曙親方の突然のＫ−１転向は、元横綱が年寄名跡を継承できないまま協会から流出していったというところだろう。以前から曙親方と師匠の東関親方との間に確執があることは噂されていたが、それが現実のものとして大きく出てしまったといえる。相撲協会は危機のただなかにあるといえる。北の湖理事長はこれにどう対処していくのか。公傷制度の廃止など小手先の改革だけでは解消できないだろう。
さて、九州場所の目玉は若の里の大関昇進なるかというところだろう。もっとも、若の里の場合、下位を圧倒するという力強さがないぶん、今場所後の昇進に関してはあまり無理をすべきではないと私は思う。少なくとも優勝同点もしくは準優勝という成績をあげなければ、昇進させてはならないと断言してしまおう。
むろん優勝候補は朝青龍だが、地元出身の大関魁皇はカド番の時に意外な強さを発揮するので、朝青龍の牙城を脅かす力士がいるとしたらこの人しかいないのではないか。公傷が認められなかった武双山、怪我が完治していない武蔵丸には出場したとしても優勝争いは難しいだろう。
ダークホースは琴光喜あたりか。先場所の相撲を見ていると、大関を目前にしていたころの相撲が戻りつつある。千代大海も調子に乗ると一気に突っ走る可能性はある。
なんにせよ、今場所はこれという見どころがあまりない。そうなると、各力士がその相撲内容の充実で場所を盛り上げてくれるのを期待するほかないのである。
（２００３年１１月７日記）
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