ぼやき日記


5月1日(月)

 突然気温が夏になった。体がついていかん。私の体はまだ春仕様やのに、周囲が夏になるとようついていかん。なんとかならんか。
 授業中、教室が暑いので生徒が窓をあける。風はそこそこ吹いてくる。私が生徒の机のまわりを歩いていると、外から風が強く入ってきた。
 なんやこの温い風は! まるで暖房やないか。学校の窓全体がエアコンの熱風吹き出し口みたいになったような気がするね。ああだるかった。

5月3日(水)

初夏の万博記念公園
 夏です。ええ夏ですとも。行楽日和ですとも。
 で、行ってまいりました、万博記念公園。というても、お仕事なんですけれど。障害児指導にかかわって、地域交流会という行事が私の勤務する学校中心に行われ、私は障害児学級では新米なので、そのおともをする。
 あまりに新緑が美しいので携帯電話を取り出し何枚か撮影する。けっこうな人出やったから、人が通り過ぎて風景だけになるまで待つのはなかなか大変でしたぞ。
 私の仕事は「オリエンテーリング」の関門の番人。地元の小中学校や養護学校の生徒たちを一度ばらして再編成したチームを10つくり、関門ごとにゲームを用意しておいて、5つのゲームをクリアしてスタート場所に帰ってくる早さを競う。どのチームが通過していったか記録していたけれど、チームは順番に定期的にやってくるわけやないので、ずっと待っている時間もあれば複数のチームにゲームを説明するという時もある。
 とはいえ、待っている時間は新緑を見ながら何も考えずにリラクゼーション。駅から公園までそこそこの距離を歩いたりして疲れはしたけれど、半日緑の中で過ごすことができたのは、ふだん室内にこもってしまっている分だけ、貴重な時間を過ごさせてもろうたと思う。
 万博公園の最寄駅の阪急千里線山田駅は、10年ほど前に勤務していた学校の最寄駅なんやけれど、当時は駅も小さく駅前にも何もなかったし、5年ほど前に住宅を探して物件を見にいった時にもまだ完成してなんだマンションやショッピングモールができていて、その様相をすっかり変えていた。歳月人を待たなんだりするもんやなあと思いつつも、阪急阪急した建築物の様子に画一的なものを感じて少し寂しくなったりもしたのでありますね。

5月4日(木)

 今日は実家の家族や妹の友達が大挙して我が家に来てくれて、とてもにぎやかで楽しく過ごす。妻は同じ顔ぶれで春先に旅行に行ったりしているので、かなり打ち解けた感じになっていたのもよかった。旅行先で妹が撮影したビデオや参加者が撮った写真を見たりと短時間ではあったけれど、あれこれプログラムがあって面白かった。いやあ、妻はみんなから「サファイア」と呼ばれてたんですね。いわずと知れた「リボンの騎士」の「サファイア」です。いやあ驚いた。ずっと前に冬樹蛉さんから「喜多さんの奥さんはサファイアみたいですなあ」といわれたことがあったけれど、それはまあ私が手塚ファンであることを踏まえてそういわはったからで、そうでない人からも「サファイア」と呼ばれているなんてね。もっとも、妻は見た目は女性やけれど中身はおっさんみたいなとこがあるから、だから「サファイア」なのかもしれんけど。癖っ毛で髪がはねたりしてるから髪型が「サファイア」みたいな時があるし、それでかな。

5月5日(金)

 昨日実家の家族が家に来たので、ちょっと早いけれど「母の日」の贈り物を渡した。今年はDVDを贈る。母は若い頃アメリカのミュージカル映画が好きやったので、DVDの店で古い洋画を探したりしていたんやけれど、違う棚に目を移したら「男はつらいよ」のシリーズがずらりとならんでいたんで、その中から母の好きなタイトルを2本選んで贈ることにした。年を取ると、新しいものよりも昔なじみのものを繰り返し見たりする方がええんやないかなと思うた次第。幸い母は喜んでくれたので、いろいろと探した甲斐があってよかったと思う。
 ところで、私は20作目あたりまでは名画座などでけっこうこのシリーズを見ているのですね。第1作は子どもの頃に見た時はけっこう面白かったんやけれど、30ちょっと前くらいにテレビで見返した時にはとても笑えない重い映画で辛かったのを覚えている。若い頃に故郷を飛び出た男が懐旧の念にかられて帰ってくる。幼なじみの女性は幼なじみとしてあたたかく迎えてくれるんやけれど、その男は自分への好意と受け取って舞い上がってしまう。しかし、現実は厳しく、男の恋心はただの道化でしかなく、またその恋心は昔なじみの人々の嘲笑の種になってしまう。かくしていたたまれぬ思いで男は故郷をあとにする。こんな映画のどこを笑うたらええんやと思うたな。私は幸い好きな人と結婚することができたけれど、それまでは好きな子ができてもふられっぱなしで、こと女性に対してはみじめな青春を送っていたから、よけいに見ていられなんだな。
 さすがにシリーズも話数を重ねるとそういう生々しさよりも寅さんをめぐってまわりがどたばたする構成になっていくので、さほど心苦しくはなくなったけれども。そやから、20作目までで私が好きなのは「寅次郎夕焼け小焼け」というマドンナが大地喜和子の芸者で色恋を超えたところで意気投合し、そこに宇野重吉がからんでくるものと、「寅次郎と殿様」という晩年の嵐寛寿郎が存在感で渥美清と火花を散らすものですな。つまり寅さんの失恋物語という構成には私は面白さを感じていないということになるか。

5月6日(土)

 ここを見たら、本屋のおっちゃんがなんとか中学生に本を読んでもらおうと苦労しているのがようわかる。正直、本があんまり好きやない子どもにしたら、何を読んでええんかわからんもんな。そういう時に教科書の文学史年表みたいなリストとはひと味違うお薦めリストがあればええと思う。
 実際、私が本格的にSFを読みはじめた頃、「SF入門」的な本についているお薦めリストは大いに参考になったしね。そこで下らんもんばっかり当たってしもうてたら、「やっぱりミステリ読もうか」とかいうようになっていた……ということはないか。漫画中心の読書になっていたということはあり得るが。
 ただ、ここのリストを見たら、あまりにもSFが少ないのにはちょっとなんだかなあ、という気がしなくはないけどね。これはこのおっちゃんがあんまりSFを知らんということなんやろうな。恩田陸と宮部みゆきとスティーブン・キング、またジャック・フィニイの「ゲイルズバーグ」にダニエル・キイスの「アルジャーノン」が入っているなら、梶尾真治あたりもはいっていて当然やないかと思うのですけどね。まあこれは本屋のおっちゃんが自分なりに考えたリストやからその人の主観が反映されていて当たり前。
 私は自分の主観を反映させつつ客観的にも納得できるお薦めリストを作れるほどバラエティに富んだ読書をしてへん偏食読書人やからなあ。こういうリストはよう作らんなあ。お薦めしたい本ほど品切れ絶版本も多いしね。

5月7日(日)

 フィギュアスケートの金メダリスト荒川静香選手のプロ転向発表の記者会見が行われたそうな。いやあ、意外やったなあ、と驚いた。
 今さらプロ転向に驚くのかって? そんなことには驚きません。まだ発表してなんだことに驚いただけですわ。実際、トリノオリンピックで金メダルを獲得した時、スポーツ新聞の中には、フリースタイルの演技の前日に「アマチュア最後の大舞台」とはっきり書いてあったりしたもんなあ。メダル獲得後も「荒川はプロへ、村主はアマ続行」という報道がなされていたし。
 今日まで発表が遅れたのは「自分の心の整理がついていなかったから」とのことやそうですけど、今後どのアイスショーと契約するのかということが理由で遅れていたのかと思うたぞ。うがった見方かもしれんけれど、プロとなるからには「心の整理」などという美しい言葉で飾るよりもはっきり「契約の関係です」と言うてもええように思うが。いや、契約の関係と決めつけてはいかんのやけれどもね。
 ところで下世話やけれども、荒川さんがプロとして滑る場合、ワンステージのギャラはいくらくらいなんかなあ。記者も「一番思い出に残っていること」なんか聞かんと「出演料はおいくらでしょう」と単刀直入に聞くくらいの人がいてもええのになあ。

5月8日(月)

 昨日の日記で、記者が荒川静香さんにギャラのことを聞けばいいのにと書いたけれど、実際には聞いたそうな。今朝の新聞にはそう書いてあった。そしたら荒川さんは「お金よりもスケートのすばらしさを多くの人たちに知らせたい。最初のショーはチャリティーで行う」という主旨の答えを返したとか。うーむ、発想がまだプロになってへんということなんかなあ。高いギャラをいただいた分、最高の演技をお見せしてスケートのすばらしさを知らせるのがプロやと思うけどね。まあ、1年くらいたってから質問したらそういう答えが返るようになっているかもしれんけれど。なにしろまだプロ転向を発表したばかりで、ほんまのプロになったわけやないんやから。プロというのは、報酬でそのランクが決まるもんやからね。

 女優の曽我町子さんの訃報に接する。享年68。死因は病死とだけ発表されている。
 いや驚いた。ついこの前、「魔法戦隊マジレンジャー」で久々にマジエルという善玉の役で登場してたのを見たばかりやからね。私は熱心な戦隊もののファンやったわけやないけど、「電子戦隊デンジマン」や「太陽戦隊サンバルカン」のヘドリアン女王で曽我さんが強烈な存在感を発していたのは印象に残っている。今調べたら「恐竜戦隊ジュウレンジャー」にも魔女パンドーラという悪役で登場してるんやね。
 もっとも、私にとっての曽我さんは、やっぱり「オバケのQ太郎」の声の人、ですね。あの独特のざらりとした声は、誰にも真似でけん個性的なもので、「新オバケのQ太郎」で堀絢子さんがQちゃんの声を担当した時は、「この声はQちゃんと違う!」と幼心に思うたのが記憶に残っている。「ドボチョン一家の幽霊旅行」で、(たぶん)悪戯な猫の声を担当していたと思う。ここらあたりの記憶は若干あいまいやけれど、とにかく猫の声を聞いたとたんに「あ、オバQ!」と思うたのだけは確か。
 そうやなあ、私はこの年になって毎日大量のアニメを見ているけれど、ここまで強烈な声の声優さんは今はいてへんなあ。大山のぶ代さん、野沢雅子さんなど、昔は他の人には出されん声の持ち主が声優として活躍してたのに。
 諸般の事象でいまやDVDすら出されへん(らしい)「オバQ」やけれど、私の記憶には曽我さんの声とともにあのとぼけたキャラクターが今も生きている。30代以上の人にはこれも誰にも真似でけん「ヘドリアン女王」の姿が強烈に残っていることやろう。そういう役者さんは、近頃めっきり減っただけに、その存在は今も光っていると思う。
 謹んで哀悼の意を表します。

5月9日(火)

 朝青龍は休場するし、栃東は連敗して横綱昇進に黄信号がともったし、どうも相撲はなんだか白鵬の一人勝ちみたいに展開していきそうな予感がする。それはそれで面白くないぞ。それにしても朝青龍の怪我は全治2ヶ月とか。こういう大怪我がきっかけで強豪横綱がみるみるうちに弱っていくというケースを何度も見てるだけに、朝青龍の場合は完全復活してほしいものです。朝青龍が強くなってきたら貴乃花と武蔵丸が怪我をしていきなり朝青龍の天下がやってきてしもうたのは記憶に新しいところやね。白鵬があがってきたら今度は朝青龍が怪我。なんというか、こういうのの繰り返しはあんまり見たくないなあ。

 プロ野球は交流戦が始まった。わがタイガースの相手は昨年の日本シリーズでタイガースをボロカスに倒してくれたにっくき千葉ロッテマリーンズや。タイガースが勝った瞬間、溜飲が下がったよ。あの日本シリーズの屈辱はいまだに思い出すと手がワナワナと震えてくる。この調子で6試合全部勝ってくれい。10点差つける必要はないけど、もし3試合ほど続けて10点取ってくれたら欣喜躍弱、感謝感激、完全無欠、家庭円満、昭和元禄、平成不況、人獣細工、肉食屋敷、脳髄工場……私には四字熟語の素養がないということがバレバレですな。アンゴル・モアちゃんの方が四字熟語の語彙が豊富やぞ。ってゆーか、無知無能?

5月10日(水)

 原チャリに乗りながら携帯電話をかけている人は見たことがある。
 電車の中で化粧をしている人も見たことがある。
 今日目撃したのは、もっと凄かった。原チャリに乗りながら化粧をしているのである!
 信号待ちをしている原チャリがあって、それを運転しているのはリクルートスーツ姿の若い女性やった。なにか不自然な姿勢をとっている。バックミラーを覗き込みながら何かをしているんやな。あんまりじろじろ見ては失礼なんで、はすかいから観察させてもろうた。
 原チャリのバックミラーに顔を移した彼女は、なんと眉毛を書いていたんですな。最初、私は彼女が何をしているのかわからなんだ。いや、常識が邪魔をして、その行為を素直に受け止められなんだのかもしれんな。まさか原チャリに乗りながら、化粧しているなんて想像もしたことがないもんな。しかも、車体を道の端に止めて、とかいうんやなく、車線の真ん中で停車している。
 信号が変わるまでに片方の眉を書き上げた彼女は、青になると化粧道具をさっと小さいカバンにしまい、何事もなく発進した。うーむ、これは相当慣れていると見たぞ。
 しかし、そんな危険な化粧の仕方をするということは、部屋に鏡がなくて原チャリのバックミラーを使うしかないという境遇の人なんかなあ。それにしは身なりがかなりよかったぞ。まあ順当なところで考えたら、寝坊して家で化粧をしている間がなかったということになろうか。いやいや、貧しいという線も捨てがたい。なんでかというたら、その原チャリはあまり女性が乗る型のものやなく、しかもかなりの年代物。シートが擦り切れて中のウレタンが見えているところがなんともわびしくてええな。
 そこまでするくらいやったら逆に化粧を一切しない方がええんと違うと、男である私などは思うてしまうけれど、女性にとってはそうもいかんということなんやろうね。


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