大相撲小言場所


平成十九年名古屋場所展望〜新横綱白鵬への期待〜

 久々の新横綱の誕生である。白鵬翔、22歳。上手を取り自然に落ちる腰の粘りで正攻法の相撲を取る。土俵際の粘りもある。先輩横綱の真似をして強引な相撲をとることもあるけれど、すぐに修正するのは入門時から指導をしてきた熊ヶ谷親方(先代宮城野親方)のおかげだろう。朝青龍は師匠の高砂親方が大関止まりだったという事で見下しているようだが、幕内下位どまりだった熊ヶ谷親方を慕っているというから、当代の宮城野親方の不祥事さえなければ全く問題なかっただろうに。
 白鵬には、双葉山、大鵬、貴乃花といった大横綱の取った正攻法の相撲で頂点を極めてほしい。また、日本の大相撲の伝統に敬意をはらい、感情にまかせたような言動はしない横綱になってほしい。
 朝青龍は武蔵丸引退以来、久々に横綱相手に相撲を取るという状況がでてきた。場所前は新横綱に対抗して出稽古にも熱が入り、気力も充実していると聞いたので、白鵬が昇進後の諸行事で疲れている今場所は賜杯奪回の好機だろう。そう思っていたが、初日に安美錦に敗れた相撲を見ると、立ち合いから上手を取るために変化をし、中にもぐられて動かれ、自ら土俵を割るような朝青龍らしからぬ相撲であった。しかも敗戦後、あきらめたように笑っている。これは私たちの知っている朝青龍ではない。まさかもう引退してモンゴルに帰り、政治家に転進しようなどと考えているのではあるまいな。
 琴光喜が大関に昇進するには、長期連敗中の朝青龍に勝つ事が条件だと思っていたが、この状況が続くなら、琴光喜戦を前に休場か引退なんて事もあるかもしれない。
 朝青龍のていたらくを前に、二横綱による千秋楽決戦もあるかという期待も消し飛んでしまった。白鵬は孤高の道を歩み、貴乃花のような孤独な大横綱になるのか。日本人若手力士たちの台頭を待ちたい。

(2007年7月8日記)


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