元大関貴ノ花の二子山親方が亡くなって以降、週刊誌スポーツ新聞ワイドショーその他が二子山親方の息子兄弟である花田勝さんと貴乃花親方の確執をあおりたて、騒ぎ立てている。それに乗せられるように貴乃花親方もテレビに出演したり週刊誌のインタビューに答えたりしている。そのため、場所前だというのに現役の力士たちについての報道は扱いも小さく、いわば土俵外の兄弟対決にばかり目がいっている。
元お手伝いも元愛人Mも金につられて部屋の内状や貴ノ花親子の会話をべらべらとおしゃべりしている。正直なところ、こういった記事のために本場所の興趣がそがれてしまうというのが現状だろう。実に苦々しいことである。
普段、場所が開催されていても見向きもしないような輩が死体に蛆がたかるように発生し、よってたかって相撲を食い物にしているという気がしてならない。はっきり言って邪魔ものである。
もっとも、土俵が毎場所盛り上がっていたら、こんな騒ぎにはびくともしないはずなのだが、朝青龍の一人勝ちが続いているがために、関心を持ってもらえないというのも事実だろう。そういう意味では、今場所こそ朝青龍と対等に優勝争いをする力士が一人でもでてきてほしいのである。そして、親方ばかり取材する連中の目を少しでも土俵に向けさせてほしいのである。ただ、そういう展開になってもああいった連中は土俵上の熱戦など眼中にないだろうけど。
栃東よ、魁皇よ、琴光喜よ、白鵬よ! 朝青龍に置いていかれるな。最後まで食らいつけ。千秋楽まで優勝争いを続けてくれ。たとえ朝青龍が5連覇するという結果になったとしても、13日目や14日目に優勝が決まり、しらじらとした千秋楽を迎え、連日貴乃花親方ばかり注目されるような事態よりはずっといい。私としては豊ノ島や琴奨菊や安馬のような平幕の小兵力士が一気に14連勝くらいして上位力士を慌てさせてくれたりしたら嬉しいのだけれど。それはちょっと無理か。
みなさん、土俵に目を向けて! 実は今、若い力士は多士済々なのです。普天王も片山もいる。突貫小僧の垣添や巨漢岩木山など、個性派の脇役にも楽しい力士はけっこういる。土俵の外ばかり見てないで、土俵の上を見てほしい。長年の相撲ファンとして、切に願う次第である。
(2005年7月9日記)