大相撲小言場所


平成二十年九州場所展望〜安馬の大関挑戦〜

 今場所の最大の目玉はなんといっても安馬が大関昇進を決められるかどうかということだろう。ここ数場所の安馬を見る限り、場所後の大関昇進の可能性は高いと言える。もともと横綱大関に対してはいい勝負をしてきている安馬だが、下位への取りこぼしが多くなかなか10勝に届かないという時期が長かった。しかし、この1年の間に、下位に対して強さを見せて勝とうという気負いみたいなものがなくなり、確実に相手をしとめていこうという姿勢が見られる。先場所は優勝争いに最後まで顔を出し、あと一歩およばなかったものの地力がついたところを見せた。こういった大関や横綱に昇進する場所の力士というのは、勢いがついて実力以上の力を発揮するもので、それがない場合はあと一歩で取逃すことが多い。できれば優勝を狙うという気持ちで土俵に上がってほしい。そうでなければ目標の11勝にとどくどころか、逆に意識し過ぎで前半戦に取りこぼすことにもなりかねない。
 優勝争いの筆頭はもちろん白鳳。これに上記の安馬と琴光喜が加わるという先場所同様の展開になることが予想される。できれば新三役の把瑠都や豪栄道などがからんでくれれば場所が盛り上がることは間違いない。
 病み上がりの稀勢の里、壁に当たった感のある琴奨菊、もう少し緻密さのほしい栃煌山など、期待したい力士はまだまだいるのだが、なにか壁に当たってしまっている感じでもう一歩うえのステップに進まない。豊ノ島や栃ノ心なども含めてこれら若手の動向にも注目しておきたいところだ。
 休場の朝青龍は、初場所に再起を賭けるそうだけれど、そんなに結果を急がず、完全にヒジを治すまでは休場を続けてもよいのではないか。それが横綱に認められているのは、常にベストの状態で土俵に上がる責任があるからなのだと、高砂親方ともどもよくわかっていると思ってるのだが……。
 今場所は千秋楽まで優勝が決まらないという手に汗握る展開になってほしいものである。

(2008年11月8日記)


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