先場所、怪我をおして千秋楽に出場し優勝決定戦を制した横綱貴乃花だが、その無理がたたって場所前に休場を発表した。先場所の優勝に感動した方々は、この休場をどう見るのだろうか。今後、貴乃花が以前のような相撲をとれるかどうかと考えると、あの強行出場のもつ意味は大きいと言わざるを得ない。
もう一人、先場所強行出場して危機に陥っているのは大関魁皇だ。横綱挑戦がかかっていたため出場したのだが、結局途中休場の憂き目にあい、今場所はカド番。故障が完治したという報道はないので、そう多くは望めないだろう。ともかく勝ち越しを目指して一番一番を大事にとっていくしかない。横綱を狙える実力派の大関だけに、簡単に陥落してほしくはない。
注目したいのはカド番大関の出島。夏場所後、右足首の手術に踏み切った。故障を抱えたまま勝ち越しと負け越しを繰り返してきた出島だったが、手術をしたことによって安心して踏み込めるようになるかもしれない。大関昇進時の勢いを取り戻すことができれば、優勝争いも夢ではない。
武双山の腰は大丈夫だろうか。千代大海は先場所の好成績にほっとしてはいないだろうか。雅山の手首は完治しているのだろうか。残る三大関もそれぞれに不安を抱えている。
となると、優勝争いの中心は武蔵丸以外には考えられない。取りこぼしさえしなければ独走するかもしれない。つまり、横綱大関陣がしのぎを削るという展開にはなりにくいのであるね。なにか盛り上がりに欠けるように思う。
活躍を期待したいのはやはり琴光喜、栃東、若の里、そして朝青龍ら次の大関を狙う若手三役力士たちだろう。平幕の追風海、栃乃洋らも実力通りの相撲をとれば三賞が期待できる。
なにか小関と関脇以下の役割が逆転したような感じではあるが、結局大関昇進基準があいまいなところからこういうことが起きているのではないかと思う。勢いで大勝した力士を簡単に大関にあげたかと思うと、実力は認められながら見送られ続けて大関に昇進したところで無理をしたツケを払う力士もいる。勝ち星も大事だが、地力がついたかどうかを見極めて昇進を決めるということができないものか。
それはともかく、こうやってみると貴乃花の休場で大きく興がそがれたことは否めない。せっかく相撲人気が少しずつ回復しつつあるところにこの休場が水をさしてしまった。それどころか、秋場所以降も休場する恐れは十分にあるし出場してもあの磐石の相撲をとれるかどうか。そうなると早く琴光喜や栃東らが地力をつけて看板力士になるしかないのだ。そういう意味では今場所は今後の大相撲を占う試金石となるような気がするのである
（２００１年７月７日記）
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