先場所は久々に盛り上がった。千秋楽まで優勝争いをしていたからだ。本来なら毎場所そうあるべきで、だから相撲は面白かったのだ。そういう意味では、朝青龍を脅かす存在として琴欧州がやっと力を出してきたのは大きい。さらに、今場所は新小結の普天王に期待できる。場所ごとにスピードを増し、相撲が安定してきたからだ。普天王は朝青龍と初日に当たる。以前白鵬が初日に踏み越しで朝青龍に負けてしまい、その1敗が大きく響いたという場所があったけれど、そんな相撲にならず、普天王が高校時代に朝青龍を相手にしなかったように互角に戦うことができれば、きっと場所が盛り上がるに違いない。焦点は初日にあると見ている。
先場所もつれたため、朝青龍はここのところ目立っていた雑な相撲を取らなくなるだろう。となると、相手もスピードでは朝青龍に負けたとしても、しっかりと組み止めて動きを封じる方策を取ることになるだろう。例えば魁皇や若の里のような馬力のある力士には、落ち着いて相手をつかまえてほしいと思う。あるいは栃東のような技能力士は、とにかく前褌を取って朝青龍のあごの下に頭をつける体勢を作ってほしい。それができずにただ胸を出すだけの相撲を皆が取り続けていたら、朝青龍の6連覇は間違いないところになるだろう。
とにかく6連覇は阻止してほしいと思うのだ。1人の力士が毎場所毎場所優勝し、しかもたいてい13日目か14日めまでに決めてしまうという、そんな展開が続くから「相撲は面白くない」と新聞で結果だけ見ているような人たちに思われるのである。毎場所もつれるような展開になっていけば、たとえ朝青龍が10連覇したとしても、相撲に関心をもつ人がもう少しは増えるのではないかと思う。
先場所のような最後までもつれる展開を今場所にも期待したい。特に琴光喜には先場所の屈辱をはらしてほしいものだ。このままで終るにはあまりにも惜しい。白鵬は、立ち合いや褌の取り方など、もっともっと研究してほしい。どうして期待がかかったとたんに誰もかれもつぶれてしまうのか。精神的なものだというならば、もうこれ以上はできないというほどに稽古をして自信をつけるということで克服できそうなものだが。
そう、結局は稽古不足というところに理由があるのではないかと思う。私のような素人にそんなことをいわれてていいのか。琴欧州など、横綱が出稽古に来ているのにしりごみをしていたそうではないか。相手の弱点を発見するまで稽古し続けて苦手を克服した例は、千代の富士など数多くある。とにかく稽古。そしてその結果を本場所で見せる。そうでなくては。
(2005年9月10日記)