大相撲小言場所


平成二十一年春場所展望〜朝青龍への賛否〜

 先場所奇跡的な復帰ぶりをみせた横綱朝青龍は、これで自信を回復したかファッションショーに「ふぁん太郎」として出演してみたり、場所前の稽古の仕上げが終った部屋にふいに出稽古に行って、調整しようとしている力士に猛稽古をしてみたりとやりたい放題だ。つまり、以前のように場所中にしのいで白星を稼いでおけば次第にペースができて終盤は息切れ大関陣相手には勝てる。そして最終的な集中力は全て千秋楽の白鵬戦に残しておけば優勝できる。そういう自信を取り戻したのではないか。
 朝青龍に対する賛否両論は相変わらずあちこちで出ている。再発防止委員のやくみつるさんは「朝青龍はあのサッカーの時と同じように出場停止処分にすべし」と発言し、横綱審議委員の内館牧子さんも病床から苦言を呈している。
 私は、こう思う。初場所の土俵上のガッツポーズは、万歳の延長であると感じられたので、そこについては品格云々を口にすべきではない。千代の富士は土俵際で残って勝った時、野球の審判のようにセーフという手を横に広げるポーズをよくしていた。しかし、協会の役員は誰もそれをとがめなかった。ならば、朝青龍の両手万歳ガッツポーズもとがめられないだろう。ただ、場所前の大切な時期に「ふぁん太郎」としてファッションショーに出演した事については厳重に注意をすべきだ。本場所に向けて調整すべき時に営業をしているのだから、全力士の模範たるべき横綱のすることではない。出場停止は重すぎるように思うが、サッカーの時の処分についての反省が見られないのだから、これは重犯である。やはり謹慎処分が妥当なところだろう。
 とにかく朝青龍に何の処分も下されなかった。それならば、このような相撲をなめ切った横綱に対してくだされるべき処分は、黒星である。他の力士たちはこのようなふざけた横綱に対して鉄槌を下すべく全力で相撲を取り、苦杯をなめさせてほしい。「勝てばいい、勝つからいい」という考えをしているのだから、負けなければ目はさめないのだ。
 白鵬、日馬富士、稀勢の里ら若手の実力者は今場所こそ朝青龍を乗り越えるくらいの意気込みで場所に臨んでほしい。特に稀勢の里はながらく小結止りだったが、今場所念願の関脇の座を射止めた。大関につぐ実力者という存在感を示してほしい。また、ご当所となる豪栄道あたりが地元ファンの声援を受けて大活躍してくれれば、場所も盛り上がることだろう。私も一日だけでも例年同様府立体育会館に足を向け、相撲を満喫するつもりである。
 熱戦を期待したい。

(2009年3月14日記)


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