大相撲小言場所


平成二十年夏場所展望〜両横綱は万全か〜

 今場所も白鵬と朝青龍の一騎討ちが予想される。4人の大関に多くを望めない現状だと、そうなるのだろう。ならば両横綱は例えば曙、貴乃花、若乃花、武蔵丸の時代のように磐石の存在なのか。今場所はそのあたりを見極めるように観戦していきたい。
 というのも、新聞などで知る限りではあるが、白鵬に横綱昇進時のようなひたむきな稽古熱心さが見られなくなってきたという報道があるからだ。師匠格の熊ヶ谷親方は「腰痛があるから」と説明したというが、それならば本格的な治療に励んで、万全の体調で場所に臨めるようにしてもらいたい。
 朝青龍が2場所のブランクがありながら再出場後2場所連続で横綱相星決戦という結果を出したのがよくなかったのかもしれない。2場所も稽古できなくても簡単に優勝できるという驕りが両横綱にあるとしたら、どうだろうか。
 なぜそんな状態で優勝できるかというと、大関以下がふがいないからということになるのだろう。しかし、現状がそうだったとしても、未来もまたそうであるとは限らない。「相撲」誌で今場所定年を迎える床山の床寿さんと朝青龍の対談が掲載されていたが、床寿さんは朝青龍に「横綱は出世が早かったから、衰えるのも早いよ」と警告を発している。朝青龍はそれを軽口のたぐいととらえたか痛いところをつかれたからか冗談でごまかしているけれど、長年相撲を見続けてきた大ベテラン床山の言葉だけに、重みを感じる。
 できれば横綱の力が衰えて穴があき、力のない者が埋めるよりも、強い横綱を倒そうとひたむきに努力した力士が台頭するという切磋琢磨が見たい。場所前の軽い調整だけしてよしとする両横綱が顔面蒼白になるほどの活躍をする若手力士の活躍を、稀勢の里、豪栄道、栃煌山、豊真将、琴奨菊、安馬、そして新入幕の栃ノ心らに期待したい。両横綱以外の力士が賜杯を手にするような展開になると、かなり状況は変わると思うのだけれど。
 本当は琴光喜、琴欧洲ら現在の大関たちが横綱の牙城を崩してくれるのが望ましいのだが、虚しい結果しか生まない期待はよそう。

(2008年5月10日記)


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