大相撲小言場所


平成十六年春場所展望〜連勝続くか朝青龍〜

 先場所全勝優勝した朝青龍は、韓国公演でもリーダーとして堂々の横綱ぶりを見せていた。マナーの悪さなどが話題になった前場所の始まる前とはうってかわって、なにやら悪評も消えてしまったようだ。たった一場所で人間が変わったということはなかろうから、初場所前の悪評は針小棒大の類いででもあったか。スポーツ紙の相撲記者の取材のスタンスに疑問を抱いてしまう。
 さて、その朝青龍だが、怪我でもしない限り連覇を阻む存在はいないのではないかという感じがする。となると、焦点は連勝がどこまで続くかというところになるだろう。土をつけそうな存在としては、意外性の男栃乃洋、怪力魁皇、テクニシャン栃東あたりか。千代大海は相撲が単調になったり苦し紛れに引いたりしたら勝ち目はないし、琴光喜も先場所のような力の差を見せつけられたら苦しいだろう。一番の大敵は朝青龍本人の油断かもしれない。
 注目されるのは新三役の垣添と霜鳥だが、今場所は壁にぶち当たることが予想される。それよりも再び大関候補に名乗りをあげた琴光喜、場所ごとに復活の兆しをみせる元大関コンビの出島と雅山、出足が鋭くなってきた黒海あたりの活躍が予想される。私としては、琴光喜が先場所朝青龍に吊り落としで土俵にたたきつけられた屈辱をはらしてくれないかと期待しているのだが。17歳で関取を射程圏内におさめた幕下萩原がすんなり十両入りを果たすのかどうかも楽しみの一つである。
 最後に、大阪府の監査が、太田房江大阪府知事を表彰式の時に土俵に上げさせない相撲協会に対し、約束していたアンケート調査を行おうとしていないなど、その対応の悪さを理由に大阪府知事杯を中止するよう知事に勧告した件について、私の個人的な感想を述べたいと思う。協会は、アンケート調査をするなどという苦し紛れの約束をすべきではなかった。土俵に女性を上げない根拠をきっちりと歴史研究者および神道関係者に依頼し、作り上げるべきであった。相撲は純粋なスポーツではないこと、土俵入りは神事であり、取り組みは技芸であることなどを筋道だてて示さなければならなかった。ところが、協会の見解として「女性は不浄であり、神聖な土俵には乗せられない」であるとか「女性を土俵に上げないのは伝統だ」などと説得力のない言葉だけを繰り返すのみ。つまり、論議に対して真剣に取り組む姿勢が見えなかったと思う。だったら予算緊縮の折からそれを口実にして大阪府が表彰から撤退しても、それに対して打つ手はなかろう。将来、女性の総理大臣が誕生し、自分の手で総理大臣杯を優勝力士に手渡したいと言い出すかもしれない。ことは太田知事だけの問題ではないのである。

(2004年3月13日記)


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