大相撲小言場所


平成十六年九州場所展望〜魁皇、横綱昇進の可能性は?〜

 秋場所優勝の魁皇は、今場所優勝すれば横綱昇進となる。では、その可能性はというと、私の考えるところでは五分五分というところではないだろうか。というのも、先場所は朝青龍が稽古不足と意外なまでの精神力のもろさを露呈して自滅したからである。この場所前、朝青龍は精力的に出稽古を重ねたという。先場所の二の舞いにはならないという決意のかたさを示しているといっていいだろう。
 魁皇の持ち味は、序盤に星をとりこぼしてもなんとか持ちこたえて終盤まで勝ち星を重ねられる粘り強さである。もし、先場所のように朝青龍が序盤戦で崩れていったら、連覇の可能性は高まるけれども、逆に魁皇が序盤で失速した場合、朝青龍が最後まで突っ走る可能性が高い。場所前、魁皇は地元九州ということもあっていろいろなイベントに引っぱりだこであったという。観客を呼ぶための看板に使われたということなのだろうが、本物の看板にするためには相撲協会もそのようなイベントは断わらせて稽古に専念させるべきではなかったか。
 これまでの横綱挑戦の機会に崩れていった様子を思い出すにつけ、魁皇の連覇はそう簡単にはいかせてもらえないのではないだろうかと思わずにはいられない。
 萩原改め稀勢の里の新入幕も話題の一つ。ただ、稀勢の里には若者らしい荒々しさに欠けるきらいがある。むろん、荒々しさなどなくとも緻密な相撲で勝てればそれでいいのだが、そこまでの技術はまだない。期待が先行しているという感じである。今場所はたとえ負け越してもよいから激しい相撲を取ることを期待したい。
 今場所も千秋楽まで気の抜けないおもしろい展開になってほしい。朝青龍の弱点が先場所はっきりした。下から突き起こされると意外にもろいのだ。おそらく今場所はその弱点をついた攻めをする力士も多いのではないか。そこをどう持ちこたえるか、そこらあたりにも注目したい。

(2004年11月13日記)


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