大相撲小言場所


平成十六年秋場所展望〜欧州勢の躍進〜

 新入幕に琴欧州、露鵬、新十両に白露山、黒海の新三役はかなわなかったが今場所勝ち越せば新三役は間違いないという位置につけた。いずれもアマレス出身で体が柔らかい。モンゴル勢とはまた違う持ち味の相撲だ。出身地もブルガリア、ロシア、グルジアと多彩である。この欧州勢の活躍が今場所の目玉となることは間違いなかろう。特に「角界のベッカム」こと琴欧州はその出世の速さからも注目の的だ。幕内の土俵でどれだけその力を発揮するのか、楽しみである。
 対するモンゴル勢は、白鵬がこれも三役目前という位置に上がってきた。将来性では朝青龍以上ともささやかれる逸材だけに、上位との対戦がこれまた楽しみ。朝赤龍も再び上位に進出してきた。今場所もまたモンゴル勢が大暴れすることは想像に難くない。
 優勝争いとなると、むろん朝青龍の5場所連続優勝が有力だろう。ただ、名古屋場所の後に泥酔して部屋の扉を割ったり、結婚式にからんで高砂親方とのトラブルがささやかれたりと、土俵外での話題も豊富なだけに、いつも以上に強さを誇示しようとして吊り落としなどの強引な技をかけにいきそこにつけこまれて星を取りこぼす相撲が増える可能性もある。
 期待したいのは、大関復帰を成し遂げた栃東だ。肩の怪我は相撲をとっている限り治らないとのことだから、それに合わせてどのように相撲を変えていくかで今後の状況も変わっていくだろう。新入幕の小兵豊ノ島の活躍も楽しみの一つ。十両では大器萩原が先場所ぶつかった壁をどう突破するかがみものだ。
 本当ならここに若の里や琴光喜の名前も上がってしかるべきなのだが、若の里には緻密さが、琴光喜には大胆さがいくぶん欠けていて、それが場所ごとの相撲のムラにつながり、強くプッシュできなくなっているように思う。夏巡業での稽古の成果を見せつける場所にしてほしいものだ。
 とにかく、今場所も打倒朝青龍! と力士たちが充実した相撲を見せてくれることを期待している。

(2004年9月11日記)


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