゲームが始まるんやけれど、今年は見ようかどうか迷うところ。試合は見たいんやけれど、きっとアナウンサーが「オールスターを見られるのも今年限りか!」てなことを何度も繰り替えしよるやろうと思うとけったくそ悪うて見る気にならんのですわ。暴言をはくのはナベツネ氏の専売特許かと思うたら、近鉄本社の社長までもが品性下劣な悪口雑言を「週刊文春」の記者に叩きつけている。星野仙一さんが球界のためにと持ちかけた買収話を「金儲けのため」にやってると断言。週刊文春の記者には、下世話な話が得意なところと決めつけ、野球の記事では売れんやろうから女の不倫を書いとけばいいとまで言う。さらに高級取りの古田、中村、清原を泥棒呼ばわりする。中村に高級を払うてるのはあんたんとこの球団と違うんか。大阪ドームは破産してしまえば借金ゼロになるからそれを大阪市が引き取ったらいいと、まあこれが営業キロ数日本ナンバー1の私鉄を率いる社長の言葉かね。読んでいるうちに胸が悪くなってきた。こんな連中のためにファンが悲しい思いをせんなんと思うと、オールスターは辛くてまともに見てられへんぞ。
 オールスターを見るのをやめて、たまっているビデオを見ようかな。いや、健気にプレーする選手を応援しようか。迷うなあ。

7月10日(土)

 結局オールスターゲームを見た。
 選手たちは毎年の「お祭り気分」やなかった。投手はシーズン中のように変化球を効果的に織りまぜて打ち取ろうとし、打者は難しい球をふりまわすんやなく、しっかりととらえにいっていた。
 私はそのプレーから「来年もこの形でオールスターゲームをしたい」という選手の意志を感じた。おちゃらけのフジテレビが、今年は星野仙一さんを招いてまっとうな中継をしていた。試合開始前のアトラクションは、江夏豊対高橋由伸・中村紀洋、山田久志対福留孝介・城島健司というかつての名投手と現役スラッガーの組み合わせによるホームラン競争であったり、鈴木啓司やバースにブライアントと役者を揃えた。始球式には地元の小学生を起用した。5回裏終了後の行事では野球殿堂入りの表彰式を持ってきた。
 コミッショナーよ! あなたはこの試合を見ていて(現場にいたんやから、見ていたはずや)なにも感じませんでしたか。殿堂入りした仰木彬さんのあいさつにも、勝利監督の王さんのインタビューにも、「球界が揺れ動いている」という言葉があった。自分たちが作り上げてきたプロ野球の世界を大切にしてほしいという願いがこもっていたと思う。
 実況のアナウンサーは3人とも「これが最後のオールスターになるかもしれません」という言葉を発しなかった。逆に星野さんの口からその言葉が出てしもうた。星野さん、あきらめんといて。そう思いながらテレビを凝視してた。
 ええオールスターゲームやった。そして、来年もセントラル・リーグとパシフィック・リーグのオールスターを見たいと思うた。1リーグ制でのの東西対抗オールスターがこれほど盛り上がるか? 普段めったに対戦しない選手が対決する面白さがあるということがオーナー連中にはわからんのやろうな。


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