大相撲小言場所


平成十三年夏場所展望〜魁皇横綱昇進の条件〜

 今場所の焦点はもちろん先場所優勝した大関魁皇の横綱昇進なるか、というところである。そこで私の考える魁皇の横綱昇進の条件をあげてみたいと思う。人によって条件となるものは違うと思うので、これは私見ということでご勘弁いただきたい。
 まず、2場所連続優勝の場合、これは基本的に横綱に昇進してもいいのではないかと思う。ここに13勝以上、などという数字的な条件はつけたくない。というのも魁皇の場合、上位力士全員に当たる。武蔵川部屋の大関たちとは条件が違う。優勝するというだけでそれは大変なことなのである。
 では、準優勝の場合はどうか。ここでは貴乃花、武蔵丸の両横綱に勝つということを条件にしたい。たとえ優勝できなくとも両横綱といかに戦ったか、その内容いかんで横綱としての実力を備えているかが判断できるだろう。もちろん横綱戦だけではなくそれ以外の取組でも、先場所見せたような立ち会いに相手の手をたぐりにいくような相撲は一番たりとも取ってほしくない。もしそういう相撲が見られるようであれば、準優勝でも横綱昇進は見送りにすべきだろう。
 むろん、上手を取って強引にふりまわす相撲は、あれはあれで魁皇の持ち味なのだから構わない。相手に相撲を取らせない貴乃花、押しと寄りでねじ伏せる武蔵丸、そして強引ながらも怪力で叩き付ける魁皇と、バラエティに富んだ相撲が見られるのが面白さにつながるのだ。
 場所前の怪我で十分稽古ができていないという情報もあるが、魁皇の場合、これまでそういう状態でもそれを逆に生かした相撲が取れているのだから、致命的ではないだろう。地力はある。精神的にも安定してきた。このチャンスを生かしてほしい。
 さて、今場所は2人の大関がカド番で土俵に上がる。雅山と千代大海だ。私としては現状のまま進歩のないこの2大関に関しては一度大関陥落という試練を与えてもよいのではないかとさえ思っている。少なくとも千秋楽やっと勝ち越しでその地位を守るというのでは、大関としての値打ちがない。10勝あげないと陥落させる、でも構わないとさえ思っている。今のところ大関として地位相応の働きをしているのは魁皇と武双山だけだといっても過言ではない。
 新小結の朝青龍をはじめとして琴光喜、栃東、追風海ら時期大関候補たちの活躍にも期待したいし、寺尾の相撲もまた楽しみ。若の里、隆乃若の鳴戸部屋勢の巻き返しにも注目したい。
 とにかく魁皇の相撲、これに尽きる。千秋楽まで両横綱と魁皇、武双山らが優勝を争うような展開になることを今場所も期待している。

(2001年5月12日記)


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