今場所の焦点は、やはり日馬富士の連覇、そして横綱昇進というところにあるのだろうけれど、3場所前までの大関としては物足りなかった内容や成績を見ると、圧倒的な力で全勝でもしない限り急いで横綱に昇進させなければならない理由はないと思う。
結局、スポーツ紙などで報道されているように、稽古不足でたぶたぶの体と稽古でも切れの鈍い動きをしていた横綱朝青龍が引退したあとどうなるのか、やはりもう一人横綱は必要なのではないかという空気があるのだろう。そんな空気に流されて作られた横綱は短命に終ろう。横綱になってから、常に白鵬と優勝争いをし、馬鵬時代みたいなものを作ってくれるようになるには、まだ時間がかかるのではないだろうか。
それよりも気になるのは千代大海と他の大関たちで、先場所の終盤になにか不自然な相撲で千代大海が勝ち越し、千秋楽の把瑠都との相撲は協会から無気力相撲と指摘されてしまうていたらく。千代大海はこのような恥ずかしい状況でも大関の座にしがみついている。こんなことで若手の目標になれるだろうか。大関というものは地位としては最高峰にあたるのだから(横綱を称号とすれば、という話だが)、こんな事でいいわけはないと思うのだ。
その他、稀勢の里の実力は本物かが問われる場所として、昔から荒れやすく平幕優勝のでやすい場所として、若手による上位ベテランへの下剋上が進む、そんな場所になってほしいものである。
(2009年7月11日記)