ぼやき日記


10月21日(金)

 今日から文化祭開始。担任が何もしないと生徒が動く。私はクラスの生徒に恵まれた。
 クラスの劇は大成功。漫研はOBたちがようけ来てくれた。演劇部の発表は明日。そんなこんなでかなり疲れています。これだけではわからんか。わかるように書かん方がええこともあるんよ。
 風邪をひいたみたいやけれど、明日1日乗り切れば一段落する。あと1日や。がんばりましょう。明日から待望の日本シリーズも始まることやしね。
 今日はこんな日記でごめんなさい。ああしんどい。

10月22日(土)

 いやしかし、日本シリーズ第1戦は締まりのない試合になったなあ。元凶はぼこぼこ打たれた井川にあるとしても、濃霧のために7回コールド負けというのはなんだかなあ。ただ、面白いのはマリーンズの選手の緊張感がこれでゆるんでしもうた場合、明日以降は逆に大味な野球をしてしまいタイガースのペースになるかもと思わせたことかな。特に下柳投手はそういうところをうまくついて相手を自分の術中にはめるのがうまいからね。それにしても井川はなあ。なんとかならんか。シーズン中と全く同じやないか。期待したらそれを裏切る。明日は「勝てたらいいな」と思いながら見ることにしよう。

 文化祭は無事終了。私の担任しているクラスは演劇で最優秀賞を受賞した。閉会式の前に全校生徒の前で再演するので、直前のけいこにつきあう。私も一応幕の開け閉めという役を仰せつかっているんで、そのタイミングを再確認せんならん。
 その時に、ふと気がついた。教師は生徒の様子を腕組みして見守ることが多いけれど、その理由に思いいたったのですね。生徒たちは一つの目標に向かうてみんなで力を合わせている。教師というものはその輪の中に入りたいと思うても、立場が違うから入られん。腕組みという仕草は対象とするものを拒絶する仕草やと以前本で読んだことがあるけれど、輪の中に入りたいと思うても入られんことを自覚しているから、自己防衛的に先手を取って腕組みして「僕は君たちの輪の中に入る気はないんだよ」というメッセージを無意識に送っているんやないかなあ。
 実際に腕組みをしている自分に気がついて、なんで自分は腕を組んでいるんやと自問自答した結果、こういう推論が出てきたわけですね。当たっているかどうかはわからんけれど、なにかしらそういう心理が働いているんやないかなあ。一所懸命練習している彼らを見て、その若い熱さに羨望している自分に気がついた時、そう感じた。
 ちくしょう、羨ましいなあ。

10月23日(日)

 あの、今、話しかけんといて下さい。
 まさか2試合連続10点取られて負けるとは。『ダメ虎』という言葉を思い出したよ。
 腹がたつのは解説の若菜(敬称なんかつけてやるかフン)。あんたシーズン中にタイガースの試合なんか見てへんくせにさんざんボロカスに言うてからに、タイガース時代に江本の投げる球を後ろにポロポロこぼしてたキャッチャーが、1試合に5三振もしたあんたに、ここというところで強気のリードをして失敗してたあんたに、そこまで言われたないわい。安藤かて決して悪いピッチングやなかったよ。たまたまホームランを打たれたら「スコアラーはちゃんとサブローのことを調べて送っているんですかね」やと! 3週間も待たされたあげくにプレーオフで勢いのついているチームに当たって本領発揮でけてへんだけや。
 その点江夏さんは立派やった。「私は公式戦ではセ・リーグばかり見ていて、ロッテの快進撃している時のことはわからないんですが」と前置きした上で、「ロッテの打線はプレーオフの時とは違っていますね」ときっちりフォロー。一応タイガースは江夏さん、マリーンズは若菜の分担となっているから、その範囲をこえることなく説得力のある解説をしていた。
 九州の方にお聞きしたいのですけどね、若菜はヤフードームの試合の時に、ホークスがマリーンズにボロ負けしてたらどうい解説をしてるんでしょうか。ホークス贔屓の解説をしてるんやと思うんやけどねえ。ここまでマリーンズのことをほめてホークスことをくさしますか?
 まあ、若菜はタイガースに捨てられたという怨みをまだ根にもってるんかもしれんな。それをここで晴らそうとしてるんかな。けっ。
 若菜のせいでよけいに試合がつまらんようになったわい。早う福本さんの解説を聞きたいよお。

10月24日(月)

 急に秋がきたせいか、文化祭が終って一段落ついたと緊張感が切れたのか、体調を崩してしまう。風邪薬を飲んで対応してるけど、今一つ思わしくない。明日から仕事やし、クラスの生徒の進路指導が一通り終らんと休むに休めん。演劇部のコンクールも2週間後に迫ってるしなあ。まあ、職場にいったら気合いもはいるか。タイガースが大逆転で日本シリーズを制覇したら、もうめちゃくちゃ元気になるぞお、きっと。ああそうか、あんな連敗をしたからショックで体調を崩したのかも。タイガースのせいにしたらいかんか。

 それにしても、大阪市助役の大平光代さんは気の毒やなあ。自分の仕事をようけ抱えてるのに改革のためと請われて助役になったというのに、役所の人たちは思うように動いてくれへんみたいやし、自分が改革の担い手やと思うたら、政府とつながりのある改革会議みたいなんをさらに作られるし、市長が辞職願いを出したら『影の市長』とか言われるし。
 やっとられんと思うよ。本職は弁護士で、政治家やないもんな。それでも、政治の素人なりにいろいろと動きはったのは新聞の報道を追っていってもわかったよ。
 助役というポジションが、かえって身動きをとられんようにしたのかもな。いっそ市長になってたら、逆に自由に動けたかもしれん。もっとも、かつぎ出した団体や政党が手かせ足かせとなって動きがとられなんだか。どっちにしても、破綻状態に近い大阪市を救うのは至難の技か。
 大平助役、「海外にいって体を休めたい」と友人に言い残し、記者会見の場にも出ずに退職。行動で自分の気持ちをみごとに伝えている。頭のええ分、耐え切れんことが多かったのと違うやろか。2年近く、ようやらはったと思うよ。市民はちゃんと見てるよ。

10月25日(火)

 あの、タイガースはほんまにセ・リーグのチャンピオンチームやよねえ。ドラゴンズとの激しい優勝争いを勝ち抜いて、岡田監督は胴上げされたよねえ。
 なんでやねん。なんで3試合も続けて10点も取られて、3試合で2点しか取れんのや。
 マリーンズはパ・リーグの公式戦で2位のチームやよねえ。短期決戦をうまいこと勝ちあがって、結果的には優勝したけど、シーズン通したらホークスの方が強いはずやよねえ。
 このままいったら2年連続パ・リーグの2位チームが日本一のチームということになってしまうやんか。
 ええんか? ほんまにこれでええんか?
 今日の試合が終った時点で、私はものすごいみじめな気持ちになってる。来シーズンもこのまま自信喪失して、もとの〈ダメ虎〉に戻るんと違うんかと。
 明日仕事に行く気力なくなったよ。そやけど休んでられんのよ。なんとかしてほしいんよ。
 これでええんか? このままマリーンズが「日本一」になってええんか?
 明日こそ勝ってくれえ! タイガースのほんまの強さを見せたってくれえ。

10月26日(水)

 なんで? なんでタイガースは1勝もでけなんだん?
 シーズン優勝って何?
 首位に4.5ゲーム差をつけられたリーグ2位のチームがなんで日本一なん?
 まだ、現実に起こっていることを私は受け入れられてへん。
 タイガースは、こんなに弱いチームやなかったよねえ。
 圧倒的な強さはないにしても、確実に勝てるチームになったはずやよねえ。
 なんで?
 何が起こったん?
 優勝決定から3週間以上も待たされて、じらされて、その結果がこれなん?
 もういっぺんやり直ししようや。
 いやほんま。
 このままやと納得でけへんのよ。
 怪我をした選手が登録抹消され、10日後に実戦に復帰してもなかなか打たれへんやんか。
 タイガースの選手のほとんどが半月も実戦から離れてたんやもんなあ。
 やっと実戦に慣れてきて、普通に試合ができるようになったら、もうおしまい?
 納得いかんわ。
 悔しい。
 茫然自失というけど、黒いユニフォームの一団がブラウン管の中ではしゃぎまくってるのを見て、そういう状態になっていた。
 ああもう!

10月27日(木)

 昨日の日記を読み返すと、確かに見苦しいかもね。そやけど、敗戦の時の気持ちをそのまま書いたのです。それくらいショックが強かった。この半年の喜びが一気にぶちこわされてしもうてね。以前、この日記で書いたけれど、どんなに仕事がきつくても、とにかくタイガースの勝つ試合を見ていることが心の支えになっていた時期もあったしね。今ちょうどまたしんどい時期なんで、シーズン中のような試合を期待していた。それが完膚なきまでに叩きのめされてしもうたんやから、ショックも大きいわな。
 昨日はもうしばらくはタイガースの試合なんか見たくもないとさえ思うたのに、一夜明けるとなんぼ負けてもええから野球してるところを見たいと思うている自分に気がつく。好きなんやからしょうがない。

 話題を変えましょう。
 大阪市長にもと吉本新喜劇で前の大阪市会議長の船場太郎さんが立候補することを表明したね。
 ふーん、あっそう。
 あ、終ってしもうた。
 堀江貴文さんが有人宇宙飛行の計画をぶちあげたね。
 ふーん、あっそう。
 あらら、また終ってしもうた。
 というわけで、今日の日記は終りです。どうも冴えんなあ。

10月28日(金)

 昨日、船場太郎さんの市長選出馬についてちらりと触れたら、今日の夕刊では出馬とりやめなんやて。なあんや。このままやったら有力な対立候補もいないまま関市長が当選してしまうやんか。別に関さんがいかんというわけやないけど、選挙というのは選択肢が多く、かつ有力候補が激突する形やないと盛り上がらん。もと芸人さんとはいえ、市議会議員のキャリアを積んだ船場太郎さんが立候補したら、選挙戦が白熱したものになるように思うたんやけどなあ。大阪市民の一人として、誰に投票するか悩むようであってほしいと願うてる。自分らの代表を選ぶわけやから、「どうでもええわ」と思うようなものになってほしくないんだ。
 ほんまに、ふーん、あっそう、という気分ですな。

10月29日(土)

 今日は土曜日としては久々のオフ。土曜休みのサイクルに体のリズムが慣れてしもうているから、文化祭やのクラブ顧問会議やのと仕事が入るとやっぱりしんどいな。明日は明日で、演劇部の年に一度のコンクール地区大会の準備があって(行われるのは来週の土日やけれど、リハーサルや舞台稽古などを入念にやらんならんので、会場準備は当日でOKとはいかんのですね)、ほぼ1日つぶれるし。
 というわけで今日は録画してたまっていた番組を朝から何時間もかけて見る。HDDレコーダーの奴隷ですな。
 この秋の新番組で失望したのが「ガンパレード・オーケストラ」。前作「ガンパレード・マーチ」が地球を防衛する若者たちの青春を細やかに描いた傑作やったんで、今回も期待したけれど、中隊長の命令を聞かない隊員に対して何の処罰もないというむちゃくちゃな展開と、登場する人物たちの魅力のなさにがっかりした。今の家に引っ越してから少し余裕が出たのかけっこうアニメや特撮を見るようになったんやけれど、作品の出来が悪いなあと思うものは、たいてい組織が描けてへんのですね。シナリオライターにどれだけ社会経験があるかということがはっきりわかってしまう。スタッフの誰もコース料理を食べたりちゃんとしたパーティーに出たりしたことがないなということやら、会社というものの上下関係を理解してへんなとか。
 ヤングアダルト小説でも「いったことがないなら酒場のシーンなんぞ書くな!」やとか「生徒の目でしか学校を見たことがないなら母校の教師に取材しにいくことくらいせえよ!」やとか、とにかく噴飯もののシーンに出くわすことがままあるけれど、それはまあ、その作家一人の問題であったり、チェックでけへん編集者の問題であったりと、少人数の問題でしかない。アニメやのドラマやのというと、かなりの人数がかかわってるはずでしょう。なんでどこかでチェックでけへんのかなあと(アニメ製作のシステムを知らんからかもしれんけど)思う。
 逆に面白いのは特撮ドラマの「セイザーX」で、こちらは組織らしきものがないために敵も味方も指揮系統がないからお互いに混乱するというあたりをうまく描いているので、笑える。敵は宇宙海賊で、それそれのプライドが高いから統率がとれてへんし、主人公側も誰がリーダーかすらまだ決まってへんという状況やから、意見の衝突が見られる、という具合。その衝突が納得できるもんやから、それを見て楽しむことができるわけですわ。
 「ガンパレード・オーケストラ」の場合、その衝突が組織としてあり得ないものやから、「そんなことで上官に逆らう奴は営倉にたたきこみ、軍法会議にかけて後方部隊にまわしてしまえ!」と思うてしまうんですな。
 以前ある関係者から「まともなシナリオをかける人材が不足している」という話を聞いたことがあったけど、何本も見ていたら、なるほどそうかと実感できたりするねえ。

10月30日(日)

 勤務校で顧問をしている演劇部のコンクール地区大会の準備で某市の青少年会館へ。別の学校の生徒でも3年生ともなると名前や顔を覚えて話ができたりもする。さる女子校の生徒が「マジグリーンかっこええねん!」とか言うてるのを小耳にはさみ、ついつい「魔法戦隊マジレンジャー」の話をしてしまう。やはり私は演劇部の顧問やなく漫研の顧問が合うてるみたいや。「インフェルシアの神様が大量に出現してなー、ヒカル先生が『君たちは戦ってはいけない!』言うたんや」「わあー、今朝は見逃したんで、おかげで来週見た時に話がつながります!」……。こういう会話をしている横で、その高校の1年生が無表情で私たちの方を見ているのを見逃す私やなかった。きっと心の中で「このおっさん、ほんまに教師?」と思うていたに違いない。女子高生と喜々として戦隊ものの話をしているおっさんというのは、考えてみるまでもなく常軌を逸しているかもしれんなあ。
 夕刻、準備は終了。帰りに原チャリで梅田まで足をのばし、DVD−Rをソフマップで購入したあと、旭屋書店へ。文庫本の売り場で無防備に本を物色していると、「喜多さんやないですか」と声をかけられた。堺三保さんやった。「こんなところで何をしてはるんですか」って、SF者が本屋にいたら本を買おうとしているか新刊チェックをしているか、やないですか。何を聞くやら。ふと顔をあげると、水鏡子さんに大野万紀さんに米村秀雄さんに岡本俊弥さんに……。「THATTA」の例会の帰りやったのですね。そうそう、この時間帯に旭屋に行ったらこのメンバーに会うということくらい、関西SF者の常識やった。誰も読む気の起こらんわけのわからん文庫を(伝奇ファンタジーらしい)手にとった水鏡子さんが「喜多くんに読んでもらおう」……。まともなSFもなかなか読まれん状態やのに。そこまで手がまわりますかいな。
 というわけで、演劇部の顧問から一瞬漫研顧問の顔になり、ついにはSF者の顔になって帰宅したのでありました。で、夕食後に録画してあった「マイメロディ」と「BLOOD+」を見たりして、こんなんで明日から教師の顔に戻れるかしらん。戻さんと仕事にならんのですがね。

10月31日(月)

 否応もなく教師の顔に戻されまして、今日も1日中授業と推薦書作り。
 疲れた。
 帰ってからアニメ「ブラックジャック」を見る。今日は原作の中でも私の好きな「ストラディバリウス」が映像化されているので、どういう演出になっているのか期待はしないまでも注目してたら、なんということでしょう。マエストロ、モロゾフの愛器はストラディバリウスやないんですか! 若い頃に街角の楽器店でたまたま見つけた何の変哲もないヴァイオリンですか! なんで原作通りストラディバリウスやないんですか! 名ヴァイオリニストやからこそ名器で弾くんやないですか。私は自分で演奏するわけやないけれど、楽器というものは1台ずつ微妙に音色が違い、名匠が作った名器といわれるものを名人が奏でるとえも言われぬ音色が鳴り響くということくらいは知っているのです。また、ストラディバリウスは現在残されている台数も少なく、まさに吹雪の中を自分の命も顧みずに探すだけのことはある代物なのです。
 街角で若いヴァイオリニストが簡単に入手できるような楽器とは、わけがちがう。あのヴァイオリンはストラディバリウスやからこそ話が生きてくる。クラシック音楽のファンとしても知られた手塚治虫さんらしいエピソードなんやね。
 脚本は小林弘利さん。なんでヴァイオリンを原作と変えてしもうたのか。クラシック音楽に関する知識がないならないで、せめて原作通りになんででけなんだんか。うーん。なんでやねん。
 へろへろになって帰ってきて、よけいストレスのたまるものを見せられて、このうえあの日本シリーズの悪夢を再現する気力は、ないね。というわけで、「愛すれどTigers」日本シリーズ篇の更新はもう少し先延ばしにします。
 ああ、「探偵ナイトスクープ!」は今日見るべきやった。笑いが疲れを取ってくれたやろうになあ。


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