ぼやき日記


11月11日(木)

 昨日の日記の「不思議の海のナディア」の件につきましては、白城弥生さんからメールでご教示をいただきました(こちらも御参照下さい)。問題の回は地震のシーンがあるんで、被災者への配慮から放送を自粛したそうです。それやったらそれで、断り書きを入れんかい! 皆様の受信料で成り立っている局なんやから、言うたら私ら出資者や。小額ではあるけどね。それでも出資者や。そういう意識はないんやろうな。なにしろ見てもいないBSの受信料を払わせようとするくらいやからな。出資者への対応として、オープニングアニメの時にテロップを入れるくらいできるでしょうが。わずかなこっちゃないかい。被災者への配慮は理解できるけど、出資者への配慮はでけんというのは納得でけんぞ。責任者出てこい! いうてね、海老沢会長がいきなり家に来たら驚くやろうな。不祥事をやっててもあやまらん人やからな、来ませんわな。

 今朝の新聞で「東京都の教育委員会がボランティアを週1時間の必修授業にする」という記事を見つけて唖然としたね。ボランティアというのは自発的にやるもんでしょう。必修授業なんていう強制的なことでは、それはボランティアとはいわんやろう。それもいうなら「ただ働き」ですがな。いやほんま。
 私の勤務している学校では1年生の夏休みの宿題に「ボランティア参加をしてそのレポートを書く」という課題を毎年出している。ただし、選択肢として他に「大学や専門学校のオープンキャンパスに参加してそのレポートを書く」というのも用意している。また、ボランティアを希望する生徒に対しては、老人ホームやら子ども会やら障害者施設やらのボランティア募集も紹介しているけれど、そこから選ばんでも地元の地域でのボランティアを自分で見つけてきてもよいとしている。そうでないと、自発的に奉仕するというボランティアの精神からはずれてしまうからね。
 だいたい1時間の授業で何ができるというのかね。例えば施設実習をやらすにしても、2時間連続の枠をとっても時間が足らんくらいやのに。1日ぶっ通しでやっと相手さんも助かるというものやないですか。慣れてへん者が1時間(しかも往復の時間を入れたら実質30分できるかどうか)だけやってきてもなんの助けになるものか。
 なにしろ皇室の園遊会で「日本全国の学校に国旗掲揚と国歌斉唱をさせることが私の仕事です」などというて天皇陛下から「そういうことは国民が自発的に行うもの」とたしなめられた教育委員がいてるところですからな。たかが一地方自治体の教育委員(しかも本職は別にある)が日本全国に命令を下そうとするという勘違いを平気でしているというのもあほらしい話ではあるけど。おそらく「奉仕精神の育成」が目的なんやろうけれど、強制された時点でそれはもう「奉仕」やなくなってるという、日本語の意味すらわからん人たちしかいてへんのかね。
 そこまでして「奉仕」を強制するということは、その「奉仕」の対象がどこに向けられるべきと考えているか、想像がつくね。それは社会的弱者に対するものにはならんでしょう。あの都知事のことやから、「奉仕」と称して旧江戸城の前庭の掃除かなんかさせたりするかもわからんぞ。
 それにしても東京都民はいつまであの湘南都知事を野放しにしておく気やねん。あのおっさんのやることを真似したがる女性知事が私の住んでる自治体にいてるんやで。こんなこと真似されたらたまらんからな。ええかげんにあの太陽の季節都知事をなんとかしてくれんかね。これではアメリカ国民がプレッツェル大統領をまた選んでることを笑われへんぞ。

11月12日(金)

 やっと1週間が終った。先週の土日は演劇部のコンクールがあって休まれなんだから、明日は久々の休みでありますぞ。
 ところで、今日は結婚記念日。結婚10周年記念にスィート・テン・ダイヤモンドを贈る余裕はさらさらなく、ささやかにデザートでお祝いをしました。なんか実感はないんやけどね。10年1日のごとく過ごしているわけやから。結婚した時よりは多少は余裕はできているかもしれん。あの頃はアニメを見てる余裕なんかなかったからなあ。
 まあもう2人でいてるのが日常となってるわけやからね。この先10年後もこういう感じなんかもしれんなあ。
 この10年で一番強く感じたこと。
 オタクはオタクと結婚せなあかん。マニアックな気質をそうでない人に理解させるのは難しい。私のような者でも結婚生活を維持できているのは、その条件がクリアされてるからなんですね。

11月13日(土)

 ブッシュJr.によると日本には民主主義が定着したからコイズミのような素晴らしい総理大臣が誕生したんやそうな。
 いや別に今さらミスター・プレジデントの発言にツッコミを入れても仕方ないです。根本的な問題やから。それにしても、この大統領はコイズミまでの日本の首相についてどれだけの知識があるのやら。
 で、イラクもそのように民主化しなくてはいけないと、発言は続く。つまり、米軍の占領で日本はとても民主的な国になりましたよということが言いたいのですか。いつの時代の話をしておるのやら。
 もっとも、そのコイズミさんも、非戦闘地域とはどういうところかという質問に対して「戦闘をしてないところです」「自衛隊のいる場所が、非戦闘地域なのです」とブッシュJr.に負けん大ボケをかましてますけどね。類は友を呼ぶ、のたぐいかな。
 若手漫才師をつれていってブッシュやコイズミが何か言う度に「もうええわ!」とツッコミを入れて、話をやめさせたらええのと違うかな。

11月14日(日)

 今日は大阪府の高校演劇コンクールの審査員として、原チャリで1時間以上かかる場所まで遠征する。高校生の演劇を1日ぶっ通しで7本見て、最優秀賞やら個人演技賞やらを3人の審査員の合議で決定するわけです。集合時間が朝の8時20分。表彰等全てが終了したのが20時20分ごろ。12時間の仕事でありますね。
 芝居を見るのは嫌いなわけやないとはいえ、1本1時間弱のものを7つ見るというのは、それだけでなかなかエネルギーがいる。しかも、審査をするために細部まで気を配りながら集中して見なならん。生徒にとったら、審査結果はその後の生き方を左右するものになるかもしれんからね。あちらも真剣勝負なら、こちらも真剣勝負です。
 それだけに、審査結果の出た後はほんまにぐったり。おなかもすいているというのに、そこからまた1時間以上かけて原チャリを走らさなならん。
 疲れたけれど、自分自身の収穫もあった。物語を作るとはどういうことか、批評をするとはどういうことか、表現とは何か……。高校生は精一杯そのエネルギーをぶつけてくる。それを受け止め投げ返すことで、自分自身も考えさせられる。他の審査の先生は長年審査員を続けてきた方たちやったけれど、そうそう大きく意見が食い違うことはなかった。私のような文芸畑の人間であっても、結局は同じところを見ているということになる。他の審査員の先生の言葉を聞き、批評するということの本質的な部分を再確認できたように思う。
 とはいうても、やっぱり審査員というのはきついねえ。新人賞の選考委員の作家さんたちもかなり苦労してはるんやろうなあ。特に下読みはね。今回は地区予選やから、大阪府の大会の下読みみたいなもんやし。
 一番肝心なのは伝えたいものをどれだけぶつけられるか、技巧的なものももちろん大切やけれど、それだけやと結局は退屈してしまう。なかなか得難い体験をさせてもろうた。ただ、来年もといわれるとちょっときついなあ。1回やったら私はそれで十分ですわ。ああしんど。

11月15日(月)

 昨日の疲れが今日はじわありじわりときいてきたよ。それに気温がぐっと下がって、これまたじんわりときいてくるよ。

 ある中年夫婦の会話。
「あの俳優は、ええとほら、『平成の石原慎太郎』」
「石原慎太郎はまだ達者で都知事してるがな。それもいうなら『平成の石原裕次郎』やろ」
「そうそう、それ。あの人デビューでいきなりロケ中に自動車事故起こして番組が一度中止になったやん」
「ああ、『西武鉄道』ね」
「わあ、あなた、私が完全にうつってるわ!」
「あ……『西部警察』か……」
 私ら、すでに老境に入ったような気がしてきたよ。

11月16日(火)

 紀宮清子内親王が婚約するという発表がされたけれど、それに対して「これを機に若い人の間に結婚ブームが起こって少子化に歯止めがかかることを期待する」というようなコメントをする人がやっぱりいてるのには、笑うとかなんとかいう前に、いっぺん頭の中をかち割って見てみたい気がする。なんでそこまで一気に話が飛ぶかね。
 皇室の動向が即国民の動向につながるという発想はちょっとばかり凄いとは思うけれど。それにまだ婚約したばっかりやというのに少子化がどうしたというところに着地するんやねえ。この飛躍が凄い。もし紀宮清子内親王が黒田清子さんになっても子どもが産まれるかどうかまではわからんやないの。ほたらなにかい、もし産まれなんだら、少子化に拍車がかかるとでもいうんかい。
 結婚しない人が増えたり少子化が進んだりするのは、いろいろな事情が合わさってそういう結果になっているわけで、内親王が降嫁したから解決するというものでもあるまいに。待てよ、清子内親王の結婚で少子化に歯止めがかかるというならば、これまでの少子化の原因は内親王が独身でいたことにあるということになってしまうんと違うんかい。いくら日本国民統合の象徴という役割を憲法によって定められた御家族というても、そんなことまで責任もたれへんでしょう。
 こういうコメントを出している人(実際にいてるんですよ、私が作ったコメントやないですよ)はそこまで考えておるのかな。非常に無神経なコメントであると思うね。こういうコメントを出されても内親王は抗議もでけんのやろうか。

11月17日(水)

 読売テレビが2ヶ月に1回やっている『平成紅梅亭』という落語専門の番組がDVDボックスで本日発売された。先月に予約しておったのですが、入荷したという電話があったんで、仕事帰りにいそいそと引き取りに行く。
 DVDは3枚セットで、去年の5月に特別編として収録されたもの。ううむ、この3本だけかあ。もったいないなあ。というのも、この『平成紅梅亭』は実に志の高い番組で、テレビ局の中に明治時代の寄席をセットで再現して客を入れ、古典落語のみならず創作落語、漫才に諸芸と、あらゆる寄席芸を寄席そのもののプログラムで(しかも上方の芸人だけやない。東京からも呼ぶことがある)録画、放送してる。NHKでも司会に石田靖を起用してバラエティ的な構成で番組を作ってるというのにね。
 放送が深夜になるのは仕方ない。こういう番組を作ってちゃんとライブラリー化しているということに意味があるんやね。番組のプロデューサーの有川寛さんという方は、漫才も長年『お笑いネットワーク』(関西ローカルやのにネットワークとはこれいかに)という番組をやっていて、物故したり解散した漫才コンビの映像が保管されている。惜しむらくはその漫才師のベストフォームが残ってるというわけやないことやけれど、意識的にそういう「保存」を目的にした番組を作り続けてきたというところに値打ちがあるね。
 できたら今後は『平成紅梅亭』のベスト・セレクションを次々と出してほしいなあ。ビデオに録画したものもあるんやけど、別冊の解説書を見てたら撮り逃したものもけっこうあるしね。それに落語だけやなく紙切りや曲芸などの諸芸もまぜてほしいね。そうやってこそ、プロデューサーの志も生きるというものです。

11月18日(木)

 私の勤務校は今年が創立30周年ということで、今週末に記念式典なるものを開催する。こういう時に立ち会えるというのはなかなかないことなんで、楽しみにしている。
 式典が終ると、午後からは祝賀パーティーをやるということやねんけれど、私はそちらには欠席。式典が終ったら速攻で京都SFフェスティバルに行くのでね。
 祝賀パーティーの幹事さんは、職場の忘年会の幹事もしてて、なんでも今年はイントロ当てクイズをするという。
「喜多さん、なんかええCDもってへんか?」
 まあ、無難なところでピンクレディーや中森明菜あたりのCDを提供することにした。
「河合奈保子はいりまへんか?」
「あ、いらんわ」
 即答されてしもうた。河合奈保子ファンとしては辛いなあ。もっとも、イントロを聞いて即答されるほど耳になじんだヒット曲はないけどね。うーむ、西村知美や岡田有希子や宍戸留美は……なおのことですな。李香蘭もエノケンもありまっせ。笠置シヅ子はどないだ。あかんか。モンゴルのホーミーはどうじゃ。平家琵琶に雅楽もあるぞ。台湾のアイドルなんていかがかな。ますますいけませんなあ。こういう時にかたよった趣味の者は困るのことよ。少数派の悲哀というのか。少数派にも入ってませんか。
 どうせならクラシックのイントロクイズは? 「ぱー、ぱぁー、ぱあー。ぱぱあああーっ、どんだんどんだんどんだんどん」、「カラヤン指揮ウィーンフィルのリヒャルト・シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』!」、「残念! これはベーム指揮ベルリンフィルの『ツァラトゥストラ』でしたぁっ!」。あかんか。

11月19日(金)

中之島公会堂ホール
 明日に行われる勤務校の創立30周年記念式典の準備のために、大阪市中之島公会堂に行く。私は今まで外から見たことはあっても中に入ったことがなかった。郷土史の授業では建築の事情などをとうとうと語っておるというのにね。
 さすがは〈北浜の恩人〉こと岩本栄之助が大阪にも〈カーネギーホール〉のようなものをと私財を投じて作っただけのことはある。内装など、今どきの建築物にはない風格があるなあ。ステージの上でリハーサルをしている時に撮ったのが、左の写真です。
 これは有名な話やけれども、昭和のはじめに相場で活躍した岩本栄之助が、アメリカへ視察旅行したおりにカーネギーホールに入って感動し、企業家たるもの、私財を公益に使うべしと決意して建てたのがこの公会堂。ところが、岩本は完成を見ることなく相場の暴落で大阪の証券取引所を危機に陥れてしまい、自殺を決意する。自殺当日、岩本は散髪にいってから写真館で自分の写真を撮り、ごく普通に帰宅し、自室にこもってピストル自殺した。皮肉なことに、岩本の死後間もなく相場は安定し、彼が買いささえた証券も高騰したという。
 そういう背景を知っていると、よけいにこの公会堂の立派さがひきたってくる。こういうところで式典に参加できる生徒たちは幸せやなあと思う。
 明日は式典が終ったらすぐに京都に行かなならんから、あんまりゆっくり見てられん。自分のすべき仕事が終った後、2階席に上がってみたりしていろいろな角度から会場の風景を楽しんできたのでありました。

 明日は京都SFフェスティバルに行くので日記更新はいたしません。次回更新は日曜深夜の予定です。

 11月21日(日)はたちよみの会の例会です。多数のご参加をお待ちしています。


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