ぼやき日記


9月21日(火)

 今朝の朝日新聞によると、小学生の4割が「太陽は地球の周りを回っている」と思い、3割は太陽の沈む方角を答えられないことが、国立天文台のアンケートで分かったそうな。ただし、アンケートの母数はわずか1700人。01〜04年と実施期間にも幅があり北海道や広島など8都道府県の14小・中学校という調査校の選択も無作為やろうとは思うけれど、これで都市部と郊外の子どもの認識の違いを教授が「夕日が沈むのを見るような自然体験が子も親も失われている。情報があふれる一方、テレビやゲームなどに時間を奪われ、身近な現象を学ぶ機会が減っている」と分析しているのは、なんやステロタイプで客観性に欠ける。それやったら例えばその子どもたちの親にも同じアンケートをしてみたり、工夫が必要やろう。それで親も同じ認識なんやったら、子どもだけに原因をおっかぶせるてはいかんやろうし。
 「地球の自転・公転はもちろん、月の満ち欠けの仕組みなども教えるようには明記されてはいない。小学校では、天体や宇宙を大きくとらえられるような授業が必要だ」という現場の教師の意見の方がちゃんと根拠がある。
 まあなんにせよ、これは由々しき問題ですな。4割も「太陽は地球の周りを回っている」と思うているんなら、ダイマル・ラケットの名作漫才「地球がまわる目がまわる」もどこがおもろいんか理解でけんことになる。SFを「難しい小説」と拒否してしまうのにもつながるんやないかな。

9月22日(水)

 私は疲れている時ほど饒舌になるという癖がある。しかも、饒舌なだけで話は回りくどく論点がずれてしまう。そんなこんなで今日は妻に意味なく話しかけて時間をとらせてしまいました。この上に日記まで無意味なことをただただだらだら垂れ流してもなんですので、今日はこれまでにしたいと思います。ところで、小泉首相がアメリカで「プロ野球の球団を減らさないようにしてもらいたいねえ」などとしゃべっただけで、経営者側が選手会に思い切った譲歩をするんですから、たまりませんな。上に弱く下に強いのは、まあそうかなあとは思うけれど。なんか信念持ってチーム削減をやってるわけやないという感じがして嫌ですね。まあ、パフォーマンス宰相のリップサービスも時には役にたつということですか。
 あ、こうやってだらだらと書くからいかんのや。もうやめます。ところで、今日生徒がコンビニのペットボトルのお茶についていたというキャンディーズのフィギィアを私に見せて「キャンディーズって、スーちゃんとランちゃんと……あと一人は誰やったっけ」と聞いてくるので「ミキちゃんやで」と教えてあげたら、「先生、よう知ってるなあ」と妙なところで感心された。そんなもん、私らリアルタイムでキャンディーズの解散の記者会見「普通の女の子に戻りたい」を知ってる世代でっせ。
 いやだからもう書くのはやめます。ところで、昨日の雨から急に季節が秋になってしまい、体がついていかんで調子が悪い。昨日は夜はくしゃみが止まらず……。やめますよ、やめます。
 ああ、妻の声が聞こえる。
「疲れてるんやねぇ……」。

9月23日(木)

 プロ野球の今週末のストは回避された。ライブドアと楽天の新規参入を審査するという約束を取りつけた選手会の勝利やね。
 さて、となると、ライブドアか楽天かどちらが新規参入を認められるんろう。企業の経営状態からいうと、既存の経営者たちは楽天を選びそうな気がするけれど、私が審査委員やったらライブドアを選びたいな。加盟料が異常に高い時から参入を表明し、近鉄バファローズの買収が無理とわかると、新規参入に向けて仙台本拠地案を提出、仙台市長への根回し、球場の確保、選手寮も目当てをつけての申請やしね。
 それに対し楽天は、加盟料撤廃がほぼ決定してからの参入表明で、しかも当初はヴィッセル神戸といっしょに神戸の地域振興を前面に出していたかと思うと、大阪府知事に大阪を本拠地にする案を出してみたり、ライブドアが仙台案を出してきたらそれをそのまま真似したように仙台を本拠地にすると言い出したり。いかにも準備不足で場当たり的という感じやね。一部で報じられている「楽天の参入表明はライブドアに対抗するためだけに行われた」という説も頷けないではないね。
 なんというても、オリックスと近鉄の強引な合併に対して一石を投じたという意味でもライブドアには功績がある。堀江社長が登場せなんだら、選手会の主張も根拠薄弱になりかねんところやったわけやしね。堀江社長自身に対する風当たりも相当強かったけど、それでもめげんと参入の姿勢を崩さなんだのもなかなかのものやと思う。それに比べると、楽天の三木谷社長は漁夫の利を狙うてるみたいで、プロ野球ファンとしてはあんまり好感がもてんのよ。
 ところで、プロ野球機構はこの期に及んで「審査したけれど、どちらも球団保持にはふさわしくないから新規参入はさせん」というような判定を下さんやろうな。審査委員には経済や法律の専門家に加えて豊田泰光さんや西本幸雄さんというような決して迎合せん球界OBを入れてほしいもんです。プロ野球を愛する人が不在の審査委員会に意味はないと、私は思うぞ。

9月24日(金)

 時代小説作家、白石一郎さんの訃報に接する。死因は肺炎。享年72。
 結局、「黒い炎の戦士」は未完に終ったんやなあ。20年近く前に「SFアドベンチャー」に連載されていた時代伝奇SFやったんやけど、本格時代小説家の伝奇SF挑戦ということで、私はとても楽しみに読んでいた。未完のまま連載は終り、残りはトクマノベルズで書き下ろされるということやったんやけれど、直後に直木賞を受賞して書き下ろす時間が取れなんだかなんなのかようわからんけれど、続きは出なんだ。今もそれが残念でならんのです。
 時代伝奇小説とSFの相性は悪くないと思うんやけれども、SF作家サイドが時代小説を書くことはあっても時代小説側からSFへのアプローチというのはほとんどないというてええやろう。その壁を破りかけていたのが白石さんやったと思う。
 新聞の死亡記事では「海洋時代小説」という分野を開拓したという紹介がされていて、時代伝奇SFにも挑戦していたことには一切触れられてへん。もし、「黒い炎の戦士」が完結してたら、これも海洋時代小説の一つとして紹介されていたんやろうか。それとも伝奇SFとして紹介されたやろうか。そういう作品があったということだけでも、ここに記しておきたい。
 とにかく「黒い炎の戦士」は未完で終った。白石さんはどのような結末を考えてはったんやろうか。もう今となっては知るすべもない。遺稿でも見つかれば別やけれども。
 謹んで哀悼の意を表します。

9月25日(土)

 本日発売の「SFマガジン11月号」に、高野史緒さんの「ラー」について書いています。私としては「ラー」だけやなく、高野史緒さんの作品全体を見通した上で作家論というようなつもりで書いてみましたが、いかがでしょうか。ご一読をよろしくお願いいたします。

 阪神タイガースが12点を先制し、読売ジャイアンツが6点を返したという試合展開で、なんと日本テレビは、試合の中継の延長をせんと、定時で切りよった。これ、ジャイアンツが勝ってたら、延長してると思うぞ。テレビ観戦してるのはジャイアンツファンだけと違うねん。中継延長の用意をしてるんやったら、試合を少しでも長く見せてほしい。その気がないということは、つまりは視聴者はジャイアンツがぼろ負けしてたらテレビのチャンネルを変えると思うているということなんやろうね。ジャイアンツファンはどうかしらんけど、タイガースファンは違うぞ。
 なるほどねえ。こういう姿勢やから、ジャイアンツは「とにかく勝ちさえすればいい」というような選手集めを、ドラフトのルールをいじってまでしてやるんやね。それでも視聴率が上がらなんだら、この会社は平気でチームを売却するかもしれんな。
 野球人気を落としていくのは、こういうファンの心情をないがしろにするようなことを平気でやる自分たちが原因やとは、きっと思わへんのやろうなあ。こんなんやったら、東京ドームの放送権を他の民放の局にも分配したらどないや。

9月26日(日)

 この土日でかなりたまっているビデオを消化したと思うたのですが、なかなか減らんなあ。本も読み、野球や相撲も見、アニメやドラマも見……。そら時間ないわ。今日で相撲が終ったし、番組改変でナイターも減るやろうから、来週以降はもう少し時間に余裕ができるかも。

 タイ北部で鳥インフルエンザが11歳の少女に発症し、それがその母親にも感染したというニュースを見て、少しぞっとした。というのも、10月の頭に予定されている修学旅行の当初の行き先はタイやったからね。7月ごろタイで鳥インフルエンザが発見されたというニュースが伝わり、教師の間で何度も話し合いがもたれ、生徒や保護者の反応も見た上で、行き先変更を決定した。それが8月のはじめやったんやけれど、その時点では鳥インフルエンザが人間に感染する可能性は低いと思われていたし、私も生徒の拒否反応が強くなかったらタイでええと思うてた。もし、あのままタイ行きで話を進めていたら、現時点で出発までわずか10日ほど。急遽行き先変更ということになり、てんわんやになっていたことやろう。断腸の思いで行き先変更を決めたんやけれど、結果としては間違いやなかったということになった。
 その時のことを思い出すと、ちょっと複雑な気持ちになるけれど、こうやって人に鳥インフルエンザが感染したというニュースが伝わってくると、行き先を変更しててよかったとほっとする反面、人の不幸を伝え聞いてほっとしている自分がいることにぞっとする。ほんま、人間というのはわがままなもんですなあ。

9月27日(月)

 今日のコンビニ店員は「ポークライト」のお姉さん。「ホープライト下さい」と言うと、「ホープライトですね」と復唱して迷わず指定の銘柄を取り出した。うむ、学習してはるやないですか。「です」の発音もしっかりしておるので、これからは安心してタバコを買える。安心というのも変やけど。

 プロ野球はストライキの代替試合は行われんということが正式に決まり、ホークスの松中信彦選手が18年ぶりの三冠王に輝いた。松中選手なんか、もっともっとメディアが大きく取り上げるべきやないかな。パ・リーグにスターがいてへんわけやない。スタートして扱うべき選手に対して、それ相応のとりあげかたをせんだけやないかなあ。中島治康(ジャイアンツ)、野村克也(ホークス)、王貞治(ジャイアンツ)、ブーマー・ウェルズ(ブレーブス)、落合博満(オリオンズ)、ランディ・バース(タイガース)と、三冠王はこれまで6人しか出てへん。そうそうたるメンバーの中に加わったわけで、松中選手はこれらの選手たちと同じ扱いを受けるべきや。なんやもうごたごた続きの球界だけに、こういう明るいニュースはもっともっと派手にとりあげんと。SHINJOやないけど、「これからは、パ・リーグです」。
 それだけに、新規参入に対する審査小委員会のメンバーが読売、横浜、ロッテ、西武のフロントに決定したというのが気掛かり。読売と西武は明らかに1リーグ制推進派。横浜も今回の件では軸がぐらぐら動いたし、ロッテはダイエーとの合併に最後まで名前が上がったチーム。なんでこういう構成になるかなあ。球界OBや現場を離れて利害関係のない元フロントなど、第三者による審査を実施すべきやないのか。仲間に入れるにふさわしいかどうかと品定めするような審査になるね、これは。このメンバーやと、ライブドアの目はないかな。この時点で楽天の参入が決定したといえるね。こういう時やからこそ、読売だけははずしてほしかったなあ。ナベツネ氏の影がちらちら見えるぞ。こういうことをしたら、ますますファンの嫌気がさすというもんです。

9月28日(火)

 朝日新聞主催のシンポジウム「上方の笑い125年」に行く。場所は「ワッハ上方」。第一部は朝日新聞を飾った写真を見ながら芸人さんの思い出を語る座談会。司会は桂文珍さん。漫才師の喜味こいしさん、漫才作家の織田正吉さん、落語作家の小佐田定雄さん、漫才師の海原やすよ・ともこさんが出席。戦時中のニュース映画のフィルム「笑わし隊」の貴重な映像では、エンタツ・エノスケの生き生きとした漫才が見られた。ミヤコ蝶々さんの話題では、南都雄二さんの芸名をつけたのは実は夢路いとしさんやったという秘話も語られた。なんでも、上方トンボという芸名を嫌った雄二さんが、俳優のような名前にしたいというのでいとしさんが相談に乗り、蝶々さんの屋号である「ミヤコ」にちなんで「南都」という屋号を考えだしたんやそうです。蝶々さんが「これ、なんという字?」と言うたから、という定説は、あとから脚色されたものやったんやとは。その他にも桂枝雀さんや横山やすしさんのいかにもというエピソードが語られた。とはいえ、2時間は長かった。しかも館内全面禁煙とはちときつい。
 第二部は、演芸大会。やすよ・ともこさんの漫才、京山幸枝若さんの浪曲「竹の水仙」、桂春團治さんの落語「代書屋」、オール阪神・巨人さんの漫才と、バラエティに富んだ、しかもそれぞれ自分たちのスタイルを持った芸人さんたちの競演。浪曲を生でちゃんと聞くのは実ははじめてやったけれど、浪花節の節回しは気持ちええもんですなあ。春團治師匠の高座は、妻が(生では)はじめて。見愡れておりました。アホなおっさんの無邪気な笑顔の愛嬌と、端正なスタイルの切り替えは、いつ見てもみごと。阪神・巨人さんのリズムと間のよさには思い切り笑わせてもらいました。阪神さんがどんどん脱線していくのを巨人さんが横でなんともいえん表情をして見ている、そこがええんやわ。
 会場を出たら、21時半をまわっていた。開演が18時半やったから、3時間もかかったわけで、さすがに疲れた。とはいえ、笑い疲れたというのは心地よくもあるけどね。
 新聞を見て応募した、まあいうたらハガキ代だけでこんなにええもん見せてもろうて、ありがたいことです。ここしばらく生の演芸に触れてなんだから、体が求めていたんかもしれんね。

9月29日(水)

 今日、廊下で女子生徒が何やら会話をしていて、一人が「それで? オチは?」ときくと、「ごめん、オチないねん」と片方が答えた。「オチなかったらあかんやん!」と言われて苦しんだ生徒は、何やら冗談を言うた。「うっ、それ、キツイ。シャレになってない……」。「ごめんなごめんな、冗談やってん」。
 そのあとは現在行われている前期期末考査の話になったけれど、なんというか、日常的に家庭内でもオチをつけるように鍛えられてる子とそうでない子のギャップの激しさが、逆に漫才みたいで私にはおもろかった。
 妻は常々「大阪の子どもはみんな小さい時から鍛えられてるんや」と京都生れである私に強調してきたけど、これなんかその実例ですわな。私も大阪に住んでいる以上、必ず話にオチをつけなと思うんやけれど、こればっかりは付け焼き刃では太刀打ちでけへん。瞬時にギャグをかますというのは、これはもう反射神経の問題でありまして、結婚して以来、私のかましたギャグは何回妻に「座布団とりあげ!」と厳しい批評を受けたことでありましょう。反射神経鈍いねん、私。
 くだんの女子生徒も、よき友だちの指南を受けて、ギャグの反射神経を磨いていただきたいものです。将来結婚しても「性格の不一致」ならぬ「ギャグセンスの不一致」で別れんならんということのないようにね。いや、マジで。

9月30日(木)

 エイベックスに続いて、ソニーもコピーコントロールCD(CCCD)の発売を中止することにしたそうな。音質が悪いのなんのと不評やったCCCDがなくなるのは、けっこうなことやね。いや、これは違法コピーをして販売しようとかいう意味でいうてるんやなく、もう少し切実な理由があるのです。
 私は最近はパソコンに向いながらCDを聴いてかきものをしたりすることが多い。ところが、CCCDは、Macintoshでは聴かれへんのやね。つまり、違法コピーでもなんでもなく、普通に聴こうとしているユーザーまで疎外しておるわけだ。著作権で作品を守ることを優先するあまり、健全なユーザーが普通にCDを聴く権利を奪うとは何事か、と怒っていたのですわ。
 今回、CCCDをやめて全て通常CDに戻すことにした大きな理由として、ipodの普及で音楽サイトから曲をダウンロードするユーザーが増加して、CCCDにしようが通常CDにしようがCDそのものの売り上げにはかわりがなくってきたからやという。つまり、Macユーザーを疎外したけど、逆にアップル社からきつーいしっぺ返しを食ろうたということになる。いやいや、Macユーザーとしては欣快の至りですな。
 確かに、著作権の保護は大切や。そやけど、そのために機種によっては聴かれんCDを作ってええということやなかろう。しかも、MacユーザーはWindowsユーザーと比べて少数なだけに、よけいに弱者切り捨てみたいで腹がたつ。CDを聴く権利を一方的に奪うような方法で著作権を守るとは本末転倒やないか。CCCDにはその発想が抜け落ちていた。今後コピーガードをほどこしたCDを開発する場合は、どんなプレイヤーでもちゃんと聴かれるという方式にしていただきたいもんです。


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