今場所も優勝争いは本命白鵬、対抗琴欧洲、日馬富士、大穴琴光喜という感じになるだろうか。もっとも本命の白鵬も腰痛持ちなので、腰の具合が万全かどうかで状況も変わってくる。よほどのことがない限り優勝するだろうが、巡業や場所前の稽古量が不十分だというような報道に触れると、優勝確率は少し下がるかもしれない。
大関目前の若手がいるわけではないし、そういう意味では話題性に乏しい場所といえるかもしれない。そのかわり、気になる力士がある。横綱朝青龍である。
ここ数場所の朝青龍の相撲は、過去の貯金を食いつぶしてきたのが、それも残額が少なくなってきたというような感じになっている。過去の横綱たちは、横綱としての力がなくなったと感じた時点ですぱっと引退している場合が多い。ただ、北の湖のように「両国国技館が完成するまで現役でいる」と心に決めてどんなに悪しざまに言われようと現役を続けていたというような例はまれである。
朝青龍はどうなのだろうか。
母国でのビジネスに必要な看板として「現役横綱」という称号はそう簡単に捨てられないという説もある。しかし、負けず嫌いの朝青龍が往年の強さを失いみじめな敗残者として注目を浴びるということを望まないという気もする。
今場所、最後まで優勝争いに残るようだと現役はまだまだ退かないだろう。しかし、例えばこれまで鎧袖一触という相撲を取っていた力士たちに苦戦したり負けたりする日が続いたら、あっさり引退するかもしれない。
私としては、得難いキャラクターだけにまだまだ続けてほしいと思っているのだが。
ともあれ、毎日朝青龍の土俵に注目するというような場所になりそうである。
（２００９年９月１２日記）
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