大相撲小言場所


平成二十年秋場所展望〜麻薬騒動の余波は〜

 名古屋場所後、モンゴル巡業が行われ、多少のトラブルがあったものの無事に終了した。相変わらず朝青龍は他の力士が帰国するのに居残りをしようとしたりとわがままを言い大島親方を困らせたりもした。しかし、そんなことはトラブルともいえないものだったことが今となっては懐かしい。
 8月19日、間垣部屋の若ノ鵬が大麻所持で摘発され解雇される。師匠の間垣親方(元横綱二代目若乃花)は理事から降格となった。再発防止委員会の抜き打ちドーピング検査が9月2日に行われ、若ノ鵬と同郷のロシア人兄弟、大嶽部屋の露鵬と北の湖部屋の白露山に陽性反応が出た。精密検査の結果大麻吸引という結果が出、9月8日には北の湖理事長の辞任、武蔵川親方の理事長就任、露鵬と白露山の解雇が決定した。露鵬と白露山は若ノ鵬と違い罪を認めなかったことでさらに心証が悪くなった。現在、若ノ鵬が解雇を不当として訴訟の手続きをとっているが、おそらく復帰は無理ではないか。
 場所前のこの騒動で、力士が土俵に集中できるかどうかを心配している。土俵に上がれば集中はできるだろうが、心無い野次などが飛ぶことも予想される。新理事長はこれまでも朝青龍には厳しい姿勢をとってきたため、横綱の場所前の稽古はかなり気合いの入ったものだったようである。ただ、ヒジ痛などは全快したというわけてはないので、先場所ほどひどくはなくても全盛時の強さは取り戻せないだろう。
 優勝争いの中心はやはり白鵬だろう。結婚を発表した琴光喜もこれまで以上に張り切るだろう。モンゴル巡業で大人気だった魁皇も気をよくして土俵に上がってくるのではないか。琴欧洲は……まあとってみないとわからないので予想は控える。
 次の大関を狙う安馬と豊ノ島の活躍が期待されるのは当然の事であるが、先場所大崩れした稀勢の里や一から出直しの琴奨菊らのまき直しにも期待したい。
 一連の騒動で好奇心の目で見られる場所だけに、力士はより集中して相撲に専念し、白熱した優勝争いと充実した相撲を見せてほしいのである。

(2008年9月13日記)


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