ぼやき日記


10月1日(土)

 あ、今日から10月か。去年の今時分は韓国への修学旅行の準備に追われていたんやなあ。なんかはるか昔のできごとみたい。
 時のたつのは早いなあ。まるでタイムマシンにのって一足飛びに未来にきたみたい。
 日記を読み返したら、1日ずつ時が過ぎてはいるんやとわかるんやけどね。
 今日はこれくらいでおしまい。すごく体が弱ってます。熱はないんやけど。とにかく眠い。早く寝ます。
 おやすみなさい。

10月2日(日)

 今朝の「仮面ライダー響鬼」で、いくらトドロキが女心に鈍いからというて、彼女の誕生日にコース料理を食べてからプレゼントとしてとれとれの鰹を渡すというのは無茶苦茶なシナリオであるね。実はここ何回か前から井上敏樹さんに脚本がかわってるんやけれど、この方は「仮面ライダー555」などでもうーむというしかない脚本を書いているのですね。人には向き不向きというのはあると思うんやけれど、この方は前回は子ども向きの話ではないと意識し過ぎて失敗し、今回は子どもにもわかりやすいものをと意識し過ぎて失敗してるように思える。前半の大石真司さんときだつよしさんが、かなりきめ細かくていねいな話作りをしていただけに、この落差は目立つなあ。京介という明日夢のライバルとして登場したキャラクターは、「555」に非常によく似た人物いたよなあと思わせるキャラクター造形やし。
 なんで脚本家が交代したんやろう。大石・きだ路線ではあかなんだんかなあ。とにかく鰹をプレゼントしたりハンバーグを飛ばして人の頭の上に乗せたりという出来の悪いマンガチックな場面には頭を抱えてしまいましたぞ。うーむ。

10月3日(月)

 今日、昼間に録画しておいた「高校生ドラフト会議」を帰宅してすぐに見る。大阪桐蔭の辻内投手はバファローズとジャイアンツが重複指名。くじ引きの結果、バファローズの中村GMが当たりを引いたと印鑑の押してある札を高々と掲げて大喜び。ところが、ジャイアンツの堀内監督もにこやかな表情で座席に戻っている。それでもテレビでは「辻内はオリックスに決まりました」と言うている。続いて福岡第一の陽外野手はホークスとファイターズが重複指名してこちらは王監督が満面の笑み。ホークスが第一希望の陽は嬉し涙を流していた。
 が、コミッショナー事務局から衝撃的な発表があった。当たりくじも外れくじもどちらも印鑑は押してあって、「選択確定」と印刷されている札を引いた方に権利があるんやて。そのことを各球団に説明してなんだから、中村GMはぬか喜び、陽選手は複雑な表情に。
 私は関西の選手は地元チームに行ってもらいたいと思うていたから、一時は辻内投手がバファローズにくると喜んだし、高校からプロ入りした投手を体もできてへんのにばかばか投げさせて使いつぶすジャイアンツに行くよりも辻内投手のためになるとすら思うただけに、この逆転発表でがっくりきてしもうた。
 私は現在高校3年の担任をしているわけで、進路決定には非常にナーバスになっている。今回のドラフト対象の高校生は、ちょうど私が担任をしているのと同い年の生徒たちなだけに、私が担任の立場やったら激怒していると思う。プロ野球の世界に入るというても、入ったチームによって大きく運命は変わる。そういう大切な会議でこういう間の抜けた失態が怒るというのは、正直なところ許し難い思いがするね。こういう場合は一からくじを引き直したらどないやとさえ思うたね。こういうことが起きるのも、「逆指名枠」やら「自由枠」やらで予定調和のドラフトを続けてきたからやね。もうくじ引きもやめて完全ウェーバー制にしとけよ、と思う。そしたらこんなチョンボは起こるはずがなかったわけやからね。
 こういうドラフトは今季限りにしてほしい。高校大学社会人全ていっしょにした完全ウェーバー制の1年でも早い実施を願っておるのですわ。
 それにしても辻内くんには気の毒やったなあ。飼い殺し決定か、1年で肩をいわして一生を棒にふる、そんな目にあわんことを祈るばかりですわ。

10月4日(火)

 番組改変期でありまして、気に入っていた番組が最終回を迎えたりしている。今日の深夜の「タイド・ライン・ブルー」や先週の「ハチミツとクローバー」なんかはまとめて2本分オンエアしてなんとか次の新番組を予定通りやってしまおうとしたりしているね。そうかと思うと「かみちゅ!」みたいにタイガース優勝特番のおかげで流れてしもうたのもあって、これは優勝当日、朝日放送に電話して「最終回やからぜひちゃんと放送して下さい」と要望を出しておいた。いや、それくらい面白かったのですよ。担当の女性は「御要望として編成に伝えておきます」というてはったけど、ちゃんとやってくれるんやろうな。
 一番残念なんは、「鋼の錬金術師」。そんなんとっくに終ってるやろうというご指摘もあるかと思いますが、関西地方では映画公開に合わせて土曜の深夜に再放送をしておったのですよ。これがなんとちょうど半年分やったところでいきなり[最終回]! 殺生な。妻の言によると「ここからもっと面白くなる」んやて。うおー、新作映画をもう一本作って再放送の続きをやってくれ。ここまで見せといて、あんまりじゃわいなあ。レンタルビデオを借りるしかないか。えーいくそ。本放送の時に見ておくべきでしたか。まあ、それを言われるとなんとも。

10月6日(木)

雨の甲子園
 昨日は雨の中、甲子園の今季最終戦を見に行った。何人かで誘い合わせたため、前売りチケットをまとめて取れたのが三塁側アルプススタンドのみ。このスタンドは指定席やないんで、早めに行っておかんとええ席を確保でけん。昼過ぎに家を出て甲子園へ。入場門からもう30人くらいは並んでた。平日やないか。みんな何してるねん。あ、私もそうですか。いいえ、私はちゃんと休暇を取りましたよ。今は試験休みで授業もないから、休暇をとってもひとまず大丈夫。生徒との連絡が必要になったら、携帯電話がおますがな。実際、雨の中、新聞を敷いて座っていたら、生徒からメールがきて、甲子園前から勤務先に電話して、わかったことをその生徒にメールでしらせたりなんかしていたわけです。
 午後3時過ぎには連れも何人か合流し、独りぼっちから解放された。開門は予定の30分遅れで16時30分。中に入ってまずは席を確保する。それから一服つけに喫煙コーナーに行く途中でとった写真がこれ。グランドを特大のシートで覆っていたのを機械で巻取っているところです。内野の土の部分はこのシートで全面保護されていたわけやね。けっこう降っていたけれど、それでも試合ができるのはこのシートのおかげなわけです。
 雨はきつく降ったり、あがったり、また降ったり。ビニールの合羽を着たり脱いだりまた着たり。それでも試合は白熱して延長戦に。最後は鳥谷のサヨナラホームランでケリがついて、喜び大爆発やった。最終戦をサヨナラ勝ちで飾ったのは球団史上初めてやそうな。私もここ10年ずっと最終戦を見にくるようにしているんやけれど(2001年のみ和田の引退試合を見に行ったので最終戦はパスした)、確かにこういう試合は初めてやね。
 それにしてもなあ、10年前、1996年に行った時はこんなに満員やなかったぞ。4万7千人やて。すごいなあ。2002年の星野監督就任のころからかなあ、こんなに入るようになったのは。
 あのころは閑散としたスタンドで秋風が吹くのを感じながら、「これで今年も野球終りやねんなあ。中西と木戸が引退するんやなあ。優勝した時のバッテリーもこれが見納めやねんなあ」と、しみじみ一人で1年の締めくくりをかみしめていたものです。これはもう侘び寂びの世界やね。万年最下位やったしなあ。
 強くなるというのはこういうことやねんな。サヨナラホームランに熱狂し、日本シリーズでの優勝を期待しながら六甲颪を歌うのも気持ちよかったけど、少しばかりあの往く秋を惜しむようなしみじみとした空間というのを懐かしく思うたのでありました。
 こういう気持ち、村上ファンドさんにわかってもらえるかな? わかってもらえる人やったら、何したってかまわんけど、たぶんわかってもらわれんやろうなあ。

10月7日(金)

 今年も「京都SFフェスティバル」の合宿企画で「名盤アワー」をやることにして、今日やっとMD編集を終えた。例年より1ヶ月開催時期が早いのと、とにかく日々の業務がむやみに忙しくてまとまった時間か取られへんだのと、タイガースが優勝して野球のある日はとにかくテレビにはりついていたことなどから、前日ぎりぎりになっての編集作業ということになったわけです。
 例年悩むのは、もちろん選曲でして、今年は早くから「懐かしの特撮番組主題歌」特集でいこうと決めており、手持ちのCDを目の前にしてどの曲を聴いていただこうかとうんうん唸っておったのですね。
 選択規準は、大きく2つ。まずメジャー過ぎないこと。いくら名曲やからというて今さら「ウルトラセブン」や「怪奇大作戦」のテーマをわざわざかける必要はないわけです。そんなん別に私の企画やなくても聴けるからね。それから歌詞が面白い、あるいは曲がよいこと。これは私の好みの問題もあるけれど、聴いていて飽きられるのが一番嫌やね。だいたいこの2つが規準ということになる。あとはもう知名度が低かろうが高かろうが関係ない。いやあ、なんとか決まりましたよ。
 「京フェス」のサイトでは野坂昭如「大物ソング」と桂三枝「桂三枝の電線音頭」をかけることを予告してあります。それ以外は聴いてのお楽しみということにしたいところですが、もう少しばらしておこう。あの傑作ホラーコミック番組「怪奇大家族」のテーマ曲、映画「ガメラ」復活記念に「ガメラマーチ」などなど。また、タイガースが優勝したので、そちらがらみの曲や趣向もあります。
 とにかく昨年はお客さんが少なかったんで、企画開始5周年になる今年は少しでもたくさんきてほしいな。というわけで、ここで宣伝しているのですね。

10月9日(日) 京都SFフェスティバル2005私的レポートその1

森見登美彦インタビュー
 今年も京都SFフェスティバルにいってまいりました。例年通り何日かに分けて私的レポートをお送りいたします。開催日は10月8日(土)でした。
 出かけるのに少し手間どったけれども、予定していた時間に家を出る。外は土砂降りの雨。傘をさして駅まで歩いたんやけれど、かなり強い雨やったから、上着がかなり濡れた。地下鉄、京阪と乗り換え。その間に乾くかなと思うてたけど、乾かなんだなあ。
 京阪丸太町駅て下車し、改札を出たところで作家の北野勇作さんと会う。連れ立って京大会館に向かう。開始時間の11時には間に合う。会場には作家の藤田雅矢さんと奥様の姿も。お二人は京都に実家があるんで里帰りとなるわけやね。私は当日申し込みやったから、手続きなどをしている間に最初の企画「森見登美彦インタビュー」がはじまった。
 「太陽の塔」「四畳半神話大系」など、独自の世界を構築している森見さんは、スリムな好青年。あの独特の文体の影響は内田百けん(なんでコンピュータの漢字表にケンの字がないんやー)やそうで、古臭いものがええとか。そやからSFもジュール・ヴェルヌが好きやったりするわけですね。
 面白かったのは、「太陽の塔」がは本来の森見さんの作風やないということで、ライフル射撃部の仲間に読ませて受けていた「自分では小説とは思っていなかった」ものを書いて応募してみたんやそうです。そやから、「太陽の塔」には実在の人物をモデルにした人物がたくさん登場するらしい。
 「四畳半神話大系」は、当初の依頼は書下ろし短篇集やったという。そこで以前からあたためていた同じ事象をパラレルに書きすすめるというアイデアを使うてみはったわけです。ここでは実在の人物がモデルになっているのは1人だけ。その人に後から読んでもろうたら、就職してから自分を見失いかけていたその人はこの本のおかげで学生時代の自分を思い出し、初心に立ち返ろうと決意できたんやという。なかなかええ話ですな。
 現代を舞台にした話を古臭い文体で書きたいという森見さん。あの文体は独特のユーモアセンスがあって私も大好きやから、このまままっすぐ伸びていってほしいなあ。そんなことを感じたインタビューでした。それにしてもインタビュアーの細井威男さんは、なんか疲れてたみたいな感じがしたぞ。大丈夫かな。
 では、午後の部からは明日書きます。すごいハプニングで私おろおろという事態が待ち受けてるとは、この段階では知る由もなかったのですね。

10月10日(月) 京都SFフェスティバル2005私的レポートその2

 今日からこの日記も8年目に突入。こんなに長く続くとは自分でも思うてなんだなあ。これもここまでおつきあいいただいている読者のみなさんのおかげと思うております。これからもご愛読をよろしくお願いします。まだまだ続けますぞ。

書評家パネル
 さて、「京フェスレポート」の続きです。午前中の企画が終り、一服つけていたらSF研究家の牧眞司さんが近づいてきて「喜多君は書評を書いてるよね」と当たり前のことを確認してきた。何のことかわからず「はあ、まあ、書いてますけど」と答えると、「それじゃあ、次の企画に出てくれないかなあ。僕も出るから」と驚かせてくれましたな。実行委員長の大澤和彦さんによると、ゲストとして予定していた大森望さんが急病で入院してしまい、とても京都まで来られんらしい。代打としてうってつけの三村美衣さんもまだ会場についていないとのこと。大澤さんをはじめとする実行委員の面々には「たちよみの会」でいつもお世話になっていることやし、ここは枯れ木も山のにぎわいではあるかと思うが、出演することにする。
 昼食は京大会館地下の食堂で北野勇作さん、藤田雅矢さんご夫妻と同席。おたがい古くからの顔なじみということもあって、話が弾んだ。
 で、いよいよ午後の企画開始。「書評? ブックレビュー?−その意味を問う」と題されたパネルディスカッションで、私を書評家として引っ張ってくれはった岡本俊弥さんが日本SFにおける書評の歴史を概説した後、大森さんの内幕暴露などをからめた戦略的な書評を展開したことや、ベストセラーとなった「新人賞メッタ斬り!」以降、SF界で大森さんが取った手法がその他の分野でも通用するのか、などという話をした。それに対して牧さん、そしてこちらも書評家としては大先輩の水鏡子さんが鋭い受け答えをしていく。
 私は「『SFマガジン』のヤングアダルト書評については、あまりとりあげられないジャンルの紹介と、そのジャンルが自分の期待するような形で発展してくれたらいいという戦略的な気持ちはあったし、それは大森さんの影響を受けているのかもしれない」ということや、「書店サイトの書評は、本を売るということが前提としてある上に作家の目にも触れやすいのでプレッシャーは常にあった」ということなどを話す。また、「大森さんは今後テレビや新聞などのコメンテーターなどもやっていくようになるのではないか」と予測したりもしてみた。
 果たしてどれだけ力になれたかはわからないけれど、即席出演者としてはそれなりにしゃべることがでけたんやないかなあ。それにしても緊張したなあ。お相手は私のファンダムでの大先輩ばっかりやし、しかもあの大森さんの代役やし。それでも昼ご飯はしっかり食べられたんやから、意外に肝は座ってたんかもね。(写真は左から岡本俊弥さん、牧眞司さん、水鏡子さん、私です。撮影は榎本秋さんにお願いいたしました)
 続きの企画はまた明日の日記でご紹介します。

 私が解説を書いている文庫、谷甲州「ジャンキー・ジャンクション」(ハヤカワ文庫JA)が発売されています。ぜひご一読を。


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