ぼやき日記


11月11日(水)

 「ふるさとクーポン」というネーミングはなんとも味があるね。
 15才以下の子どもと65才以上の所得の少ない老人に配付する商品券がなんで「ふるさと」なんか、ようわからんところがすごいね。
 竹下登首相の頃に「ふるさと創成基金」とかいう現金を地方自治体にばらまくという意味があるのかないのかよくわからんことをしたことがありましたな。今回の「ふるさと」はあれと同じくらい意味のないことであるよというような気持ちを託しているのでしょう。
 そう考えると非常に味がある。
 いやほんまに、なんで「ふるさとクーポン」なんやろ?
 なんぼ考えてわからん。
 子どもは大人のふるさとだ、という意味か? 老人はふるさとに住んでいる、ということか?
 こじつけられへんようなネーミングはやめてよ。
 ついでにこんな変なもんを配るのもやめてよ。
 景気回復にも老人福祉にも少子化対策にもどれにも効き目がないと思うぞ。
 こうやって世の中はますますわけのわからんもんになっていくんですね。誰か止める奴はおらんかったんか、ほんまに。

11月12日(木)

 今朝の新聞で淀川長治さんの訃報に接する。
 ああ、淀長さんは死なんと思うていたのに、とふと思うた。
 ずっと死なんといつまでもいつまでも映画の面白さを語り続けると思い込んでいた。
 私は熱心な映画ファンやないけれど、淀川長治ファンやった。高校時代、「日曜洋画劇場」の淀長さんのはじめの解説だけ見て、その後は本を読んだりしてから終わりがけにTVをつけ、また淀長さんの解説を見るなどということをしてた。映画はどうでもよかった。だいたい「日曜洋画劇場」は「なんでこんな映画の解説を淀長さんにやらすねん」と思うような映画ばかりしてたからね。とにかく、淀長さんの喋りだけをきいていたかった。
 リズムがあった。ユーモアがあった。そして熱かった。
「さあみなさん、今日の映画はとても怖い怖い映画ですよ。まあ怖い! なんて怖いんでしょう」「この映画は、イッセンキュウヒャクナナジュウニ年、アメリカの映画です」「それでは、またお会いしましょ。さよなら、さよなら、さよなら」。
 いろんな人が物真似をしてたけど(私もやった)あの独特のリズムは誰にも真似でけなんだと、思う。誰もチャップリンになれないように、誰も淀川長治にはなられへんのだ。
 面識があったわけでは、もちろんない。身内でもない。
 そやのに、新聞記事を読んでいるうちに目頭が熱くなって泣きそうになって、困った。
 私は、淀長さんが映画「ザッツ・エンターティンメント」のパンフレットで使うていた「見られよ! 全てのみなさん」という言葉が気に入って、「読まれよ! 全てのみなさん」ともじって使うたことがある。直接読み手の心に届く、すばらしいフレーズやと今も思う。
 淀川長治さんは、イッセンキュウヒャクキュウジュウハチ年11月11日、心不全で死んでしまったの。享年89。
 テレビ朝日は淀長さんの解説だけをつないだ特番を作らなあかん。あと、東京ムービー版の「怪物くん」の再放送もせなあかんよ。

11月13日(金)

 風邪気味の上に寝不足で頭が働かない。あれこれあって仕事を休むわけにはいかんのだ。
 昨日は結婚記念日でケーキをたらふく食べて幸せやった。また、駅前にうまいケーキ屋さんがあるねん。先週は妻の誕生日で食べた。今週は結婚記念日で食べた。来週は何も記念日がない。いや別になんかの記念日やなかったらケーキを食べたらあかんというわけやないけど。やはり、バナナは仏さんのお下がりとかそういう幼少期を過ごすと、ちょっと上等のものを食べるのにも理由がいるという悲しい習性ができあがってるのや。妻がいうには「来週はね、私の誕生日と違う日」。あんたは三月ウサギか。人まねはいかんよ。
 明日はやっと休みやけど法事で福井県までいかんなならん。「日本芸能再発見の会」の例会もあるから福井から直接出席したろうなどという無謀なことを考えたりしたけど、時間的に無理。今年は一度も欠席してへんかったし、行きたいんやけどなあ。うーむ。自分の体のことを少しも考えてない。私の場合、趣味を健康より優先してしまうきらいがある。
 ここのところ家に帰ってからゆっくり本を読もうという余裕がなかったから、特急「雷鳥」の中でじっくり読もうかなと思うんやけど、寝てしまうやろな。
 明後日は「たちよみの会」。休みの日も毎日予定がつまっております。かたまる時はかたまるもんやね、用事というのは。
 本を読む頭なんか残ってるやろか。いやいや、何も考えずに読んだ方が直感がはたらいて本能的に面白いかつまらないかを感じ取ることができるに違いない。そうだ、そうに違いない。そやから今夜は徹夜して直感をみがこうなどという気は毛頭ないよ。
 あの、マインドコントロールとかいうのをする時に相手を寝不足にさせたらうまくいくと本で読んだことがあるけど、あれはほんまやろうと思う。朦朧としてしもて判断力も何も全部飛んでしまう。嘘でもなんでも吹き込まれたら「そうやなあ」と思てしまうかもしれんね。
 あれ、こんなことを前書いたような気がするが、これが既視感というものであるか。
 ともかく、早く寝ましょうね。

11月14日(土)

 法事で福井県の鯖江市へ。祖父の三回忌。行き帰りとも特急「雷鳥」に乗る。当日に券を買うたが指定席は満杯。自由席があいてたんで座れたからよかったけど。たいていは寝てしまうんやけど、今日は宮部みゆきの「鳩笛草」「クロスファイア」を一気読み。寝るどころやおまへん。あの、夜に寝る前にちょっと読みはじめたらやめられへんようになって気がついたら夜が明けてたというような感じかな。
 しかしなんで指定席がいっぱいなんやろうと思うてたら、自動車でやってきた父が、「みんな蟹を食べにきてるんやで」という。
 おおお、蟹のシーズンにもう突入してるんや。越前蟹というのがこれがまたうまい。身がしまっていて味がいい。とれたての新鮮なところを即ゆでるわけやから、そらうまいよ。今日は御膳はなし。蟹も食べられず。
 寺の和尚さんは高齢の上に訛りがきつく、ありがたいお説教もあんまりよく聞き取れない。なんか外国のラジオ番組を聞いてるみたいやねえ。音が遠い上に言葉がわからんという。
 「人は何のために生きてるかときかれたらどう答えなさる。すぐには答えられんな」というところはわかった。「死ぬために生きている」というようなことを言うてはったようにも思うし胸を押さえて「永遠に生きる」というようなことも言うてはったみたいやし。
 私の聞き違いかもしれへんけど「死ぬために生きている」というのには、ほほう、と思うたね。「死ぬために生きている」ふーむ。「死ぬために生きている」なるほど。
 ところで、私はいつも読経の時にはついつい居眠りをしてしまう。ところが、今日は眠かったけど、寝んかったぞ。おしっこを我慢していて寝るに寝られへんかっただけやけど。そんなん自慢になるかい。

11月15日(日)

 「たちよみの会」で京都へ。
 河原町通、えらい人通りやないか。「河原町OPA」というファッションビルが昨日開店して、それで人が集まってるのだった。それがロープを張って道をつくり、ガードマンが先導するわ、「順路→」などと書いた看板をずっと持ち上げて(あれ腕が疲れるやろな)立ってる人がいるわ。銀行のATMやないんやからね。
 四条河原町の横断歩道の所にまでガードマンがいてるやないですか。あのね、四条河原町には高島屋とか他にも店がいっぱいあるんやで。そこを通る人がみんな「OPA」の客やないんやからね。そのガードマンがいてかえって通りにくいやないですか。なんでそこまでするか、ようわからんかったね。
 帰りは帰りで全身に銀粉を塗って月桂樹の冠をかぶった顔だちからすると西洋人と思われる人物とすれちがったり、交差点の角にぺたんと座ってスケッチブックに女の人を描いている女性がいたり。この女性、たぶんその絵を売るつもりで座ってると思うんやけど、なんか自分の世界に入りこんでるみたいで、売れそうな感じやなかったけど。
 久しぶりに人の集まるところに行くと、いろんなものに出くわすなあ。
 それにしても、あの銀粉男、いったい何者?

11月16日(月)

 ぬくいですねえ。
 野菜をつくっても虫が出てきて食べてしまうんで収穫でけへんと、園芸の担当の先生が嘆いてた。野菜の値段が高いはずや。
 洟は出る、痰はからむ、体はだるい。風邪かいなと思うが熱はない。ここのところ寝不足やからそのせいかと思うたが、寝不足で鼻水をたらすというのもおかしいわな。
 いろいろと気に病むことが続いたけど、それで痰がからむというようなことはないわな。
 学校の仕事が忙しいけど、それで体がだるくなることは、それはあるか。
 鼻をスンスンいわせてたら、同僚の先生が「そら喜多さん、アレルギーですよ」という。私のアレルゲンは確かハウスダストやけど。「花粉やって。そこの川の土手にセイタカアワダチソウがたくさん生えてる」。
 そうやったんか、私は杉の花粉にも多少は反応するけど、セイタカアワダチソウの花粉にも反応してたんか。季節はやっぱり秋やねんな。
 そやのに家に帰ったら蚊がぶんぶん飛んでるやないか。蚊取りの液が切れてるから飛んでくる蚊を毎日パンパン叩いてる。それでも生き延びたやつが、私が寝ている間に足の裏とか指のまたをかみよるんや。
 秋やない、こんなに蚊を殺してもまだひっきりなしに出てくるということは、まだ夏なんや。そうやそうや夏なんや。それが証拠にTシャツ一枚で仕事をしている先生もいるぞ。
 秋は秋らしく、夏は夏らしくしてよ。

11月17日(火)

 寒いですねえ。
 日がくれてから単車で走るといくら重ね着をしてても冷気が体にしみ込んでくるもんね。誰や誰や、まだ夏やとかいうてる奴が昨日おったな。
 私ですか。そうですか。
 そういえば、昨日はイライラするほど飛んでた蚊がおらないぞ。「あっ、もう秋になったのに、俺はこんなところでいったい何をしてるんだ」などと思ってあわてて死んでしもうたのかもしらん。
 そんなことを蚊が思うかという人がいるかもしれん。そやけど、蚊と話をした人がいますか。おらないでしょう。どんなことを考えてるかわからんよ。「いや、俺は蚊と交信しているからわかる」という人がいたら、風野春樹さんにご相談した方がよいかと思います。
 何の話をしてるんや。
 急に寒くなって困るのが体温の調節やね。いつかこの日記でも書いたけど私は医者に変温動物扱いされたことがある。暑いと熱が出るんやそうだ。それでいくと、寒風に吹きさらされたら体温も34度くらいに下がるかもしれんよ。体が動かんようになるから冬ごもりの準備をせんといかんね。ああそうか、それで昼間あんなに眠たくなるんか。違うがな。そら単なる寝不足や。
 ともかく、体が冷えるとしんどいんで長袖の下着に長袖のポロシャツ、セーターを着てジャージを着て、その上にパーカーを着て原チャリに乗ってる。それでも寒いぞ。
 急に寒うならんと徐々に寒うなってよ。一日でこんなに書くことが違うというのはなんぼなんでもひどすぎるやないですか。

11月18日(水)

 まだ水曜日ですか。ああしんど。
 学習発表会まであと1週間と半分。詰めの段階になってきて、まだまだできてないことが多い。そんなこんなで1日中ばたばたしてる。資材の発注、実際にやってみないとわからない問題など、私は元締みたいな仕事をしているので、いろんな人たちから相談を持ちかけられてはその都度考えなあかん。
 あちらを立てればこちらが立たずというような場面もあるしね。頭がパンクしてますわ。だいたい私はひとつのことをやりはじめたら他のことができないというような単純な脳みそやからね。
 疲れた時は休み時間、チョコレートをつまんでエネルギー補給。今のお気に入りは明治製菓の「メルティ・キッス」という口の中でとろんととろけるチョコレート。不二家の「ウィーンの石畳」というのもなかなかうまいぞ。こうやって体によいポリエステルを摂取するのです。
 ポリエステルやなかった。ポリ塩化ビフェニールでもない。それは体に悪すぎるがな。とにかくあのポリなんとかは体にいいんです。ええ、もう効く効く。チョコレートを一口含んだだけで体に力がみなぎってくるね。目はらんらんと輝き、筋肉はふくれ上がり、身体中に剛毛が生えたりしたらこわいやろうな。残念ながらそんな効果はないらしい。
 一発で疲れが回復する食いもんはないのかな。妻の手料理があるやないか。和食のつもりで材料をそろえたのになぜかできたのは洋食やったりする手料理が。
 それは仕事中には食べられませんな。
 こういう時に覚醒剤の売人が「疲れがすっととれる薬があるけれど」とか甘言を弄してきたら、なんかころりと騙されるかもしらん。気をつけねば。

11月19日(木)

 やや、「S−Fマガジン」の年間ベストSF投票の締切は明日やないか。仕事から帰ってきてごはんを食べたらほっとしてどっと疲れがでて本も読まれへん状態やというのに。頭を使わなならんのは大変ですわ。
 候補はいろいろと挙げてはいるんやけどね。そこから5本を選ぶのは難しい。
 何が難しいというてやね、面白かったことだけは覚えてるのに、その内容を明確に覚えてないので比較する時にどうしても最近読んだ本が上位にきてしまうということやね。印象が少々薄れた本とまだ生々しく記憶している本では、記憶の濃い方に軍配があがってしまう。それではいかん。でも、おっさんになって頭が年々悪うなってきてるからね。子どもの頃に読んだ本の方が印象が強かったりするからね。私は何歳や。
 36歳、頭の曲り角です。
 まあそのために読書日記をつけているんやけどね。
 このホームページで公開した感想をディスクから読み出してみることにしよう。あれを書いた時は読みたてで湯気がたってる状態やからね。その時の自分自身に聞いてみるのが一番ですな。
 そういうわけで、今日もご本が読めません。しくしく。

11月20日(金)

 やっと金曜日。明日出勤したら2連休や。
 仕事の方もなんとかめどがついてきた、というか火曜日が学習発表会の予行なんだから今日めどがついてないと休日出勤せんといかんということにもなりかねんのだから、めどがついてないと困るんやけどね。
 相撲をVTRで見てたらいきなり「日米首脳共同記者会見」に切り替わった。たいして面白いことも言っておらないし「缶コーヒーのクリントンはほんまもんによう似とるなあ」くらいしか思わんのでそのまま早回しで見ている。
 この、早回しがけっこうおもろいんですわ。クリントンというのはよう動くね。頭はあっち向いたりこっち向いたり、手の動きなんか早すぎてようわからんぞ。これは昔のディズニー映画みたいやね。フルアニメーションやから動かさんといかんとでもいうように動く。
 それに対して小渕は口は動いてるのにそれ以外のところは動かんねえ。だいたい表情が変わらん。これは「サザエさん」かな。口も開いてるか閉じてるかだけという動かしたら損みたいに動かん。
 動かんといえば迎賓館のドアボーイと思われる人。小渕の後方に彼が立っているのが見えるんやけど、微動だにせんね。まばたきしてるんかいなと思うぐらい。あれはすごい。口をへの字にして不機嫌そうにしたまま動かへん。行司の木村庄之助みたいな顔をした人やけど、ふだんは何の仕事をしてる人なんでしょうね。


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