ぼやき日記


12月21日(木)

 卒業生が調査書と卒業証明書を取りに来た。渡したあと、2時間近く話し込む。近況から思い出話など、話は尽きない。警備員さんが内線電話で「カエレ」コールをしてきたので、続きは合格発表の時ということになった。こうやって卒業させた生徒が元気な姿を見せてくれるというのは嬉しいもので、担任しないかと打診された時に受けてよかったと思う。

 岸田今日子さんの訃報に接する。死因は脳腫瘍による呼吸不全。享年76。そんな歳になってはったんか。昔から年齢不詳みたいなところがあったからなあ。
 私の年代やったら「ムーミン」の声が初めての接触ということになる人は多いやろう。そのあと、テレビドラマでその姿を見て「わっ! ムーミンとイメージ全然違うやん」と驚いたりしたのやないか。
 父親は岸田国士、姉は岸田衿子、いとこは岸田森……。すごい血統やなあ。岸田今日子さんも岸田森さんもこの世の人やないような雰囲気やったけど、これはDNAのなせるわざですかな。
 実は、私の持っているカセットテープに、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を岸田さんが朗読したものがあって、たぶん今はCD化されていると思う。これが実によろしい。あの独特のハスキーな声で、抑揚を抑えて静かに語るその語り口は、宮沢賢治の暗い面をごく自然に表現していてほんまによろしかった。こういうものなら「カセットブック」なるものも悪くないと思わされたものです。
 昔、「欽ドン」にゲストで出て、少年のような格好をして「ねえ父ちゃん」とやってみせた岸田さんを見た萩本欽一さんが「岸田さん……」とびっくりして絶句しているのをテレビで見た。その時、岸田さんは素の声で「わたし、ムーミンをやってましたのよ」と言い茶目っ気たっぷりの笑顔を見せた。あの笑顔、なんともいえん可愛らしかったなあ。
 存在感のある女優さんがまた一人亡くなられた。謹んで哀悼の意を表します。

12月22日(金)

 年末に近づくにつれ、アニメやドラマが続々と最終回を迎えている。もっと続けてほしかったけれど、終り方からして1クールか2クール後に続編がありそうなものもあるし、もっと長く続くのかと思うたらなんじゃこらという終わり方をするのもある。
 一番期待外れやったのは「銀色のオリンシス」で、これは途中で見るのをやめようかとも思うていたけれど、ここまできたらどんな形で決着をつけるのか気になっていたので最後まで見た。
 うーん、形だけSFをなぞるとこうなるという典型的な例かも。未来や過去から次々と人がやって来てるみたいやったけれど、脚本を書いた人は「タイムパラドックス」という言葉を知らなんだんやろうか。「機動戦士ガンダム」以後、登場人物が善悪入り乱れてという話を作りたがるケースが多くなったんやと思うけれど、これは実に力量が必要なもので、外見だけ真似てもうまくいかんのですよね。
 いっそのこと、昔の巨大ロボットアニメみたいな単純なやつを復活させてもええんやないかと思う。「ガンダム」もどきばかり見せられている最近の若いアニメファンにはかえって新鮮かもしれんぞ。
 男の子向けの単純で楽しいアニメって、今はあんまりないもんな。その役割は「戦隊」ものが一手に引き受けている感じがする。そんなら巨大ロボッアニメかていけそうに思うけどなあ。

12月23日(土)

 障害児学級の担当ともなるといろいろとこれまでとは違う仕事がはいってくるもので、今日は「地域交流会」というイベントの引率というか指導というか、そういうことをする。「地域交流会」というのは、勤務している高校の近くにある小中学校の障害児学級や障害児との交流サークルといっしょに主催する「クリスマスお楽しみ会」で、それらの小中学校の児童生徒や勤務校の卒業生や地元の障害者の作業所の人たちなんかが参加して、体育館でゲームをしたりして遊ぶんである。
 しかしなんです、天皇誕生日にキリストの誕生を祝う記念日のイベントをするというのも、よう考えたら面白いですねえ。クリスマスに宗教的意義をもっていないからこそできるのでしょうな。ま、子どもたちがわーわーきゃーきゃー言いながらゲームを楽しんでいたんやから、野暮なことは言いっこなしです。
 終了後、遅まきながら歳暮を贈るために梅田の阪神百貨店に行った。クリスマスケーキを求める客の列がすごかった。そやから今日は天皇誕生日であってキリストの誕生日やないというのに。
 みんな愛国心が足らへんねえ。まあどうでもええけど。

12月24日(日)

 今日はクリスマス・イヴ。夫婦水入らずでロマンチックな夜を過ごしたいところでありますが、「M−1グランプリ」を見たので大笑いのイヴになりました。そやけどね、やっぱり楽しみやないですか。
 というわけで、グランプリ優勝はチュートリアル。実力派の優勝は昨年のブラックマヨネーズと同じやね。やっぱり、優勝する時は勢いみたいなものが違う。笑い飯はどこかそういうネタに没入してしまうようなところがなくなったので最終決勝に残られんように感じた。今回、最終決勝は審査員全員がチュートリアルに投票したけれど、これはM−1グランプリ6回目にして初めて。もっとも、麒麟フットボールアワーとも実力は伯仲という感じやったな。特に麒麟は例年やったらグランプリ優勝しててもおかしくない出来やっただけに、惜しい。
 話題のアマチュアコンビ変ホ長調は、棒読みのようで独特の間があり、なんともいえん味があった。ただ、こういうのはどれだけ場数を踏んでいるかも勝負のうち。この芸なら演芸事務所が黙ってないやろうけれど、果たしプロ転向するのかどうか。ただ、実力では同じ女性コンビやったらアジアンあたりの方が本来の実力は上やと思うなあ。なんで今回決勝に残られへんかったんやろう。
 POISON GIRL BANDトータルテンボスの東京吉本組はボケたあとのツッコミが弱いなあ。それか東京スタイルなんやというのはわかっているけれど、アンタッチャブルみたいにツッコミの強いコンビも東京にはいてるわけで、笑わせるというのはどういうことか、ちょっとした勘違いがあるような気がする。
 ザ・プラン9は火事のネタの方が笑いがとれたように思うけれど、ここまでくるとネタ選びも作戦のうちやからね。次回に期待。敗者復活のライセンスはのび太ジャイアンネタで笑いをとる。ただ、強烈な個性をネタから感じられんところがちょっとつらいかも。
 NON STYLEとろサーモンなどのMBS新世紀漫才アワード上位組が今回決勝に残らなんだのは主催者側の意図かなあ。私の感覚では東京吉本組よりもこの2チームの方が面白いと思うのやけれど。まあ、あまり大阪で固め過ぎてはいかんということなのかしらん。
 というわけで、今年のグランプリも面白かった。6年目ともなると新聞の扱いも違うし、このイベントがある限り、漫才の新人はかなり質の高いコンビが出続けることやろうね。

12月25日(月)

 今朝のスポーツ新聞の占いでは「やらねばならないことが順調に行なえる」と書いてあったのに、実際の結果は裏目が多かったぞ。いや別に占いを信じているわけやないけどね。
 DVD−Rへ番組を録画したら、焼き付けに失敗した上に、それまでちゃんと録画されていたものまで読み出せなくなってしもうた。くそー。「妖奇士」の12月8日と15日の放送分はDVDを購入することにしよう。あー、ちゃんと録画できてたのがおしゃかになったのがいらつくよー。
 クリスマスケーキを買いに外出し、お年玉用に現金を新札に両替えしようと並んで待っていたら、窓口で「新札との御交換は火木曜の午前中だけに限らせております」と断わられた。それやったら入り口にでかでかと書いて貼っておけ三菱東×UF×銀行。
 年の瀬のゴト日のせいでどの道を通っても渋滞。原チャリといえどもすり抜けるのには限界があるわけで、昼過ぎに出て帰って来たのは夕方近くなってた。こればかりは怒りのやり場がない。
 というわけで、夜、ドラマ「のだめカンタービレ」の最終回の出来がよかったからそれでまあ一応気持ちは落ち着いたけれども、思い出すだに腹がたつ。結局お年玉は図書カードにした。サービスの悪い銀行なんかをあてになんかせえへんわーい。こんなんくろとけ、ちゅー。

12月26日(火)

 誤変換の例を漢字検定の団体が発表した。
 私の使うている「ことえり」は、稀代のアホ辞書で、誤変換しまくり。しかも記憶力が悪いから、昨日変換した言葉が、今日はまた誤変換を起こす。新聞の見出しになっていた用例の「怪盗アンデス」を変換してみたら「回答アンデス」と変換しよった。
 というわけで、以下はアホ辞書が変換したまま直さずに載せてみる。

 今日は雨がよく降り、風も強く気温も低く、ちょっとした買い物に出るのもおっくうやった。それでも本日発売の雑誌を買いたくて、近くにある郊外型の書店に足をのばしてみた。
 お目当ての相撲雑誌はなし。妻の講読しているコミック雑誌もなし。これでは徒労に終ると重い、しょ店内をうろうろしていたら、漫画「げんしけん」の最週間が発売されているのを発見し、迷いなく購入する。後、二階のレンタル日で汚点に行き、DVD−Rのパックを買う。まあ、運動不足の解消に散歩をしたということで義人瀬名ならんか。

 あらら、割とちゃんと変換してるやんか。おもろないなあ。

12月27日(水)

 おおそうか、労働政策審議会なんちゅうところは、「管理職一歩手前くらい」の層を残業代なしにこき使い、過労死を増やしていこうという「ホワイトカラー・エグゼンプション」なるものをまとめておったのか。横文字を使うたらなんや意味がわからんようになると思うて。
 バブル崩壊後に人員削減した影響で新入社員がこきつかわれて神経症にかかったり過労で入院したりという話をあちこちできくぞ。それを乗り切って、それなりに自分のペースで仕事ができるようになったら残業代廃止か。
 人は、企業のためだけに働くのやなかろう。自分の生を充実させるために働くのやろう。
 なんで企業を優遇する政策が(法人税の引き下げも含めて)こうやって次々と出てくるかというと、数字の上だけ好景気であるということにしておきたいからやろうな。格差社会やワーキング・プアの問題も、「ほら、数字の上では『いざなぎ景気』をこえる長さの好景気なんでよ」という理屈で自分の目をふさいでいるとしか思われんのですが。
 なんでも、教員の特別手当廃止も検討されているけれども、しんぞう君が教育改革を進めているのに教員にやる気をなくさせてはいかんという配慮で先送りになったそうな。教員特別手当を廃止するなら、残業代やクラブ指導手当をつけるかというと、おそらくそうやなかろう。教員は残業代がないかわりに特別手当がついているのですぞ。そんな何も考えてへんでしょう。教員に残業手当やクラブ指導や個別補習のための休日出勤の手当をきっちりとつけはじめたら、特別手当どころやなくなると思う。
 現実を無視して数字だけで帳尻をあわせるような国を「美しい国」というらしい。しんぞう君の美的感覚を疑うね、ほんまに。

12月28日(木)

 寒い寒いよ。昨日あんなに暖かかったのに、急にこんなに冷えたらあかんでしょう。薬屋さんにきいた話では、体感温度の差が摂氏7度を超えると、自律神経に狂いがでるそうです。頭痛などの形でそれが出るとか。私は頭痛にはならんけれど、アレルギーのせいか鼻水が出やすくなる。困ったもんです。
 とはいいつつも、なんとか年賀状の宛名書きをすませる。例年は添え書きもまめに書こうと努力するんやけれど、今年は努力を放棄。ご無沙汰の長い方には近況を書き添えたけれど、全体では例年の半数くらいか。ちうわけで、添え書きのついている年賀状を受け取った方は、とても幸運なのでその幸運をかみしめて一年をお送り下さい。当たりくじみたいやな。
 まあ、今日出したんで、ほとんどは元日に着くでしょう。よかったよかった。

12月29日(金)

 テレビ朝日系「日曜洋画劇場」40周年を記念して、なんと淀川長治さんの解説ばかりを集めたDVDが発売されたというので、クリスマス前にアマゾンで注文したら、やっと昨日到着した。ブラウザの画面上では「在庫あり」となっていたのですぐにつくかもと思うていたら、アマゾンの予想を上回る注文があったのか、どう考えても取り寄せとしか思えんくらいの日数がかかっている。映画解説ばかりを集めたDVDなんか売れんと思うていたのか、予約があんまりなかったので甘く見ていたのか。私は朝日新聞の記事で知ってすぐに注文したんやけれど、そういう人は多かったんと違うかな。淀川長治人気いまだ強しというところか。
 着いてすぐ開封し、さっそく再生する。年末にそんなことすんなという声が聞こえたけれど、空耳でしょう。画面に淀川長治さんの顔が写る。懐かしいなあ。できたらあのラフマニノフ調の「キス・ミー・ケイト」をメニュー画面のバックに流してほしかったんやけどね。ま、贅沢を言うたらきりがない。もう画面に釘付けになりましたよ。
 私、本を紹介する時に、こんなに熱く熱く語れるかしら。映画大好き映画大好き映画大好きいうのが短い時間の中であふれ出て、洪水になっているの。けれども、ほめたくないところは無理にほめてない。けれども、そこに映画に対する愛を感じる。それから、必ずキャメラについてほめてるの。俳優のことを言う前に監督と脚本とキャメラのすばらしさを伝えています。というわけで、これは2006年12月発売の、ほんとうにすばらしいDVDですよ。みなさん、人をほめるの苦手やったら、このDVD見て勉強しなさいね。あ、もう時間来ました。それではまた明日お会いしましょうね。さよなら、さよなら、さよなら。

12月30日(土)

 正月に備えて、ハードディスクレコーダに録画してあった映画を3本、クラシックの演奏会を1本、テレビアニメを2本見る。なんでこれが正月の準備かというと、正月には特番やら映画やらをじゃかじゃか録画するんで、ハードディスクがクラッシュしないように容量を増やしておかなならんのである。
 映画は長編アニメ「アリーテ姫」、「戦国自衛隊1956」「ジョゼと虎と魚たち」。「戦国」は思っていたよりも面白かった。戦国時代にいってからはけっこうスピード感がある。「ジョゼ」は、池脇千鶴が実によかった。私の好みというわけではないんやけれど、浮き世離れしてるのに生々しい感じがよくでていた。特に妻夫木聡をめぐる三角関係になって上野樹里と一度だけ直接対決するんやけれど、なんか火花が散ってるのが目にみえてて、ええ感じやった。「アリーテ姫」は、お姫さまが美人でもなく魅力的でもないというのがよかった。
 クラシックは「モーツァルト音楽祭」で、ルイジ指揮のウィーン交響楽団の演奏。「フィガロの結婚序曲」はティンパニがえらく強いのが気になった。ソリストに産休明けの上原彩子を迎えた「ピアノ協奏曲第22番」は、よくも悪くも上原節全開で、指揮者はついていくのがやっと。第1楽章はラフマニノフ調、第2楽章はベートーヴェン調、そして終楽章にいたってやっとモーツァルトらしくなるというすごいんだか変なのだかよくわからん不思議な演奏やった。でも、上原節を堪能できたのでよし。アンコールはラフマニノフの前奏曲から。やっぱりこの人はモーツァルトよりもラフマニノフが好きなのでしょう。「交響曲第40番」はまるでベートーヴェンみたいな演奏。アンコールの「後宮からの誘拐」は力が入り過ぎてうるさく、ヨハン&ヨセフ・シュトラウスの「ピィツィカート・ポルカ」はちっとも楽しそうやないし可愛らしくもない。11月9日の収録やけれど、この日にNHKホールに集まったお客さんはモーツァルトを聴きに来て違う何かを出されたような気分になったことでしょう。でも、「ぶらぼー」とか聞こえてきたのには驚いた。ルイジにはもうモーツァルトは振ってほしくない。ベートーヴェンなら聴いてもええけど。
 アニメは「009−1」と「ギャラクシーえんじぇる〜ん」の最終回。「009−1」はもう1クール見たかった。「GAる〜ん」は、スズキたちが気にいった。見てない人には何が何やらわからんな。
 というわけで、かなり容量に余裕を持たせたと思うんやけれど、言うてる尻から「THE有頂天ホテル」を録画してるのでした。まあ、録画するために見たやつを片っ端から削除してるわけやけどね。さて、「有頂天」はいつ見るのでしょうか。来年の今ごろやったりして。
 しゃれになってへんぞ。

12月31日(日)

 サダム・フセイン口封じ。国連事務総長が「独裁時代の方がまだまし、内戦はなかったか」と発現してすぐの死刑判決とあっという間の死刑執行ですからね。ブッシュJr.の圧力みたいなものはやっぱりあったのかなあ。

 今年も正月に帰省するための菓子を買いに梅田の百貨店に行く。予想通りの込み具合。理想的な詰め合わせというのはないもんですなあ。両方の実家には和菓子と決めていたんやけれど、棹ものばっかり2本やとか、同じ饅頭ばっかり12個とか、そういうのはいらんのよ。口に合うか合わんかわからんもんね。そやからというて、去年と同じものというのも芸がないから嫌やのね。もっとも、去年何を買うたか忘れているけれど。
 というわけで、干支菓子と花びら餅を別々に買い、それを組み合わせるという手を使いました。「とりあえず銀装のカステラ」「なにがなんでも虎屋のようかん」とか決めてしまえば楽なんかもしれんけどねえ。というわけで、年末恒例最後のお買い物もぶじすんだ。ただもうこの人ごみだけはきついなあ。手みやげをもっと早めに買うという方法もあるのはわかっているけれど、そこはそれ、生菓子を買うとなったらなるべく直前がいいでしょう。多少の人ごみは辛抱せんといかんわけですよ。
 ああしんどかった。

 今年もやくたいもないぼやきに毎日おつきあい下さい、ありがとうございました。来年は今年よりは読書量を増やし、ブックガイドのサイトとしてもご活用いただけるようにしたいと思います。それではよいお年をお迎え下さい……去年と全く同じことを書かねばならんとは。進歩がないのう。


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