青年時代の安倍晴明を描いた力作。自分に秘められた能力をどう使っていいかわからない晴明は、陰陽寮の仲間からは羨望の目で見られ、都を破壊しようとする邪神からは誘惑の手がのびる。関東から来た平将門という若者との交流などを通じ、自分の使命を自覚する晴明。しかし、周囲は彼を調伏しようと刺客を送りこむ。尋常ならぬ力をもった晴明の苦悩を描き、新しい晴明像を作りあげた力作である。
(「SFが読みたい!」2002年版掲載)
附記
「SFが読みたい!」2002年版で企画された「ファンタジイが読みたい!」の「おすすめファンタジイ100」でとりあげられた作品紹介文。