大相撲小言場所


平成十五年夏場所展望〜二大関への試練〜

 先場所優勝した大関千代大海だが、カド番からの優勝、そして12勝という白星の数からいって、今場所優勝してもよほど内容がともなわないと横綱昇進は難しそうだ。ただ、そのことを北の湖理事長がいうのはいかがなものか。理事長は大関で13勝2敗の優勝のあと、横綱昇進をかけた場所には千秋楽に輪島に本割、そして優勝決定戦と連敗して13勝2敗の優勝同点のままで終わっている。幸い北の富士、琴桜の両横綱が一気に引退したのと最年少横綱という話題作りのおかげで翌場所の横綱昇進が決定した。横綱審議委員会という機関があるのだから、委員の意見とは別に理事長が軽々しくそういうことをいうべきではないだろう。
 私の意見を書いておくと、たとえ11勝の優勝でも2場所連続優勝ならば横綱昇進させてもいいと思っている。もっとも、それで昇進しても、息の長い横綱にはなれないだろうが。場所前の横審総見けいこでは朝青龍相手にいいところが全くなかったという。本場所一発勝負の力士だけに、波に乗れば一気に行くだろうが、序盤戦で横綱を意識しすぎて本来の相撲が取れないようだと優勝は難しいだろう。
 横綱2場所目の朝青龍が優勝候補の本命だろうが、韓国人の新聞記者に「キムチ野郎」などという暴言を吐いたと伝えられる。ただ強ければそれでいいというわけではない。横綱にふさわしい言動をしていただきたい。あまりに言動がひどい場合、謹慎処分を課してもいいのではないか。
 栃東、そして武双山の二大関がカド番。自信を失いかけている栃東には、開き直って自分の相撲だけを追求してもらいたいし、怪我の回復具合が万全ではない武双山についても、自分の相撲をとり切ることを目標に土俵に上がってほしい。この試練を二大関がどのように切り抜けるのかに注目したい。
 横綱武蔵丸が今場所も休場。大関候補と目される若の里、琴光喜、隆乃若も今場所は一からの出直し。場所前から盛り上がりに欠ける。新十両のグルジア出身力士、黒海などにも注目していきたいが、一番期待したいのはハイレベルな優勝争いなのである。

(2003年5月10日記)


目次に戻る

ホームページに戻る