ぼやき日記


12月11日(月)

 月曜日はクラシックの日です。というか、「のだめカンタービレ」を見終って、この日記を書こうと思うと、むしょうにクラシックが聴きたくなる。ただし、番組内で演奏されていた曲を聴きたくなるわけやないのが、われながら不思議かも。今日はシューベルトのピアノソナタとショパンの練習曲、そしてドビュッシーの小品をのだめが弾いていたけれど、手にしたCDはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲です。なんか急に聴きたくなったのですね。
 私の頭の中のクラシックスイッチが入ると、ランダムに選曲をしてしまうみたいやな。むろん、自分が覚えている範囲内の曲しか選ばん。で、手にとったCDにはカップリングで他の曲も入っているわけで、それも続けて聴く。すると、それが不思議と最初に選んだ曲よりも自分の気分に合っていたりする時もあるから面白いね。
 ちなみに今、耳にしているのはショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。ヴァイオリンはヒラリー・ハーンの演奏です。そんなん別にどうでもよろしいか。
 とにかくひたすらCDを集めまくった時期があったので、最近では新たに買うことはなく、以前買うたものをとっかえひっかえしては聴いている。いいオーディオルームがあればいうことないんやけれど、まあそれは仕方ない。
 「のだめ」効果は、私にはけっこうきてるかもしれんな。

12月12日(火)

 古い知人からいきなりクリスマスカードが届いた。「クリスマスおめでとうございます」なんて書き出しで、近況が綴られている。なんじゃいなと思いながら読み進めていくと、文章の結びは「喪中につき、新年のご挨拶は遠慮させていただきます」とある。
 これはクリスマスカードの体裁をとった喪中ハガキやったんか!
 もしかしたら差出人はこの日記を読んでいるかもしれんが、読んでいたらそれでよろしい。夜とともに説教してやる。
 彼は「喪中」の意味をわかっておるのか。「喪に服す」ということは、喪があけるまで、つまり一周忌がくるまでは原則として祝い事は慎みますということなんやぞ。「メリークリスマス」の「クリスマスおめでとうございます」のと祝っておいて「喪中につき新年のあいさつは遠慮する」というこの矛盾に彼は気がついているんやろうか。
 いやもしかして、私もそこら中で非常識と思われるようなことをしでかしているかもしれん。他人の非常識を日記にさらすなどということは、天に唾する行為かもしれん。しかしですね、今年一番のターザンの石大賞をこのハガキには贈りたくなるのですよ。こうやって書いた以上、私も非常識なことをしないように気をつけなならん、と。
 いやでも、彼はもう40過ぎているのですよ。もし読んでいたら、自分を恥じなさいよ、ほんまに。こんなことをされたら、日頃日記のネタに苦しんでいる私のような者には猫にマタタビ馬にニンジン鴨がネギしょってやってきたてなもんやないですか。いやほんま恥ずかしい。

12月13日(水)

 「M−1グランプリ」は素人にも門戸が開かれているというのがウリの一つなんやけれど、これまではさすがにプロの壁に阻まれてアマチュアのコンビが決勝に進出することはなかった。
 それがあなた、今年は6年目にしてとうとうアマチュアの女性コンビが決勝進出というやないか。もっとも、アマというても去年の「M−1」には準決勝まで進出しているそうやし、片方の人はピン芸で「R−1ぐらんぷり」にも挑戦しているそうな。
 決勝の審査員誰もがまだ一度もその芸を見たことがない、予備知識ゼロの存在というのは実に楽しみやね。「変ホ長調」というチーム名のこのコンビに今年は注目やな。
 ちなみに、アマチュアが決勝進出してるのに、このコンビ以外はみんな吉本興業所属というのはどういうことですか。松竹芸能の若手は何をしているか。敗者復活戦での奮起を期待したい。
 ところで今年の優勝ですが、フットボールアワーが最有力、対抗馬に笑い飯、麒麟というところが順当な見方やろうけれど、私はザ・プラン9がいいところまでいくのやないかと期待している。5人漫才の特性が生きてツボにはまった時の面白さはちょっと他に類がないからね。まあ、予想というよりは希望という感じかな。

12月14日(木)

 教育基本法改定に関するタウンミーティング「やらせ」問題の責任をとってしんぞう首相が歳費から100万円だけ返上するんやってえ。
 セコいねえー。
 責任の取り方が違うんやないの、そんな嘘で固めた法案はイチから審議し直しましょうというんやったら「おおなるほど」と得心がいくけれど。
 私のような者からしたら、100万円は年収のン分の一という痛い痛い高額やけれど、しんぞう首相にしたら痒いかもしれんけれど痛くはない額でしょう。いっそのこと歳費1年分カットくらいしたら「おおーっ! そこまでしてでも法案を通したいか!」とその覚悟のほどを知ることができるというものですよねえ。100万円ですよ。年末ジャンボ宝くじの一等が2億円ですぞ。二等でも1億円ですぞ。大衆の感覚でいうたら、高額というとそのレベルなんです。一等の前後賞でも5千万円ですぞ。
 セコいねえー。
 100万円返上したからというてそれが何になるんやろうね。しんぞう首相にとって、教育基本法改定というのはその程度の金額ですまされるものなんかそうかふーん。
 ここらでちゃんと衆議院を解散して「教育基本法をどうすべきか」と国民に信を問うてから審議し直すくらいのことをすべきやと私は思うね。この法律は教育に関する憲法みたいなもんなんやから。今の与党の議席数は、郵政民営化を支持した人たちによってもたらされたものなんやから。

12月15日(金)

 年末、しかも定期考査直後でお仕事がつんでいたりする。頭の中にエンドレスで響く曲がパフィの「働く男」やったりなんかすると、実にきつい。アニメ「働きマン」の主題歌なんやけどね。昨日の朝、朝食をとりながら録画しておいた「働きマン」を見ていたら風邪をひいているけれどむりにでもやってしまわんならん仕事を主人公の松方弘子がやっておる。朝からこんなものを見るんやなかった。仕事に行く気が失せてしもうたわい。
 今日、夕食後、くつろいで疲れを癒すためにアニメ「ケロロ軍曹」を見ていたら、ガンプラやらコミックスやらDVDやらビデオやらをためこんだケロロ軍曹が必死になって片付けようとするけれどとても片付かんというストーリーやった。ケロロの影の声が「捨ててしまえよ……」なんてささやいたりするのよ。ああもうぐさぐさと心にささるのよ、このギャグ。シャレにならんのよ。疲れがどっと出たよう。
 昨日は「銀魂」で大爆笑して気が晴れたけれど、今日はなかなか立ち直れんのよ。
 これがほんまの「ギャグもまた真なり」ですわ、てなしょうもないシャレを言うてもいられんのよ。またこれできのよいアニメだけによけいリアルに迫ってくるわけですよ。ああもうきついなあ。
 明日は休日出勤なり。明日の朝は、今夜録画する「009−1」を見てから出かけよう。これまたシャレにならんくらい重いストーリーやったらどうしよう。

12月16日(土)

 昨夜録画した「009−1」を見ながら朝食をとる。しまった。やっぱり重いテーマでしかも話の途中で終っている。そのまま土曜出勤はちと辛かった。
 昨年度卒業させた担任クラスの生徒からメールがくる。今年も受験するので調査書と卒業証明書を発行してほしいとのことである。そうやなあ、今ごろは生徒の進路でやきもきしたりする日々が続いていたんやなあ。現任校に勤務して初めての担任、初めての卒業ということで、けっこう気をはっていたとみえて、この1年はもしかしたら「燃え尽き」状態やったのかもしれんと、師走も半ばを過ぎてやっと気がついた。
 ちょっと気がつくのが遅すぎると思うな。あ、そうか、プロ野球のシーズン中はタイガースの応援に身を入れていてそっちに気がいってて気がつかなんだのかもしれんな。
 というわけで、卒業生向けの仕事をして初めて気がついた。
 来週からはいかにしてモチベーションをあげていくかということを考えねばならんが、そんなことを考えているうちに冬休みになってしまうぞ。
 やっぱり気がつくのが遅すぎですわ。

12月17日(日)

 今日は「たちよみの会」例会。京都SFフェスティバル実行委員長のFさんが来てくれて、アニメや原作マンガの話で盛り上がった。
 というようなことを帰ってから妻に話すと、「あなた、自分にそれくらいの歳の子がいてもおかしくないのよ。自分の子どもとアニメの話で盛り上がっているのよ」と言われた。うーむ、自分の感覚では教え子とアニメの話で盛り上がっているというような感じなんやけどねえ。一番最初に教育実習で教えた生徒なんて、もう39歳くらいなはずやからね。20歳やったら一昨年送りだした生徒と同じ年か。つまり漫画研究部でいうたらあの子やあの子と同い年なわけやな。ふむふむふむ。
 それやったら別におっちゃんが若者とアニメの話をしたってええやん。別に私はSF界の重鎮で威厳を保ってないといけないというような立場にあるわけやなし。それに、もし親子やったとしても、アニメやマンガという共通の話題があって会話が成り立つというのは喜ばしいことやないかいな。美しい話やないかいな。某作家さんのウェブ日記を読んでいたら、娘さんとテレビゲームをして親子間の交流をはかってはるぞ。ええ話やないかいな。
 というわけで、親子ほど年の離れた2人が「ハルヒの作画は……」「コードギアスの脚本は……」ととってもとっても楽しい会話をしていたのでした。
 ええやんか、なあ。

12月18日(月)

 矢井田瞳が初めて地元大阪を舞台にした歌を作ってアルバムに入れたというので、昨日京都に出た際にCDショップで試聴してみたのですが……。
 別に大阪でなかってもええやんという歌でした。とりあえず地名を入れておいたらご当地ソングになるというようなたぐいの歌か。若い歌手でも感覚は古いのかなあ。矢井田瞳なんて今までまともに聴いたことがないから、他にどんな曲があるのかも知らんけれどね。
 よく聴いてたら、地理的にもおかしい。御堂筋をキタからミナミへとか歌っていると思うたら、淀川がどうしたとかいうフレーズが出てくる。また御堂筋を歩いていたかと思うと河原がどうだというフレーズが出てくる。
 東京で昔のことを思い出しているという設定なのかな。そやから記憶が断片的になるわけで。御堂筋から淀川にぽんと飛ぶんやな、きっと。そう解釈せんと納得でけん。だいたい矢井田瞳は関西大学出身やから、川というたら神崎川やないのかな。あまりに汚い川やから歌にはしにくいか。
 つまりは東京に出ていった人の作った歌やもんな。いっそのこともず唱平さんに作詞してもろうて矢井田瞳がそれに曲をつけるなんていうようなことをしたらファンキーでポップな歌がでけたかもしれんな。そういうコラボレーションというのはあっても悪くないと思うんやけれど、ま、実現は無理か。

12月19日(火)

 朝、いつものようにエレベーターに乗って階下に降りようとすると、開いたドアの真正面に3〜4歳くらいの女の子が立っていた。お母さんが「ハナちゃん(仮名)、どいてあげて」というけれど、ハナちゃんはどいてくれへん。しゃあないからこちらがスライドするように動いて中に入る。朝のことやから、途中の階で次々と人が乗ってくる。
「ハナちゃん、これはハナちゃんのエレベーターじゃないのよ」
 お母さんが諭すと、ハナちゃんは平然と言い放った。
「これ、私のエベベーター」
 エレベーターが停まって人が乗るたびに「私のエベベーター」を繰り返す。第一次反抗期なんかなあと思いながら見ていると、お母さんはみごとに切り返してみせた。
「そうね、これはハナちゃんのエレベーターだから、他の人たちにも使わせてあげてね」
 するとですね、ハナちゃんは「うん!」と言うて場所をあけるやないですか。
 いやあ、おみごとというか、勉強になったというか。相手の言い分が変わらんと見ると、それを逆手にとってちゃんと言うことを聞かせる。このテクニックはすごいなあ。
 こういうケースでキーキーと怒るお母さんかているのにね。
 よう考えたら、私も授業で私語が多い時に、キーキー怒るのでなしに黙って腕を組んでしゃべってる生徒を無表情で見つめてみたり、そばにいって「その話、教壇に立ってみんなの前でやってみる?」と問いかけてみたりというテクニックを使うことはあるなあ。
 まあ、その場の雰囲気をつかんでへんと、どんなテクニックを使うても相手は言うことをきいてはくれんのやけれどね。
 というわけで、今日は朝からええもん見せてもらいました。
 母となるというのはすごいことなのであるなあ。

12月20日(水)

 青島幸男さんの訃報に接する。享年74。
 私にとっては、一連のクレイジーキャッツ・ソングの作詞家として、いろいろと影響を受けた人物だけに、けっこうショックが大きい。「スーダラ節」「無責任一代男」ももちろんやけれど、私が一番好きなのは「ホンダラ行進曲」やなあ。一部引用しておく。

あれをやってもホンダラダホイホイ、やってもやってもホンダラダホイホイ、何をやってもホンダラダホイホイ、だからやらずにホンダラダホイホイ

 このなにやら虚無的な歌詞を萩原哲晶の軽快で突き抜けたサウンドと谷啓のカン高い声で聞かされて見なさいよ。そらもうあなた、多少のことなんがどうでもよくなるから。ああ、生きるということはホンタラダホイホイなんやなあと、何やら深いところで納得させられたりしたわけですよ。
 次は「いろいろ節」から。

いろいろあるよ、いろいろね そんなこたぁどうでもいいじゃねえか

 ほんま、いろいろあるよ。くよくよするよ。それを「そんなこたぁどうでもいい」と言い切ってしまうんやからね。若い頃にこういう歌をまた好き好んで聴いていて、何の影響も受けないわけがない。
 著書「わかっちゃいるけど」ではこれらの歌を作った頃のことを克明に描き出しているけれど、これを読むと「高度成長経済の時代に乗って」作られた歌やないというように思うね。
 というか、この虚無感や投げやりな姿勢に、高度経済成長に対する絶望が隠されているように思われるわけですよ。それをコミックソングというオブラートに包んで、萩原”チンドン”サウンドで提供したところがすごいのですよね。
 都知事時代は役人任せやとか批判もあったみたいやけれど、少なくとも都議会が知事に反対できるという「自由」をちゃんと認めてたわけでしょう。好き勝手わがまま放題しておいて反対する者には強権を発動するような都知事よりはずっとずっとまともな知事やないか。
 謹んで、哀悼の意を表します。


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