なんか低調な場所やったなあ、というのが今場所の感想。
いきなり武双山が脱臼で休場して、大関取りがなくなった。
新大関千代大海は初日から3連敗。やっと白星をあげたかと思うとまた連敗。挙げ句の果てに立ち会い顔面にまともに武蔵丸の頭突きを食らって鼻骨骨折で途中休場。
横綱若乃花は2日目から3連敗。やっと調子が出てきたかと思ったら玉春日戦で太股の筋肉を切ってこれまた途中休場。
横綱貴乃花はよたよたした相撲ながら相手の自滅にも助けられて2敗を守り優勝戦線にとどまってたのが闘牙に突き落とされたとき、肩を土俵に打ちつけて途中休場。
全休の横綱曙も含めてなんと3横綱1大関が休場。11日目から横綱土俵入りがなくなってしまった。
なんとか武蔵丸、貴ノ浪の両大関が最後まで2敗を守って千秋楽まで引っ張ったから格好はついたけど、この二人にしても絶対的な強さは感じられなかった。勝とうという意識は強く、強引な相撲をよくとっていた。結局千秋楽の大関相星決戦を武蔵丸が制して4回目の優勝を飾った。これで武蔵丸は来場所優勝すれば横綱昇進ということになる。
優勝した武蔵丸は場所前に10kgの減量をして動きがよくなったという。武蔵丸に限らず、みんな太りすぎ。貴乃花、土佐ノ海、上半身ばっかり丸々して下半身がひ弱に見える。武蔵丸を見習ってベストの体重に戻すべきだろう。
貴ノ浪はよくやったと思う。今場所負け越したら大関陥落という必死の場所で特に前半は強さを感じさせた。この大関の問題はそれが2場所と続かないところ。
殊勲賞の安芸乃島はどうやら完全に復活したようだ。2場所連続の11勝で、勝ち方も安芸乃島らしい粘りのある相撲だった。本人も大関は狙ってるようだし、ひょっとしたらひょっとするかも。敢闘賞は新入幕から2場所連続受賞の千代天山と、新入幕の雅山。千代天山は今一番相撲が面白くてたまらない時期なのでは。攻めの相撲をとり続けているのが光る。相撲の筋でいえば同じ部屋の大関千代大海よりもいい。怪我さえなければ三役に定着して大関を狙えるかもしれない。一方の雅山は前半は馬力と持ち前の足腰のよさで勝ち進んでいったけれど、さすがに三役相手となるとテクニックがないだけまだ通用しない。上とやってことごとく土俵にはったことは、雅山にとってはよかったのではないか。
しかし、なんとか土俵を盛り上げたのが入幕したての2力士というのは、情けないのではないか。怪我の影響で押されるとずるずる下がってしまった出島、いい形になりながら決め手に欠ける栃東など、大関候補と呼ばれる力士たちがもう少し優勝争いに加わってたら、もっと場所が盛り上がっていたろうに。
絶賛すべきは十両優勝の大善。地元大阪で初めての勝ち越し、しかも12勝3敗で勝ち方もいい。一時は幕下陥落寸前まで下がっただけになおさらこの復活が光る。来場所も自分の形を作ってしゃにむに前進する今場所のような相撲を取ってぜひ三役カムバックを目指してほしいものだ。
とにかく、これだけ休場の力士が多くて場所が盛り上がるわけがない。なんとも残念な場所になってしまった。
(1999年3月29日記)