ぼやき日記


10月21日(火)

 ペット育成ゲームもサンリオの参入などで、発売に関してはピークを迎えた感があるが、実際に高校生たちが電車でゲームをいじっている姿がめっきり少なくなった。ゲームとしては下火になっていると言っていいだろう。
 正直言って、「たまごっち」のような育成ゲームは、面白いのは最初だけで、そのうちに飽きてくるのだ。嘘ではない。私はツクダが出した「ジュラペット」というのを1ケ月ほどやったのだ。
 これは、「ジュラシック・パーク」に登場する恐竜に成長するというのがウリのゲーム。一回目はステゴザウルス、他にブロントザウルスやプテラノドンなど、四種類の恐竜を育てた。成獣に育つまではわくわくしたが、育ってしまうと、なんのことはない、ただめし食ったりクソしたり、病気になったりするだけで、手間がかかるわりには楽しみがなくなってしまう。しかも、同じ恐竜が2度3度と出てくると、いいかげん嫌になる。育ったペットを殺すのは情操に悪いとかなんとかいう意見があったようだが、そういう人は育成ゲームをしたことがあるのかね。
 本家の「たまごっち」が「新種発見」とか「天使っち」とか新しいのを出しているのも、育つ種類が豊富でないと、すぐに飽きられるのがわかっているからだろう。思うに、「品薄で入手できない」というのがブームの始めにあったりしたせいで、実態以上の流行にまで「成長」してしまったというところなのだろう。
 私は「ジュラペット」をファミレスで定価販売しているので買ったのだが、専門店では同じものを6800円で売っていた。そんなに出して買うものじゃないと思うが。ブームが雪だるま式に大きくなるとこういうことになるのであるな。

10月22日(水)


 先日、百貨店の玩具売り場で面白い電卓を購入した。「笑殺電卓人・こてこて勘吉」という商品だ。これは数字のボタンを押すと、大阪弁でしゃべるというもの。ACボタンを押すといきなり「もうかりまっか」と声をかけてくる。+と×は「かまへんかまへん」、−と÷は「あきまへん」。=で「どないでっしゃろ」と、なかなかタイミングがよい。
 しかし、難点もある。この電卓のデザインは、写真のようにどうも大阪商人をイメージしているらしいのだが、そのわりに、出てくる言葉は悪態が多い。「もうええわ」「なんでやねん」あたりはいいとして、「あかん」「なんやそれ」「どあほ」「どついたろか」「ほんまかいな」「せこいやっちゃなぁ」とこられると、計算をしていてもむちゃむちゃ腹がたってくる。
 こずかい帳と電卓を前にして、「じゃかっしゃい、おのれはケンカ売っとんか!」と毒づいてしまうのだ。だいたいボタンを押すたびにしゃべるわけだから、やかましくて仕方ない。
 とはいえ、ストレス解消用に早押しゲームもついていたり、時計に切り替えると「もうかりまっか」と時報を知らせてくれたり、アラームをセットしておくと、「かまへんかまへん、あきまへん」と繰り返したり、なかなか楽しいおもちゃである。
 大阪商人に対しては、ここはやはり京都弁の舞妓はん電卓を開発してほしいものだ。「おいでやす」「かんにんどすえ」「よう、きといやすなあ」「いけずやわぁ」「へんねし」「すかんたこ」なんてかわいい声で言ってくれる電卓というのができないものか。これなら電卓とケンカにはならんぞ。そんなのが発売されたらすぐに買うぞ。

10月23日(木)

 私は毎週「週刊ベースボール」を愛読しているのだが、今日購入した11/3号ほど腹の立った号はない。
 だいたい「ベースボールマガジン社」がジャイアンツびいきであることは衆目の一致するところだが、さすがに今週号では日本シリーズに関する記事を中心に置いている。それはいい。ところが、タイガースとドラゴンズの間に成立した久慈・関川と大豊・矢野のトレードはグラビアはおろか、誌面のどこにも記事としてとりあげていない。主力どうしのトレードである。大阪と名古屋だけの話ではなく、球界全体のトピックスといえるだろう。唯一このトレードに触れているのがやくみつるの四コマだけとは、専門誌としては情けない限りである。
 それだけなら、まだ許そう。日本シリーズ速報のため他の原稿は予定原稿ですまさざるをえず、間に合わなかったとも言えるからだ。しかし、「次号予告」を見て怒りがわきあがってきた。来週発売の誌面には「吉田丸、相変わらずのゴタゴタスタート 大量解雇、大型トレード、”駆け込み寺”作戦」という記事が載るというではないか。
 私も子どもの時分からのタイガースファンである。いいかげんゴタゴタには慣れている。ところが、今年はとにかく無風なのだ。トレードはあったが、江夏や田淵のときの衝撃とは比べ物にはならない。
 タイガースのゴタゴタというと、選手の監督批判とそれにからむトレードや解雇、監督交代、選手のスキャンダルというところが相場である。その点からいえば昨年のほうが日本シリーズそっちのけのゴタゴタをくりひろげていた。安藤監督が内定したとしてスポーツ紙の記者たちは夜討ち朝駆けで安藤統男さんの門前を襲い、結局は吉田監督の誕生。FA宣言をした清原和博選手をジャイアンツと取り合った末に敗北。
 今年はどうか。吉田監督の留任を受け、小山正明、福本豊、岡田彰布といった往年の名選手たちがコーチとして就任。解雇された選手は、力の落ちたヴェテランや、先の見えた二軍選手、昨年テスト入団しながらも力の及ばなかった移籍選手ばかり。彼等の口から首脳批判の言葉は聞かれない。入団テストを受ける他チームの自由契約選手が大量にいることをゴタゴタというにはあたるまい。そうやって入団した選手が活躍したスワローズを「再生工場」とほめたたえた同じ口で言っているとは思えない。
 「週刊ベースボール」のこの姿勢はなんなんだ。東京のマスコミは、タイガースに対して”常にゴタゴタを起こす球団”であってほしいのか。今年でいえば、監督批判の飛び交うファイターズやブルーウェーブの方が、”ゴタゴタ”にふさわしい。
 わかった。ジャイアンツ・ファンの「週刊ベースボール」はタイガースが怖いのだ。長嶋監督批判が一般週刊誌をにぎわしている昨今、着々と戦力整備を進めているタイガースに対し、さもゴタゴタが起きているように書きたてて、ホコ先をそらそうとしているのだな。
 これはこじつけではない。どう逆さに振っても、今年のオフはタイガースにゴタゴタは起きてないのだ。それなのに大型トレードを記事にせず、マイナス面を強調しようというような記事の予告には、裏に何かあるとしか考えられない。まあ、来週実際に記事を読んでみないと真意はわからないが。
 それにしても、数少ない野球専門誌がこのようなことではわが国に健全なスポーツ・ジャーナリズムを求めようとしても無理というものだろう。

 本日、スワローズが4勝1敗でライオンズを下し、日本シリーズを制する。おれはなあ、おもろないぞおおおおおっ!

10月24日(金)

 相変わらず猛暑が続く秋である。大阪では連日25度前後の気温なのだ。夏バテ状態になってしまった。日中は気温が高いが朝夕はぐっと冷え込む。ゆえに風邪もひきやすい。家に帰ると、イソジンうがい薬でガラガラとうがいをする。予防にはこれが一番である。ところで、イソジンでうがいをしていて思い出したのだが、子どもの頃に風邪をひいて医者にいくと、必ずのどにルゴールを塗ってもらったものだ。ルゴールというのは、イソジンと同じくヨードの溶液である。最近はのどに吹きつけるタイプ(ずっと以前「歌手の小金沢くん」が宣伝していたアレ)もある。実家には「のどぬーる」という商標のものが常備してあった。ヨーチンことヨードチンキも同じ成分だ。
 しかし、あのルゴールを塗ってもらったときの感触は忘れられない。でっかい綿棒でのどの奥までたっぷりつけるから、息苦しくてからえずきをしてしまう。のども妙にスースーして、ご飯を食べるまであの独特の匂いや味が残っていたものだ。扁桃腺が腫れていようといまいと、医者はこういったものだ。
「お、のどが赤いな。とりあえずルゴール塗っとこか」
 桂枝雀の落語の枕に「葛根湯医者」というどんな病気にも葛根湯を渡す医者が出てくるが、これはさしずめ「ルゴール医者」というべきか。とはいえ、これを塗っておくとのどの腫れはとりあえずひいたものだ。
 ところで、最近内科で風邪を診てもらう時に、このルゴールを塗ってもらった試しがない。耳鼻科では塗ってもらっていたから、ルゴール自体がなくなったわけではないようだが。
 そこで、職場の同僚にきいてみた。ルゴール体験の有無を、である。30代以上の人は、たいてい経験している。そして、「なんか独特の味したな」、「私、あれ苦手やったわ」などというリアクションも返ってくる。20代半ばの人もやはり塗ってもらったという。ところが、大学を出たばかりの女性の返事はこうだった。
「それ、なんですか?」
 ルゴール体験のない世代がいる! ちょっとショックやね。もしかしたら、ある時期から内科医には「ルゴール塗るべからず」というお達しが医師会から出て、ルゴールを塗る権利は耳鼻科医に独占されるようになったのかもしれない。
 いや、だとしたら薬局で売っている「のどぬーる」はなんだ? あれは明らかにルゴールと同一であるぞ。
 あなたにはルゴール体験はあるだろうか。もしかしたら、それによってすごい世代間ギャップというものがあるかもしれない。そう、赤チンを知っている世代とそうでない世代のように。

10月25日(土)

 「平成女鉾」をご存じだろうか。祇園祭は江戸時代から鉾に女性を上げないという慣習があり、現在でも長刀鉾などはたとえ地元の者でも、鉾に上ることはできない。
 鉾のある町は「鉾町」といい、子どもの頃からお囃子の練習をして一人前になっていく。女の子も練習には参加できるのだが、囃子方として鉾には乗ることができない。
 正直言って、女性差別である。函谷鉾の鉾町ではこの悪しき慣習を破るべく女性ばかりの鉾をつくり、巡行に参加させることを考えた。女人禁制の鉾があるならば、男禁制の鉾があってもいいという発想だろう。それが「平成女鉾」である。
 まず手始めに、昨年の「京都まつり」というパレードに参加した。とはいえ、囃子方を育てるのは時間がかかる。それを半年でやってしまい、鉾も自分たちの鉾のレプリカをつくった。幸い「平成女鉾」は各マスコミにも好意的に取り上げられ、全国ネットのニュースにもなった。
 残念ながら、今年の祇園祭には鉾町の反対が多くて参加できず、京都市役所前でお囃子を披露するにとどまったが、明日の京都まつりには昨年と同様参加をする。
 なんでこんなことを長々と書いてきたかというと、私の妹たちは「平成女鉾」の囃子方なのである。難関を突破し、笛方として採用されて2年目を迎えるというわけだ。週3回、仕事が引けてから練習ににいっていると聞く。鉾町の子どもたちなら近くの家に集まって練習をできるが、彼女たちはそういうわけにはいかない。なかなかたいへんなことだ。
 ニュースのために早朝から呼び出され、生放送で練習風景を見せなければならないこともある。そんな時はうちの母は「今からテレビに出るえ」と親族全部に電話するのだ。私も何度か眠たい目をこすりながらニュースを見たりしたものだ。でも、妹たちはその他大勢でちらりと写るだけだ。べろーんとカメラが全体をなめていくその一瞬をとらえ「おっ、今うつった!」などとほたえているのだから私も兄バカである。
 いよいよ明日は本番である。今年もしっかりアピールして、来年の祇園祭には参加できるようになってもらいたいものだ。長刀鉾のおっさん、わかってんのか。何年もかかる行程を一気に進んで一人前の囃子方となった女たちの努力を理解せえよ。

10月26日(日)

 またやってしまった。昨日、本屋で例によってどっさりと本を買い、家に帰って見ていたら、以前買ったのと同じ本が混ざっていたのである。いわゆる”ダブリ”である。
 今回は創元社の”知の再発見シリーズ”「キリスト誕生」だ。このシリーズは内容に関係なく全巻そろえているのだが、今月の新刊「アーサー王伝説」の隣に平積みになっていたので、奥付も見ないで「2冊同時刊行か」と勘違いして買ってしまったものだ。
 最近多いダブリは架空戦記のシリーズである。まず、タイトルがいけない。「連合艦隊」「零戦」「大和」はタイトルの定番。しかも「連合艦隊大和の聖戦3」といった具合にシリーズ名と巻数だけしか書いてないものが多いので、「この前でてたのは、2やったっけ、3やったっけ」と悩んでしまう。カバーのイラストで判断しようにも毎回戦艦やら空母やら戦闘機やら爆撃機の絵で、たいてい浅田隆か安田忠幸が描いているとなると、頭の中でゴチャゴチャになってしまい判断がつかない。奥付でチェックをするという方法もありたいていはそうしているのだが、版元によっては発行日をかなり先に設定しているところもあるので、その場では判断しかねる。そんな時に限って、近くの本屋ではお目にかからない版元だったりするから困ってしまう。次に来たときにはもう売っていないというケースもよくあるのだ。
 かくして家に帰って確かめて、「やっぱり買うとったー」と嘆息するというわけ。
 やはり年をとったのかなー。それとも、読んだのに内容を覚えてられないような作品が多いせいなのか、同じようなイラストでしかカバーを飾られない「架空戦記」というジャンルのせいなのか。なにしろ好みのシリーズをいくつかしぼって買うというわけにいかないのだ。出版されているものはほとんど読むというのが書評家のつとめ。かくして中途半端なダブリが本の山に加わるというわけである。やれやれ。

10月27日(月)

 よく「あいつは体育会系だから」という言い方をしてしまう。総合商社など、体育会出身の学生を採用したがるそうだ。どうも体力があるからとかそれだけの理由で採用するわけではないらしい。妻にきくと、体育会出身の新入社員が宴会の幹事をやると、それはそれはみごとにソツなくやってのけるらしい。こういう言い方をすると語弊があるが、彼等は何かをするときいちいち懐疑的になったりはしないでとにかくよく動き、しかも統率がとれている。そういえば、体育の教師もそういうの多いなあ。管理職の指示を的確に読み取り、文句をいうことなく働くという印象がある。
 いやこれは、体育会出身の人全てがそういうものだというわけではない。体育会出身でなくてもそういう人はいる。どうやらそういう気質の人がいるらしい。私なんかは「なんでそんなことせなあかんねん」とふと考えてしまうので、実に仕事が遅い。おっと、これは言い訳か。
 しかし、これをパターン化してみるのも面白そうだ。というわけで、次のようなのを考えてみた。
◎文科系……感情に流されやすく、理想主義。
◎理数系……理論的に考えてから実行に移す。合理主義。
◎芸術系……感受性が鋭く、直感で動く。自由主義。
◎技術系……経験に基づき実行力がある。現実主義。
◎体育系……理屈抜きで実行し、環境に自分を合わせる。上意下達主義。
 なんだこりゃ、いいかげんな分類だ。でも、血液型人間学とか占星術とかよりは理屈にあってそうだぞ。適当に判定テストとかでっちあげて分類し、相性診断とかくっつけて本にしたら売れるかもしれない。
 とにかく現代日本人は分類しパターン化するのが好きらしいからな。よおし、これでわしも高額納税者の仲間入りじゃ。ぶはははは。
(本気にしないでね)

10月28日(火)

 毎日あほな事ばかり書いているので、今日はちょっとマジに。
 「S−Fマガジン」12月号の「てれぽーと」欄では、今なおSFについて、熱い投稿が続いている。このこと自体はまことにけっこうなことだと思っている。それだけSFというジャンルを愛し、なんとかしようと思う人たちが大勢いることに他ならないからだ。
 私の考えは7月号の「まず、読み手を育てよ」と題した小文に書いたので、もう繰り返す気はない。問題の「日本経済新聞」の記事もあのあとすぐに読むことができたが、だからといって考え方は変わらなかった。
 暴論もおおいにけっこう。極端な論が出つくしたところで、ゆり戻しが来て結局は程のいいところに落ち着くのだ。これを弁証法という。三段論法とはまた違う理論があるのだ。
 ところで、今月号のこの欄で、葉影立直さんとおっしゃる作家の方が発言をなさっている。これに対し、少し思うところがあるのでここに書いてみる。
 葉影さんはSFポルノ「熱砂の惑星」でデビューされた方で、これはアニメ化もされ、売れ行きも好評だそうである。しかし、この作品については官能評論家もSF評論家もとりあげて論評しなかったとのことだ。
 葉影さんは、梅原克文さんが論争に参加することについて否定的で、作家なら作品で主張すべきだという。私もその論には賛成である。しかし、その論拠として評論家の愚かさを説き、誰にも評価されなかった自作が売れたことを実例に、「評論家が誉めたから売れる、無視したから売れない」ということはないと論じている。
 挙句の果てには、「今後も私がヒット作を出し続ければ、評論家の方々が、適当に分類してくれるでしょう。評論家の仕事って、その程度のことでしょう?」と書き、「梅原氏も作家であるのなら、評論など書いていないで、売れる小説を書いて、評論家に頭を下げさせてください」と結んでいる。
 勘違いしているのはこの人の方ではないだろうか。評論家がどんなにほめようと、SFの売れ行きは落ちているのだ。評論家は本のセールスマンではないのだ。
 細田均さんが「批評家というだけでクズ」とご自分のホームページで書いておられた。そこまで言われたいとは思わないが、評論家、批評家、書評家がそんなに偉いものだとは私も思っていない。創作という行為については、自分も創作を行う身だけに、大変なことだと知っている。だからこそ、その作品をもっと素晴しいものにしてほしいから書評を書くのである。こんなに面白い本がまだまだあるのだということを読者の方たちにお知らせするという役割が課せられている以上、その責任を果たさなければならないと思うから、他に読みたい本があっても書評の対象となる本を優先的に読み続けているのである。
 少なくとも私はそういう気持ちで書評をしている。だから、作家に頭を下げる気もないし、作品を適当に分類する気もない。私にできるのは、作品が面白いか面白くないかを真剣に分類するだけである。そんな適当な気持ちで評論をしている者はいないと信じている。
 けんかを売るつもりはないが、いいかげんなことを書かれては、黙っておられない。さあ、いくでえ。
 早い話が、おのれは誰かにほめてもらいたいんやろ。おのれの本が評論家から無視されたんで、けったくそ悪いだけちゃうんかい。それやったら、自信をもってSFポルノを書いて「S−Fマガジン」に投稿せんかい。「てれぽーと」で文句たれるくらいやったら、小説で勝負せんかい。
 言いたいことはこれだけです。これを「てれぽーと」に投稿する気はありません。私はけんかが嫌いなのです。そんな暇があったら、童話の一本も書いたほうがよろしい。
 しかし、一度葉影さんの小説も読まないかんな。そんな傑作を見逃していたとあっては、書評家として恥ずかしい。でも、ナポレオン文庫こそ書店に在庫がないんだな、これが。

10月29日(水)

 しかしなんですな、つい先々週まで夏かと思えば、もう晩秋の気候。こう寒いとやってられませんな。単車通勤の私なんか、朝に体が冷えてしまい、腹をこわしましたぞ。下っ腹が差し込むように痛くなったときは苦しかった。これで明日は鶴見緑地に遠足ですわ。ああしんど。

 やられましたな、「くいだおれ太郎」冬樹蛉さんの10月24日の日記にて、冬樹さんが買われたというのですな。私が「笑殺電卓人・こてこて勘吉」を買うたとき、「くいだおれ太郎」も売ってたんですな。迷うた末に、「こてこて勘吉」を買うたんですな。こうなったら「づぼらや」のふぐ風船でも出してもらいたいもんですな。どこに置くねん、そんなもん。
 ふぐといえば昔、小浜徹也・三村美衣夫妻のところに行ったとき、「づぼらや、ふぐ饅頭」なるものを持っていったことを思い出した。普通の黒餡の饅頭なのだが、一つだけ白餡のものが混ぜてある。これは「白子」で、これを食べたら大当りというおもろいアイデアであったな。
 話は戻るが、「くいだおれ太郎」もただの看板人形やないんやそうですな。初代の「くいだおれ太郎」の原形を作ったのはなんでも文楽の人形師の方で、知ってる人が聞いたらびっくりするような名人やったそうで。そういえば、眼鏡に邪魔されてるけど、なんとのう気品のある顔だちをされてますな。それが家庭用に売られ、しかも太鼓叩いたりしてくれはるんですから、これはやはり買わなあきませんな。どこに置くねん、そんなもん。

10月30日(木)

 遠足の引率で鶴見緑地、すなわち「花の万博記念公園」へ行く。記念公園といっても、「いのちの塔」や「咲くやこの花館」くらいしか見るところはない。だいたい「いのちの塔」からしてぱっとしない。ただの展望台だ。ここはやはり「万博記念公園」の「太陽の塔」のインパクトに軍配をあげたい。大阪モノレールは「万博記念公園」を突っ切るように走っているのだが、車窓から見える「太陽の塔」は圧巻としかいいようがない。岡本太郎最大のモニュメントだろう。両手を広げて無造作に突っ立っているだけなのだが、あの黄金の顔のくりぬかれた目ん玉は空虚さをとおりこして不気味ですらあるし、腹の部分の顔の不機嫌そうなことといったらない。あれを毎日通勤時に見ていた時期があったが、見慣れていても「朝から大変なものを見ているな」という気分になったものだ。
 「花博公園」の「咲くやこの花館」はいってみればただの温室だ。売店をのぞいたが、これぞ花博というほどのものもなければ、コテコテ大阪というものも特にない。せいぜい「じゃりん子チエ」のキーホルダーくらいか。ハーブのセットや花の絵葉書も食指をそそるものではなかった。
 実は私は「花ずきんちゃん」のマスコットがないか、期待して行ったのである。今は「なみはや国体」のマスコット、モッピーくんが大阪中にあふれているが、たいしたキャラクターではない。「花ずきんちゃん」はシンプルでかつ可愛らしく、あの手のマスコットとしては久々のヒットであった。吹田ではいまだに「太陽の塔」ががんばっているのだ。鶴見だって「花ずきんちゃん」にがんばってもらっても罰は当たるまい。いっそのこと「花ずきんの塔」というものでもこしらえといてくれたらよかったのに。近畿自動車道を走っていたら遠くからだんだん近づいてくる巨大な「花ずきんちゃん」の姿……。

10月31日(金)

 単車で通勤していると、いろいろな自動車の装飾にお目にかかるがいまだに理解不可能なのは「子どもが乗っています」という表示だ。ミッキーマウスやキティちゃんのボードが後方の窓に吸盤ではってあるのだが、子どもが乗っているからどうしたというのだろうか。子どもが乗っていようといまいと追突事故には誰しも注意しているはずだし。それとも子どもが乗っていて運転を邪魔するかもしれないから注意しろという意味なのか。そんな怖い車の近くには寄りたくない。子どもが乗っているからノロノロ運転なので追い越せという意味なのか。たぶんここらへんが妥当なところだろうけれど、だからどうしたとしかいいようがない。
 それならば山口組の代紋ステッカーをはっとけば、まわりの車は敬遠してくれるぞ。逆に関係者の車に追い回されたり銃撃されたりするかもしれないけれど。
 今日は、少し大きめのスクーターの背面に面白いステッカーがはってあるのを見た。黄色の地に桃色で換気扇のファンのようなマークが描いてあり、「CAUTION RADIOACTIVE AREA」とある。ふうむ。とうとう原子力発動のスクーターが登場したかと感心した……わけあるか。いやいや、シャレのきつい単車だ。そんなもの怖くて近づけないぞ。
 もっと怖いステッカーを考えてみた。「S−Fマガジン」のロゴをいれて「SFファンが乗っています」。ちっとも怖くない。かじった林檎のマークをいれると、「おおっ、Macユーザーが乗っているぞ」。どこが怖いんだ。菊の御紋をはっておくと皇室と間違えて……皇室の車ならあたり一帯交通規制だ。誰も間違わない。男女がまぐわっているマークを考案し、「カーS◯Xの最中です」。怖いといえば怖いが下ネタに走ってはいかんな。
 面白いマークがあれば、また教えてください。  


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