大相撲小言場所


平成十九年初場所展望〜白鵬再出発の場所となるか〜

 先場所全休でカド番となる白鵬が、今場所は出場できる。先場所でも痛感させられたが、白鵬がいなければ優勝争いは朝青龍の独走になってしまうのである。栃東や千代大海、魁皇は中盤まではよくても途中で古傷をいためたりスタミナ切れを起こしたりして朝青龍と対戦する終盤になると万全の体勢で相撲をとることができない。だから、大関陣ではまだ若い白鵬や琴欧洲にだけしか朝青龍を倒すことを期待できないのである。
 そこで協会に望みたいのは、これだけ大関がいるのだから、ベテランの大関たちには七日目や中日や祝日といった序盤でお客の入りのいい日に朝青龍と顔をあわせるようにしてほしいのである。そして、終盤には平幕下位で優勝争いに加わっている力士をあてるのである。それくらいの演出をしないと、結局毎場所朝青龍の独走ということになってしまい、一般の相撲に関心のない層はおろか相撲ファンからも見放されてしまうことになるだろう。
 北の湖理事長はそれほど大胆な改革を行うタイプではないし、どちらかというと伝統を守ることを中心に考える方のようだが、現在の状態では相撲人気の回復はなかなか望めないと思うのだ。
 理事長自身も輪島という好敵手や、二代目若乃花、貴ノ花、三重ノ海、旭国といった手強い相手と切磋琢磨してきのだから、一人の強い力士が独走という状態は決していいとは思っていないだろうと信じたいのだが、現状を見ていると、協会としては手をうたず、各部屋の親方に任せっぱなしに近いものがあるように思われてならない。伝統を守りつつも、それなりの演出を試みることも必要なのではないか。
 若手では稀勢の里、豊真将、琴奨菊ら楽しみな人材が上がってきた。モンゴル勢も白鵬、安馬ら花形といえる力士が育っている。把瑠都、露鵬ら欧州勢にも期待できる。いわば群雄割拠の時代がきつつあるのだ。だからこそ、裏で協会が盛り上げてほしいのである。
 今年は毎場所優勝争いのもつれる展開になってほしいと心から希望しているのだ。

(2007年1月6日記)


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