ぼやき日記


12月1日(金)

 昨日のことである。
 原チャリで通勤している途中、信号待ちのところで時刻を確認するためにポケットから携帯電話を出した。電話を携帯するようになってから、時計を身につけることはなくなった。で、まだ時間に余裕はあるなと思いつつ、携帯電話をポケットになおした。
 職場についてからポケットが空なことに気がついた。気が動転していたので、事務室の電話から家に連絡をとる。
「リビングのテーブルにケータイ置いてへんか?」「ないよー」「あ、ジャージのポケットに入ってへん?」「ちょっと待ってごそごそごそごそ……ない」
 で、よくよく考えたら時刻を確認してたという記憶が蘇った。
 朝イチの仕事があったので、それが終ってから原チャリを走らせて紛失したとおぼしきあたりをくまなく探す。立ち寄ったコンビニの店員に「携帯の落とし物はありませんでしたか?」ときき、原チャリを停めてあたりを歩き。なにしろ次の授業時間までに見つけたいものやから、気も焦る。
 あった。ただし、携帯電話のバッテリーのフタだけ。
 本体はどこやねん。どこに消えたんや。フタの落ちていた場所の近くに喫茶店があったので、マスターに尋ねてみるが、「わからんなあ」でおしまい。
 職場に戻り、事務室から何度か自分の携帯電話の留守電にメッセージを吹き込む。授業が終っても、拾い主からの連絡はない。悪用されることを防ぐために携帯会社のサービスセンターに電話をしてとりあえず通信を止めてもらう。
 しゃーないなあ。帰りに携帯ショップに寄って機種変更するしかないか。出費やなあ。
 それに、なくした携帯電話にはいろいろと個人情報が入っている。これが流出するとなると、実はそれが一番の問題やねん。いっそのこと車にひかれてつぶされてた方がましやとさえ思う。
 仕事が終り、帰り支度をしていた18時半頃、事務室から職員室に内線電話がかかってきた。なんとなんとなんと、なくした携帯電話を届けにきてくれた人がいてる!
 事務室まで飛んでいくと、学生服姿の若い男性が待っていた。比較的近い高校の生徒やった。わたしが自分の携帯にかけた通話の着信履歴から、職場を割り出したらしい。
 いやもう感謝感激。どんなに嬉しかったか。こういうことってあるんやなあ。
 今日、さっそくその若者の在籍している学校に電話をし、生活指導の先生に「ほめてやってください!」と一報する。
 とにかく携帯電話は大切にしましょう。ほんまにこの件で1日落ち着かず、ほんまにしんどい1日やった。

12月2日(土)

 見たい番組をハードディスクレコーダに録画して、それを見ているということやったはずです。ところが、キカイに欠陥があって、録画時間の残量が100時間を切るとHDがクラッシュしてしまうということが判明し、結局容量の残りを常に気にしなければいかんようになってしもうた。ここから意識の転換が始まる。
 HDDレコーダの便利なところは、「とりあえず録画」ができるところですね。面白いかどうかわからんけれどとりあえず録画しておいたらいつでも見られる。ところが、こういうのが容量を圧迫するのです。見ないで削除したらええやんといわれるかもしれんが、そこはそれ、こちらは貧乏性なもので、「せっかくとったんやから、見んと損や」という気分になってしまう。
 かくして「今日はこれだけ録画予約を入れているから、×時間は見ておかんと、夜寝ている間に残量100時間を切ってしまうなあ」というような見方になり、夫婦の会話でも「とりあえず2時間分消化したな」というような言葉を当たり前のように使うてしまう。
 「消化」ですよ「消化」。楽しみで見てるのと違うのか。いや、見ているときは楽しいのです。けれど、そういう言葉を使うてしまう。
 テレビの見方が完全に変わってしもうた。後戻りできんことはないけれど、今のところその気もない。ただ、職場などで人にHDDレコーダーはあまり薦めないようにしている。誰もがこういう生活を送るわけやないということはわかってはいるけれど。
 というわけで、午前中と夜はずーっと録画した番組を見てました。4週間分の「ウルトラマンメビウス」を一気に見ました。見てる途中で、妻の予約した番組の録画が始まると、「自転車操業」という言葉が脳内を駆け巡るのでありました。

12月3日(日)

 今年の日本SF大賞が萩尾望都さんの「バルバラ異界」に決定したとのこと。うーむ、アニメばっかり見ていて、小説も読まれへんのに、マンガにまで手がまわらんなあ。
 妻によると「萩尾望都やったら『スターレッド』の方がずっとSF」とのこと。
 テレビアニメの「ノエイン」なんかは候補にあがらなんだのやろか。まあ、小説もまともに読んでへん私がえらそうに言える立場やないのですが。

12月4日(月)

 テレビドラマ「のだめカンタービレ」を見ていて感心するのは、BGMの使い方やね。新たに作曲した音楽は一切ない。すべてクラシックの有名曲を使用している。「ロミオとジュリエット」(プロコフィエフ)、「ボレロ」(ラヴェル)、「剣の舞」(ハチャトゥリアン)、「交響曲第25番」(W・A・モーツアルト)、「木星」(ホルスト)などなど。聴いたら「あ、この曲知ってる」というような曲がほとんどや。
 ところがですね、私が唸ってしまうのは、実に効果的に、しかも意外なところでこれらの曲をうまいこと切って挿入してるわけです。「あ、やられた」という感じやな。
 この選曲を担当している人は、そうとうクラシックを聞き込んでいる人やと見た。マニアかどうかは知らんけれど、とにかく徹底的に聞き込み、ドラマの画面を見て、登場人物の心理やなんかを表現するのにふさわしい曲がすっと頭に浮かんでくるくらいに。
 しかも、すごいなと思うのは、全く別な曲をとぎれなく続けて流してるのに、全く違和感を感じさせんところやね。これは聞き込んでへんと絶対でけん技やと思う。
 もちろん「のだめ」を見る人はクラシックファンばかりやないやろうけれど、耳の肥えたファンかて見ているに違いない。あるいは原作を読んで、作中に出てくる曲を全て聴いたなんていう人もいてるやろう。そういう人も満足させるようなものを提供しようという姿勢を感じさせるね。
 いやはや、毎回感心させられます。

12月5日(火)

 妻は毎週「伊東家の食卓」を録画して早送りで興味のあるところだけ見ている。今日はたまたま「昭和のお笑い」がテーマやったんで、なんとなく私も見ていた。「笑点」の秘密やとか、小松政夫さんのギャグの裏話なんかをぼーっと見ていたら、「幻の芸人の一芸”クモの決闘”」が見たいという視聴者のリクエストがあり、出てきた芸人さんが、あのテントさんやった!
 知らん人は知らんし、知ってる人は少ない。すばらしい芸の持ち主ということもなく(あほらしい芸の持ち主ではあるが)、数年前にNTTのCMにいきなり出演して「あの人は誰?」と騒がれたけれど、そのおかげで売れっ子になったわけでなく、孤高の芸人という趣もなく(糊口の芸人かもしれんが)、ただひたすら「ヘンな芸人」「幻の芸人」という謎なポジションを保っているあのテントさんです。
 で、生で見ることすら難しいテントさんの芸をテレビで見ることができるという貴重な体験をしたわけやけれど、ちゃんとその部分だけ切り取って保存用のフォルダに移しましたとも。
 いやー、それにしても「伊東家の食卓」でテントさんを見られるなんて、予想もしてなんだなあ。何でも見ておくもんですね。ところで、日本テレビのスタッフの人たちは、そんな貴重な映像を流したという意識はあるんやろうかね。
 その芸が面白かったかどうか、ですか。それはいわない約束でしょ。テントさんの場合、その存在自体が「芸」なんですから。

12月6日(水)

 職場の親睦会の係になったために、忘年会で流すBGMをあれこれと考えたりしている。こういう作業は好きなもんやから、あの曲この曲とチェックをしてCD−Rに焼いている。一昨年の担当者は流行歌で綴る昭和史みたいな芸の細かいところを見せ、昨年の担当者は海外ポップスでおしゃれにまとめていた。同じ路線でいくのもなんですから、やっぱり私は大好きなクラシックでいこうと決めたのですけれどね。
 問題は、余興のゲームコーナーのBGM。ゲーム担当の人に「どんな曲がいりますか」と打ち合わせをしたら、「グループ代表が前に出てくる時の入場曲、ゲーム開始の時に使う曲、勝負が決まった時のファンファーレ、景品を渡す時の曲と、まあそれだけあれば」というお答え。具体的にどんな感じの曲にしましょうとたずねると、「喜多さんのセンスにおまかせします」と言われてしもうた。
 クラシックに統一するというアイデアはここで頓挫。そこでこちらも私の趣味であるテレビのテーマ曲やらオールデイズ・ポップスなどまでひっぱりだすことにした。アニソンやらコミックソングやら珍品やらは来年度のはじめにある歓送迎会においておこう。
 なんとなく、仕事から逃避するええ口実に使うている気がしないでもないですね。いやいや、忘年会の幹事も大切な仕事ですよ。出席したみなさんが楽しんでいただけるように滅私奉公滅私奉公。
 滅私奉公というのは辛いものかと思うていたけれど、存外楽しいもんですな。どこが滅私やねん、自分の趣味丸出しやないかと、心のどこかで声がしているけれど、きっと空耳に違いない。
 しかしまあなんです「のだめカンタービレ」のおかげで、ベートーヴェンの交響曲7番も流行歌感覚で使えるのはいいですねえ。うふふふふふ。

12月7日(木)

水掛不動
 今日は障害児学級の校外学習でミナミに。
 雨模様やったけれども、御堂筋はイチョウが色付いてとてもきれいやった。文字どおり「雨の御堂筋」ですな。古いか。
 道頓堀から千日前へ。途中で法善寺横丁に立ち寄る。水掛不動さんは小雨の中、苔の緑がひときわ鮮やかやった。ミナミにはあんまり行かへんから、水掛不動さんにお詣りするのも2年ぶりくらい。生徒たちは初めてお詣りするからちょっとびっくりしてたみたい。まあ、こんなに苔のびっしり生えた不動さんは他にはないもんなあ。
 最終目的地の「ワッハ上方」で生徒たちはビデオを楽しんだりしていた。私は特別展示の「桂吉朝展」をじっくりと見る。吉朝さんの着物や楽屋用の暖簾、独演会のプログラムなどが飾ってあった。亡くならはってからもう1年たったわけやね。やっぱり寂しいな。
 「ワッハ上方」から出たら、向い側の「なんばグランド花月」から大量の高校生が出てきたので驚いた。修学旅行のコースに「NGK」も入っているんやな。やっぱり大阪というと「演芸」ということになるのかな。
 というわけで、今日はけっこう歩いて疲れた。疲れを癒そうと夕食後アニメ「銀魂」を見たら、大爆笑してしまい(脚本は横手美智子さん。うまい!)さらに心地よい疲れが。ほんまに腹をよじらせるほど笑うとかなりカロリーを消費するもんなんですよ。

12月9日(土)

 昨日の忘年会の司会はまあまあなんとかできた。BGMもベートーヴェン交響曲第7番第1楽章を流していたりしたら、「のだめカンタービレ」のドラマを見ている女性陣に好評やった。「ラプソディ・イン・ブルー」を流していたら、音楽の先生が「『のだめ』のサントラを買わはったんですか」とたずねられた。いえいえ手持ちのCDですと答えると、「そうですかあ」となにか嬉しそうな感じで返された。音楽の先生としては、にわかクラシックファンやないらしいことがわかって嬉しかったんやろう(ちなみに私は職場ではクラシックファンであることは広言してません)。
 それにしても司会なんてやっていたら、いくら酒を飲んでも酔いませんな。アルコールはまわってはいるんやけれど、酔いに身を任せることがでけん。そのかわり、幹事のうちの数名で二次会に行ったらそこで飲んだ酒はかなり効いたぞお。一気に酔いました。もうこれ以上飲めません。スビバセンねえ、というような、もっともっとへべのれけれけになるまで飲みたかったかも。
 まあ、今日は今日で用事があったから、深酒せずにすんでよかったかもね。

12月10日(日)

 アジア大会にはあまり関心がないんで、テレビでも新聞でもその報道についてはあんまり目にとめてへんのやけれど、数日前、妻が「カバディも正式種目なんやねえ」みたいなことをいうので、ほうそうかと記事を読んでみた。
 いやあ、こういう試合はもっとでかでかととりあげなさいよ。決勝の組み合わせはなんとインドとパキスタンや。国家としても仇敵やけれども、カバディでも好敵手やったんですな。そして、石油で儲かっているオマーンには両国から出稼ぎがたんと来ていて、会場は満員。入り切らなんだ観客が会場を二重三重に取り囲んで応援していたそうな。
 インドが勝ったということやけれども、試合終了後、場外で流血騒ぎとかあったのかどうなのか。エキサイトし過ぎでどつきあいするやつはでたんか。カバディの試合そのものよりもそっちの方が気になるなあ。スポーツに政治を巻き込んだらあかんというのはあくまで建前で、こういう国際試合の場合、ナショナリズムというのはかなり表に出てくるからね。
 日本の選手が何個メダルを取ろうと私は別に嬉しくも悲しくも腹立たしくも羨ましくも後ろめたくも悔しくも誇らしくも感じない。いつも書いているけれど、メダルの栄誉は個人に帰せられるものやと思うからね。
 そやから日本選手の活躍なんかよりも、こういう国際大会なら起こりそうな騒ぎの方がよほど気になる。
 もし両国を応援するために集まった出稼ぎの人たちがお互いの健闘を讃えあい平和に手を握りあって別れたりしてたら、それはそれでものすごく(特定の国のメダルの数なんかよりも)話題性の高いことやないかと思うんやけれど、そんなことは新聞はちゃんと報道してくれんのでありました。


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