今場所の話題はなんといっても新大関琴欧州がどのような成績を残すかということだろう。
私は魁傑以降、全ての大関の新大関の場所を見てきているけれど、あの千代の富士でさえ途中休場を余儀無くされたほど、新大関は大変だと思わされることが多かった。なにより、祝賀会などスケジュールがたてこんで十分に稽古をつみにくいし、責任の重さというプレッシャーに打ち勝たなければならないという問題もある。これについては琴欧州も例外ではないだろう。朝青龍の場合も、初日から8連勝しながら途中で4連敗して10勝にとどまったくぐらいである。10勝すれば新大関としては合格ということになるだろう。したがって、優勝という期待はあまりかけられないと思う。
となると、朝青龍8連覇の可能性について考えてみたい。かなり濃厚、とは思うが、今年も年末年始はモンゴルに里帰りし、日本に戻ってから仕上げているという。モンゴルでどのような自主トレをしているか不明なので断言はできないけれど、秋場所のように少しでも調子を落すと安美錦に敗れたような番狂わせはあり得ると思う。
それよりも期待したいのは、琴欧州の大関昇進に刺激されたかつての大関候補たちの奮起である。白鵬、琴光喜、若の里、稀勢の里といったところの活躍が期待される。特に琴欧州戦となると別人のような相撲になる稀勢の里、先場所も同体取り直しという熱戦を見せてくれた白鵬は若手のホープとしてぜひ活躍してほしいし、また活躍してもらわなければ困る。琴欧州の兄弟子である琴光喜も内心期するものがあるだろう。
休場明けの栃東と先場所10勝をあげた魁皇、千代大海の先輩大関にはなんとしても打倒朝青龍の意地を見せてほしいところだ。
本音をいえば、もう朝青龍にばかり優勝を許すふがいない力士たちの姿は見たくない。なんとしても連覇阻止を果たしてほしい。一人だけ強い力士がいても、場所は盛り上がらないのだ。北の湖には輪島、二代目若乃花(幹)、貴ノ花、魁傑、三重ノ海、旭国らが、千代の富士には隆の里、双羽黒、大乃国、北勝海、旭富士、小錦、霧島らが、貴乃花には曙、若乃花(勝)、武蔵丸、貴ノ浪、琴錦らがライバルとして立ちはだかった。だから土俵も盛り上がった。朝青龍にはそこまでのライバルと呼べる力士をあげられるだろうか。琴欧州だけではいけないのだ。あとに続く力士たちの台頭を待ち焦がれているのである。
(2006年1月7日記)